ヘスティアファミリアで頑張ります!   作:プラス九

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4.ロキファミリアにて

 

「……と言う訳だが、因みにこの報告を受けた者はいるかな?」

 

 ロキファミリアホーム黄昏の館、団長室に幹部は緊急招集された。内容は、入団希望者の無断拒否。理由は小人族だから。

 聞いた者は当然いなく、対応した団員は、話を聞いたフィンにより即刻追放された。

 

「いなくて安心したよ。もし聞いていて黙っていたのなら、僕は例え君達でも追放していたからね」

 

「……よりにもよって理由が小人族だからとは、ここの団長を知ってそれを発するとは、どうやら私の教育も随分甘くなっていたらしい」

 

 フィンの怒気に、周りは思わず萎縮しているが、リヴェリアの言葉は悲しみを帯びていた。

 

「しかし、対応したものを追放し、教育の徹底では、椿は納得せまい」

 

「そうだね。次の遠征では椿の参加はなくてはならない。……ロキ、採算度外視で相手に有利な交渉をすることになるけど、問題ないかな?」

 

「ファミリアの運営はフィンらに任せとるから、好きにしいや」

 

 重々しく尋ねられ、ロキは大きく頷いた。

 

「ガレス、すまないが、椿にこちらに来てくれるように話をつけてくれ。都合が良ければ今からでも大丈夫だと」

 

 ガレスは了承すると、ヘファイストスファミリアへと足を進めた。

 

 それ程時間も掛からずにガレスは、椿を連れ戻って来た。

 

「無理を言って申し訳ない」

 

「何、手前にまどろっこしいことはいらん。さっさと本題としよう」

 

「そうだね。先に、こちらが既にした対応について話そう。対応した団員については、話を聞き次第追放した。また、再発防止のため、リヴェリア主導で団員全員に、再教育を行う予定だ。勿論、ファミリアとして君のお気に入りの子に正式に謝罪をしたいと思っているし、本人が望むなら改宗も受け入れる」

 

「ふむ、実はな。手前の主神も彼奴のことを気に入っていてな。うっかり耳に入ってしまったわけだ。そこで試練を出したいそうだ」

 

「ちょっと待ちいや。ファイたんがそう言ったんか?」

 

「そうだ。手前としては誠意さえ見せてくれたら良かったのだが、主神は違うらしい」

 

「ファイたんに、そこまで気に入られるなんて、一体何もんや?」

 

 思わず身を乗り出してしまうロキに対し、椿は笑みを浮かべる。

 

「そうさな、実力は駆け出しの並より低いぐらいだな。しかし、鍛治士は惚れてしまう」

 

 全ての鍛治士を代弁する様に、椿は高らかに語る。

 

「では試練を伝えよう。この剣でゴブリンを斬る、それだけだ」

 

 椿は、一本の剣を差し出す。フィンは目線をアイズに向ける。アイズは剣を受け取ると鞘から抜き刃を見つめる。椿がルインに試させたものと同じものだった。アイズは思わず目を見開く。

 

「……これ、刀身が死んでる」

 

「ほう、お主はそう思うか。彼奴は、まるで伝説の剣のように扱ってくれたが」

 

 アイズは、感触を確かめるために素振りを行う。パキリと音がした。剣に目を向けると、中程から折れている。

 

「これから三日以内に剣を折らずに五体切れば、遠征に手前も協力しよう。しかし、一体も切ることが出来なければ、ロキファミリアとの取引を今後行わないこととする。なあに、その駆け出しはこれより脆く、切ることのできない剣で八体切ったらしいからな。ハンデもくれてやった。まさか出来ぬとは言わないだろうな?」

 

 有無を言わさない椿に、ロキファミリアの面々は苦々しく頷くしかなかった。

 

・期限は三日間。ロキファミリアなら全員参加可能。

・期間中は何本おっても良いが、カウントは剣が折れるまでの数。

・折れる度にリセット。

・剣の補充への費用はヘファイストスファミリアが受け持つ。

 

 以上の内容で、試練は始まった。

 

 その三日間を目撃した冒険者は、後にこう語った。

 曰く、ロキファミリアの主力含む前衛、中衛陣が血眼でゴブリンと戦っていた。

 曰く、一人一人が何本も剣を抱えていた。

 曰く、ゴブリンを倒した時、ダンジョン中で雄叫び木霊したと。

 

 

 ロキファミリアは、三日目にして連続五体討伐を行うことができた。行ったのはラウル・ノールド。ファミリアの二軍を纏めているものだ。他に討伐をできた者は、フィンが四体、ガレスが三体、ベートが一体と、殆どのものが一体も切ることが出来なかった。その中には剣姫も含まれ、本人はかなりの落ち込みを見せていた。

 

 試練の結果の確認の為に呼び出された椿とヘファイストスは、真偽を確かめて遠征同行を受諾した。残りは事務手続きのみになり、日を改めて行うことにする。

 

「……あの、この剣の子は、どれくらい倒せたの?」

 

 打ち合わせも終わり、雑談をしている中、アイズは恐る恐る質問した。周りも気になるのか、椿の方を見つめる。

 

「そうだな。探索が二回目と言うこともあって、一対一になるよう間引いてやったが……。ゴブリンが三十八体だったか」

 

 誰もが、息を飲んだ。使ったからこそわかる。あれでそんなこと出来るはずない。しかし、椿の言葉は止まっていなかった。

 

「コボルトが二十四体、ダンジョンリザードが八体、フロッグシューターが七体、ウォーシャドーが九体、キラーアントが一体だったかな」

 

「椿、あの子を七層まで連れて行ったの?なにかあったらヘスティアにどう顔向けすればいいのよ」

 

「なんやと、ドチビんとこの子になったんか!?よりにもよってドチビんとことか……」

 

 神達は、軽口を叩きながら会話しているが、フィンは逸材の可能性がある者を、意図せず逃してしまったことに内心苛立ちを隠せなかった。

 

「椿、謝罪の機会を作ってもらいたいんだが、頼めるかい?」

 

「話ぐらいはしてやるが、おそらく断るだろうよ。天下のロキファミリアに会うなんて恐れ多いとか言ってな」

 

 ルインの言いそうなことを容易に想像でき、笑いながら椿は答える。

 

「そこをなんとかお願いしたい。君がそうであったように、僕も興味を持ってしまった。勿論、目的は謝罪が第一だけどね」

 

 椿は、確約できないと溢しながらも了承した。

 




ティオネのブチギレを書きたかったけど、元門番の壮大なオラリオ脱出劇が始まりそうだったので割愛に……。

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