ヘスティアファミリアで頑張ります!   作:プラス九

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6.デート?

 神々の心配をよそに、ルインは充実した毎日を送っていた。タケミカヅチとの訓練により戦闘もかなり楽になり、たまにある同業からのカツアゲも返り討ちに出来るようになった。それにより、ヘスティアの借金返済も、少しずつ増やすことができる。

 偶然出会ったミアハにポーションをもらった日にからの付き合いである青の薬舗も、手伝いを通して応急処置の方法や、ダンジョン内の薬草の知識を増やすことができ、安定した探索に役に立っていた。

 ある日、稽古も終わりホームへと戻るとベルが大騒ぎしていた。一緒に騒いでたヘスティアに話を聞くとベルに魔法が発現したらしい。なんとか二人を落ち着かせて、魔法の確認は明日行うことに話をまとめる。

 みんな寝静まる夜更に物音がして、ルインは目を覚ました。周りを見渡すとベルの姿がない。明日が待ちきれず魔法の試し打ちに向かったのだろう。ルイン自身より実力のあるベルことだから大丈夫だと思うが、試し打ちなら深くまでは潜らないはずと、手早く自身の装備を身につけて、念のためヘスティアへ置き手紙を残し、ダンジョンへと向かった。

 

 ダンジョンに辿り着くと、ベルの姿は見当たらないが、派手な音が聞こえる。おそらくベルの魔法だろう。ルインは冷静にモンスターに対処しながら音の方向へ向かった。

 なんとかルインはベルを見つけることができた。しかし、ベルは気絶しているのか、地面に倒れている。ルインは担ごうと試みるが、体格差もあり難しい。仕方なく、ベルが目覚めるまで待つことにし、現れるモンスターを対処することになった。

 なかなか目覚める様子のないベルを守るように現れる複数のモンスターを相手に攻めきれずにいると、二人の冒険者に助けられた。美しいエルフの女性と、それに負けない美しさのヒューマンの女性だった。

 

「見たところ駆け出しのようだが、こんな夜更にまでダンジョンに篭るのは、あまり感心できないな」

 

「……大丈夫?」

 

「助けていただいてありがとうございます。それよりもベルが」

 

 おそらく、戦っていた小人族の少年の仲間だろう気絶している少年にリヴェリアは近く。

 

「ふむ、どうやらマインドダウンのようだ。魔法発現したてのものによくあることだ。これなら少し休めば目を覚ますだろう」

 

「……この子」

 

 様子を見ていたリヴェリアなアイズが近づくと、ベルの顔を見て驚きをみせる。アイズはベルのことについて説明し、リヴェリアは納得する。

 

「そうか、酒場の時の彼か」

 

「リヴェリア、……その子に償いたい」

 

 アイズの様子に、リヴェリアは少し悪戯心を抱きながら耳打ちをする。アイズも了承した。

 

「君の仲間にうちのものが迷惑をかけてな。少年の面倒をこの子に任せて欲しい。第一級冒険者の護衛が付いた方がより安心できるだろう?君のことは私が出口まで送っていこう」

 

 自分では安全にベルを守れないとルインは思い、その提案に了承する。

 道中は、ルインが今回の経緯を説明しながら、ベルに代わり魔法について話を聞いていた。出口に着き、改めてルインはお礼を言う。

 

「そういえば、自己紹介をしていなかったな。私はロキファミリア所属のリヴェリア・リヨス・アールヴだ」

 

「ぼ、僕はヘスティアファミリアのルイン・マックルーです。今日はありがとうございました。こ、ここで大丈夫ですので」

 

 リヴェリアの自己紹介を聞くと、少し驚いたように反応をしたルインは深々とお礼をした後、焦るように帰っていった。

 リヴェリアも名前を聞き、思わず目を見開いた。ヘスティアファミリアの小人族の少年といえば、現在探している人物だ。まさか、その本人と出会っていたなんて。一瞬固まってしまったため、リヴェリアはルインを捕まえることができず、後ろ姿を見つめる。名前と顔がわかったことでより進展できると割り切りながら……。

 

 ルインがホームに戻るとヘスティアはまだ寝ていた。心配をかけずに済み、一安心しながら仮眠を取ることにした。

 

 周りが騒がしく、目が覚めてしまったルインは、またも原因であるベルとヘスティアに尋ねてみた。初めは、抜け出したことかと思ったが、どうやらヘスティアは気付いていない様子。話を聞いていると魔法を覚えた理由が魔導書によるもので、それが誰かの忘れたものを借りた物だと。ベルとヘスティアの魔導書の奪い合いを眺めていると、どうやらベルが勝ち取り、謝りに行ったみたいだった。

 

「ヘスティア様、もし弁償になったら僕も頑張りますから」

 

「ルイン君、君はなんていい子なんだ」

 

 感激しているヘスティアに笑顔を向ける。ルインもその様子に思わず微笑む。最近忙しくしていたので、久しぶりのヘスティアとの会話をルインは楽しんでいた。

 

「そういえば、こんなにゆっくりしていて大丈夫かい?いつもならダンジョンにいる時間だろう?」

 

「今日はヘファイストス様と出かける約束をしていまして、時間までもう少しあるので」

 

「なんだって〜!まだボクでも二人きりで出掛けたことないのに、なんでヘファイストスと!?」

 

「えっと、会わせたい人達がいるからとしか聞いてないので」

 

「それにしたって、順番があるだろう!?くそっ!こうなったら時間までボクと出かけるぞ!」

 

「いえ、そこまで時間はないので……。すみません、ヘスティア様の一番の神友だと聞いていたのでどうしてもと言われて断りきれなくて」

 

「うっ……。そう言われると何も言えないじゃないか。でも、ヘファイストスのところまではついていくからね!これだけは譲らないからな」

 

 愚図るヘスティアをなんとか宥めながら、ルインは連れて行くことにした。もしダメならヘファイストスがなんとかしてくれるだろうと丸投げすることにして。ヘスティアには言えないが、このお願いを受けると、借金の減額とヘスティアの給金アップが約束されている。ヘファイストス側も、ファミリアの懐を痛めずにロキに貸しを作れると、お互いが損をしない約束だ。ルイン自身は誰に会うのかは聞かされていないが、ヘスティアの為にも秘密裏に用事が済むことを願った。

 

「すみません、お待たせしましたか?」

 

「今さっき着いたばかりだから気にしないで」

 

 ルイン達が待ち合わせ場所に到着するとヘファイストスはすでに待っていた。

 

「なんだい!ヘファイストス酷いじゃないか!神友のボクに一言も言ってくれないなんて!」

 

 まるで理想のデートのやりとり、男女は逆だが、を見てヘスティアは頬を膨らませながら抗議する。

 

「ヘスティア、もう一人の子には武器を作ってあげたけど、この子には何もしてあげてないでしょう?この子も貴方を心配してよく顔を見せてくれるけど、私が貴方をバイトさせてるのもあって、知り合いを増やしてあげるだけよ」

 

 ヘファイストスはヘスティアにしか聞こえないように説明をする。ヘスティアも耳が痛いのか、汗をダラダラと流し目を泳がす。

 

「それに貴方、もううちのバイトの時間じゃない。今日は大目に見てあげるから、サッサと行きなさい」

 

「そ、そうだ!ボクとしたことがド忘れしてたみたいだ。ルイン君、と言う訳だからボクは行ってくるよ!」

 

 ルインにあまり格好の悪いところを見せたくなく、ヘスティアはバイト先へと一目散に駆けて行った。ルインもヘファイストスもその姿にクスリと笑みを溢しつつ、目的の場所へ足を進めることにした。

 




ヘスティアはベルにLOVEは変わりませんが、ルインは目に入れても痛くない程の愛息子という認識です。
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