ヘスティアファミリアで頑張ります!   作:プラス九

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7.謝罪

 

「ヘファイストス様、目的の場所ってもしかして」

 

 ルインは目的地、黄昏の館を前にして冷や汗をかいていた。

 

「ごめんなさい。貴方が苦手意識を持っているのは知ってたけど、どうしても会いたいからって言われて。絶対に悪いようにさせないから」

 

 ヘファイストスに謝られ、ルインも腹を括ることにする。ヘスティアの、ファミリアの為に、重い足をなんとか進めることが出来た。

 

「やあ、よく来てくれた。神ヘファイストスも、今回は無理を聞いてくれて感謝する」

 

 ルイン達は案内された部屋に入ると、ロキと幹部陣に迎えられた。ヘファイストスが簡単な挨拶をし、次にルインの番になる。誰が見てもあからさまに顔色が悪く心配したヘファイストスが声を掛けようとした時にルインが動いた。

 土下座。ヘファイストスが彼の主神によって見飽きてしまった極東の最終奥義。何故、ルインがそれを行っているのか意味がわからない。

 

「この度は、リヴェリア様に、王族の方にとんだご無礼を働き申し訳ありませんでした!ヘスティア様もファミリアも関係ありませんので、どうか僕の首だけでご容赦いただければ!」

 

 この場にいる誰もが固まる。名指しされたリヴェリアさえ理解ができていない。

 

「ロキ?こんな話聞いてないけど?そっちがその気ならこっちも考えがあるわ」

 

「ま、待ってや。こんなことウチも知らん!リヴェリア!どういうことや?」

 

「ま、待ってくれ。私にも身に覚えがない!彼とはダンジョンで会ったことがあるぐらいだ。何も無礼はなかったと断言できる」

 

「すまないね。こちらも今知ったことで取り乱したみたいだ。リヴェリアも何もないと言っているから頼むから顔を上げてくれないかな」

 

「いえ、ロキファミリアは小人族を嫌っていると思います。それなのに王族の方にとんだご無礼を……」

 

 ますます震えていくルインに、目つきを鋭くし睨むヘファイストス。ロキファミリアの誰もが想像していたものと全く違っていた。

 

「ち、ちょっと待ってや!ウチもこんなことさせる為に呼んだんちゃうわ!」

 

「そうだね。君の誤解を解きたくて今日は神ヘファイストスに無理を言って機会を設けてもらった。だから顔を上げてくれないかな?仮にリヴェリアが何かを言っても団長として不問にすると誓うよ」

 

 焦るロキを見て反応できたのは唯一フィンだけだった。しかし、ルインは体勢を変える様子がない。流石のフィンも困りヘファイストスへと目を向ける。

 

「この子、ヘスティアに入団前の経緯を聞かれて話したことがあるそうよ。それで、ヘスティアが泣きながらロキならやりかねないって言ったそうよ」

 

 ヘファイストスは、頭を抱えながら深く溜息を吐く。

 

「あのドチビが……。で、でも、ファミリアの運営にはウチは口出ししてないから……」

 

「それについてはごめんなさい。色々聞く前にロキの天界時代について聞かれて説明したからイメージが悪いのよ」

 

 ヘファイストスの言葉にロキも言葉を無くす。自他共に認めるトリックスターも、打開策をこの場で思いつくのは難しかった。

 

「ええい!なぜ、ややこしいことになっておる!」

 

 周りが狼狽始めた中、ガレスが一人声を上げる。

 

「そこの小人族よ!己が主神は、お前の首一つで助かったと聞かされ喜ぶような神なのか!?」

 

「それは違います!ヘスティア様は誰よりも優しい方です!」

 

「そうだろう!お前がそこまで頑なな態度を取るのだ。良い神であろう。なら何故、そう簡単に命を落とそうとする。互いの言い分が合わないのなら最後は力で示せ。種族など関係ない、それが戦士であろう」

 

 ガレスは、そう言い切ると前に進み、ルインに剣を抜くように指示する。お互いが構えるが、ガレスは挑発する様にルインへと先手を譲った。ルインの振るった剣筋はその場にいる者からすれば遅いものだ。ガレスは敢えて避けず腕で受け止めた。

 驚き声を上げたのは誰だったか。支給品の剣で、駆け出しの冒険者がLv.6の冒険者に傷をつけるのは不可能である。しかし、ルインの一撃は骨まで無理であったがガレスの腕を深く切り裂いた。ガレスも予想していなかった傷に一瞬驚く。手加減を忘れないようにしながらも攻撃を繰り返す。おそらくLv.2になりたてのものでは厳しい程度に抑えた攻撃も、ルインは剣で受け流しながら反撃を繰り出す。受け流される度に傷を負い血塗れのガレスに対し、ルインはなんとか無傷で凌いでいる。一瞬でも集中が途切れれば、直ぐ様敗北するだろう。

 

「儂が知る小人族は、どうも小生意気で癪に触る奴しかおらんと思っておったが、なるほど、これ程の戦士がおったか!」

 

 血を多く流してもなお、ガレスは嬉しそうに笑う。

 

「お主を一戦士として認めよう。そして、詫びよう。敬意を持って全力の一撃で終わらせる」

 

 ガレスの一撃は、あまりに速く、重いものだった。ルインの目では追いきれず、勘でギリギリまで動き、受け流す。偶然なのか、幸運だったのか、ルインの剣は確かに必殺の拳を僅かに逸らすことが出来た。急所を避けることは出来たが、その身に受け壁まで吹き飛ぶ。部屋の壁を壊し、廊下に打ち付けられ起き上がることはなかった。

 

「あれを受け流すか!実に良し……、ゴフっ」

 

 ガレスは満足そうに頷き、口から大量の血を吐き出した。腹をかなり深く切られており、そのまま倒れ伏した。




到着時のルインの脳内

初めの印象からロキファミリアに嫌われていると思う→ヘスティアからざっくりイメージを聞く→ヘファイストスからロキの昔の話を聞く→知らずにリヴェリアへ気安く接してしまう→ヘファイストスに行き先を教えて貰えていない→やらかした!
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