リドルになった元審神者とHL寮モブたちの平穏な日々   作:都月飴

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第2話

「なあー、リドル。クローバー先輩ってさ、副寮長辞めたいんかな?」

「トレイが?」

「おう。だってさ、自分がうっかりマロンタルトの項目を忘れてたとはいえさ、問題児たちの側にいるじゃん」

「それな。リドルに従う副寮長~みたいな顔してて、実際は中立で自分の意志は絶対曲げないくせにさ。今回はどう見たってケイト先輩も一緒に、アイツら寄りって感じじゃん」

「嗚呼、だからボク(わたし)の下である副寮長を辞めたいのではないか、ということだね」

「そゆこと」

 

 それはそうだろうね。

 トレイは思っていても口には出さない人だから。リドル(ぼく)のことを嫌悪しているだろうに、悟らせようとしないという厄介な男。面倒見の良いお兄さんという顔をして、なんともひねくれた人だろうか。

 幼馴染み、とはいってもお母様に接触禁止令を出された日から学園に入学するまで、会うこともなかったんだけどねえ……。トレイって本当に、ボク(わたし)を見ているようでリドル(ぼく)を見ていないよね。

 いつも、前はそんなリドル(かれ)じゃなかったのにって顔をしている。

 そりゃあそうだろう。だって、トレイの知っているリドル(かれ)はもうずっと、表に出てくることなく眠りについたままなのだから。

 

「それならいっそ、解任したらどうだ?」

「どうせ、来年は四年生だしさ。リドルが寮長のままでいるなら副寮長も持ち上がりだろ? でも解任するんだったら、副寮長の仕事する時間を就職活動に使えるじゃん。三年の間は部活に力入れても良いと思うし」

「確かに、そういう手もあるね。トレイは僕と幼馴染みだから副寮長に立候補しただけだし。でも別に、幼馴染みじゃなくても寮長と副寮長の関係は成り立つからね」

「そらそうだろ。オクタヴィネルは幼馴染み、スカラビアは主従だけど、ポムフィオーレはそういうのじゃないし。まあ、ルーク先輩はヴィル先輩のこと大好きだけどな」

「育成って意味で、俺ら二年生から副寮長を選んでもいんじゃね? ほら、オクタヴィネルやスカラビアは寮長、副寮長、どっちも二年生だし」

「一年生はまだまだ学園生活にも慣れてないし、除外だな」

「ここに入学から一週間で寮長に就任した奴がいるけどな」

「ふふっ、褒め言葉として受け取っておこうじゃないか」

 

 その日の夜。学園長から問題児二人、エース・トラッポラとデュース・スペードより決闘の申し込みがあることを聞いた。

 誰に諭されたのだか。トレイか、ケイトか、それとも学園長か。大穴は監督生かな? しかし、彼女はこの世界の人間ではない。学園長から得た情報によれば、彼女は異世界の日本という国の出身であり、かつての(ぼく)が守るべき過去、平成生まれの女子高生だというのだから、決闘による寮長交代劇があることなんて知らなかっただろう。

 はぁ……、前途多難だ。

 審神者歴××年の中堅だから耐えられた。これが審神者なりたての私だったら泣いてたところだよ。それはもう同田貫にドン引きされるレベルで泣いて喚いて咳き込み噎せて過呼吸により倒れ、初期刀である歌仙と皆のアニキ、薬研に怒られていたことだろう。中堅なりに年数だけは稼いだ審神者でよかった。全滅したけど。

 決闘、とはいってもそう負けることはないだろうが……。準備は念入りにしないとね。歌仙たちに怒られてしまうし、お母様にも心配をかけてしまう。油断禁物だ。

 

「決闘ねえ。瞬殺だろうな」

「五秒ももたねぇわ」

「性格に難あり。というよりも、全力でかかってはきそうだが、実力が伴っていないはずだ」

「まだ新入生だもんなあ。ちっせーころからユニーク魔法を使い慣れているリドルに比べたら、通常の魔法さえ発動に時間がかかるだろうよ」

「詠唱破棄で、だいたいの魔法を詠唱込みで発動している奴らより強力なの発動できるぐらいだもんなあ。あとはユニーク魔法以外にも独自の魔法を生み出しているし」

「簡単な魔法なら、詠唱破棄でもそれなりの威力で使えるのは君たちもだろうに」

「いやいやいや。リドルが使ってるの簡単なやつじゃねーから!」

「ローズハートは、もっと自覚を持てよな。先生方にだって一目置かれてるんだから」

 

 刀剣男士(かれら)とは違うけれど、こうやって気を許せる相手がいるということは、なんて素晴らしいことなのだろうか。

 それに。もしもあの日、あの時。オーバーブロットを経験していなければ、お母様を、ママと話し合うことがなければ、友を得ることすらできなかったはずだ。地元のエレメンタリースクールやミドルスクールの同級生たちとは、なかなか話すことも上手くいかなかったけれどね。

 私がリドル(かれ)になった、あの日から。ユニーク魔法とは別に研究し作り上げた、魔力ではなく霊力を使用する術がボク(わたし)にはある。

 魔力と霊力は別物であり、しかし霊力という概念のないこの場では、霊力を使用する術も全て魔法に含まれるようだ。しかし使用するたびにブロットを貯める魔力とは違い、霊力にはそれがない。それがメリットである。

 しかしデメリットとして、許容範囲以上の霊力を使用すれば、怪我を負うのはまだしも。最悪、魂を削り死に至ることさえあるため、やはり使用には限度がある。まあ、審神者のころに修め、石切丸を筆頭とした御神刀や霊刀と共に改良してきた術式のおかげで、ようやっと使い慣れてきた魔法よりも使い勝手が多いのだから、彼らには感謝しかない。

 (ぼく)のことを見捨てず、共に歩んでくれた彼らのために。そして、大好きなお母様のために。

 ボク(わたし)は、簡単に負けてやらないよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リドル」

「トレイ、ケイト。どうしたんだい?」

「決闘のことだが」

「嗚呼、決闘の際の介添人についてだが、君たちはトラッポラ、スペード側に立ってくれ」

「えっ!?」

「な、何をいってるんだリドル。俺たちは、俺は、副寮長として」

「昨日、学園長から決闘の届け出をいただいた時点で、介添人の話は終わっているんだ。さて、行くとしよう」

「待って、リドルくん!」

「リドル! お願いだから話を聞いてくれっ」

「あとで聞こう」

 

 もうすぐ、決闘の時間だ。

 二人の話を聞いていては、問題児たちのほうが先に来てしまう。主催というわけではないが、ハーツラビュル寮の寮長として、迎え入れる側だからね。遅刻など許されないよ。

 ごちゃごちゃといいながら、後ろから着いてくるトレイとケイトの相手は面倒だな。別に嫌いではないのだけれど、ボク(わたし)としては絶対的な味方ではない彼らを介添人につけるなどもってのほか。背後から奇襲されたらどうするんだい?

 別に二人がボク(わたし)に対して敵愾心を持っているとは思わないのだけれど、嫌悪はしてるだろう。自分を嫌っている相手を、どうして決闘の場において味方と判断できるのか。

 (ぼく)は腹芸が苦手でね。こういうのは、いつも刀剣男士たちに任せていた。だって、平凡な一般人である(ぼく)より、様々な人々のもとで歴史を見つめてきた彼らのほうが、よっぽど上手いのだから。

 

「これよりハーツラビュル寮の寮長の座をかけた決闘を行います。挑戦者はエース・トラッポラ。そしてデュース・スペード。挑戦を受けるのは現寮長であるリドル・ローズハート。では、決闘の掟に従い、挑戦者のハンデである魔法封じの首輪を外してください」

 

 学園長の言葉に従い、彼らにかけたユニーク魔法を解除する。

 決闘を観戦する寮生たちの中にも、数名首輪をつけている者はいるが、彼らはトラッポラとスペードとは前提が違う。彼らはハートの女王の法律を普段から守ろうと努力している者たちであり、現在首輪をつけているのは、うっかり法律を忘れてしまったから。何度も同じことを繰り返す馬鹿はどうしようもないが、彼らのほとんどは一年生。まだ、学園での生活に慣れていない子たちだからね。

 学園を卒業後、社会に出て立派な魔法士として生きていくには、ハートの女王の法律程度を守ることができない者には厳しい世界だという理由も説明したうえで、首輪をつけいるのだ。

 嗚呼、これが終わったら、トラッポラとスペードにも懇切丁寧に説明してあげようじゃないか。あと、週末の勉強会には強制参加にしよう。いくらこの学園に入学を認められたからといって、入学早々に退学騒ぎを起こすような問題児たちなのだ。定期テストで赤点を取られても寮長として困るからね。

 

「さて、一人ずつ相手をするのも面倒だ。二人纏めてかかっておいで」

「ずいぶんといってくれるな」

「カ~ッ! カンジ悪いんだゾ!」

「こっちだって作戦くらい立ててきてるっつーの!」

「そうかい、楽しみにしているよ。学園長、決闘の合図を」

 

 さて、その作戦とはどういうものなのだろうね。

 まあ、小手先の作戦ならば意味はないのだけれど。

 盾兵、用意。

 

「私が投げたこの手鏡が地面に落ちて割れるのが始まりの合図です。では……レディ、ファイッ!」

 

 ガシャン。と、地に落ちた手鏡が割れた。

 

首をはねろ(オフ・ウィズ・ユアヘッド)

「「うわああああ!!」」

「ぐ……っ、くっそぉ! 魔法を具現化させるヒマもなしかよ!」

「ここまで手も足も出ないなんて……」

「何が起こったか見えなかった……!」

 

 おやまあ。威勢は良いが、まだまだ実力不足だね。動きも単調すぎる。

 いざという時のために盾兵の準備もしていたのだけれど、このまま発動せずに終われるのならば、それはそれで良しとしよう。

 無駄に霊力を消費する必要もないのだから。

 

「魔法の強さはイマジネーションの強さ。魔法の効果を正確に思い描く力が強いほど、正確性も強さも増す。ローズハートくんはますます魔法に磨きがかかっていますね」

「ありがとうございます、学園長。さて、トラッポラとスペード。君たちは自分自身の実力を過大に評価し過ぎているのではないかな?」

「くっ……」

「それに、最低限のルールも守れないようでは、またすぐ退学騒ぎを起こしかねないよ」

「確かに、ルールは守るべきだ。でも、無茶苦茶のルールを押しつけるのはただの横暴だ!」

 

 ハートの女王の法律の中に無茶苦茶なものがあることは否定しないさ。しかし、ボク(わたし)はその中でも守れるものを抜粋してきた。少し気をつけて生活すれば良いだけなのに、横暴とまでいうか……。

 

「ハーツラビュル寮において、現在施行されているハートの女王の法律はボク(わたし)が寮長に就任した際、日々の生活に支障のない程度のものばかりを選んでいるんだ。そして、少しでも覚えられるように法律を抜粋し、寮生個人の状況に応じて別途対応もとられている。これは入寮日に配布した冊子にも書かれており、また寮内の各部屋に取り付けられた電子パネルでもその日守るべき法律の一覧を確認できるようにもなっているよ。全810条を守れとも、抜粋した全てを毎日守るようにともいっていない。トラッポラがタルトをつまみ食いした日も、『なんでもない日』のティーパーティーにマロンタルトが並んだ日も、説明しようとしていたのだけれどね……」

 

 先に飛び出していったのは、そっちじゃないか。

 

「ルールだからって何をしても良いわけじゃない! そんなの、間違ってる!」

「おやおや。もしかして君は、法律も、規則も、ルールもない場所から来たのかな? この学園に通う生徒たちはね、お嬢さん。住む国も違えば、種族も違う。それぞれの国の法律や種族としての価値観、各々の生活環境におけるルール。全てが違うんだ。君だってそうだろう? 間違っていると感じるのは君の主観であり、今この世界における常識を知らない状態で何をいうのか」

「でも、でもっ」

「でももしかしもないよ。君にとって、ハートの女王の法律が間違っていることだとしても、だ。このハーツラビュル寮では、寮生として生活している間は守るべきものなんだ。もしもそれが守れないというのならば、他の寮へ移るか、退学すべきだね。分かったかい、トラッポラとスペード」

 

 嗚呼、本当に。どう説明したら理解してもらえるんだろうね。

 こういう説得は、苦手なんだ。力こそパワーが一番分かりやすいんだけれど、ハーツラビュル寮の寮長としてはあまりオススメできることではないからね。サバナクローならば刀剣男士(かれら)に叩き込まれた護身術でどうにでもできるのだけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふざっっっっっけんなよ!!!!!!!!!」

「おや」

 

 金盾、一。

 

「っっっっだあっ!? なんっだよ、この壁!!!!!」

「「「エース!?」」」

「エースちゃん!?」

「エース!?」

「あーあ、手ェ出しちまったな」

「あっちゃー。痛そう」

「寮長が事前に防御面まで考えてないわけがないんだなあ」

「君とは特に話し合いが必要そうだね、トラッポラ。決闘はすでに終わっている。それ以上、手を出そうものなら体の自由を奪わせてもらうよ。スペードもだ。……では、学園長」

「はい。勝者は、リドル・ローズハート。素晴らしい実力です。寮長として、これからも頼りにさせていただきますよ」

「ええ、もちろん」

 

 さて、と。このまま彼らにハーツラビュル寮での生活について説明を行うとして、十六時のお茶はどうしようか。まあ、説明をしながらお茶を飲むなというわけでもないのだから、彼らにもお茶を振る舞うとしよう。

 

「リドル」

「トレイ、どうしたんだい?」

「そこまでやらなくても良いんじゃないか?」

 

 ……は?

 

「決闘は終わっているんだから、エースに傷を負わせなくとも良かったはずだ」

「君はいったい、何を見ていたんだい? 決闘が終わったあと、先に手を出したのはトラッポラのほうだ。ボク(わたし)は自衛しただけだ。そうしなければ、ボク(わたし)のほうが怪我を負っていただろうからね」

「だが」

「トレイ先輩のいう通りです!」

「……はぁ?」

 

 監督生。君もしかして、正義感の強いピュアホワイト本丸の審神者タイプなのかい?

 

「エースがタルトをつまみ食いしちゃったのは悪いことだけど、代わりにマロンタルトを作ってもっていったのに、受け取らなかったのは貴方のほうじゃないですか! それに、それに。グリムとデュースにまで首輪をつけて! なんでですか、どうしてですか!? 私たち、何も悪いことなんてしてない!」

「マロンタルトについては、説明したはずだが?」

「あんな無茶苦茶なルールで、せっかく作ってきた美味しいマロンタルトを食べないだなんて信じられない!」

「いや、そういうこっちゃねーんだが」

「あの子、もしかして人の話を聞かないタイプか?」

「めんどくっせぇ……。苦手なタイプ」

「僕も」

 

 嗚呼、これは……面倒だ。

 魔力のない、同郷の少女というならば庇護すべきと思っていたのだけれど……。自分の意見が正しい、正義感のあるタイプだったとは。行き過ぎた正義感は、ただの毒だというのに。

 周りの寮生たちの目を見てみろ。過去最高に死んだ目をしているぞ。ハーツラビュル寮なのに、チベットスナギツネ寮になってしまったじゃないか。

 

「トラッポラに関しては、入寮時に配った冊子を読んでおけば防げたこと。そしてマロンタルトについては、覚えているべきトレイとケイトが、うっかり忘れてしまわなければ防げたことだ。まあ、どちらも初犯だからね。謝罪と、ボク(わたし)の説明を聞いておけば、トラッポラの首輪は翌朝には取れていたものなんだよ。マロンタルトに関しても、謝罪は『なんでもない日』のティーパーティーが終わったあとで謝罪と共に受け取ろうと思っていたのだけれど、飛び出していったのはそっちだろう。スペードとグリムに関しては、こちら側の理由を聞こうともせず魔法を使用し暴れかねないと考えた末の対策だ」

「じゃあ、なんですぐに説明しに来なかったんですか!?」

「……どうして、ボク(わたし)が、説明をしに、向かわなければいけないんだい?」

「だって、そっちの勝手で変なルールを押しつけたじゃない!」

「はぁ~~~~~……。トレイ、ケイト」

「俺たちも説明したんだがな」

「監督生ちゃん、聞き入れてくれなくって……」

「つまり、君は、全て、ボク(わたし)が、悪いと?」

「そうよ!」

「ちょっ、もう黙れ監督生!」

「監督生! お願いだから、少し黙っていてくれ」

「なんで!? どうして!? 変なルールを押しつけて、エースに怪我を負わせたのはあっちじゃない!」

「ふ、ふなぁ~。落ち着くんだぞ、監督生!」

「俺が怪我したのは、俺のせいだよっ」

 

 め、めんどくせ~~~~~~~~~~。

 トラッポラとスペード、グリムのほうが冷静とはどういうことだ。トラブルメーカーばかりかと思えば、一番の問題児は監督生のほうじゃないか。

 嗚呼、もう。話が進まない。さっさと用件を済ませてしまえ。

 眠りの魔法で監督生の意識を奪えば、近くに立っていた学園長がその身を抱き上げる。嗚呼、嗚呼。なんて優しい人なんでしょうねえ。笑っているようで、笑っていないみたいだけれど。

 

「そして、今日この時、この場をもってトレイ・クローバーを副寮長から解任する」

「リドル!?」

「えっ! ちょ、どういうことリドルくん! っていうか、このタイミングでいう!?」

「このままでは話が平行線になってしまうからね。先に済ませたい用事をこなそうと考えただけだよ。新たな副寮長には二年生のディーン・ランキフォリウム。そして副寮長補佐として二年生のダニエル・ペレンニスを新たに任命する。よろしいですね、学園長」

「ええ、ええ。ローズハートくんが必要と感じているというならば、承認いたしましょう。任命書などは明日にでもお渡しします」

「リドル、何故っ」

 

 トレイの副寮長解任を伝えると、トレイは苦虫をかみつぶしたような顔をする。

 どうして、そのような顔をするのだろうね?

 

「前々から考えていたんだよ。君は面倒見が良く、気が利くから頼りになる人ではある。反面、本心を伝えてはくれない。思っていても口にすることはないだろう?」

「っ、それは」

「別にそれでも良いのだけれどね。ボク(わたし)が求める副寮長とは、寮長であるボク(わたし)に臆せず、自分自身の意見を率直に伝えてくれるような人材だ。ボク(わたし)が間違ったことをした時、正面から立ち向かうことのできる人材だ。トレイ、君はどうだい?」

「っ……、俺は」

「ちょ、リドルくん落ち着いてっ」

ボク(わたし)は十分、落ち着いているよケイト。さあ、決闘も無事終わったことだし撤収するとしよう。トラッポラとスペードは寮長室へ来るように。君たちとは話し合いが必要だ。グリムもついてくるように。そのあとで、ソレは解除しよう」

「「はい、寮長……」」

「わ、分かったんだゾ」

「監督生さんは、学園長」

「ええ、お任せください。しっかりとオンボロ寮へ送りましょう」

「お願いします」

 

 これで、トレイはわざわざ嫌いなボク(わたし)の側にいなくても良い、自由の身だ。幼馴染みだからといって、リドル(かれ)に捕らわれるのは、もう辞めることだね。

 

「行くよ。ディー、ダム」

「はいよ」

「りょうかーい」




役持ちモブ。

■HL寮新副寮長(ディー)
ディーン・ランキフォリウム。二年C組。

■HL寮新副寮長補佐(ダム)
ダニエル・ペレンニス。二年B組。

■HL寮の二年生
ブレット・バートン。二年D組。
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