カナエが帰り、今ここには俺と輝屋とあまねの3人しかいない。だが俺は、この屋敷に来てから感じていた事を輝屋に聞く。
「輝屋さん、少しお聞きしてもいいですか?」
輝屋「何かな?」
「いや、ここに着いてからずっと気になっていたんですが…なんでこの屋敷の至る所から火薬の臭いがするんですか?」
「「!!」」
輝屋とあまねは、俺の一言で目を見開いていた。
輝屋「…何故そう思うのかな?」
「ええ。自分は物凄く鼻が効くんですよ。はっきり言えば、犬の何万倍と言うほどの嗅覚があります」
あまね「何万…」
輝屋「なるほどね。それだったら、この屋敷にある火薬の臭い位気が付くね」
「ええ。それで、何故そんな物を?この屋敷には、貴方達2人以外にも後5人いますよね?それも貴方達と同じ気を感じます。恐らく2人の子供なのでしょう」
「「!?」」
そう言われ更に驚く2人。
輝屋「ハハッ…まさか火薬どころか、私達の子供までバレてしまうとは。あまね、あの子達をここに連れて来てくれるかい?」
あまね「はい」
そしてあまねは、自分の子供たちを連れてくる為、部屋から出ていった。
輝屋「森川さん。君には本当に驚かされてばかりだよ」
「まぁ、自分もかなり人間離れしてるのは自覚してますので」
輝屋「フフッ。そんな貴方が、私達…いや、カナエに力を貸してくれるとなれば、これ以上嬉しい事はないよ」
「そうですかね?」
そんな話をしてると、あまねが子供達を連れて戻って来た。
輝屋「森川さん、紹介するよ。私の子供達だ」
「初めまして。産屋敷ひなきと申します」
「にちかといいます」
「輝利哉といいます」
「くいなと申します」
「かなたといいます」
「あ〜…輝屋さん」
輝屋「何かな?」
「何故黒髪の子は、女性の格好をしているのですか?」
『!!?』
俺の言葉に全員が驚く。
輝屋「…何故輝利哉が女性の格好をしてると分かったのかな?」
「いえ、子供だから分かり辛いですが、男性と女性は骨格が違います。それに男性には男性の。女性には女性の臭いがあります」
あまね「臭いですか?」
「ええ。男性フェロモンと女性フェロモンです。私は嗅覚が犬以上優れてます。ですので、輝利哉…君でいいのかな?」
輝利哉「はい」
「輝利哉君がいくら女装をして誤魔化しても、私には分かるんですよ」
輝屋「なるほど。しかし凄いね。輝利哉が男の子だって初めから気が付いたのは、貴方が初めてだ」
「まぁ。それで…」
ここは口調も強めでいかなきゃな。
「言っちゃ悪いが…輝屋。テメェ自分の妻や子供も巻き込むつもりだったのか?」
輝屋「!!」
あまね「森川様…」
「口調はこっちが素だ。で、どうなんだ?」
輝屋「…そうだね。もし私が探してる鬼がここに来た時に備えてね」
「……」
俺はその言葉を聞いて、輝屋を殴る。
輝屋「ガハッ!」
あまね「あなた!」
「「「「「父上!!」」」」」
「テメェ…子供をなんと思ってんだ!子供は宝なんだ!しかも自分の子供に…親なら…親なら自分の子供の未来の為、幸せにを願うのが親じゃねぇのか!!産屋敷家の宿命?そんなの二の次なんだよ!自分の子供の幸せも思えない奴が、鬼に勝って長年のいざこざが終わるわけ無いだろうが!!」
俺は輝屋の胸ぐらを掴みながらそう叫んだ。
輝屋「……そうだね」
輝屋は話し出す。
輝屋「貴方の言う通り、自分の子供の幸せを思えない私が、長年続いた鬼との戦いを終わらせる事などできない。ありがとう森川さん。大切な事を気付かせてくれて」
「…ふん」
俺は掴んでた胸ぐらを離す。
「飛翔でいい。それと、そう思ったんなら今後は家族と仲良くするんだな」
輝屋「ありがとう飛翔」
「それじゃあ、俺はそろそろ蝶屋敷に帰るとするか」
俺は立ち上がる。
「悪かったな。あんたの旦那を殴ってよ」
あまね「いえ…こちらこそありがとうございました」
「フッ…旦那を殴った奴にお礼かよ。お前らも驚かせて悪かったな。それと…輝利哉だったか?」
輝利哉「は、はい!」
「もしお前も、輝屋と同じ呪いが出たら俺に言いに来な。治してやるからよ。だから、今後は男として生きろよ」
輝利哉「はい!父上を治して頂き、ありがとうございます!」
『ありがとうございます』
輝利哉と姉妹達も俺に頭を下げる。俺は手をヒラヒラさせながら、屋敷を後にするのだった。
「さて、カナエ達の所に帰るか」