──アスカ登場──
日本。
墓地。
シンジは母親の墓参りに来た際、父のゲンドウと顔をあわせ、しばし会話をすることができた。
ゲンドウはヘリで帰り、自分も連れてきてくれたミサトと共に帰ろうとしたところで、第七の使徒出現の報を受ける。
ネルフ側では初号機を準備し、現場へと運ぶ。
シンジもそこへ急行することとなった。
先行して第七の使徒迎撃のため隊を展開するロンド・ベル。
あとは対使徒用となるエヴァが到着するのを待つのみである。
その時、戦場に近づく輸送機と戦闘機の姿があった。
忍「あれは、アランの野郎のブラックウイングか?」
アラン「いけるか?」
アスカ「ええ。いつでも」
輸送機の扉が開き、そこから赤いエヴァンゲリオン。エヴァンゲリオン2号機が跳び出した。
同時に、輸送機の護衛も兼ねて随伴していた鷹を思わせる機体が輸送機を離れ、2号機と共に使徒へと滑空する。
シンジ「赤い、エヴァ?」
現場へむかう途中、車の中からそれを見上げるシンジ。
アラン「これよりエヴァンゲリオン2号機と共にそちらの指揮下に入る。ケーブルの用意を」
ブライト「わ、わかった」
アスカ「必要ないわよ。あんな使徒くらい、活動限界前に仕留めてみせるわ!」
アラン「まったく。このまま攻撃を仕掛ける。そちらも動いてほしい」
ブライト「ケーブルの準備を急がせろ。エヴァンゲリオンが到着した。総員攻撃開始!」
使徒との戦いがはじまろうとした、その時。
別の場所から現れた新たな影があった。
壱鬼馬「くははははは!」
そこに現れたのは、ハニワ幻神を率いた大火焔偶に乗る壱鬼馬。邪魔大王国の軍勢だった。
剣児「壱鬼馬!?」
鉄也「こんな時に」
壱鬼馬「さあ、やれ!」
壱鬼馬の命令で突撃を開始するハニワ幻神。
その攻撃の矛先は、第七の使徒だった!
剣児「な、なんだ?」
つばき「まさか、味方をしてくれ……」
壱鬼馬「そんなわけはない!」
別のハニワ幻神が、ロンドベルも攻撃をはじめる。
剣児「いったいなにがしてえんだ!」
壱鬼馬「貴様等に妃魅禍様のお考えなどわかるまい。どちらもここで死ぬがいい!」
ブライト「ええい。使徒を倒せる2号機を援護しハニワ幻神を近づけさせるな!」
一同「おう!」
一方アスカは、第七の使徒に一撃を加えたものの、コアを破壊するには至らず、着地していた。
アラン「さすがにこれだけの数、時間内に殲滅するのは厳しいだろう」
アスカ「仕方がないわね」
ボス「ケーブルはばっちりよーん」
ボロットが用意したケーブルを装着する。
アスカ「さあ、仕切り直しよ!」
その間にも、ハニワ幻神は使徒とロンド・ベルへ攻撃を仕掛ける。
ATフィールドを持つ使徒にハニワ幻神の攻撃が有効打を与えることはない。
しかし、それでも攻撃の手は緩めなかった。
鏡「いったいなにを考えている……」
その行為に、なにか意味があるに違いなかった。
だが、その疑問に答えてくれるものはここにはいなかった。
邪魔大王国と使徒との三つ巴となった戦い。
それでもきっちり使徒を殲滅するのがロンド・ベルである。
壱鬼馬「もういい。戻るぞ!」
使徒の殲滅を確認した壱鬼馬は、撤退していった。
剣児「なにがしたかったんだあいつらは……」
こうして第七の使徒は殲滅され、エヴァンゲリオン2号機のパイロットである式波・アスカ・ラングレーが仲間になった。
随伴者のアラン・イゴールは他に任務があると、再び隊を離れてゆく。
──邪魔大王国──
壱鬼馬「ただいま戻りました」
妃魅禍「うむ。どうであった?」
壱鬼馬「こちらにございます」
壱鬼馬が差し出したのは、先の使徒の欠片であった。
壱鬼馬が来た目的は使徒を倒すことでも、ロンド・ベル隊を倒すことでもなく、これを手に入れるためだったのである。
ただ、なんのためにこれを手に入れたのか。それは壱鬼馬さえ知らない。
壱鬼馬「これを、なにに使うのです?」
妃魅禍「なにもせぬ。ただ、これのルーツを調べるだけだ」
壱鬼馬「ルーツですか?」
妃魅禍「うむ」
妃魅禍が呪文を唱え、壱鬼馬が持ち帰った使徒の欠片を光が包む。
妃魅禍「ふむ。そういうことか」
妃魅禍はなにか納得したようにうなずき、そのまま使徒の欠片を消滅させた。
妃魅禍「もうあれは捨て置いてよい。ジーグを疲弊させる程度には役に立とう。我等の狙いは銅鐸のみよ!」
壱鬼馬「ははーっ!」
妃魅禍(奴等は我等と別種であった。むしろ我等と真逆の生まれ。ヒトと同種の存在。ならば、我等に滅ぼされるべき存在よ!)
妃魅禍「ふふっ。ふはは。ふははははは!」
──ジェットよ、双殺剣を破れ──
ある街をギャンドラーが襲撃している。
どうやらそこに、ハイリビードの手がかりがあると考えているらしい。
出撃するロンド・ベル隊。
そこには、新たな妖兵コマンダー。カルディとグローバインがいた。
二人は今まで現れたデビルサターン6とディオンドラとは違い、真正面から戦う武人タイプ。
ゆえに、現れたロムとジェットそれぞれに一対一の戦いを挑む。
残った者達は、デビルサターン6の率いるギャンドラー軍団が相手である。
決闘に手出しは無用。
下手に手を出せば、グローバインの心は決して開かぬことになるだろう。
双方の実力は互角。
ここでの決着はつかず、デビルサターン6がひたすらボコられたのみであった。
グローバイン「今決着をつける時ではないようだ。また会おう!」
ガルディ「覚えておけ。俺はは剣狼に勝るとも劣らぬ剣・流星を操る事が出来る。次はそれを見せてやろう」
デビルサターン6「今日はこれくらいにしておいてやるわ。覚えてろ!」
──誇り高き反逆者──
今、アール博士が地球にやってくる時に使った宇宙船アダルスはビルドベースの隣に置かれている。
そのアダルスのもとに、クロッペン率いる艦隊がゆっくりと姿を現した。
もちろんロンド・ベル側も手をこまねいてみているわけはない。
部隊を展開させ、相手の出方をうかがう。
いつもならば問答無用で攻撃してくるところだが、今回は違った。
クロッペンの旗艦が前に出て、そこから総司令官クロッペンの姿をホログラフで投影しはじめたのである。
クロッペン「今日は貴様等に、降伏を勧告しに来た」
甲児「なんだって!?」
剣人「そんなことするわけねえだろ!」
クロッペン「ふん。おとなしく聞くがいい。聞こえているか。エリオスの臣民。アールよ」
剣人「なにをしようってんだ?」
クロッペン「お前のエリオスへの忠誠心はよくわかった。ゆえに、事実をお前に伝えよう。とくと、見るがよい。余の真実の姿を」
そう言い、クロッペンは身に着けていた仮面を取り外した。
アール博士「なっ!? そ、そんな馬鹿な……」
ブライト「どうしました、アール博士」
クロッペン「そうだ。よく見ろ。余の顔を」
アール博士「パ、パルミオン陛下にそっくりだ。まさか、そんな……」
シーラ「では……?」
クロッペン「そうだ。アールと共に地球へ逃れたハーリンは、余のクローンである。余こそがエリオス直系の皇子なのだ。余はムゲ帝国皇帝、ムゲ・ゾルバトス陛下と友好を保ちつつ、エリオスを復興させる。アールよ。今なら許そう。そのアダルスとダルタニアスをもって、余のもとへはせ参じるのだ」
アール博士「い、いや。顔を似せただけの偽物。偽物に違いない!」
クロッペン「信じられぬというのなら、証拠を見せよう。見よ。この腕に刻まれた紋章を!」
クロッペンが示したそこには、エリオスの紋章が刻まれていた。
アール博士は知っている。それが、皇子の証であると!
アール博士「げ、元老院でも上位の者のみしか知らぬ紋章を、なぜ……!」
クロッペン「余が本物の皇子であるからだ。アールよ、これでわかったであろう。下劣な生体部品であるクローンに義理立てし、余に反逆するのか?」
アール博士「は、反逆……このわしが、エリオスの血に……?」
クロッペン「今ならお前達も許そう。降伏すれば、陛下に口添えくらいはしてやる」
剣人「うるせえっ! クローンだかなんだか知らねえが、俺は人間、楯剣人だ! お前達のように多くの人を苦しめることしかしねぇようなヤツに負けるかよ!」
弾児「ふん。それにどうせ約束なんて守らねえだろ」
クロッペン「愚かな。どうあっても逆らうというのか。アール。お前もそうなのか? 直系の余に反逆するか?」
剣人「戦うしかないぜじいさん!」
アール博士「……」
しかし、アール博士は首を横に振る。
そのままアール博士はアダルスとダルタニアスの機能を停止させてしまった。
戦わないこと。それが今のアール博士にできる精一杯のことだった。
アール博士「剣人さま。お許しを……」
剣人「じいさん!? くそっ! このままじゃ、地球が守れないだろうが!」
クロッペン「アールは正しい判断をしたようだな。残りは必要ない。消えるがいい!」
剣人「みんな、すまねえ。なんとか奴等をやっつけてくれ!」
ダルタニアスを欠く中、ネオジオン・ムゲ帝国同盟軍との戦いがはじまった。
その中には、サイコガンダムマークⅡに乗ったプルツーもいる。
プル「プルツー、やめて!」
プルツー「うるさい。お前達など知るものか!」
ジュドー「あっちはクローンを人と思っていない。こっちへくるんだ!」
プルツー「うるさいと言っている!」
はじまった戦いの中、打ちひしがれたアール博士は肩を落とし、アダルスの私室へこもってしまった。
そこへ、早苗と子供達がアール博士のもとへとやってくる。
外で戦う恋人を心配するエリカも一緒だ。
彼女達の説得と、これまでの関わりにより心を動かされた彼は、ついに心を決める。
アール博士(ああ、そうだ。多くの星の者達が手をとりあえるこの奇跡のような星も、ムゲ帝国に占領されれば失われてしまう。それを許していいわけがない……!)
アール博士「剣人さま!」
剣人「おう!」
アール博士「ダルタニアスの機能停止を解除いたします。わしも戦いますぞ!」
剣人「ああ。待ってたぜ!」
早苗達が説得に行くと言い出し、彼はコックピットで腕を組み待っていたのだ。
彼女達が、説得を成功させてくれると信じて。
機能を停止していたはずのダルタニアスが動き出す。
クロッペン「なんだと!? おのれアール。エリオスを裏切る気か!」
アール博士「いかにもその通り。このアール。喜んで反逆者の名を受けよう。直系であろうが、ムゲ帝国に尻尾をふる貴様などに敬意を払う理由はない!」
クロッペン「おのれアール。後悔するでないぞ!」
こうしてダルタニアスが戦線に復帰し、士気は逆転。
不利を悟ったクロッペンは撤退を開始する。
同時に、プルツーも。
プル「待ってプルツー!」
プルツー「うるさい! わたしの名を呼ぶな! 心をかき乱すな!」
プル「プルツー……」
コウ「まだチャンスはあるさ」
ジュドー「ああ。その通りだ」
こうして勝利をもぎ取ったロンド・ベル一行。
博士はモニターの前で安堵の息をはく。
アール博士「これでいい。これでいいのだ。エリオス再興の夢が破れても、わしにはそれに代わる重大な使命がある。この星を、守るという重大な使命が。そのためなら、わしは誇りをもって反逆者となろうぞ」
どこか晴れ晴れとしたように、アール博士は思うのだった。
──ゲア・ガリングへ行こう──
ビショット・ハッタの指揮するゲア・ガリングの居場所が判明した。
しかしそれは、ロンド・ベル隊をおびきよせるため地上の街を人質にした策であった。
ビショットの一軍に占拠された街。
その街を開放したいが、開放するには街への被害を覚悟しなければならない。
策もなしに攻撃するのは危険。しかし、このまま占拠させたままではロンド・ベルを呼び出すため街が攻撃される可能性もあるという状態であった。
そこで一計を案じたシーラ達は、ゲア・ガリングを揺さぶるべく、仲間割れを装ってショウ・ザマと藤原忍をゲア・ガリングへ投降させる。
ビショットはショウのロンド・ベル隊との真に迫る戦闘や、「もう戦いはうんざりだ」という発言。そしてビルバインとダンクーガを提供するという態度に納得し、二人を受け入れた。
しかし前線で何度もショウや獣戦機隊と戦った経験のある黒騎士はこの投降に疑いを持った。
独自に調査を開始し、ロンド・ベル隊との戦いでショウが逃亡する際撃墜させたというダンバインの墜落した場所を調べるが、その地点になんの痕跡もないことで疑惑を確信に変え、投降は偽装であると見抜いた。
戻った黒騎士はその嘘をビショットの前で暴くが、ダンクーガの残りコックピットに乗りこっそり侵入していた残りの獣戦機隊三人とミスリルのウルズチーム(宗介、クルツ、マオ)の工作によりゲア・ガリング艦内で爆発が起き、さらにたまたま乗り合わせていたドレイクの娘、リムル・ルフトの援護を受けゲア・ガリングから脱出するのだった。
艦内で爆発音が響く。
宗介「これだけやれば十分だろう」
クルツ「ああ。あとは脱出するだけだ。あー、帰りは沙羅ちゃんとタンデムしたいもんだぜ」
雅人「僕もマオ姐さんがいいなー」
沙羅「あんたらは最初と一緒だよ。二人でタンデムしてな」
雅人「ちえー」
???「君達!」
クルツ「やべえ。見つかったか?」
宗介「いや、待てクルツ……」
クルツ「あんたは……」
ショウ達が脱出に成功し、ゲア・ガリングに混乱が広がったのを確認したロンド・ベル隊は街を奪還するためビショットの軍へ攻め入る。
怒りに任せ地上へ報復攻撃を考えていたビショットであったが、ロンド・ベル隊が迫ってはそんなことをする余裕もなく、そこから撤退することを余儀なくされてしまう。
しんがりに残ったのは黒騎士だったが、彼も頃合いを見て撤退してゆく。
こうして作戦は成功し、街は解放された。
それだけでなく、リムル・ルフトが仲間になり、さらにもう一人がゲア・ガリングより脱出してきていた。
リムルと別に、工作に協力し、脱出してきたもう一人が(リムルはショウと忍の脱出に協力し、こっちは宗介達に協力した)
それは、先日仮面を脱いだクロッペンにそっくりな男だった。
ハーリン「まさか、アール。アール博士ですか? 間違いない。子供のころだが、かすかに覚えている」
アール博士「わしを知っている。やはり、ハーリン皇子!」
亮「やはりか」
そこにいたのは、ハーリンこと楯隼人。剣人の父親である!
ブライト「どうした、剣人」
剣人「いやよ、急に再会って言われてもよ……」
弾児「いきなりすぎて、頭が働いてないみたいだな」
ハーリン「無理もない。だが、私は帰ってきた。あとでゆっくりと話をしよう」
ムウ「しかし、バイストンウェルにいたのか。それなら見つからないのも当然だ」
ハーリン「いや、私はあの異世界だけじゃなく、エリオスの星にも行っていた」
剣人「なんだって!?」
楯隼人は、アール博士と地球に逃亡してきた際、一人で先に目が覚めた。
それを剣人の祖父に保護され、船乗りとなる。
船乗りとなった理由は、記憶の底にある故郷を探してのことだった。だが、世界中まわってもそこは見つからない。
当然である。そこは地球にはないのだから。
今から約12年前。船は遭難し、隼人は死を覚悟するが、エリオスの紋章が輝き、それに気づいたエリオスの近衛隊長の生き残りに助けられたのだ。
自分の出征の秘密を知った隼人ことハーリンであったが、エリオスへむかう途中ムゲの宇宙船に拿捕され、隼人の身分を知らないまま、ムゲ側は彼等を奴隷のようにこき使っていた。
その中で隼人は脱出に成功する。
態勢を整えるため地球へ戻ろうとしたが、その途中バイストンウェルに召喚され、今に至ったというわけである。
アール博士「なんと。なんとおいたわしい。まさかそのようなおつらい目にあわれていたとは……ハーリン皇子がクローンでさえなければ、親子がそろわれた今、エリオス再興も夢ではないものを……」
シーラ「これから、どうなさるおつもりで?」
ハーリン「むろん。戦う。銀河に平和を取り戻さねば、この命を守るため散った者達に申し訳が立たない」
アール博士「では、エリオスの再興を? し、しかし……」
ハーリン「クローンなどと、どうでもよいことだ。平和を取り戻すための戦いに、そのような大義名分などいらぬ。エリオスを再興した者が、真の後継者でいい。それは、私でなくてもよいのだ」
アール博士「なんとっ。なんというお気持ち。このアール、さらにやる気がわいてきましたぞ!」
ブライト「では?」
ハーリン「私にどれだけの力があるかはわからない。だが、ぜひ協力させてほしい」
こうして、剣人の父、ハーリンが仲間に加わった。
──暴かれた真実──
ハーリンが戻ってしばし。まだ剣人との仲はぎこちないが、同じように離れ離れになった経験もある剛家族のとりなしなどもあり、少しづつ修復されようとしていた。
そんな中、ハーリンはアール博士にあることを告げる。
アール博士「なんと、ハーリン皇子の腕にも紋章が!?」
ハーリン「剛博士からクロッペンの紋章の話を聞いてな。それなら私にもある。この通りだ」
アール「これは、確かに。このアール、うかつでありました。確認させていただくのを、すっかり忘れておりました」
しかし、これはこれで困った事態である。
これが二人の腕にあるということは、どちらがクローンであるかわからなくなってしまったということなのだから。
アール博士「これは、調べてみるしかないようですな。アダルスの中にはエリオス脱出の際持ち出した宮廷のデータバンクがある。皇族に関するデータはプロテクトされておるが、解析してみる価値はあるかもしれん。学くん、手伝ってくれ」
学「はい、博士」
こうしてアール博士はアダルスのデータバンクを調べるため、船にこもることとなる。
アール博士「わかりましたぞハーリン皇子。確かに、クローンにも紋章が焼き付けられたとあります」
甲児「なら、どっちについててもおかしくないってわけか」
剣人「じいさん、見分ける方法はないのか?」
アール博士「お待ちくだされ。ええと、焼き付けられた紋章は同じですが、区別をつけるため、クローンの方は強い紫外線を当てると消えるとのことです!」
剣人「じゃあ、親父の腕に紫外線をあてりゃ、本物かどうかわかるってわけだな」
アール博士「はい!」
そうして実行しようとするが、警報が鳴り響いた。
またネオジオン・ムゲ帝国同盟が攻めてきたのである。
剣人「じいさん、学、あとは頼むぜ! いくぞ弾児!」
弾児「ああ!」
現れたのは、クロッペン率いるザール艦隊。
今度こそロンド・ベル隊をつぶそうと来たのである。
クロッペン「今日こそ貴様等の息の根を止めてくれる」
剣人「出やがったな、クロッペン!」
クロッペン「楯剣人か。下劣なクローンの子が、なぜそこまで自信をもっていられるのか、余には理解できん」
ハーリン「あれが、クロッペンか」
クロッペン「貴様、ハーリンか。まんまと出てきおって。余の偽物などここで始末してくれる」
アール博士「待て、クロッペン!」
クロッペン「黙れ反逆者め! 貴様と話すことなどないわ!」
アール博士「いいや聞いてもらう。腕の紋章はクローンにもつけられた。だが本物と見分けるため、クローンの紋章は強い紫外線で消えるようになっておる。ハーリン皇子の紋章はこの通り消えなかった。貴様の紋章はどうだ! 本物だと主張するなら試してみるがよい!」
クロッペン「裏切り者の言葉など響くものか。エリオスの正当な後継者は私だ!」
剣人「ま、俺にはどっちでもいいけどよ」
クロッペン「黙れ黙れ! そうか、貴様たちは私を陥れるつもりだな。その手には乗らんぞ! 愚かな奴等め、叩きつぶしてくれるわ!!」
話は聞かず、そのままクロッペンは攻撃を開始した。
ジュドー達は再び現れたサイコガンダムマークⅡの抑えに回る。
戦いの中、アール博士が用意した紫外線照射装置がクロッペンのいる艦橋へと放たれた。
クロッペン「ぬううぅ!?」
アール博士「どうだクロッペン。腕の紋章は、まだ残っておるか!」
クロッペン「当たり前だ。この正当な血筋であることを示す紋章は……な、ない!? 紋章が消えている。消えているだとぉお!?」
剣人「クロッペン。どうやらお前の方がクローンだったらしいな」
クロッペン「お、おのれ。これは陰謀だ。こんなバカなことがあるはずがない!」
アール博士「いいや。いずれにせよ本物の証ならばこの程度で消えるはずがない。お前が偽物であるのは明白、反逆者はお前の方だったのだ!」
クロッペン「ぐううぅぅ。ぜ、全軍撤退せよ!」
クロッペンは大慌てで撤退してゆく。
アール博士「おお。これではっきりしました。お二人こそが正当な後継者なのです!」
剣人「別にそこまで感激することはないだろ」
アール博士「いいえ。これでエリオスの再興もあきらめずにすみます。これほどうれしいことはありません!」
剣人「へん。まだそれを言うかよ。俺はごめんだぜ」
移動要塞。
クロッペン「くそっ。私がクローンだと? そんなはずはない。ゾルバドス皇帝陛下。お聞かせください。お答えください! 私にお言葉を。陛下を信じ、命を投げ出す私に答えを! 疑うわけではありません。どうか、お言葉を!」
ゾルバドス「ふむ」
クロッペン「陛下! どうか。どうかお答えください。私はクローンではないと。エリオス正統の後継者であると!」
ゾルバドス「否。お前はクローンである。あれはすべて事実だ」
クロッペン「なっ!?」
ゾルバドス「たまたまエリオス攻撃の際に手に入ったゆえ、戦略上の理由で利用したまで。お前はクローン。生体部品に違いない」
クロッペン「そんな、そんな! ではすべては偽りだったと!? 私にいつかエリオスを継ぐ者と教え育てたのは、まやかしだったと!?」
ゾルバドス「うむ。すべては偽り。我が戯れよ」
クロッペン「なっ!?」
ゾルバドス「クローンはしょせん道具。それをどう使おうと、持ち主である我の勝手である。なにより、クローンを道具としてしか見ぬ者達が、その道具に使われる。これほど滑稽なものもあるまい」
ゾルバドスは、くつくつと笑った。
ムゲ帝国内におけるクローンはただの生体パーツであり、道具というあつかいでしかない。
そういう価値観だからこそ、あえてクローンをトップに据えた。
クロッペン「あっ、あ……」
ゾルバドス「それだけでなく、クローンがクローン兵(プルツー)を指揮し、それを見下す。どのような気分であった? クローンであるお前が、同じクローンを道具としてあつかった気分は」
クロッペン「わ、わたしは……」
ゾルバドス「だが、我はお前を認めている。ゆえに地位はそのままだ。クローンと知れ渡ったお前が艦隊を指揮する。どうなるであろうなあ。実に、面白い戯れである。せいぜい励むがいい」
そうして、通信は切れた。
直後、がくりとクロッペンは膝をつく。
クロッペン「あっ。ああああー!」
クロッペン(これが、これが幼き頃よりお仕えし、ザール艦隊を率いて帝国の拡大に貢献してきた私に対する仕打ちか……なんだ。なんなのだこれは……!)
クロッペン「消えた。消えてしまった。消えぬのは、私がクローンであるという事実のみ。子供の頃より仮面をつけられ、いつかエリオス領の王になるとあの方に言われ続けた私は、ただの操り人形に過ぎなかったのか……!」
プルツー「……」
クロッペン「ふっ。ハハハ。生体部品と見下した私が、結局はそれと同じだったとは。なんと愚かな。愚かなことだな……! 本当に、愚かな、ことだ……」
同時刻。
クロッペン配下の3将軍が集まり、話をしていた。
一人は花弁のような頭になっている植物型宇宙人。ネシア将軍。
ついで虫のような顔をしている昆虫型宇宙人、カブト将軍。
最後は岩石のような顔をしている鉱物型生命体のぼいだー将軍だ。
どれも今まで描写はないが、クロッペンと共に現れ、撃退されていた者達である。
ネシア「クロッペン総司令の方がクローンであったとはな」
カブト「あのうろたえよう。間違いあるまい。我々は下劣なクローンに命令されていたというのだ」
ボイダー「なんということだ」
ネシア「これでは我が艦隊の立場がない。兵士どもも不満を漏らしておる」
カブト「生体部品などに命令されていたのだ。当然だろう。あのような者が司令官など、ありえん」
ボイダー「その通りよ」
ムゲ帝国所属ザール艦隊の中に、不和が広がってゆく……
第11話 終わり