第3次スーパーロボット大戦J   作:YSK

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第14話 反逆のクロッペン

 

──後始末──

 

 

 第三新東京市の長い長い一日の戦いも終わった。

 

 オーラバトルシップは二つとも堕ち、ドレイク軍は壊滅。ギャンドラーもその首領は死に、その野望は潰えた。

 もっとも、あの戦いですべてが終わったわけではない。

 初戦で撤退したガウルンはそのまま決戦で姿を現さなかったし、カーメンは間違いなく死んでおらず、ドレイク軍を援助していたコネクションはそのまま残ったままだ。

 

 ギャンドラーの方も、洗脳されていたガルディと見限ったグローバインはともかく、ディオンドラとデビルサターン6はまだ逃亡したままである。

 

 それでも大きな組織が二つ地球より消えたというのは大きな事実だった。

 

 もっとも、その代償も大きく、ネルフの本部はジオフロントもろとも大破し、これ以後使い物にはならなそうだった(シン・グランティード・ドラコデウスの光で再生されたのは味方のロボと生き物のみで、内部の建造物などは破壊されたままである。ちなみに瓦礫に潰された人がいたとしても光の球に包まれ外に運ばれたので安心である)

 

 ネルフが守ってきた『ハイリビード』も真の覚醒を見せ、グランティード・ドラコデウスの神核へと戻ったことにより、使徒の襲来ももうないとされ、ネルフは事実上の解散となった。

 以後、エヴァンゲリオン3機はGGG預かりとなり、そのままロンド・ベルへと所属することになる。

 さらに通りすがりのエヴァパイロット。真希波・マリ・イラストリアスもエヴァ8号機を手土産に、ロンド・ベルに加わった。

 

 あと、なぜかいつの間にか渚カオルも現れ、マーク6と共にちゃっかり仲間になっている。

 

 

マコト「ネルフも解散か。まあ、使徒が狙うものがなくなったんだから、当然ですね」

 

シゲル「使徒はもう来ないんですかね?」

 

ミサト「みたいわよ。目的のモノが、本当の持ち主のもとに戻っちゃったみたいだから」

 

マコト「使徒って結局、なんだったんでしょうね」

 

ミサト「さあ……」

 

マコト「あと、渚カオルって何者なんですか? いきなり現れて、ちゃっかり仲間になって」

 

ミサト「もう、そのへんはどうでもいいんじゃない? だって、他にも考えてやらなきゃいけないことがあるんだから。過去ばかり考えていても、しかたがないわよ」

 

 

 なにかを吹っ切ったように、ミサトは前をむく。

 その顔は、どこか晴れ晴れとしたようだった……

 

 

──後始末2──

 

 

 一方、戦いの後始末が終わったゲンドウと冬月は別の場所に来ていた。

 そこはネルフの上位組織、ゼーレの幹部がいる場所。

 

 彼等は過去にロゴスが暴かれたあと、その余波で死んだとされていた。

 しかし彼等は、自分達の脳を別に移し、いわゆる電脳化し、モノリスのような四角い箱の中で生き永らえていたのだ。

 

 そうして彼等はネルフをバックアップし、人類補完計画というものを進めていた。

 

 しかしその計画も、その要である命の源、『ハイリビード』があるべき場所に戻るという結果によって頓挫することとなった。

 

 もっとも彼等は、その頓挫の事実を知ることはなかった。

 その報告をしに来た二人に、電源を落とされ、生命の維持を絶たれたからだ。

 

 彼等は夢を見るまま、真実を知らぬままゆっくりと眠りにつくこととなる。

 永遠にかなわぬ夢を見たまま……

 

 

ゲンドウ「……」

 

冬月「これでよかったのか?」

 

ゲンドウ「ああ。最後のシ者も現れたが、ヤツはなにをするつもりもないようだ。もう、我々の願いも、叶わんということだ」

 

冬月「……」

 

ゲンドウ「だが、これでよいのだろう」

 

 

 そしてゲンドウは携帯を取り出した。

 かける先は、息子であるシンジ。

 

 

ゲンドウ「今度一緒に、どこかへ行くか?」

 

 

 電話のむこうで、相手が大変驚いているのが冬月にもわかった。

 

 

ゲンドウ(あの光が瞬いた瞬間、一瞬だけユイにあえた気がした)

 

 

 そして、優しく抱きしめられ、叱られた気もした。

 

 

ゲンドウ(死んだ者は帰ってこない。それを認め、生きた者に尽くした方がいい。それでいいのだろう? ユイ……)

 

 

──クローンとは……──

 

 

 司令官がクローンであったと判明したムゲ帝国地球侵攻軍ザール艦隊は機能不全を起こし、地球侵攻が完全に停滞していた。

 

 

クロッペン「おのれ。なぜ誰も言うことを聞かぬ!」

 

 

 クロッペンは感情のまま自室でテーブルを叩く。

 

 自身がクローンと判明してからも、何度か作戦行動を起こそうとはしたが、どれもがなんらかの理由をでっちあげられ、中止に追いこまれてしまっていた。

 物資がない。作戦の兵器が完成していない。兵士がいない。体調が悪い。どれもこれもが作戦を実行しない理由にならない。これは明らかなボイコットであった。

 

 部下である将軍達は、道具でしかないクローンの命令など聞けるかと暗に言っているのだ。

 

 

クロッペン「私を誰だと思っている! ザール艦隊最高司令官なるぞ!」

 

 

 そこへ、近衛兵が入ってきた。

 

 

クロッペン「なんだ? 入室をゆるした覚えは……」

 

 

 ちゃきっ。

 兵は答えを聞く前に、クロッペンへ銃を突きつけた。

 

 

クロッペン「貴様等、一体なにを!」

 

近衛兵「黙れ、クローン! 俺達は貴様等クローンを手土産に、地球に投降するのだ!」

 

クロッペン「なんだと!?」

 

 

 部屋に侵入してきた兵達の傍らにはプルツーの姿もあった。

 薬かなにかで気を失っているのか、ぐったりとして俵のように抱えられている。

 

 幸いなのは、抵抗する余裕もなかったせいで手荒なことはされていないということか。

 

 

近衛兵「ムゲの軍律では上の失敗は下にもおよぶ。失敗し続けた貴様がクローンとあっては、俺達も巻き添えで処刑される。冗談ではない!」

 

 

 地球での戦いは連戦連敗。

 その地球は異星人も問題なく受け入れている。それならムゲ帝国でこき使われるよりはと判断したのだろう。

 

 こうして彼等は、クロッペンとプルツーを手土産に、地球連合軍へ投降する。

 

 しかし、行った先で近衛兵達は思いがけないあつかいを受ける。

 

 投降した先はロンド・ベル。

 自分達の実力を最も知っている部隊であるゆえ、無碍にはあつかわれないと思っていたのだろう。

 

 しかし、ロンド・ベルはクローンであるクロッペンも自分達と同じ捕虜としてあつかおうとした。

 ムゲにとってクローンは道具でしかないが、彼等にとっては違う。それがわからなかったのだ。

 

 

近衛兵「なんだと、捕虜!? お、俺達はクローンを捕らえてきた。その俺達をクローンと一緒にあつかうというのか!?」

 

剣人「当たり前だ。クローンかどうかなんて関係ねえ。平和を望んで投降するってんなら、当分は我慢してもらおうじゃないか!」

 

シン「異星人だって最初は同じあつかいだ。クローンだからって俺達は区別しないだけだ!」

 

クロッペン(同じ捕虜だと!? すると奴等は、この私をクローンでなく人として見ているというのか……!?)

 

近衛兵「冗談じゃない! 捕虜などにされてたまるか! くそっ。部隊を出せ! こうなったらこいつらを倒し、それを手柄にして返り咲いてやる!」

 

 

 移動要塞の中から、多数の兵器が姿を現す。

 

 

アール博士「投降するといいつつ、武装した戦力をあれほど用意していたとは……」

 

ブライト「つまりはその程度の覚悟だったということですね。総員、応戦しろ!」

 

エレ「悲しことです……」

 

クロッペン(愚かな奴等め。双方の戦力差もわからんとは。このままではこの移動要塞は墜ちる。むっ。あれは私のデスターク。あれを使えば……)

 

 

 クロッペンが推測した通り、自分の保身ほしさに投降した者達と、地球の平和を守るロンド・ベル隊とではまともな戦いにならなかった。

 信念もないその刃は、あっさりと返り討ちにされることとなる。

 

 クロッペンは戦闘による混乱に乗じてプルツーを連れデスタークに乗り脱出。さらに混乱の隙をついて、アーガマにとりついた。

 

 

ブライト「なんだと!?」

 

トーレス「破壊され落下する残骸に紛れて近づいたようです。艦橋にとりつかれました!」

 

剣人「あいつ、クロッペンか!」

 

クロッペン「……待て。お前達に聞きたいことがある。お前達は本当に、クローンの、生体部品として作られた私を、人として見ているというのか?」

 

剣人「当たり前だ! 俺もお前も、お前達が殺した地球人も同じ人間だ!」

 

シン「そうだ。クローンも人間も、生まれてしまえばそこに差異なんてない!」

 

プル「そうだよ!」

 

クロッペン「フッ。そうか。ゆえにクローンの子とわかっても、アールでさえ平然として戦いを挑んできたのは、それが事実であれ、その存在が人間以外の何者でもないと、己も周囲も信じるゆえか。それが地球人だというのだな……」

 

 

 クロッペンはなにかを悟ったのか、アーガマから離れた。

 

 

ブライト「離れただと……?」

 

クロッペン「誰でもよい。この娘を受け取れ!」

 

 

 開いたデスタークの掌の中に、眠るプルツーの姿があった。

 

 

ジュドー「プルツー!」

 

プル「プルツー!」

 

クロッペン「貴様等ならば、この娘を不当にあつかうまい。任せたぞ!」

 

 

 寄ってきたプルのキュベレイにプルツーをわたし、クロッペンはそのまま去って行った。

 

 

クロッペン「この娘に免じ、ここは見逃す。だが、次はないと知れ!」

 

剣人「なんだよあいつ。ちょっとはいいとこあるじゃねえか」

 

弾児「まったくだ。一撃で艦橋をやれたのに、なにもしねえなんてな」

 

 

 医務室へ運ばれたプルツーは、レインの診察を受ける。

 薬で眠らされただけで、身体に異常はなく、しばらくすれば目を覚ますとのことだった。

 

 

プルツー「……ここ、は?」

 

プル「プルツー!」

 

プルツー「あんたは……なぜ、いる……?」

 

ジュドー「ここはアーガマさ」

 

プルツー「そうだ。奴等、クローンを手土産に降伏するって!」

 

ジュドー「みたいだな」

 

 

 ジュドーはなにがあったのかをプルツーに説明した。

 

 

プルツー「……あたしをどうする気だ?」

 

ジュドー「なにもしないさ」

 

 

 プルツーは敵として何度も戦った相手だ、簡単に気を許すわけにはいかない。ゆえに、監視としてジュドーとプルがプルツーにつくことが決まった。

 

 

ジュドー「それって……」

 

ブライト「ちゃんと面倒を見るんだぞ」

 

ジュドー「わかってるよ」

 

プル「よろしくね。プルツー」

 

プルツー「ふん」

 

 

 こうして、プルツーが捕虜として仲間に加わった。

 

 

──文化祭──

 

 

 今回は息抜き回である。

 

 ひさしぶりに、統夜達が学校へ顔を出す。

 この日は、統夜、甲児、宗介達の通う高校で文化祭があるのだ。

 

 統夜達のクラスで行われるのは、メイド喫茶。

 これならば、当日時間さえあれば、統夜達も問題なく参加できる。

 

 統夜ならば厨房で。甲児達は裏方。そして女の子はメイド服で!

 

 ちなみになんでメイドかって、三人娘(カティア、テニア、メルア)にメイドイラストのカードがあるからだ!

 

 

甲児「準備はほとんど手伝えなかったからな。本番では張り切らせてもらうぜ!」

 

クルツ「なんて上の理由をつけて、ホントは綺麗どころにメイド服を着せるのが目的だろ。お兄さん知ってんだから」

 

甲児「さて、なんのことやら」

 

クルツ「とぼけるなとぼけるな」

 

ボス「ひっひっひ」

 

甲児「まあ、準備が手伝えないから、当日参加で十分役に立てるからってのはマジだぜ。これなら衣装さえあればみんな貢献できるからな」

 

 

 例え接客できなくとも、メイド服を着て立っているだけで十分貢献できる。

 だからこそ、反対が多くともこの案が通ったともいえよう。

 

 という建前で、文化祭がはじまった!

 

 

 ちなみに、メイドに不埒な考えを抱くのはお勧めしない。

 なぜかクラスにいるボン太くんにたたき出される羽目になるからだ。

 

 

ボン太くん「ふもっ!」

 

不埒者(モブ)「許してー!」

 

ボス「……このクラスでナンパをするなんて、命知らずな奴もいたもんだぜ」

 

クルツ「まったくだ」

 

 

 クルツはお客でやってきていて、すでに一回たたき出されかけたぞ!

 ついでにボスはさぼりでこのあと裏方に連れていかれるぞ!

 

 

 文化祭ではこの文化に困惑するハイネル兄さんとかシンジと一緒に来ているゲンドウの姿とか、なんか心配になってそれを尾行しているアスカ、レイ&ミサトの姿とかが見れる。

 

 

アスカ「あんたなんで来たのよ?」

 

レイ「よくわからないわ。あなたこそ、なんで?」

 

アスカ「う、うるさいわね!」

 

 

 シンジとまわりたかったなんて言えないので誤魔化すしかないのだった。

 

 

ミサト「青春ねえ」

 

 

 ちなみにカオルは空気を呼んだマリが担当しているので安心だ!

 

 

プル「ジュドー。チョコパフェ。チョコパフェが食べたい!」

 

プルツー「チョコパフェ? なんだそれは?」

 

プル「とっても美味しいよ! プルツーも一緒に食べよ」

 

ジュドー「じゃあ、食べるか! ほら、こっちだプルツー!」

 

プルツー「あ、ああ」

 

 

 捕虜となって捕まったはずのプルツーも、プルとジュドーに連れてこられ、困惑しながらも人の温かさに触れ、なにかを感じているようだ。

 

 

 他の者達も、ささやかな日常を堪能する。

 

 お約束として邪魔大王国がちょっかいをかけてくるが、校庭でのアトラクションということにして、文化祭を中止にさえず片付けるのは決定事項である。

 

 こうして無事ひと時の休息を得た彼等は、再び戦いに戻ってゆくのだった。

 

 

──ショット・ウェポンの野望──

 

 

 戦闘の道具としてでなく、人としてあつかわれることに戸惑うプルツー。

 この心地よい場所にどうにもなじめず、一人考えをまとめるため、彼女は目を盗み、部隊を抜け出してしまう。

 

 いなくなったプルツーを探すプルとジュドーだったが、プルツーはドレイクを排除し、トップに立つことを望んだショット・ウェポン※(ダンバイン/人物)に捕らえられていた。

 先の決戦には登場しなかったトッドと共に、ショットはプルツーを人質とし、残ったバイストンウェル兵&雇った傭兵と共にロンド・ベルへと戦いを挑む。

 

※一番最初にバイストンウェルに召喚された地上人であり、オーラマシンを作った博士。

 地上に出てからは独自に開発したオーラクルーザー・スプリガンを使い、己の思惑でドレイクとは別行動をとっていた。

 ガウルンのヴェノムを使えるよう修理したのもこの人。

 

 

 プルツーは自分に人質としての価値はないと語るが、プルやジュドーはそんなことはないと否定する。それどころか、絶対に助けると言い切ったのだ。

 

 だがその言葉は、プルツーに人質としての価値があると認めることと同じだった。

 

 たった一人のために窮地に陥るロンド・ベル隊。

 その窮地を救うのは、この作戦を気に入らず、決着を望む一人の戦士だった。

 

 トッド・ギネス。

 

 彼の望む決着は、このような人質をとったものではなかった(戦闘の最中プルツーが人質にされているのを知った)

 

 ゆえに彼は反旗を翻し、プルツーを救う手助けをする。

 トッドの手引きを受けたジュドーとプルにより、プルツーは取り戻され、人質という枷はなくなった。

 

 こうなれば、ショットに勝ち目はない。

 

 

 ショットが散り、勝負がついたあと、トッドはショウに戦いを挑む。

 

 正々堂々と、自身のプライドをかけた、最後の戦いだ。

 

 結果、全身全霊をかけて戦い、トッドは敗北する。

 この際、フラグが立っていれば、トッドは死亡せず、潔く負けを認め、傭兵としてロンド・ベル隊に加わることとなる。

 

 そしてこの一件で、プルツーにも心境の変化があったようだ。

 まだ戸惑いはあるが、プルやジュドーの心を受けとめたようである……

 

 

──反逆のクロッペン──

 

 

 これは、先日の降伏騒ぎのあと、クロッペンが拠点へ戻った時のことだ。

 司令部の通信室へかけこみ、ムゲ・ゾルバドスへの謁見を申し出た。

 

 

クロッペン「皇帝陛下、一つお願いがございます!」

 

ゾルバドス「ほう。もうしてみよ」

 

クロッペン「ハーリンを始末するため、奴めと決闘する許可をいただきたく思います! 奴を始末し、エリオスの血筋が私のみとなったならば、私を改めてこの艦隊の司令でいられると認めてはもらえないでしょうか!?」

 

ゾルバドス「ほう」

 

クロッペン(そうとも。私は生体部品ではない。人間なのだ。ならば、奴等にもそう認めさせる。私が司令として座るに値する人間であると!)

 

ゾルバドス「よかろう。見事ハーリンを討ち取り、エリオスの反乱をおさえられるというのならばな」

 

クロッペン「はっ! 命を懸けまして!」

 

 

 こうしてクロッペンは、ハーリンに決闘を挑むべく、みずからの乗騎、デスタークのパワーアップをはじめる。

 

 

 その間に、もう一組が、ムゲ・ゾルバトスへの謁見を求めていた。

 それは、クロッペンの部下であるザール艦隊の将軍達であった。

 

 

ネシア「皇帝陛下。あのものが司令でいることに、我等はもう耐えられません。クローンが司令官であるなど、全体の士気にかかわります」

 

ゾルバドス「……」

 

ボイダー「ゆえに、我等の誰かをヤツのかわりに司令としてご指名ください」

 

カブト「陛下への忠誠心ならば、誰も負けておりませぬ。どうか、どうか!」

 

ゾルバドス「よかろう。クロッペンが帰らぬ場合、その時は三人の中から司令官を選ぼう。クロッペンが帰らぬ場合にな」

 

ネシア「つまりは……」

 

ボイダー「そういうことですな」

 

カブト「にやり」

 

 

 三人は納得したようにうなずき、うやうやしく頭をさげ、皇帝との謁見通信を終えた。

 

 

デスガイヤー「よろしかったのですか?」

 

 

 ゾルバトスの傍らに控えていた直属の将軍。デスガイヤーが声を上げる。

 

 

ゾルバドス「かまわん。この戦い、すべてが余の戯れよ。その気になれば、お前を派遣するだけで終わる。それまでの余興でしかない。ならば、楽しまねば損であろう。くく。くはは」

 

デスガイヤー「恐ろしいお方だ」

 

 

 そうして準備の整ったクロッペンは、デスターク2に乗り、ロンド・ベルの前へとやってきた。

 たった、一機で。

 

 

クロッペン「ハーリン皇子はいるか!」

 

ハーリン「私ならここにいる」

 

クロッペン「ハーリン。私はお前に一対一の決闘を申し入れる!」

 

アール博士「決闘だと!? クロッペン、なにを言うか!」

 

クロッペン「これが最後の勝負だ。それとも、私がクローンだから受けられぬというか? この通り、私は一人で来ている!」

 

アール博士「冗談ではない。そのようなこと受けられるか!」

 

クロッペン「お前には聞いておらぬ。ハーリン皇子、返答やいかに!」

 

ハーリン「……わかった。うけよう」

 

剣人「待てよ! そんなの認められねえな。俺がいる限り、親父を危険な目にあわせるわけにはいかねぇ! どうしても一騎打ちがやりたいというなら、俺が相手になってやるぜ!」

 

クロッペン「私の目的はハーリン皇子だ。お前ではない!」

 

ハーリン「ならば、ダルタニアスが負けたとあれば、私の負けとすればいい。息子を危険にさらすのだ、その時は私も共に殺せ!」

 

アール博士「ハーリン皇子……」

 

クロッペン「いいだろう。私が本気であることを示すため、このデスタークの自爆コードを教えておく。さあ、出てくるがよい、ダルタニアス!」

 

剣人「もちろんだぜ! 絶対負けねぇ!」

 

 

 こうして、クロッペンの乗るデスターク2と、剣人の操るダルタニアスの一騎打ちがはじまった。

 

 しかし、決着はつかない。

 つける前に、邪魔者が現れるからだ。

 

 一騎打ちを続ける二機の周囲に、砲撃が降り注ぐ。

 

 

剣人「な、なんだ!?」

 

アール博士「クロッペン、やはり貴様そういうことか!」

 

クロッペン「違う! 私は知らぬ! 本当だ!」

 

ボイダー「くくく。ここで地球人ごとクロッペンもハーリンも始末してくれる。次の艦隊司令は俺だ!」

 

ネシア「否、すべてを手にするのは私よ!」

 

クロッペン「貴様等、これは皇帝陛下に許可を得ての決闘だ。手を出すな! 退くのだ。皇帝陛下に弓ひくつもりか!」

 

カブト「命令だと? ふん。よく聞けクロッペン。貴様の生存はすでに望まれていないのだ。貴様がここより帰らねば、次の司令は我等の誰かよ! 皇帝陛下は、暗に貴様を処分しろとおっしゃったのだ。貴様はここで始末される。生体部品にもならぬ囮以下ということだ!」

 

ジュドー「なんだって!?」

 

クロッペン「くっ。私がクローンだからか。真のエリオスの皇子でなかったからか! おのれ貴様等。おのれムゲ・ゾルバドス! それが命を盾に戦ってきた私に対する答えか。許さん。許さんぞ、貴様等。ゾルバドス!」

 

 

 クロッペンは、剣人の乗るダルタニアスでなく、やってきたザール艦隊へと攻撃の目標を変えた。

 

 

カブト「おのれっ! 我等に逆らうか!」

 

クロッペン「貴様等が侮るクローンに、人間との違いがないということをわからせてやる! 楯剣人よ、ハーリンよ、この勝負は預ける!」

 

剣人「いいだろう。あんな話聞かされちゃ、こっちだって黙っちゃいられねえ!」

 

ブライト「よし、全機に告ぐ。クロッペンを相手にする必要はない。ムゲ帝国軍を叩け!」

 

一同「おう!」

 

 

 一騎打ちを邪魔した3将軍率いたムゲ帝国軍との戦線が開かれた。

 男の戦いを邪魔するような奴に、ロンド・ベルは容赦しない。

 

 数の面でいくら上回ろうが、士気の高い彼等に勝てようはずがなかった。

 

 

ネシア「な、なぜだ。なぜ今まで戦っていた者と共に戦える! お前達は一体なんなんだ!」

 

剣人「クローンを道具としてしか考えてないお前等にはわからないことだよ!」

 

 

 クロッペンとロンド・ベル隊の怒りを買った三将軍は、ここで散ることとなる。

 これにより、ムゲ帝国所属、ザール艦隊は、ほぼ壊滅と言っていい状態となった。

 

 

アール博士「終わったようですな」

 

ハーリン「クロッペン……」

 

クロッペン「ハーリン、いや、楯隼人。そしてロンド・ベルの者どもよ。もはやこれ以上、私がお前達と戦う理由はない。私には新しい敵が現れた。ムゲ帝国皇帝、ムゲ・ゾルバドスが!」

 

ハーリン「ならば、我々と共に……」

 

クロッペン「否。それもできぬ。私の目的はただ一つ。貴様等と同じ道ではない!」

 

ハーリン「そうか。ならばしかたがない」

 

クロッペン「もう貴様等と会うこともないだろう」(ゾルバドス。貴様に必ずや、一矢報いてくれる!)

 

プルツー「待ちなよ」

 

クロッペン「なんだ?」

 

プルツー「あたしもついていくよ」

 

クロッペン「なん、だと……?」

 

プル「なんで!? その人はプルツーにつらく当たったんだよ?」

 

プルツー「だからさ。あいつの本当の辛さは、あたしだけが知っている。でもあたしは、ここにいる幸せも知っている。それを知れたのは、あいつがここに置いていってくれたからだ」

 

プル「そうだけど……」

 

プルツー「なら、せめてあたしが最後まで見届けてやるべきなのさ」

 

プル「いいの?」

 

プルツー「ああ」

 

プル「わかった。無茶しちゃだめだよ」

 

プルツー「約束はできないな」

 

プル「うん。約束」

 

プルツー「できないと……まあ、努力するさ」

 

プル「危なくなったら必ず助けに行くからね」

 

プルツー「ふん」

 

クロッペン「おい、私は共に来ることを認めたつもりは……」

 

プルツー「あたしが勝手についていくんだ。そっちの許可をとるつもりはないよ」

 

クロッペン「なんなのだこの娘は……」

 

 

 モビルスーツを一機、プルツーに預け、飛び出すことになった。

 

 新たな戦いに出向く二人を、彼等は見送る。

 

 

ジュドー「よかったのか、プル?」

 

プル「いいの。それに、プルツーがいれば安心だよ」

 

ジュドー「確かにそうかもな」

 

 

 ロンド・ベルがなんとしてもとめなかったのは、彼女がいることで逆に無茶しにくくなるからという目論見もあったからだ。

 

 こうして、ザール艦隊司令の裏切りにより、一つの艦隊との戦いに決着がついた。

 

 次に彼等あうのは、一体どこであろうか。

 それはまだ、わからない……

 

 

 第14話 終わり

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