──決戦前夜──
世界を滅ぼそうとしたソール11遊星主と人類への復讐に燃えたジュエリオンは倒れ、残る大勢力はムゲ・ゾルバドス帝国。
その本国は、次元を超えた異空間にあるのだという。
宇宙各地へ戦線を広げるムゲ・ゾルバドス帝国との戦いを終わらせるためには、その皇帝。ムゲ・ゾルバドスを倒す以外にない。
ロンド・ベル隊は、この争いを終わらせるため、ムゲ・ゾルバドス帝国へ乗りこむことを決意する。
ただし、その本国へ行くためには少しの時間がかかる。
その道を開くため、各博士がその頭脳を集結させ、ムゲ・ゾルバドス帝国へわたる方法を整える。
その準備が整うまでの短い時間。
そこに、ひさしぶりの平穏があった。
かなめ「ねえ、ソースケ」
テッサ「相良さん」
宗介「む?」
テッサ「もうじき、戦いも終わります」
かなめ「それで、学校も終わって、みんなが新しい道を歩む時までにはさ……」
テッサ「選んでくださいね。わたしか……」
かなめ「あたしかを!」
宗介「……。……っ!? ?!?!!?」
かなめ「ふふっ。まだまだ時間はあるから、ゆっくり考えなさい」
テッサ「はい。後悔をしないように!」
このように、愛しい人と過ごすもの。
友と過ごすもの。
安らげる場所ですごすもの。
普段と変わらぬ生活をするもの。
各々が最後の平穏を過ごすのだった。
しかし、そこに空気を読まない闖入者によって中断される。
ギャンドラー軍団の生き残り、デビルサターン6が襲撃してきたのだ!
日本の防衛隊、練馬レッドドラゴンズがその防衛に出る。
しかし、市民は守れども、勝利するまでには至らない。
彼等がピンチに陥ったその時。
???「待てい!」
デビルサターン6「誰や!」
ロム・ストールが現れた。
デビルサターン6「お前さん一人なら……!」
???「待てっ!」
デビルサターン6「なにぃっ!?」
ドモン・カッシュが現れた。
???「待ちやがれ!」
デビルサターン6「もう一回!?」
兜甲児が。
???「待て!」
デビルサターン6「まだくるんかいな!」
草薙剣児が。
???「「待てい!」」
一矢とエリカが現れた。
2人「「二人は……!」」
デビルサターン6「それちゃう奴やろが! てかなんやねん! これ前にもやったやろ!」
やったのはデビルサターン6に対してではないけどな!
ロム「問答無用!」
デビルサターン6「ちょっ! 勝てるかいな!」
集結したロンド・ベルに、ただの残党が勝てるわけがなかった。
あっさりとやられ、デビルサターン6は逃亡してゆく。
デビルサターン6「覚えとけー!」
甲児「いや、ちょっと待て。お前このまま地球に居つくつもりかー!」
鉄也「……地球を救っても、完全な平和は少し遠いようだな」
豹馬「地球を守る仕事は、終わらねえってことだな」
やれやれと、全員ため息をついた。
最後の戦いの前、ちょっとした平穏の時間は、終わりを告げた。
──失われた者たちへの鎮魂歌──
準備も完了したロンド・ベル隊は再びGGGの宇宙基地オービットベースに集合し、ムゲ・ゾルバドス帝国のある異空間へと突入する。
空間を突破した先では、ムゲ・ゾルバドス帝国の将軍、デスガイヤーが艦隊を率いて待ちかまえていた。
相手の方も、決戦であると予測し、最大の戦力を集結させていたのだ。
デスガイヤー「皇帝陛下」
ムゲ・ゾルバドス「うむ。獲物を存分かわいがってやれ。コロセウムはどれを選ぶ?」
デスガイヤー「闘技場は、ぜひとも赤い宇宙で」
ムゲ・ゾルバドス「ふむ。赤い宇宙とな。よかろう。我が宇宙に眠る、悲しき魂どもよ。このムゲ・ゾルバドスの声に応えよ!」
ムゲ・ゾルバドスがいる城から、不気味なエネルギーが立ち上り、空をおおう。
ムゲ世界の空が、赤く染まった。
この世界は皇帝ムゲ・ゾルバドスのもの。世界は彼の意のままに変化し、この世界の住人でない者達には存在するだけで苦しむ場所となる。
そこはまるで、地獄のようであった。
アムロ「なんだここは……」
プル「気持ち悪い……」
ショウ「なんてオーラだ」
コウ「俺でさえ、感じる……こいつはなんだ……」
この赤い宇宙ではムゲ兵の力は増し、それ以外の者の力は失われる。
動くだけで消耗する体力。
圧倒的なプレッシャー。
そして、コアを破壊しない限り何度でも甦るデスガイヤー。
それでも彼等の心は折れない。
デスガイヤーの弱点がコアであることを見抜き、それを刺し貫いた。
デスガイヤー「も、申し訳ありません。皇帝陛下ー!」
ムゲ・ゾルバドス「……デスガイヤーをくだすとはな」
広がった赤い空が、消えてゆく。
雅人「ん? なんか変だよ?」
沙羅「赤い宇宙が消えていく!?」
忍「赤い宇宙がなくなって、体の動きが軽くなった気がするぜ」
ムゲ・ゾルバドス「褒めてやろう。我が右腕を倒す、その強さを……」
居城から、ムゲ・ゾルバドスが姿を現した。
クロッペン「あれは、ムゲ・ゾルバドス!」
忍「あいつが!」
沙羅「直接お出ましってわけかい」
剣人「あいつを倒せば、この戦いは終わる!」
ムゲ・ゾルバドス「さて、クロッペンよ」
クロッペン「むっ?」
ムゲ・ゾルバドス「認めよう。クロッペン。お前の存在を。お前をただのクローン。道具でなく、一人の戦士であると」
クロッペン「なにっ!?」
ムゲ・ゾルバドス「ゆえに、今一度問う。我が配下にならぬか。と」
忍「なにを言ってやがるお前は!」
ムゲ・ゾルバドス「余のもとに戻るのならば、これまでのことをすべて水に流してよい。どうだ?」
クロッペン「……」
場にいる者すべてが、固唾をのんで見守る。
クロッペン「断る! 今更貴様に認められたところで、なんの意味があるというのだ!」
剣人「よく言ったぜ!」
クロッペン「なにより、結局貴様は私を道具としてしか見ていない。いや、私だけではない。貴様はすべてのものを使えるか使えないかの道具としてしか見ていない!」
ムゲ・ゾルバドス「そうか。よかろう。ならば、同じ愚か者と共に散るがよい。そして、死して我が配下に加わるがよい!」
ムゲ・ゾルバドスが腕をあげると、その周囲に死霊が集まる。
ゾルバドスもまた、死者を操る力をもつのだ!
それにより、かつて死した部下達が姿を現す。
元ザール艦隊の三将軍、ネシア、カブト、ボイダー。彼等は体をデビルガンダムに奪われ、その魂はムゲ・ゾルバドスに利用されているのだ。
さらに、さっき倒されたばかりのデスガイヤーさえ現れる。
彼等は何度倒されようと、ムゲ・ゾルバドスがいる限り甦る。
勧誘に応じようと応じなかろうと、負ければこうなるのである!
ムゲ・ゾルバドス帝国が戦乱をむやみに広げるのも当然である。
戦乱が広がり、被害が増えれば増えるほどゾルバドスの力が増す!
それゆえ、ゾルバドスにとって配下による争いは戯れなのだ。
その気になれば、無限の軍勢を率い、一人ですべてを蹂躙できるのだから!!
つばき「こいつも、大銅鐸と同じ……!」
剣児「なんてやつだ」
カオル「……あれは、彼等が目指した存在に最も近い存在かもしれない。逆の方向に。だけど」
ムゲ・ゾルバドスの姿を見たカオルが、小さくつぶやいた。
ムゲ・ゾルバドス「進化の過程にある人類にしては、よくぞここまできたと褒めてやろう。いま少し、お前達の戦いを眺めたかったところだが、それもしまいだ。ここに、散るがよい!」
ブライト「総員、ゾルバドスに攻撃を集中しろ! なんとしても倒すんだ!」
倒しても倒しても復活する幹部達。
だが、それらがいくら現れようと、彼等は負けない。
ムゲ帝国との、最後の戦いがはじまった!
──戦闘前会話 ムゲ・ゾルバドス──
VS忍
忍「俺達を甘く見るな! 無限に再生するヤツを、どれだけ相手にしてきたと思っている!」
ムゲ・ゾルバドス「フハハハハ。余をそこらの雑魚と同じとする。底知れぬ無知は哀れよ。生命の究極とは余であると、教えてくれる!」
VS剣人
剣人「お前がムゲ帝国の親玉か!」
ムゲ・ゾルバドス「ほう。貴様がエリオスの血を引くものか。エリオスのため、余を滅ぼしに来たのか?」
剣人「いいや、俺はお前が許せないから来ただけだ!」
ムゲ・ゾルバドス「くくっ。個人的な感情で来たというわけか」
剣人「ああそうさ。エリオスの再興とか、世界の平和とかそんなたいそうなことを言うつもりはねえ。だがな、じいさんにあんな苦労をさせたこと。親父があんな苦難にあったこと。クロッペンの奴をあれほど苦悩することになったこと、全部が許せねえ! 俺の怒りを、受けてみろ!」
ムゲ・ゾルバドス「それを貴様の怒りと言うか! 面白き男よ。どうだ? 我が配下とならぬか? お前ならばデスガイヤー以上の活躍ができるであろう」
剣人「なるわけねーだろうが!」
ムゲ・ゾルバドス「ならばもう用はない。消えよ!」
────
ロンド・ベル隊からの集中攻撃を受けムゲ・ゾルバドスも一度倒れる。
しかし、一度倒れようと、バルバドスは平然と立ち上がった。
ムゲ・ゾルバドス「フハハハハ」
甲児「こいつも不死身かよ」
亮「そ、そうか。わかったぞ。奴はこの宇宙にうごめく悪霊を力にしている。ここに悪意がある限り、ヤツは不死身なんだ!」
ムゲ・ゾルバドス「ほう。少しは頭のまわる奴もいるようだな。ならば……」
ムゲ世界に黒い閃光が走った。
ムゲ・ゾルバドス「我が悪霊の餌食となれ!」
ジュドー「な、なんだよこれ……!」
ゾルバドスの命により現れた黒い影が、それぞれの機体へまとわりつく。
ショウ「なんてオーラだ……!」
亮「ゾルバドスめ。お、俺達の精神エネルギーを吸い取ってしまう気か……!」
コウ「くそっ。機体が動かない!」
まとわりつく悪霊達により、機体の動きは制限され、パイロットの気力や精神のエネルギーも奪われてゆく。
アイザック「くっ。このままでは……」
ムゲ・ゾルバドス「どうした? この程度で我を倒そうとは、片腹痛い!」
ショウ「これが、ムゲ・ゾルバドスの力!」
シーラ「ならば、この悪意を私が……」
ムゲ・ゾルバドス「そのようなことできるものか!」
シーラ「いいえ。私が命をかければ……」
カワッセ「い、いけません。それでは……!」
忍「ああ。そんなことをする必要はねえ! 感じないか、お前達。奴の後ろにいるのは、悪霊だけじゃないってのを!」
統夜「っ! そうだ。いる。ここにいるのは、悪霊だけじゃない!」
アムロ「この感覚。あの時『ジ・ヴォーダ』の世界へ行った時に感じた……!」
テッサ「そうか。ここはオムニスフィアや『ジ・ヴォーダ』のいた空間に近いんです。だから、ゾルバドスの呼び出した死者の中には……」
忍「そういうことだ。聞こえるか! 俺は祈らせてもらう! いるなら、力を貸してくれ!!」
パァッ!!
その瞬間、ムゲの空間を取り囲む悪霊の中で、光が瞬いた。
ゾルバドス「ぬうっ!?」
チャム「闇の中から、光が!」
アール博士「あれは、パルミオン陛下!?」
沙羅「シャピロ!?」
鏡「美夜受(ミヤズ)!」
???「……」
シンジ「え? かあ、さん……?」
ロム「父さん……!」
シーラ「これは……」
アムロ「ああ。人の意思が集まってくる」
ジュドー「人の意思が、力になっていく……!」
闇の中から現れた光が、それぞれの機体を包み、彼等をとらえる闇を払った!
ムゲ・ゾルバドス「バカなっ! この力はなんだ。我が宇宙に漂う死者が、我以外に力を貸すというのか!」
沙羅「忍!」
忍「ああ! やぁってやるぜ!」
悪霊の束縛を打ち破ったダンクーガが断空剣を掲げる。
するとそこに、死者の光が刀身へと集まる!
断空我。
それは、獣を超え、人を超えた、神の戦士である。
ダンクーガの断空剣が輝き、光の牙となった!!
忍「くらえー!」
剣を、投げた!
闇を引き裂き、道を作りながらその光の牙はムゲ・ゾルバドスへ一直線に突き進む!
ゾルバドス「ぬうぅっ!」
だが、ゾルバドスは両手を前にむけ、飛来するその牙を受けとめる!
黒い雷鳴がとどろき、光と闇が拮抗する!
忍「なにっ!?」
ゾルバドス「いくら力をあわせようと、すべての死を操る余に、貴様等が勝てるはずがなか……」
剣人「なら、押しこむまでだ!」
ゾルバドス「なにっ!?」
ダルタニアスが飛び上がった。
剣人「超空間エネルギー開放!」
ダルタニアスの中に内包されたエネルギーをすべて開放し、まとわりつく闇をすべて吹き飛ばす。
そのまま、ダルタニアスはそのエネルギーをまとったまま突撃。投げつけた光の牙を、無理矢理おしこむ!
ゾルバドス「ぐわあぁぁぁ!」
忍「とどめだ!」
さらにつっこんだダンクーガが、ムゲ・ゾルバドスに深々と突き刺さった断空剣をつかみ、そのまま振りぬいた!
斬ッ!!
ムゲ・ゾルバドス「くくっ。我をも倒すか……神である私を……! ならば、貴様等もまた……! ぐわあぁぁぁ!!」
断末魔と共に、ムゲ・ゾルバドスは光に飲まれ、消滅していった……
アール博士「か、勝った!」
忍「剣人!」
剣人「ああ!」
忍と剣人が、ダンクーガとダルタニアスがハイタッチをかわす。
ゴゴゴッ!
ムゲ・ゾルバドスが滅びたことにより、彼の力により創造されたこの異空間は崩壊をはじめた。
崩壊する世界にまきこまれぬよう、彼等はそこから脱出するのだった。
──宇宙──
ハーリン「……これで、ムゲ帝国との戦いも終わるだろう」
消滅した空間の入り口を見つめ、どこか感慨深くつぶやいた。
アール博士「やりましたなハーリン皇子。これで、エリオスの再興も、夢ではなくなりもうした。……パルミオン陛下もきっとお喜びになられていることでしょう」
ハーリン「ああ。戦いは終わった。だが、これからが新たな戦いのはじまりでもある。これからも、力を貸してもらえるか?」
アール博士「もちろんにございます!」
剣人「親父……」
ハーリン「剣人。お前はお前の道を進め。エリオスの王家は、お前を縛る鎖ではない」
ハーリンはエリオス再興の暁には、帝政を改めようと考えている。
ゆえに、剣人にまでその重荷を背負わせる必要はないと考えているのだ。
剣人「ああ。もちろんだぜ! ただ、困ったらいつでも呼んでくれよ。あんたが何者でも、俺の親父なんだからよ」
ハーリン「剣人……。嬉しいことを言ってくれる……」
剣人「へへっ……」
親子は顔をあわせ、笑いあうのだった。
クロッペン「……」
プル「羨ましい?」
クロッペン「そのようなことはない。ワシには過ぎたものだ」
プル「そうでもないと思うな。ねえ。プルツー」
プルツー「なぜわたしにふる?」
プル「んー。だって、ねえ?」
プルツー「ふん。バカバカしい。クロッペン。どうせ行くところもないんだろ? なら、もうしばらくジュドー達の力になりなよ」
プル「みんなでジャンク屋やるの?」
クロッペン「……ふっ。それも悪くないかもしれんな」
やれやれと笑う。
その表情は、どこか朗らかであった。
忍「よっしゃ。これでムゲ野郎との戦いも終わった。地球へ帰ろうぜ!」
ムゲの空間は消滅し、地球へと戻るロンド・ベル。
これで世界は平和に……
とは、ならなかった……
──シン・アトゥーム計画──
ムゲ帝国を倒し、地球圏へと帰還したロンド・ベル隊。
広く戦線を広げていたムゲ・ゾルバドス帝国は本国が滅びたことにより、徐々にその勢力を弱めていくだろう。
これでこの争乱も終わりかと思われたその時。
木星にて大きな異変が観測された。
木星に内包される強大な力を秘めたザ・パワー。
その力が乱れているというのだ。
異変が観測されたのを見計らったかのように、世界に向け一つの通信が放たれた。
カーメン・カーメン「地球の人類よ。そして、宇宙の人類よ。ヌビアの王、カーメン・カーメンが最後の挨拶を送る! 間もなく、太陽系最大の惑星、木星は破壊される! おろかな安息をむさぼり、堕落してしまったお前達に未来はない。シン・アトゥームの聖なる意志により、このカーメン・カーメンが木星を爆破し、新たな世界を生み出すだろう! ヌビアの民よ。新たな世界で安息を得るがよい。古き民よ。残り少ない明日を惜しむがよい! ハハハハハ、ハハハハハ!」
こう宣言し、放送は切れた。
木星には超エネルギー『ザ・パワー』が存在している。
その木星を爆破するとなれば、本当に新しい世界が生まれかねない。
少なくとも、この太陽系に人類が住める場所がなくなるのは確実だ。
この星系に住まう者として、それをさせるわけにはいかなかった。
ロンド・ベル最後の戦いが、はじまろうとしていた!
第19話 終わり