ボンドルドクター   作:杜甫kuresu

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今回は今まで意図的に伏せてた「ボっぽいところ」をちょっとだけ雰囲気で出すものです。つまり、短いんですね。

(I)「ですが問題はありませんよ、1000文字ならば到達しておりますので」


輝く怪物

「くそっ、またお前か! ボンドルド!」

「ええ、私ですよ。初めまして」

 

 それは立っていた。それは生きていた。それは蠢いていた。ロドスの夜明け、もしくは外れた理性。ボンドルド、ロドスアイランドのドクターを名乗る、誰とも知れぬ誰か。

 

 今日はレユニオンの、とある小隊の隊長の前。ボンドルドは一見丸腰…………のようにも見えたが、そんなことはない。

 のたうつ尾がびたり、びたりと跳ねていた。後ろに組んだ手もガチャリと言っており、明らかに平常ではない。それでも彼は真っ直ぐと、背を壁に当てる隊長を静かに見つめているだけ。寂れた家屋の中、異形と人間が向かい合う。

 

「それにしてもレユニオンの方々――――特に今回の貴方の小隊の結束は素晴らしいものでした、リアン」

「何で俺の名前を知ってやがる!」

「隊員は揃ってリアン、貴方のことを信じていらっしゃいましたよ。誰も行き先を教えてくださらないので、こうして見つけるのにも手間取りました…………素晴らしい信頼関係です。ロドスアイランドのオペレーターの皆さんにも、こうであって頂きたい」

 

 美しいですね、とうわ言のように言ったかと思えば、一歩前に踏み出す。

 思わずリアンがアーツを放つ。彼の放つアーツは念動力、いわゆるサイコキネシスの類だ。

 

 ガラスの無数の破片がボンドルドに飛び込んでくる。完全なる面攻撃、回避は出来ることがないだろう。

 しかしその尾が反応した。

 

「おやおや、あまり良い手段とは言えませんね」

 

 全てを薙ぎ払う。見た目から想像のつかない機敏に過ぎる動き、しかもしなやかな動きからは想像のつかない硬度のようで、ぶつかったガラスの破片が全て砂粒ほどに砕かれてしまう。

 

 纏めて薙ぎ払ったかと思えば、そのままリアンへその先端が襲いかかる。

 僅かに逃げることは出来た。だが、その異常な俊敏さに追いつくことは出来ない。腹部に突き刺さる。

 

「うおっ――――!?」

「申し訳ない。貴方に何か勘違いをさせてしまったようだ」

 

 貫いた距離は目測の尾よりずっと長い。伸びている、原理は不明。それがただ不気味で、ただ痛い。

 赤く思考が染まるリアンの前まで立つと、尾を引き抜く。血が吹き出して、激しく咳き込み血を吐いた。

 

「私は交渉や戦いに来ておりません。これは”勧告”とでも言いましょうか、投降して私の元へ付いてきてください。でなければ私は――――――貴方に相応の行為で応えなくてはいけない。悲しいことです」

「ぐ、あぁ…………けほっ!」

 

 呻きながら目を白黒させるリアンを見ながら、ボンドルドは固まってしまう。

 

「いけませんね。強く打ち込みすぎましたか、ですが問題ありません。我々のもとに下れば、生命活動が脅かされることなどありませんから」

 

 当然、そうである。とでも言わんばかりの物言いが横暴であるよりは、不気味だった。それをただ静かに”そうであるはずだから、問題ない”と断じる。そんな意味不明な工程を、当然に済ませていく穏やかな立ち姿が人ならざる気配を色濃く出している。

 

 倒れ込むリアンにしゃがみこむと、そっと傷口を擦る。

 

「痛いでしょう…………可哀想に。我々はレユニオンの方々も例外なく、鉱石病に関わる全ての人類を、何とかしたい。そう願っております」

「…………なに、をっ。ぬけ、ぬけと……」

「信じてくださりませんか? 我々は、貴方達の敵などではないのですよ」

 

 手を握り、見つめる。そうとしか思えない動作をした。

 全てが果てしなく遠い。鉱石病にまつわる問題への取り組みも、その行動の根幹の願いも、この男の言動そのものも、きっと嘘偽りなどなにもないのだろう。

 

 だからこそ遠い。それら全てを両立しながら、今こうして何の良心の呵責もなく、どころか興奮すら無く淡々とレユニオンを追い詰める姿が、人間としては矛盾しすぎているのだ。

 拘るものに対する態度に、拘りを感じ取れない。

 

「この…………人でなし!」

「…………ふむ」

 

 仮面を擦って、考え込む。

 

「心外ですね。正しく人心に基づき、一点の曇り無く、人類全ての幸福を願って。だからこそ、こうして貴方に”勧告”しているつもりだったのですが…………」

 

 

 

 

 

 

 

「まーたドクターが無茶してる。普通リーダー格を単独で捕まえに行くかい?」

「君が来ることも把握済みですよ、モスティマ」

 

 リアンを抱えて出てきたドクターに、瓦礫に座っていたモスティマが呆れたような笑顔。むしろ、もうそちらが平常の笑顔にすら見える。

 

 ドクターは何も気にすること無く歩き出す。モスティマも、当然のように瓦礫から降りてついていく。

 

「しかし、今回は新しい道具を実戦運用したんだっけ。これ?」

 

 モスティマがうねうねとうねる尻尾をムニムニ触りながら尋ねる。

 奇妙な光景だったが、尾はしれーっとモスティマから逃げていく。しつこく追いかけていくと、仕方なしと言わんばかりに先端でモスティマの青い頭をぺちりぺちりと叩いた。

 

 頭を撫でているようでもある。

 

「えぇ、神経系を酷く侵された感染生物のサンプルから着想を得ました。鉱石に侵されたならば鉱石を伝うアーツを電気信号代わりにする…………遺伝子の知恵は大したものです。硬質化や伸縮までもがアーツで制御可能とは驚きましたね…………」

「これを作るドクターも十分驚きだけどね?」

 

 そう言うと、尾がモスティマから離れてびたんびたんと地を打ち鳴らし始めた。

 作戦終わりの夜。たった二人の作戦完遂だった。




ボの尻尾をムニムニしたいし、かるーくペチペチされてみたいんですよ。分かりますか?
一応遺物に関しては順を追って実装したいとは思っていますが、今回が例外であるようにそもそも指揮官が前線に出るというのは非効率です。

理由付け、何とかしたいですよね。


皆様、お気に入り及び評価ありがとうございます。原則として未履修が書いているありがちな酷い小説なのですが、もし原作履修勢の方のおめがねにも叶うならばそれほど誉れ高いこともないでしょう。
ボンドルドは人気ですね…………映画も早く借りて見てみたいものです。
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