はかせとぼく   作:Tena

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だから反対の性質を持つ者同士が番となる



2. はかせとぼく2

 ふしぎなことに、今日ははかせよりぼくが先におきました。

 どうやら、今日はいそがしくないはかせなようです。

 

 いそがしくないはかせは、いそがしくありません。

 はかせはとてもいそがしい人なのですが、いそがしくない時もあるのです。

 けれど、ぼくはたくさんお話できるからうれしくても、いそがしくないはかせはふきげんなことが多いので、けっきょくかなしくなります。

 

「下請けがミスって全キャンセルって、何をどうすればそうなるんだ……」

 

 昼すぎにおきてきたはかせは、ふきげんそうにつぶやきます。

 

「はかせにも分からないことがあるのですね」

「いや、私に分からないことはない。正しくは、分かりたくないんだ。それを分かってしまうと、私は世界に一切期待せずに生きていかなければならなくなる」

「せかいに、きたい……」

 

 むずかしい話に首をかしげていると、「少し難しかったね」とはかせがほほえんで頭をなでてくれました。うれしかったです。

 それでもやっぱりはかせはふきげんなようで、へやをうろうろしたり、れいぞうこに頭を入れてうなったりしていました。

 

「つらい。つらいつらいつらい。こんな世界やめてやる。誰も彼も、いなくなってしまえばいい」

 

 こういう時のはかせはそっとしておくのがいいです。

 ぼくは外に出て、ちょうちょとおいかけっこをしたり、小鳥にぱんをあげたりすることにしました。はかせに言われたとおり、きめられたところから外には出ません。

 

 空は青色と白色と赤色です。

 木はみどり色と茶色です。

 川や水は青色だとはかせは言いますが、川と空はちがう色だと思います。

 

 どうしてみんな色がちがうのか聞くと、はかせは「好き嫌いさ。嫌いな色だけ食べ残すから、その色に見えるんだ」と言いました。

 

『お前の髪は白いから、お前は見るものすべてから愛される。お前の瞳は黒いから、お前は見る者すべてを愛することができる』

 

 とも。何を言っているかさっぱりでした。

 ぼくはぴーまんがきらいなので、はかせはまちがえたんだと思います。

 

「おぅい、暗くなってきたから家に入りなさい」

「はい、はかせ」

 

 おちこんでいても、はかせはぼくをよびにきます。

 やっぱりはかせはやさしいです。

 

「はかせ。……せかいは、きれいですね」

 

 はかせのむなもとにとびこんで、赤い空を見て言いました。

 はかせはどうしてかおどろいて、ぼくをだきしめました。

 

「……お前の、その心が私に足りないもので、お前が補ってくれるものだ。お前が番として生きているから私は生きていられる」

「人は足りないものをおぎないあうことで生きていけます」

「そうだ」

「そうなのですか?」

「そうなのだ」

 

 今日も夜ごはんがおいしかったです。

 

 

 

 


 

経過報告46

・眠いのでパス。

 

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