青年の異世界珍道中〜ひぐらしのなく頃に〜 作:クロイツヴァルト
あれから戒翔が園崎家の養子になって1ヶ月が過ぎようとしていた。
「詩音待ちなさーい!」
「へへん、嫌ですよーだ!」
戒翔の事は養子になると決まった翌日には村の住人に知れ渡り村の村長をしている公良喜一郎や古手夫妻に紹介され、古手家ではその娘の梨花ちゃんにも会う事が出来たが、今の所だがループしているという雰囲気も無く年相応の少女なだけという物であった。そして今は村を散策しながら悪戯をした詩音を仕掛けられた側の魅音が追いかけている途中である。
「あ、お兄さんこんにちわ!」
「お、レナちゃんか。こんにちわ」
道すがら村の商店街を練り歩いていた所この1ヶ月で知り合った友人の1人、竜宮礼奈に会う。
「どうしたんですかこんな所で?」
「義妹達を連れて散歩の途中さ。そういうレナちゃんはまたあそこで発掘かい?」
「うん、かぁいいものが無いか探しに行くんだよ。だよ。」
「そうかい。だけどあそこは足場が結構脆い所もあるから気をつけるんだよ?」
「はーい!」
そうして話している間に魅音と詩音を見失う戒翔だが
「あの2人ならどうせ後からオレを見つけるだろうし心配する事もないか…けど後でご機嫌取りをしないとだな。」
そう呟き戒翔はこの村に来て最初に仲良くなったある兄弟のと頃に向かう。
「おーい、悟史!」
「戒翔さん!」
「ご機嫌ようですわ。」
待ち合わせをしていた訳では無いが示し合わせたかの様に出会うのは割と狭い村ならでは起きる事でもある。
「さて、2人とも大丈夫か?」
「うん、大丈夫だけど急にどうしたの?」
「ちょっとな、此処だけの話だがこの雛見沢を潰してダムを作ろうって計画が立ち上がりそうなんだ。」
「えぇ!」
「本当ですのそれは!?」
「まだ上の方では本決まりでは無さそうだけど、近いうちに発表はされるだろう。」
「戒翔さんはどうするの?」
「もちろんだが、御三家の一員としてダム建設には反対させてもらうかな。こんな俺でもいても良いって思える様にしてくれた恩義もあるし手の掛かる義妹たちに弟分達だっているんだからな。」
不安げな悟史と沙都子の頭を戒翔は軽く撫でる。
「で、話としてはお前達の親が政府に金を握らされ賛同派になりそうだから今の内に点数稼ぎをしておくのが一番被害が少ないと考えているんだ。」
「…確かにうちの両親は金にがめついからね…ありえない話じゃ無いかな。」
「だからこそ今の内に村のみんなには悟史達兄妹は違うんだって人ん指揮させる必要があるんだ。」
「その様な事で信頼なんてされますの?」
「させるんじゃなくてしてもらうんだ。子が親とは違うんだって認識させるんだ。」
「ですけど、どうやってですの?」
「まぁ、実際はそう簡単じゃないが今の現状はまだ計画も発表されてないわけだからコツコツと村の人間と交流を図るしか無いかな?子供の俺達なら困っている人の手伝いを率先して行ったり位しか無いけどやるのとやらないとじゃ人の印象ってのは変わるもんだ。」
疑問を呈する沙都子に対して戒翔は自信を持ってそう告げる。
「それに俺達三人だけじゃない…義妹達にレナの三人も加えて六人で行くんだ。(確かに悟史の両親は決して良い親とは言えないが園崎家の者と一緒に行動する事で色々と変わるもんだ)」
「魅音さんに詩音さんもいらっしゃるのなら安心ですわね。」
戒翔の言葉に沙都子が安心し、戒翔に対して軽口を叩く。
「ほぅ、そんな事を言うのはこの口か?」
「い、いひゃいですわ!」
「全く、沙都子は口が減らないな。」
「あやまりまふ!あやまりまふでふわ!」
沙都子の頬を餅の様に戒翔がひっぱりその事に沙都子が涙目になり謝るその姿に苦笑せざるえない悟史であった。
「あー、お兄見つけましたよ!」
「アタシらを放っておいてどこ行ってたのさ!」
悟史達と別れてからも村の中を散策していると後ろから来る気配に気付くが此処最近で慣れたもので背中に来た衝撃を上手く逸らして踏ん張り可愛い義妹達の細やかな攻撃を受け止めるのであった。
「すまんすまん、お前達が元気よく行ってしまったのでな。帰ってくるのは分かっていたからゆっくりと村を散策していたのさ。」
そう言う戒翔だが、実際にはレナ達に遭遇しながら村民達と挨拶を交わし必要とあらば重い物を持ったりと他所者で急遽、園崎家の一員となった部外者である自分が受け入れてもらえる様に早く馴染もうと努力をしているのである。
「そう言ってお兄はまた村の人のお手伝いとかしてたんでしょ?」
「兄さんは気にしすぎだって。村のみんなは兄さんの事を迎え入れてくれたじゃん。」
「魅音達にはお見通しか…確かに表面上は受け入れて貰えたかもしれんが、それは園崎家の力というのが大きい。たかが子供と思うが色々とやらなければならない事には変わりないのさ。信頼に信用をされないと初めてこの村の人間って俺は胸を張れないのさ」
「お兄も結構めんど臭い性格ですね。もっと気楽には構えられないんですか?」
「そう楽観視もできんよ。そもそも園崎の一員になったのならそれなりの態度や誠意をきちんと示す必要があるのさ。」
「そんなもの?」
「まだ魅音達には分からないかもしれんがいずれ分かるさ。」
2人と手を繋ぎ話をしながら戒翔の足は帰路に着く。
「(事前準備は惨劇回避の為、そして彼ら彼女らの悲劇を無くす為には根回しにした準備はまだまだしなければいけないが、そもそもの話だが古手梨花が記憶を思い出さなければ話にならんがはてさていつになるのやら)」
2人と話をしながら戒翔はこれからの事を考えていた。
「(ダム戦争の時には魅音や詩音の悪評が付き、警察と険悪になる事もあるが俺という存在で緩衝材もしくは標的を俺に絞らせて魅音達が警察のブラックリストに載らないように…いや、そもそも園崎家というだけでマークされかねないが妨害行為をするのに魅音と詩音には義妹だから無茶をして欲しくないとでも言い包められればいいが…この辺りは親父やお袋に聞くしか無いか)」
「若、お帰りなさいやせ」
「辰由さん、俺は正式な跡取りでも何でもない養子とつくだけの居候だからそんな畏まられても困るんだが」
「いえ、養子だとか居候だとかは関係ありません。組長と姐さんの子供であれば自分が勝手に若と呼ばせていただいていますし組長達からも許しをもらっていますんで」
「親父達が許可してるってまぁた酔狂な」
「いえ、若はまだお嬢達とそんなに年が離れていないにも関わらず」
「ダァー!あまりそう賛辞ばかり言うなって!背中が痒くなるっての!」
葛西の言葉に戒翔は両手が魅音達で塞がれていなかったら思い切り背中を掻きたくなる衝動を抑えて恥ずかしながらも魅音達をひっぱりながらも足速に玄関に向かう。その背を葛西や他にもいた園崎組の組員はお辞儀をしながら見送る。