青年の異世界珍道中〜ひぐらしのなく頃に〜 作:クロイツヴァルト
「あ、戒翔来たのですか?」
「おぅ、俺もこの雛見沢に住む事になったんだけど思えばこの村の守り神にお参りをしていないなと思ってお参りに来たんだよ?」
「みー、僕に会いに来てくれなわけではないのですか?」
「勿論、梨花ちゃんにも会いに来たけど先ずは守り神のオヤシロさまに挨拶をしてから梨花ちゃんを誘ってみんなで遊ぼうと思っているよ。」
「それなら良いのですよ。にぱー☆」
あくる日、戒翔は義妹達が悪戯をして義母さんにお叱りを受けている間に古手神社に行く旨を伝えて境内に来ていた。その際に2人の義妹からは裏切り者と言われるがそれなら悪戯をするなと言いたい。
「さて…と、姿は見えずとも気配は感じるが…君が守り神オヤシロさまなのか?」
神社の奥に安置されている御神体の手前にある賽銭箱の前で戒翔は誰ともしれずに虚空に声をかける。
「こちらの声が聞こえているかどうか知らぬが、言わせてもらおう。この世界の悲劇は俺だけでは無理だ。だからキミの、キミ達の協力が不可欠だ。俺はキミ達の歩んで来た過去を知っている。絶望を感じ諦めずに希望を抱く心…それを見て感じて私は此処に来た。悲劇、絶望、惨劇をそれらを遍く排除して見せよう。だがその為にはキミ達の協力が必要不可欠だ。なので…彼女の記憶が戻った時にまた来る」
そう言って戒翔は懐に入れていた手紙の入った茶封筒を賽銭箱の下に隠す様に置くとその場から離れる。その様子を少し離れた所から誰にも見られず知られず感じられない角が生えた少女が見ていた。
「みー、戒翔はお参り終わりましたのです?」
「おぅ、終わったよ梨花ちゃん。この後は悟史達を捕まえてどっか遊びに行くか!」
「若、探しましたよ」
神社から離れた場所にいた梨花ちゃんが戒翔が降りて来るのに気付いて走り寄り戒翔の腕を掴みながら話をしている所に葛西が階段を登って現れる。
「辰由さん、どうしたんだ?」
「姐さんが至急戻る様にとお呼びです。」
「……分かった。魅音達は?」
「お嬢達は北条家の子供と一緒にいるのを確認済みです。」
「なら梨花ちゃんを悟史達の所まで頼む。俺は本家に戻る。」
「分かりやした。」
「梨花ちゃんごめんな?ちょっと義母さんに呼ばれたみたいだからちと戻るわ。遊ぼうって言っといて反故にしちまうな。今度、埋め合わせするからね」
剣呑な雰囲気の葛西の言葉に察した戒翔は葛西といくつかのやりとりをした後に梨花ちゃんに謝りながら軽く頭を撫でる。
「みー、約束なのですよ?」
「あぁ、約束する。」
そして戒翔は梨花ちゃんを葛西に任せて本家に戻る
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「義母さん、今帰ったけど…話って何?」
「そうツンツンしなさんな…まぁ、分かるとは思うけど近々ダム建設の為に村の退去がお上の方から発表される様なんだよ…」
「…へぇ、この村を水の下に沈めるの?」
「私としちゃそんな事させるわけないけどね」
「荒事になるなら魅音達には絶対にやらせない…やるなら兄貴の俺1人…結果としては恨まれる園崎家の子供は俺1人で十分」
本家に帰り居間で待っていた義母は戒翔に申し訳なさそうにするが戒翔は平然とした表情で子供のはずなのに事も投げにそう告げる。
「本当にいいんだね?こっちに踏み込むってことの意味」
「分かっているよ、義母さん。この園崎家に拾ってもらって家族になった時点で既に決めていたんだ。それに義理とはいえ俺の義妹達は標的にさせるわけにはいかない。兄貴の俺が義妹達を守ってやらなくてどうするんだって話だよ。」
真っ直ぐに茜の目を見つめながら決意した目で見返しながら告げる。
「全く、頑固なんだからね…一体誰に似たのやら」
「俺は義母さんや親父にばあちゃん達の背中を見ているからね…自分ながらにいずれはこうなってたと思うな」
「全く…頼もしい限りさね」
戒翔の言葉に苦笑しながらも茜は笑みを浮かべる。
「反対運動をするにも色々と根回しに準備が必要だろうしその間の時間稼ぎもそうだけど村の中での話し合いも必要だろうね。」
「その反対運動は大体どの位の時間がかかるんだ?」
「そうさねぇ…向こうのお偉方が撤回する事を認めるまでになるんじゃないかねぇ」
茜の言葉に戒翔はしばし考え
「ふむ…となるとそれなりの長丁場になると考えなければならない訳だな」
「こっちは村の町内会の連中と話をして話をまとめるけど、アンタはどうするんだい?」
「一応嫌がらせになる様な物をピックアップ済みだから後は仕入れたり調合したりって所かな?」
「おぉ、こわ…一体何をするんだか」
「それは起きてからのお楽しみさ…」
そう言って戒翔は茜に向かって不敵な笑みを浮かべる。