青年の異世界珍道中〜ひぐらしのなく頃に〜 作:クロイツヴァルト
「さてさて、準備は万端。後は仕上げをごろうじろってね」
画してはじまった住民総出の鬼が淵死守同盟と警官隊による小競り合いという名の小さな戦争が始まる
「みんなに持たせたアレは良い感じに仕上がってるね」
双方がぶつかり合う中で戒翔は少し遠くにある峠から短眼鏡で戦況を見ていた。前日に戒翔が住民達に手渡したのは
「そりゃ胡椒入り卵爆弾や香辛料たっぷりの水風船はかなり効くよね」
住民達にははあらかじめ簡易的な防塵防毒マスクを渡していた事もあって住民達は特に被害は出ていないが、マスクがないただのシールドやバイザーしか装備していない警官達はたまったものでは無く、香辛料等の刺激臭に目や鼻をやられて蹲ったりのたうち回るなど被害が恐ろしい事になっていた。その中で比較的軽症だったものは急いで無線機を使い応援を呼ぼうとしていた。
「そっちも想定済みだっての」
戒翔は警官達の動きを見ながらこの雛見沢の近くに続く道路の一つを単眼鏡で覗く。
「うん、障害物も問題ないね。」
戒翔が見る先には何本もの倒木が折り重なっていてとてもでは無いが業者でなければ動かせるようなものでは無くなっていた。
「この一月を使って色々な所で切り倒しても問題ない木を選ぶのは苦労したなぁ」
戒翔はそう言いながら葛西と一緒に妨害用の木々の選定をした日を思い遠い目をしていた。
「若、こんな所にいたんですかい。」
「あ、葛西のおっちゃんどうしたん?」
「姐さんがお呼びでさぁ」
「義母さんが?もしかしてやり過ぎたとか?」
「さぁ、それはあっしには分かりかねますがワシらの世界は舐められたら終わりですから若の行動はそこまで咎められることでもないと思いますぜ」
「うーん、まぁ今のところは問題ないだろうしいいか…あ、魅音達は絶対にこの抗争には関わらせるなよ?恨まれる園崎家の子供は俺1人で十分だ」
葛西の横を通り過ぎる戒翔の目は既に抗争をしている場面からそらされ園崎家のある方角を見ていた。
「分かっておりやす。お嬢達にもちゃんと納得してもらっていやす。何より姐さんがお二人に話しておりますので安心してくだせぇ」
「あの義母さんに任せてる時点で不安しかねえな。あの人あんなビシッとした姿してるくせにかなり悪戯好きだからなぁ…」
葛西の言葉に戒翔はげんなりとした表情をしながらも僅かに苦笑する。なんだかんだで正直な話であるが茜の雰囲気に救われているのも確かな事なのである。
「抗争の話じゃないなら…大臣の息子誘拐の件で何かしら進展でもあったのかね」
そう呟きながら戒翔は葛西を伴いながら峠を下り本家へと戻る。
「義母さん、今戻ったよ。」
「あぁ、戒翔おかえり。葛西もありがとね」
園崎家の門の前に茜が立っており戒翔と葛西の2人の帰りを待っていた。
「で、どうしたの?抗争は始まったばっかだけど何か進展でもあったの?」
「そうじゃないさね。こんな事をしてはいるけどもうすぐわた流しの時期になるからその準備さ。でその準備を戒翔にも手伝って欲しいんさね。」
「まぁ、向こうの戦いもすぐに決着つくようなもんじゃないし…まぁいいよ。で何をするの?」
「魅音達と北条家の兄弟に梨花ちゃんの面倒をお願い!」
パンと目の前で手を合わせて茜はそう戒翔に頼み込む
「御三家の内の二家に賛同者の身内…まぁ子供に隔意は無いって宣伝すれば良いのか?」
「そういう事じゃ無いんだけど…アタシらはアタシらで大人の会合があるから魅音達を見ている時間が無いからね。義理とはいえ長男のあんたが適任だと思うんよね。他の人を引っ張るのも上手いみたいだしね。それに北条家の両親はともかくあの兄弟は普通に良い子達だからねまぁあからさまに贔屓することはできないから子供同士と言う言い訳を使って戒翔達と仲良くさせるってのも確かにあるさね。」
「はぁ、分かったよ。魅音達の事は俺に任せて義母さん達は日頃頑張っているんだから酒盛りしたって誰も怒らないって。まぁ大人なんだから多少は節度を持ってだけどね?」
苦笑しながら言う茜の言葉に嘆息しながら戒翔は了承するのであった。