青年の異世界珍道中〜ひぐらしのなく頃に〜 作:クロイツヴァルト
「ごめん下さーい!」
「あらあら、戒翔君いらっしゃい。」
「こんばんわ。梨花ちゃんの迎えに来ました。」
「ありがとね。梨花ー!」
古手家に来た戒翔は玄関先で梨花の母親と挨拶を交わし、母親が梨花の名前を呼ぶ。
「はーいなのです!」
母親の声に奥から巫女装束を身につけた梨花がとてとてと現れる。
「梨花ちゃん今日も可愛いね!」
「ありがとうなのです。にぱー☆」
巫女装束姿の梨花に戒翔は賛辞をすれば梨花ははにかむ様にに笑った。
「後はレナちゃんに気をつけないとだな。」
梨花の姿を見ながら戒翔は神妙な顔つきでそう呟く。
「戒翔君、梨花のことをお願いね?」
「あのグループで最年長は自分なのでお任せください。」
「ふふ、頼もしいわね。」
「さ、梨花ちゃん行こうか。下でみんなが待ってるからね。」
そう言って戒翔は梨花ちゃんの小さな手を握る。
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「はうー、梨花ちゃんかあいいよー!おん持ち帰りー!」
「するなっての。」
下に降りた途端にレナが巫女装束の梨花を見て早速暴走するので突撃してきたところでアイアンクローで釣り上げる。
「アタタタタ!痛いだけど!」
「全く、いきなり突撃してくるなど阿呆。」
見事に決まったアイアンクローでレナが痛みに声をあげて暴走が止まる。
「さてと…梨花ちゃんどうかしたかい?」
レナを解放して後ろを見れば驚愕の表情をする梨花がおり怪訝な表情で戒翔は聞く
「レナのかぁいいモードが止められた事にびっくりなのです!」
「んな事いつもの事だろうに…変な梨花ちゃんだな?」
「あ、あはは。なんでもないのでよ!」
訝しげに見られた事に梨花は引き攣った表情でなんとか笑って誤魔化す。
「さ、周りの人に迷惑をかけない程度に祭りを楽しもうか!」
「「「「「おー(なのです)!!!!」」」」」
「さ、梨花ちゃん。他のみんなに遅れないように行こうか。」
「はいなのです!」
そう言って戒翔は梨花の手を取り祭り会場の方へと歩を進める。
「おー、盛り上がってるな。」
「まずは沙都子の言ってた林檎飴からか?」
「そうですわ!」
戒翔の言葉に沙都子が元気よく返事をする。その表情は早く行きたいと言っている。そして会場に入ると
「おう、戒翔に悟史じゃねえか!人でが足らんからちと手伝え!」
「あはは…」
「おっちゃん、俺に頼むって事は俺がおっちゃんよりも売上をあげても良いって事だよな?」
「生意気言いやがる…そんなら俺よりも売り上げがよかったら好きなもん持ってっていいぞ!」
「男に二言は?」
「ある訳ねえだろ!」
「言質はとった。魅音に詩音、それに沙都子に梨花ちゃんにレナ。ちょっと稼いでくるよ。」
「お兄、ほどほどにねー。」
「あのおじさんも気の毒かね…兄さんって料理の腕やばいからね」
屋台のおじさんのやりとりを見て園崎姉妹は苦笑しながら送り出す。
「はうー、お兄さん美味しいもの期待してるよ!」
そして
「ば、バカな…俺よりも上手いし出来上がりが早い…だと!?」
そこには劇画タッチな表情で崩れ落ちる屋台のおじさんと勝ち誇る戒翔の姿があった。
「「やっぱりこうなったか。」」
その事態を見守っていた園崎姉妹は戒翔の腕を知っているだけにうんうんと頷いていた。
その後も
「あれま、沙都子ちゃん達じゃないかい。綿飴食べるかい?」
「魅音ちゃん、焼きそばもあるよ?」
「詩音ちゃん、たこ焼き出来立て食べるかい?」
「レナちゃんはかき氷かな?」
行く先々で住民の方々が戒翔達に出店の料理を振舞ってくれるのである。その様子を梨花は呆然とした表情で見つめる。
「…どういうこと?」
「あうー、戒翔たちの日頃の行いなのです。」
「羽入?」
混乱する梨花の横で羽入は戒翔を含む6人を微笑ましく見守りながら梨花に告げる。
「戒翔達は今まで村の人たちのお手伝いをしていたのです。」
羽入の言葉によると戒翔が率先して村の手伝いをし、園崎姉妹に北条兄妹にレナを連れて村の荷運びにゴミ掃除に畑の手伝いなどの雑用を進んで行い、村人達からの信頼を勝ち取っていたのである。
「それであれほどの人気な訳ね…でも、なんでこの世界だけ」
「それもこれも戒翔のお陰なのです。」
憂いを帯びた表情で呟く梨花の横で羽入は感慨深く告げる。
「戒翔が皆を引っ張ってくれるからなのです。御三家とか関係なく…分け隔てなく気さくに接するからこそ皆が笑顔なのです。」
「……下手するとわたしより人気者になってないかしら?」
梨花は羽入の言葉を聞きながら目の前で住民達からもみくちゃにされながらも笑っている戒翔を見て苦笑いする。
「とても不思議な人なのね」
「おーい、梨花ちゃん!そんな所にいないで一緒に遊ぼうぜ!」
「はいなのです!(願わくばこの幸福が続く事を願ってもバチは当たらないわよね?)」
戒翔に呼ばれ、小走りで近寄る梨花はそんな事を思うのであった。