青年の異世界珍道中〜ひぐらしのなく頃に〜 作:クロイツヴァルト
「んで、大臣の孫が誘拐されて刑事の1人がこっちに来るってか?」
「そういう事だね。あまりこの辺りをうろちょろされるのも鬱陶しいけんね」
園崎家の一室に園崎の重鎮が集まり話をしていた。そして新参者の戒翔はその中で下座に座り茜と問答をする。
「ま、警察が先に見つけるかこっちが先に見つけるかで状況はだいぶ変わる…か。運よく行けば大臣に恩が売れる訳だしね。」
「そうだね…ま、そういうけど先ずはこっちに来る刑事さんの対応をしなければならないかね…?」
茜の言葉に戒翔が
「義母さん、その刑事さん俺に任せてくれるかな?」
「……何か考えがあるんだね?」
「向こうがどの程度の情報を得ているかわからないけど俺の能力までは知らない筈だから…俺の能力が一番適任な筈だよ。こっちの監視なのか単なる調査なのか判断できるしね。最悪俺が消せば問題ないしね?」
戒翔はそう言って全員に判る様に不敵に笑う。
「分かった。この件は戒翔に任せる。大臣の孫の方はアタシら園崎家の諜報使って探すとしよう…葛西、任せたよ?」
「…任せてください。必ず見つけて見せますんで」
茜の言葉に葛西は礼をする。
「それじゃ、早速動くとしようかね。」
そう言った瞬間に戒翔の姿は既にその場にはなかった。
「相変わらず行動力があるというか…」
「あん子が来てからかこん家ん中は賑やかになっちょっとね」
「そうだね…婆様」
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「…早速おいでなすったか。」
村付近の境界線にある有刺鉄線を越えてくる一台の乗用車を戒翔は山の山頂から見下ろしていた。
「んじゃ、チャチャっと接触しますかね。」
そう呟いた戒翔の近くで風が吹き荒ぶのと同時に戒翔の姿も消える。
時を少し遡り興宮警察署内
「ここが興宮警察署か」
警察署の前にカジュアルな格好の若者がいた。そして警察署内に歩を進め、受付の所に行く。
「おはようございます。違約金の返納ですか?」
「いえ、公安の本田屋さんにアポイントがあります。赤坂とお伝え下さい」
「し、失礼しました。少々お待ちください!」
若者…赤坂と自ら告げた人物は来るなり違反をした人間と勘違いされて苦笑する。
そして事務員が連絡をし、少しして
「どうもどうも!赤坂さんですかね?遠路はるばるお疲れ様です!」
頭を掻きながら近寄ってくる人物が本田屋と呼ばれた人物なのだろう。
「公安の本田屋です、よろしくお願いします。県警の暴対の山海部長から協力を惜しむなと脅され取りますんでね。わははははは!」
本田屋の言葉に赤坂は怪訝な表情をする。
「なぜ暴力対策本部の方が」
「それはな、鬼ヶ淵死守同盟は暴力団の延長みたいなものだからだよ。アレを善意の住民の運動ですってのはちーと無理があるってもんですな!がっはははは!」
本田屋の言葉に赤坂の表情が若干引き攣るのである。
(暴力団の延長ってどんな村?)
赤坂の中での雛見沢のイメージがどんどん悪くなっていく。
「なんの話をしているかと思えば。んっふっふっふ」
「おー蔵ちゃん!ちょうどいい!蔵ちゃんも入ってよ!こちらは遠路はるばる東京からお見えになった赤坂警部」
「警部だなんて!まだまだ新米です!」
「初々しいですねぇ。採用は今年ですか?んっふっふっふ!」
またも独特な笑い方をするふくよかな男性が現れる。
「赤坂さんも紹介します。こちらは刑事部の大石さん。赤坂くんが問い合わせのS号の件なら彼が詳しいから」
「S号とは?」
聞き慣れない単語に聞き返す赤坂
「園崎のSですよ。S号ってのはね、園崎家が関連する件を示す暗号みたいなもんなのさ」
聞き覚えのある単語を頭の中から探し出す。
そうだ‥‥本部で読んだ資料の中にそう書いてあった。
「あんた勉強家だね〜!ひょっとして同盟連中の主要人物も言えちゃいますか?」
「会長は雛見沢村村長の公由(喜)さん。副会長は町会神社部長の古手さん。会計が園崎(魎)さん。会計監査が牧野さん。共闘部長が公由(義)さん。広報部長が園崎(禎)さん」
覚えている限りのことを2人に向かって口にする。
「惜しいですねぇ。広報部長は園崎忠敬ですよ」
「う‥‥」
顔を隠したい衝動を押さえ込み2人と向き合う。
「はっはっはっは!馬鹿にしたつもりはないんです。お詫びと言っちゃあなんですが、村を実際にご案内しましょう」
土地勘のない自分には助かる。願っても無い申し出だ。
「よろしくお願いします」
間髪入れずに頷くと、大石さんは満足げに笑って立ち上がった。
〜〜〜雛見沢村〜〜〜
「えっと、どこまで話ましたかねぇ」
「御三家という旧家が村を支配している。というところまでです」
鬼ヶ淵死守同盟とは雛見沢村そのものだ。
つまり同盟の幹部はそのまま村の幹部という図式が出来上がる。
本田屋さんからもそう聞いているから間違いないだろう。
「県警の資料には何て書いてありました?死守同盟のリーダー格やそれらについて」
「‥‥同盟の会長は現村長の公由喜一郎と書いてました」
本来資料については部外秘だが話した方が得になると判断し答える。
「‥‥そうですか」
大石さんは俺の答えを聞くと小さく笑い捨てた。
「その反応‥‥公由さん以外の影の人物がいる。そういうことですね?」
「んっふっふ‥公由のおじさんなんて、ただのお飾りですよ」
「つまり‥‥同盟も村も本当の意味で支配している別の存在がいる‥‥それは先ほど言っていた御三家‥‥という存在ですか?」
「まぁ、そのあたりについてはこれから説明しまう‥‥おっと」
大石さんが言葉を突然切ったかと思うと、突然車がガクン!と揺れた。
舗装された道から砂利道に変わったようだ。
「うわぁ」
赤坂は道の端端にある昇り旗や看板には口に憚られるような文言で訪れる者に対して威圧するかのように乱立していた。
『雛見沢ダム計画断固撤回』
『恥をしれ傀儡県知事!』
『ダムに沈めるな雛見沢の自然』
『悪辣なるダムから村を守れ』
『怨念!オヤシロ様からの祟り』
看板、昇り旗。そういったものが道にひしめいていた。
書きなぐったような筆の文字がそれだけで読むものを威圧する。
まさに舗装道路の途切れが国境だったのだ。
「まるで中東辺りの内戦の国に迷い込んだような感じがします」
「なっはっはっは!うまいこと言いますね〜まさにその通り」
大石さんはにやぁ!と凄むように笑いながらこちらに顔を向け
「ここはね。戦争地帯なんですよ」
「‥‥‥」
大石さんの言葉で黙る以外の行動が取れなかった。
「御三家と言ってもですね。そりゃあだいぶ大昔のことなんですよ」
しばらく車で雛見沢を案内してもらっていると大石さんがそんなことを呟いた。
「ということは‥‥今は違うということですか?」
そういった直後。車がキィと音を立てて止まった。
止まった車の先には
『この先私有地、関係者以外の立入を禁ず』
『毒ヘビ注意!危険、引き返せ!』
『侵入者には入山料として金百万円の証文に捺印していただきます』
そんなことを書かれた看板が立てられ、道路と森を隔てるように有刺鉄線の巻かれた金網が続いている。
「私有地なんでここまでです。この先は監視カメラがあってうっかり道に迷いました。なんて論法が通じる相手じゃありませんからねぇ」
大石さんの話を聞いて唾を飲み込む。
「‥‥この先にはなにがあるんですか?」
「‥‥園崎家。雛見沢村を影から支配する連中です」
「園崎家‥‥ですか」
「園崎家の頂点は現当主の園崎お魎っていう婆さんです。園崎天皇なんて言われてる大物ですよ。市長だって最敬礼してお迎えするお方ですからねぇ」
「つまり‥‥その人物が鬼ヶ淵死守同盟の事実上のトップということですか」
「ええ…とはいえもう1人園崎当主に並んで要注意人物がいます。」
「もう1人の要注意人物?」
大石はポケットから潰れかけたタバコの箱を取り出しながら赤坂に告げる。
「園崎の姓を名乗らない者なのに園崎家で長男として扱われ、幹部もしくは当主補佐の様な扱いの人物…今の鬼ヶ淵死守同盟でダム反対運動で妨害行動を起こす実行部隊の隊長…御坂戒翔です。」
「い、いったいどんな人物なんですか?」
「その人物は驚く事にまだ少年なんですよ」
大石の言葉に赤坂は驚愕の表情をする。
「なんですって」
「驚くのも無理はありませんね。なんせわたしも報告を聞いた時にはバカなと思いましたがね。ですが事実なんですよ」
大石はそう言いながらタバコに火を付ける。
「おや、こんな所で奇遇ですね…大石さん」
2人の後ろから気配なく近づき声をかける人物が現れる
「おや、御坂戒翔君じゃありませんか…どうしましたか?わたしは知人の方にこの村の案内をしていた所なんですよ」
「っ!?」
2人が振り向くと自動車に寄りかかる形で2人を観察するように見る少年がおりその少年が大石の言う件の少年だと判ると赤坂は驚く。特殊な訓練をしている様には見えない少年が現役の自分に気配を感じさせないで近づいてきていた事に驚き警戒をする。
「大石さん、吐くならもっとマシな嘘を吐いてくださいよ。そんな警戒心剥き出しだと大石さん達の関係者と丸わかりだよ?」
「いやー、痛い所ですな。なはっはっはっは!」
「君は」
「初めまして、お客人。俺の名前は御坂戒翔ここ雛見沢で園崎家に籍を置いています。」
戸惑う赤坂に戒翔はこの村に訪れた赤坂に笑顔で自己紹介をする。
「それで大石さん。なぜ東京の刑事さんがここに来ているのかは大体把握しているけど…俺達は協力的では無い事わかってるよね?」
自動車に背中を預けた状態にも関わらずその少年から瞬間的に威圧された瞬間、赤坂は瞬時に身構える。
「なるほど…赤坂さんはとても優秀な刑事さんでいらっしゃいますね。俺の一瞬の威圧に竦む事もなく逆に臨戦態勢をとれるのですから」
「僕はキミに名乗った覚えはないが」
「そこの大石さんから聞いているんでしょう?園崎家の情報舐めない方が身の為ですよ?出産間近の奥さんを未亡人にしたくはないでしょう?」
「っ!?」
「赤坂さん!」
少年、戒翔の言葉で一瞬で頭に血が上った赤坂が大石の制止の言葉も聞かずに一息で戒翔に迫る
「なっ!?」
捕らえたと思った少年は目の前から身じろぎ一つしないで唐突に姿が消え、赤坂の手が空を切る。
「せっかちだな…例えばの話なのに本気にしないで欲しいね」
消えたと思った少年はいつの間にか自動車の屋根の上に胡座をかいて赤坂達を呆れた表情で見つめていた。
「まぁ、今日は挨拶みたいなものだよ。これから大臣の息子の捜索をする時にでもまた会いましょう。」
そう言って少年は忽然と姿を消す。
「…大石さん、彼はいったい何者なんですか?」
「戸籍情報は園崎家の養子って事になっていますが、困ったことにそれ以前の記録が全くと言って出てこないんですよねぇ。わたしも彼の事はほとんど知らないと言ってもいいでしょうね。あの年齢の子供にしては冷静沈着、頭の回転も速いし大人顔負けの話術にあの得体の知れない力もそうですが彼には謎が多すぎます。警察の方でも要注意人物としてマークしているんですが、神出鬼没なもので監視のしようが無いってのがキツいですねぇ。」
戒翔がいた所を見つめ、冷や汗を流す赤坂に対して大石は今まで自分や周りの仲間と調べた事を赤坂に説明をしながらタバコの紫煙の行き先を見つめる。
「彼はこの事件の核心部分を知っているとわたしは睨んでいるんですよね。ですから彼を追いかければ自然と大臣の息子さんや誘拐犯にもたどり着くんじゃないかって思うんですよ…まぁ、長年の刑事の勘ってやつですがね?」
真剣なようで少しおどける様な表情で大石は赤坂に告げる。
「一度、署に戻りましょうか。目当ての彼に会えたこともそうですが、園崎家や他の住民に見つかると厄介ですからねぇ。何せ嫌われ者の刑事ですからね。んっふっふっふっふ」
そう言って大石は車に乗り込み赤坂を乗せて来た道を戻るのであった。
遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。別にエタっていたわけではなくリアルが忙しかったのと新作ゲームが出過ぎなのが悪い(おいこら)
あとはテイルズが楽しい。去年の11月頃に発売されたアライズが面白かった。本来の王道テイルズが戻ってきたって感じでファンとしてはとても喜ばしい物でしたね。前作までのベルセリアまでは自己犠牲エンドがほとんどだったので久しぶりにテンション爆上げでしたね。
後は更新の頻度も出来るだけ上げれるように頑張りたいと思うんで読者の方々には長い目で見てくださりますと助かります。