IS〈インフィニット・ストラトス〉 紅蓮の錬金術師 作:焼酎ご飯
・・・?
彼が意識を取り戻すと、そこは無限に続くかのような白亜の空間だった
「私は・・・いや、そもそもここは・・・」
起き上がろうと地に腕を付ける。
(・・・!?腕が・・・肉体が存在している・・・)
動揺しながらも彼は立ち上がり自分の体を確かめる
五体満足であり、彼が生前まとっていた白いスーツが体を包んでいる
彼はあたりを見回しながら考える
(私は、セリム・ブラッドレイに取り込まれ・・・エドワード・エルリックにセリム共々消滅させられたはず)
何処へともなく彼は歩み始める。石の床を歩くような音だけがこの場を支配する
(声も出る・・・肉体も問題なく動く・・・あの怨嗟の渦の中とは違った地に立っている感覚・・・一体・・・)
そして改めてあたりを見回し観察し始める
(この空間は・・・話に聞く真理の扉の空間というものに似ているのだろうか?)
(しかし、その扉とやらが見当たらない・・・こんな何もない空間で何かを見逃す方が至難の業だ)
(・・・にわかには信じられないが、私は死後の世界というものに来てしまったのかもしれませんね)
「えぇ、その通りです」
「!?」
彼が振り向くと、そこには白い何かがこちらに対して話しているのがわかった。
顔も肌もないが自分と同じ形をした何か、周囲に存在する黒い靄のようなものがなければこの空間に溶けてしまいそうなほど白い何かがそこにいる。
「おやおや、そんなに驚かれなくてもいいのでは?少々傷つきますね」
そんな異様なものを前にした彼であったが、少し驚いたように目を見開き、落ち着きはうと改めて白い何かを見据えた。
「これは失礼・・・あなたは・・・誰、と言うのもおかしいかもしれませんね。あなたは一体何ですか?」
「おぉ、よくぞ聞いてくれました!」
白い何かはケタケタと笑いながら続ける
「私はあなた達が"世界"と呼ぶ存在」
「あるいは"宇宙"、あるいは"神"、あるいは"真理"」
「あるいは"全"、あるいは"一"」
「そして」
「私は"あなた"です」
「紅蓮の錬金術師、ゾルフ・J・キンブリーさん?」
そう、白い何かに対峙する彼の名はゾルフ・J・キンブリー、国家錬金術師でありながらも爆弾狂として知られ、イシュヴァール殲滅戦において異常なまでの虐殺、破壊行動及び、
賢者の石独占の為に上官複数名を爆殺する等といった残虐行為を嬉々として行う自他共に認める狂人だ。
そんな世紀の狂人は一切物怖じすることなく神を自称する存在と会話を始めた
「なるほど、あなたが錬金術師で言うところの真理・・・まさか意思を持っている存在だったとは、それで?あなたは”錬金術師”としての私か”人”としてのわたし、どちらに用があるのでしょうか?」
「気持ちが悪いほど飲み込みが早いですね・・・まぁそのほうが話が早くて助かります。今回は”人”としてのあなたに”神”として用があります。あなたにとっては残念かもしれませんね」
「いえ、そんなことはありませんよ。この身が朽ちたのは既に体感しています。真理を知ったところで私が生き返るなんてことは・・・おそらく今私が動かしているこの体も私の魂が感じている虚構なのでしょう」
「惜しいですね、半分は正解と言ったところでしょうか・・・確かにあなたは今魂だけの存在です。この空間は本来存在しません。しかし、生き返らないというのは少し間違いかもしれませんね。単刀直入に言いましょう。あなたには別の世界で蘇ってもらいます」
「蘇る・・・シン国の宗教観にある転生のようなものでしょうか?」
「えぇ、そう考えていただくのが一番都合が良いかと・・・あなたの記憶などは引き継がれます。しかし、あなたが今から向かう世界はあなたがいた世界とは大きくかけ離れているものです。あなたの記憶や体験のせいで大きく混乱するかもしれませんね。今更ではありますがあなたには拒否権もあります。その場合はここで消滅することになります。さて、どうしますか?」
彼は震える手で顔を抑えながら肩を震わせる。そして問いに答える
「・・・フフフ・・・良い!素晴らしい!!そんな魅力的な誘いを断るはずがありませんよ!!
この身が第二の生を受けられるとは・・・私は煉獄に焼かれ消滅していくだけだと思っていましたが・・・
あぁ、楽しみで仕方がありません!私もやはり根っからの錬金術師のようですね、全く未知の体験が待っているということに心躍らずにいられません!」
「フフフ、気に入っていただけたのならよかった、早速ですがあなたにはその世界へと行っていただきましょう。何か私に聞いておくことはありますか?」
「そうですね・・・まぁなんとかなるでしょう、旅先でのアクシデントというのはまた楽しみの一つだと思いますしね・・・早々にお願いします。」
「分かりました、では」
と真理が彼の後ろを指さした
そこには黒い鉱物で出来ているであろう小さな両開きの扉があった。
「そこを通ればすぐにでも迎えます」
キンブリーは口の両はしを釣り上げながら扉に向かって歩み始める
「ありがとうございます。では機会があればまたお会いしましょう」
真理も同様の表情を浮かべ、そして続ける
「願わくば、また”人”として会いに来てくださいね」
「それでは良い旅を」
キンブリーが扉をくぐり、その扉はゆっくりと閉じ、やがて真理と共に白亜の海に消えた。
初めて書くのでクソみたいな文ですが、よければ今後共よろしくお願いします。
キンブリーさんが通った扉は真理の扉ではなく、旧アニメで登場したような異世界への扉のように認識していただけるとありがたいです。
なのでキンブリーさんは通行料を払ったりしていないし、真理も見ていません。