IS〈インフィニット・ストラトス〉 紅蓮の錬金術師 作:焼酎ご飯
皆さんお久しぶりです。
生傷の絶えない焼酎ご飯です(`・ω・´)
先々週はプラモを作って、指が血だらけ…
さて、多くの方が楽しみにしてくださってくれていたセシリアとの決闘になります。
戦闘描写は書き慣れていないため、結構ひどい出来になっているかもしれません。
少し長くなってしまったので、二つに分けさせていただきました。是非とも後半もご覧ください。
以前から登場する、ほか作品の名前のキャラについてですが、彼らは本人ではありません。
パラレルワールドのよく似た人程度に捉えて下さるとありがたいです。
それでは今回も誤字脱字の嵐かもしれませんが、生暖かい目で見守ってくださるとありがたいです^^
決闘当日
ぴっちりとしたスーツにヘソ出しという気色の悪い格好を晒した一夏と、何故か一緒にいる篠ノ之箒が何かわちゃわちゃと言い争っているが私の知るところではない。
教師陣はまだわかるのだが、何故か篠ノ之箒がいるのか…
「ISの練習もろくにできなかった上に、ISが到着しないなんて…あ、なんか頬を暖かいものが伝い始めた」
「嘘をつくな嘘を…練習は仕方ないだろ、お前の専用機はまだ届いていないんだから」
「それでも基本操作とか色々あるだろ?」
「…」
「目を逸らすなよ!チクショー!キンブリーはもう届いてるから練習とかできたんだろ!?」
「いえ、機動テスト以外では一切使用していませんよ。第一、起動時間300時間超えている相手に我々が数時間鍛えたところでその差が埋まるとも思えませんしね」
「え?じゃぁ放課後何してたんだ?あんまり姿見なかったからてっきりIS使ってるもんだと思ってたけど」
「相手は代表候補生です。模擬戦の映像や公開されているスペックなどを調べていたんですよ。あなたも何も調べていないなんてことはないでしょう?」
まぁ実際のところは機体データに関しては、研究の片手間に調べた程度だったのだが、成果は十分だった。
機体データはもとより、彼女自身の面白い過去を見ることができたのは僥倖だった。
「……え、あ、お、おう!あれだな、あれ…うん」
それにしても…彼はこれから戦うということに本当に自覚があるのだろうか?
まさか本当に何も調べていないとは…
あそこまでの啖呵を切っておいてこの体たらく…
「では逆に何をしていたんですか?」
「え、いや別に調べてないとh…箒と剣道していました…」
「篠ノ之さん?ISについて教えるんじゃなかったんですか?」
「ぐっ…あまりに一夏の剣道の腕が落ちていたからこれは止む得ないことで…」
まぁなんとも個人的な理由で…一概に一夏が悪いというわけではなさそうですね。
「それで、ISと剣道は関係あるんですか?」
「…ない…一夏、すまなかった」
「え…ま、まぁ無理に頼んだ俺も悪かったし……あれ?俺って断られたんjy―――――
「キンブリー、織斑のISが到着していない以上お前から先に戦ってもらうことになる。問題ないな?」
ドック内に織斑千冬の声がマイク越しに響く。
「えぇ問題ありません。むしろ大歓迎です」
「そうか…オルコットは既に準備を終えている。装着が完了し次第、カタパルトに立て」
「了解しました」
指示に従いISを展開する為、銀時計に意識を向け、1秒と経たない内に、オーギルの装甲が全身を包み始める。
今気づいたが、ISを装着する際、私はどうにも笑みがこみ上げて仕方ないようだ。
しかしあれほどの暴力を生み出す存在が、全身を包む形で具現化しているのだ、笑うなという方が無理な話だ。
だがその笑みもフルスキンの装甲の下である以上他人の目に映ることはない。
つくづく好感を覚える兵器だ。
そして銀の光をまき散らしながら展開を完了する。
「おぉ!…なんか凄いn―――――
「何をしているキンブリー!!"それ"を今すぐ止めろ!!」
織斑千冬の怒声がドック内を幾重にも反響する。
私以外の二人の肩がビクつく。
「ち、千冬さん?」
「何を慌てているんですか織斑先生?"これ"が人体に害を成すものでないことは機動テストの際に伝えられていたはずでは?」
「そういう問題ではない!もしも"それ"が作動したらどうするつもりだ!?」
「作動?さっきから何の話をしてるんだ千冬姉?」
「はぁ…まぁ誤作動なんて起きるはずもありませんが、わかりました。とりあえず準備完了です」
私は光の発生を止め、カタパルトに脚部を固定する。
正直な話、銃などの射撃兵器を展開している方が余程危険であることは確かなのだが、今の興奮状態の彼女に言ったところで、水掛け論になることは目に見えている。
「…はぁ…篠ノ之、織斑、ドックから出ろ」
「わ、わかった…あれ?千冬姉、扉反応しないんだけど」
「織斑先生だ。…仕方ない、手動の方から出てくれ。」
「?…わかりました。それじゃあなキンブリー、頑張れよ!」
「ありがとうございます。あなたも早く専用機が届くといいですね」
「そうだな!……そうだな……ま、まぁ落ち込んでても仕方ないし、また後でな!」
「えぇ、それでは」
二人がドックを出ると、アリーナへ続く巨大なハッチが上下に開かれ、薄暗いドックに陽の光が差し込む。
「カタパルト機動、ハッチ開放、いつでも出れます」
「すまないな山田先生。まったく…面倒な機能だ、この扉もわざわざ直結のコンソールで操作しているんだぞ?先程も言ったが、場所をわきまえて使え」
「それはすみませんでした、以後気をつけます。では相手側を待たせるのもなんですので、いつでも出していただいて結構です」
「わかりました、ではカウントに入ります。5カウントで発射します5…」
カタパルトからエネルギーが伝わっていくようなモーター音が鳴り始める。
IS同士の戦い…死と隣あった戦いでは無いものの、あの圧倒的力がぶつかり合うのだ…心躍らずにはいられない。
「…2、1」
急激な加速により全身に体に軽くGが掛かる。
だが今の私にはそれすらも心地よく感じるほどに気分が向上している。
カタパルトからアリーナへ投げ出され、低出力で光の翼を展開しながら加速を殺さないままにアリーナの中央まで飛ぶ。
観客席には多くの生徒がおり、オーギルの登場によりざわつき始める。
「随分と遅い登場ですのね…逃げ出したかと思いましたわ」
十数メートル先で専用機、ブルー・ティアーズを纏ったセシリア・オルコットが"通信"で私に語りかけてくる。
「一夏の専用機の件で少し手間取りまして…地球温暖化や税金の無駄遣い、私が遅れたのも含めて全て一夏が悪いのです。なので私に責はありません」
「それなら仕方ありませんわね…それにしても…フルスキンに非固定浮遊部位もない旧世代機の癖に見た目だけは美しいのですわね」
「お褒めいただきありがとうございます。しかしあなたの機体も名前に違わない美しい機体ですよ…映像で見るより遥かに…」
「ふふん、私のISですもの当然ですわ。それにわたしのISは見た目だけではありませんわ!最新技術を結集して完成した第三世代機のブルー・ティアーズ…それがそのようなビジュアルだけのアンティークに勝利しても何の自慢にもなりませんわ」
ご自慢の第三世代兵器を見せびらかすかのように、非固定浮遊部位を翼のように大きく広げる。
私のオーギルに張り合っているつもりなのでしょうか?
見方によっては酷く滑稽である。
「…ご心配なく、あなたはこの戦いで自慢できるようなことは何一つ得られません。何せ最新鋭機を操るベテランが、貴方の言うアンティークを操るアマチュアに敗北するのですから」
「っ!…口だけは達者なようですわね…もうひとりと違って少しはマシかと思っていましたが…いいですわ!そんな愚かしい態度を取れるのも今のうち、徹底的に叩きのめして吠え面かかせて差し上げますわ!」
「そうですか、それは楽しみですね」
彼女は手に持ったレーザーライフル、スターライトmkⅡをこちらに構える。
随分と堪え性のないことだ…"プライド"が強すぎると言うのも、さぞ生きづらいことだろう。
彼女の構えに対して、マウントレールに単発のフレシェット弾を装備した大口径ライフルを展開する。
『両者共に準備はいいな?ブザーがなった瞬間から戦闘開始だ』
ピ、ピ、ピ、ビーーーーーーーー!!
けたたましいブザー音が鳴り響くと同時に、青い光が私の顔のすぐ横を突き抜ける。
「あら、てっきり少しは動こうとするかと思っていましたけど、避ける余裕もなかったのかしら?」
「初めから銃口がこちらを捉えていない射撃を避ける必要はないでしょう。こちらも状況開始といきますかね」
オーギルの"光"の翼を展開しライフルを軽く構える。
翼の"出力"が低い為、1~2メートルの光の翼が展開される。
「とことんビジュアルに飛んだ機体ですのね…それがなんなのかは知りませんが、仕掛けてこないのなら私からやらせていただきますわ!」
ブルーティアーズの非固定浮遊部位から四機のビットが分離する。
「さぁ踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとブルーティアーズが奏でるワルツで!」
青い光が降り注ぎ、数発のレーザーを被弾し、機体に強い衝撃が走る。
視界にダメージ警告が表示される。
回避するべく緩急をつけた動きで、アリーナ内を"大きく"飛び回る。
「先ほどの威勢はどうしましたの?この程度の射撃、初撃を見切ったあなたなら躱せるのではなくって?動いてい『ザザッ』では勝つどころかダメージすら与えられませんわよ!」
ビットによる攻撃は先程より激化する。
数多のレーザーが視界を飛び交い、時折機体を強い衝撃が揺らす。
強い力がぶつかり、鼓膜を揺らすこの感覚…久しく感じていなかったこの感覚…悪くないものだ。
だが…まだ足りない
「フフ『ザザッ』…フフ…フハハ…ハハハ『ザザザ』ハハハハハハハハハ!!」
「な、何がおかしくって?!」
「いえ…そうですね、"今"は避けているだけでいいんですよ『ザザッ』"今"はね」
そう…こちらが必死になって避ける必要もなくなり、更なる力を奏でることができる…
ワルツなどと言っている間に、フィナーレの準備は整いつつあるのだから…
◇◇◇
何かと癪に障るこの男
もう一人の男と違い、何かしら見下しているように感じるあの態度…
今も武装を展開しているにも関わらず、一切こちらに攻撃してこない。
男のくせに戦いにでまで見せるこの余裕が気に入りませんわ…
「っ…なかなか当たってくれませんのね…」
「私もそう簡単に落ちるわけにはいきませんからね」
そしてその余裕を裏付けるかのように、初心者とは思えない操縦でスターライトmkⅡのレーザーをことごとく躱していく。
相手の技量を見誤っていたということもあるのだが…心なしかロックオンが少し"遅く感じる"こともあり、なかなか命中しない。
「それなら…っ!ブルーティアーズ!!」
非固定浮遊部位からブルーティアーズを放ち、ビットによる攻撃を開始する。
「さぁ凌いでみなさい!ブルーティアー『ザザッ』のワルツを!!」
ビットによる多角度からの断続的攻撃、この攻撃を避けられるはずもなく放たれたレーザーが数発命中する。
その度に相手のバランスを崩すが、持ち直しが早く、畳み掛けることができない。
ビット攻撃を見ても冷静に対応してくるあたり、下調べはぐらいはしてきたようだ。
しかし攻勢に出たことは間違いなく、その勢いを殺さぬようビットの操作に集中すべく、相手の上方に陣取り反撃を許さぬよう、攻撃に集中する。
それにしても…先ほどのロックオンもそうでしたが、ビットの操作もなにか…少し重いような感覚がある。
入学してからISを触っていなかったせいなのでしょうか?
だがそんな気のせいかもしれないことで相手に遅れを取る私ではありません!
「どうしました?先ほどのようにお避けになられては?それとも、やはり口だけだったのでしょうか?」
「フフ…なかなか、全て躱すと『ザザッ』ると上手くはいきませんね…さすがは代表候補生、"この状態"でも的確に当ててきますね」
…これですわ…
「ならさっさと落ちてくださいませんか?私もいい加減煩わしいんですが…!!」
「っと!随分と攻めの攻撃パターンになりましたね…これは…っ、避けづらい…!」
…この嘲笑うかのような…
「ですが落ちることはでき『ザザッ』せん。こんな愉快な時間をそんなつまらない幕引きで終わらせるなど…落ちるのはあなたです。ですがご安心を、あなたのワルツに見合う盛大なフィナーレを用意しておりますので」
…何もかも見下したこの態度が気に入りませんわ…!!
ビットを戻し、相手の上方から指差す。
「今追い込まれているのはあなたでしてよ!?もうシールドが半分も残ってないと見えるあなたが私を『ザザザ』ち負かすなどと…片腹痛いですわ!第一?先程から攻撃すら仕掛け『ザザッ』きませんけど、その銃は飾りで『ザザザ』の?もしや撃ち方すら知らないのでは?『ザザザ』…
ってさっきから何度も何度も、このノイズはなんですの?!」
言葉を遮る不愉快なノイズにフラストレーションが一気に溜まっていく。
最初は気にも止めなかったが、ISの通信にここまでひどいノイズが入れば誰だろうと異常に思う。
「…なるほど、そろそろですかね」
ここまで相手が何も仕掛けてこず今の発言…私の気づかぬ間になにかノイズを発生させる原因を作っていたということに…
「何をする気か知り『ザザッ』せんが、そろそろ終わりにして差し上げますわ!ブルーティアーズ!」
眼前の敵を叩き落とすべく再びビットを放ち、相手の周囲を移動させる。
だがこの時…何かが致命的におかしかった。
「っ!?」
ビットの反応速度が決定的に遅い…
自分の体感でもわかるほどに遅く、命令と動きに大きなラグがあった。
射撃タイミングを完全に違えた複数のレーザーは、虚しく空を切る。
「…おや?」
無機質な赤いカメラアイが、こちらを射抜くように見つめる。
ゾクリと全身に悪寒が走る。
一瞬…何か得体の知れないものに心臓を掴まれたかのような感覚に襲われる。
ISの精神抑制があるにも関わらず、全身が強張り、冷や汗が吹き出した。
「どうかしましたか?随分と動揺しているように見えますが?」
「な、何をしましたの?…さっ『ジジジ』から入るこのノイズに、この異常…」
「お答えすることはできません…そんなことより、この戦いも随分と長くなってしまいましたね…あなたの要望に応えるためにも、そろそろ終わりにしましょうか」
オーギルの翼から光が消え、ゆっくりと飛翔し始める。
それを追うようにビットによる射撃を再開する。
オーギルはそれを躱しながらも尚上昇を続ける。
命令に多少ラグがあるものの、動きに異常をきたしたわけではない…これだけで私が敗北するという道理はない。
「な、なんの強がりか知りませんけど?『ジジジッ』依然として有利なのはこの私…決してあなたではなくってよ?あなたが勝つなんて万が一にもありえませんわ!」
射撃中のビットの動きを一瞬止め、相手を打ち抜くべくライフルを瞬時に構え、トリガーに指をかける。
「どんな策を用意していたかは知りませんが、これで終わr―――――
「そうですね、これで終わりです」
ピシッ
何かにヒビが入ったような…そんな音がアリーナに静かに鳴り響く。
そしてその微かな沈黙を破るかのように…
全てのビットが鮮やかな爆炎に彩られながら爆散した。
「…へ?」
意識がオーギルから離れたその刹那、ハイパーセンサーが捉えるすべての視界が紅蓮に染まる。
シールドがあるにも関わらず、全身を握り潰されたかのような衝撃が体を駆け巡り、ついに私の指がトリガーを引くことはなかった。
前編終了です。
後編に続きます。