IS〈インフィニット・ストラトス〉 紅蓮の錬金術師 作:焼酎ご飯
傷ではありませんがエアコンで体調を崩して凄まじく腹痛です。
さて、今回もあまり進みません…ごめんなさい(´;ω;`)
キャラ崩壊発生なども多々あると思いますが、ご容赦を…
「あ~…マジで糞たるかったわ~…川尻ぃ、早く帰んぞ」
「木原さん、もう少し穏便にはすまなかったのでしょうか?止めるの忘れてた私も私ですが…」
オーギルの受け渡しが終了し、学園内の駐車スペースに到着している。
コンテナは別便で回収するため、我々は通常便で本社に帰投することになる。
「つか俺なんか向かわすなよ…開発関係者なら俺以外に適任がいんだろ?」
「幹部ならあなたか主任ということになってしまうので…言えば喜んで来そうですが…なんと言いますか…それが逆に困るというか…」
「…自分で言うのもなんだが、俺と主任の対話能力比べるんだったら五十歩百歩だろ?なら主任でもよかったじゃねぇか」
二人で大型のバンに乗り込み、エンジンをかけ車を動かす。
「はい、正直に言いますと確かにそうなんですけど、彼も社長d『ッ―――――!!ッ―――――!!』」
突然、両鼓膜をプレスされたかのような大音量のメタルが車内のスピーカーから再生され、車を止め咄嗟に耳を押さえる。
この音響テロの犯人は言うまでもなく木原さんで、今まさにボリュームを上げているところだ。
「木原さん!?さすがに音でかすぎるんですけど!?止めてもらえませんか!?」
私の必死の訴えも虚しく、彼はプレイヤーを止めることなく、凄まじい音が車内を反響し続けている。
すると彼はコンソールを取り出し、小さな立体画面を私に見せる。
『バグ取り付けられてる。ちょっと我慢してろ』
!!…なるほど…その対策にこの爆音ですか。
私は一切気づくことができなかったが、彼は乗車して数秒で違和感に気づいたようだ。
私と彼で数分車内を調べると、三つの盗聴器が発見された。
彼はその盗聴器をいじり、コードをむき出しにすると、コンソールの端末に繋いだ。
よく考えると盗聴器自体をいじるのなら別に音響テロを起こす必要もなかったのではないだろうか?
私はメモ帳を取り出し、彼に筆談で問う。
『それは何を?というかそれいじってしまうのであれば、このメタル必要ないんじゃないですか?』
『あれだ、こうした方が相手ビビるだろ?それに今の手持ちじゃ逆探とかできねぇからな、とりあえずお仕置きしといた』
『お仕置き?』
『今頃相手さんは俺が流してる音声暗号の解読してるんだろうよ』
『音声暗号?内容はどういったもので?』
『解読すると、『今夜のうちの晩御飯はしゃぶしゃぶです』とかいう糞どうでもいい情報が表示されるわけだ。ちなみに俺の晩飯はしゃぶしゃぶじゃねぇ』
『つまり意味はないと?それまた悪趣味な…しかしそれでは相手側のことを探れないのでは?』
『車は本社に帰るわけじゃねぇのに車内に仕掛けられてたんだ、相手もそれぐらいはわかるだろ。というより学園内で仕掛けられたっつーことは、間違いなくコンテナの方にも仕掛けられているはずだ。そっちの方弄り倒した方がやりやすいってわけだ』
『なるほど…では本社に連絡入れておきましょうか?』
「おう、頼むわ」
コンソールの操作を終え、盗聴器と端末を後部シートに放り投げる。
スピーカーのボリュームを下げ、車を再び発進させる。
携帯で連絡を終え、再び車を発進させる。
「それにしても、どこなんでしょうね…こんなこと仕掛けてくるところって」
「学園本体か、どっかに所属してる生徒か…国家間の問題持ち出せねぇのによくやるこって」
「そうですね。国家間の問題に関与している組織じゃないにしても、検討もつきませんね」
「だから今どうこう言っても仕方ねぇよ。どうせ戻って主任に指示仰ぐことになるんだ、あの人もたまには社長っぽいことしてもらわにゃならんだろ」
「まぁ自分一人で解決してしまいそうではありますが、そうですね」
「んじゃさっさと帰んぞ。主任が大佐殿の機動データ欲しがってるしな」
「えぇ、それもそうですね。あなたと違ってこの学園と離れるのは少し名残惜しい気もしますが、出るとしましょうか」
「お前頭沸いてんじゃねぇのか?こんな場所にあと数時間でも居させられたら気が狂うわ」
「いえなに、美しい…の女性を見るのはとても気分がいいですからね」
「あぁそうかい。とりあえず俺は寝るから、着く場所着いたら起こせ」
そう言うと彼はシートを倒し、睡眠体勢に入る。
先ほどの解説などでもそうだったが、この人は縦横無尽すぎる…だが如何せん技術、発想ともに良い意味でぶっ飛んでいるため別段罰せられるようなことはない。
彼の傍若無人な態度でどうこう言われるのは私であって彼ではない…フフフ…はぁ…
私はそんな幸せ大放出なため息をつきながら、車を加速させる。
◇◇◇
同日、学園内
物々しい机が扉の正面に構えられた応接室
室内は薄暗く、窓から射す夕陽の光だけが室内を照らしている。
そんな室内でふたりの女生徒が応接セットを挟んで向かい合っている。
「…お嬢様、先ほどの車内盗聴器の暗号解読が終了したらしいです」
ヘアバンドで前髪を上げたヘアスタイル…暗闇で夕陽が反射する眼鏡…
活発というよりは知的なイメージを受けるその女生徒はインカムを軽く操作し、対面する女生徒に通信内容を伝える。
「あら、結構時間がかかったのね。それで?それだけ時間がかかった暗号なら内容が気になるところなのだけれど?」
扇子を開く青髪の女生徒。
扇子で口元を隠しているものの、怪しい笑みを含んだ目が見て取れる。
「『今夜のうちの晩御飯はしゃぶしゃぶです』」
「は?」
先程のようなミステリアスな雰囲気は一瞬で胡散し、扇子の端から除く口はポカンと開いている。
余程予想外な返答だったのだろう、その部屋だけ時間が止まったかのように沈黙が支配する。
「コホンッ……今私はあなたの夕食の話を聞いたわけじゃないのだけれど?別にあなたが妹と楽しく鍋を突こうと、妹と不仲の私には関係ないわ…ぐすん」
「いえ、別に私の夕食の話ではありません。あと一人で言っておいて勝手に凹まないでくださいお嬢様」
「じゃあ何なのよ!私への当てつけじゃないって言うんならその雰囲気ぶっ壊しの謎発言はなんなの!?虚はそんなアグレッシブなボケをかます子じゃなくて、なんか…こう…クールビューティーだったでしょ!?」
応接セットの机を勢いよく叩き立ち上がる青髪の女生徒。
IS学園生徒会長にして、生徒最強の称号を持つロシア代表のIS操縦者、更識楯無。
表向きは生徒会長、代表として行動しているが、その実態は暗部に対する対暗部用暗部『更識家』の当主である。
家のことやその他もろもろによって、先に挙げられたように妹とは不仲だ。
「褒め言葉として受け取っておきます。そして先程私が伝えた言葉ですが、暗号解読をした結果あのような意味不明な言葉だったとの報告です」
そして彼女とは対照的にまったくもって冷静な眼鏡の女生徒。
IS学園生徒会の会計を務め、学年主席、布仏虚。
布仏家は代々更識家に仕えている家庭で、楯無に直接仕えている。
先に挙げられたように妹とは仲は良好で、鍋を一緒につつくほどには仲がいい。
「ますます意味分からないわよっ!!完全におちょくられてるじゃないそれ!!」
「落ち着いてください。…あ、たった今入った報告なのですが、ゾルフ・J・キンブリーの部屋に仕掛けていた機器の反応が全てロストしたそうです」
雰囲気もくそもないので、室内の明かりをつけデスクワークに戻るため応接セットから移動する虚。
「ガッデムッ!!車どころか部屋のやつまでバレてるじゃない!!今日の機動テストも入り込めなかったし、キンブリーって子に対してはまったく追加情報が集められないじゃない!この短期間で全部バレるってどうなの!?ぜーはーぜーはー…」
またもや対照的に、頭を抱えて応接セットの上で体をねじっていたかと思うと、今度は息を切らしてソファーに深く沈む楯無。
無理もない。本来そう簡単にバレるはずのない暗部としての力を使って仕掛けたものが短期間で殆ど壊滅し、めぼしい情報もまったく手に入らずにその機能を終えたのだから…
大部分はしゃぶしゃぶが原因だが、彼女は大きくため息をついてソファーに身を任せる。
「随分余裕がありませんね。正直見苦しいですよ?お嬢様」
「そりゃあなたしかいないもの、変につくろう必要も無いでしょ?あ~、それにしてもどうしようかしら」
「情報収集ですか?」
「えぇ、織斑くんは放っておいてもある程度集まるでしょうけど、彼がねー…コンテナの方は生きてるのよね?」
「はい問題ありません。それ以外にできることといえば人を使って彼に接触するか、機体外側からの解析ぐらいではないでしょうか?彼の経歴に関しましても、これ以上掘り下げても何も出てきそうにありませんし」
キンブリー…第二のIS操縦者に関しての情報…
一人目の織斑一夏は人間関係から鑑みてISを操縦できる原因がどこかにあると考えられるのだが、二人目に関してはその一切が当てはまらない。
しかし出生に関して不明な点が多々ある。
両親は幼い頃に亡くなり、里親が存在したが、その人物も既に他界したことになっている。
戸籍や親族の情報は確かに存在するが、痕跡が一切存在しない。
その後の経歴は、このご時世にも関わらず怒涛の昇格を重ね大佐にまで上り詰めている。
余りにも不自然なその経歴…だが叩けども叩けども埃は出ず、それ以上の目星い情報は一切出てこない。
IS操縦者であり、謎の経歴を持つ男…だがその調査は尽く行き詰まり、停滞していた。
「そうね、代表決定戦をするらしいしちょうどいいわ…フフフ、待ってなさいキンブリーくん!あなたとあなたの機体、その合切をこの私更識楯無が暴き通してあげるわ!」
だがその停滞に対抗意識を燃え上がらせる楯無は三度立ち上がると応接セットに足を乗せると、扇いでいた扇子を畳みどこでもない虚空にビシッと突き立てる。
見ようによっては滑稽なその一連の動作を見届けた虚はため息をつき、再び机に顔を戻す。
「方針も決まったところでお嬢様、そろそろ会長に戻ってもらえますか?あとその足の下にあるテーブルも拭いておいてくだs―――――
「そうと決まれば早速準備ね…それじゃあ虚、あとは任せた!!アデュー!!」
ガチャッバタン!
「…」
残像ができるほどの勢いで扉を開けて出て行き、生徒会室を沈黙が支配する。
ピッピッ…
携帯を取り出し耳に当てる。
「…あ、本音?今日一緒に鍋しない?…友達も?いいわ、私の部屋で待ってるから…うん、それじゃあね」
携帯をしまい椅子に深々ともたれため息を着く。
「あとは晩ご飯風景をお嬢様に送るだけ…ふっ」
眼鏡を不気味に光らせ勝ち誇った笑みを浮かべながら再びデスクワークに没頭する虚。
尋常ではない量の書類を捌くのに多大な精神力を労したが、翌日写真によって楯無が受けた言えもない敗北感に比べれば屁でもなかった。
そして決闘当日
「ねぇ虚…最近私のカリスマが著しく低下している気がするのだけれど…」
「そうですね。最近失敗続きですからね」
観客席の一角に簡易的な撮影設備が設置され、その横で双眼鏡を除く生徒会の二人。
「ていうかあれ何!?せっかくこんな機器まで用意したのに、戦闘開始したらすぐに使えなくなるってどういうことなの!?」
「通信機器も圏外になっていましたし、ジャミングの一種では?」
試合開始数秒後、用意した解析設備は使用不能になり、携帯などの通信端末も圏外になった。
今現在…正確にはアリーナ内で発生した大規模な爆発後、すべての機器の昨日は回復したのだが…
「今日こそは機体データだけでも集めてやるつもりだったのにぐぬぬ…そもそも決闘あるんだったら訓練ぐらいしなさいよね!てか訓練してないのになんで初心者が代表候補生ボッコボコにしてるの?謎すぎるわ…」
「確かに、彼の情報は全くと言って手に入りませんね…望遠カメラでの室内の監視も大した情報得られませんでしたしね。対戦相手の情報を調べること自体も普通でしたし、本音から少し聞いた話でも、別段変わった様子は無いようです。強いて言うならテレビゲームで遊んでいたことと、"食事の管理レポート"のようなものを書いていたことが、なんというか意外でしたね」
室内に仕掛けた盗聴・盗撮機の類が全て取り除かれた後、室外からの望遠カメラによる監視のみとなっていた。
全てが監視できていたわけではないが、特筆しておかしな行動を取っていた様子はなかった。
「そうよね~…そんなことわかったところで、秘密でもなんでもなさそうだしね~」
「はい。生徒会長の仕事ぶりの方が余程脅しには向いているほどに普通の内容ですからね」
「う…だって彼が全く尻尾を出さないんですもの…ある程度情報集まったらちゃんと全部処理するから…そんな養豚場のブタでもみるかのように冷たい残酷な目はやめてくださいお願いします」
扇子で顔を半分隠し、ガクブルと震えながら目線を泳がせる楯無。
まるで本来の立場が逆転しているようにも見えるが、会計と会長の仕事を同時にこなす虚が投げ出さないでつきあてくれているだけでも有情と言える。
これが会社ならば即労働基準局に駆け込む程のハードワーク…そんな仕事を確実にこなす彼女に文句など言おうものなら毎日妹との仲良し写真が彼女の元に送られることになるだろう。
「はぁ…まぁいつものことなんで構いませんが…はぁ…」
「…え、えぇ、わかってるから…(くっ!こんなっことになったのも全てそこの謎ドイツ軍人のせいよ!今度椅子にアロンアルファ塗っておいてやろうかしら)」
迷惑千万、見当違いもはなはだしい恨みを込めた視線をハッチに戻るオーギルに送る。
そんな理不尽な理由で睨みつけ、とんでもないことを考えながらも、設置していた分析機器の片付けを終える。
「さって、今回も不作だったし、戻るとしますか!」
「おや、ということは時間があるということですね?さぁ仕事をしましょう仕事」
「ちょ!あなたワーカーホリックみたくなってるわよ!?」
「誰のせいですか誰の。戻りますよ会長」
「歩けるから!自分で歩けるから離してくださいお願いします!」
虚が楯無を半ば引きずるかのように、ふたりはアリーナを後にする。
◇◇◇
「む?」
ハッチに入る直前、何か物凄く理不尽な敵意にさらされた気がし振り返る。
「…気のせいでしょうか?」
『どうしたキンブリー、さっさと戻ってこい』
「えぇ、了解しました」
ドック内に降り立ち、ISを解除する。
それと同時に重い金属音を響かせながら扉が開き、織斑千冬がドック内に入る。
「代表候補生によく勝利したな…落ち着いた回避能力、認識能力は評価に値する」
言葉に反し、その顔はいつもの2割増ほど眉間にシワが寄っている。
どう見ても相手を褒める顔ではない。
「あなたにお褒めを頂けるとは、感激ですね」
「あとは慣れだろう…だがあえて一つ言わせてもらうとするのなら、過剰攻撃だ。相手の武装破壊、一部装甲の損傷度B…いくらお前が初心者といえど程度が分からないということはないだろう?」
「私の武装は現時点でフィルムとライフルのみです。決着の攻撃に関しましても武装の都合上仕方のないことかと…それに相手の武装がナイフのみになったからといって、降参を促すような真似は私にはできません。そのような行為は彼女に対して、この決闘に対しての侮辱と言えます…あなたとて学園の公正な決闘をそんなくだらない幕引きで終わらせたくはないでしょう?」
「降参させろという意味ではない。お前のセンスなら相手を殴り飛ばすこともできただろう?あのライフルでは明らかにオーバーキルだ。現にオルコットは回収されるまで気絶状態だったと聞いている。教師にとっては生徒の安全の方が優先される。今回は武装の都合上仕方なかったとは言え、今後やるすぎることがないようにな」
あれだけ引っ叩いておいて生徒の安全と抜かすとは…
まぁ彼は生徒というより弟ですかね。
第一、試合を容認する時点で安全の保証などとうに消え失せている。
「まぁ以後気お付けます。そういえば、次の試合はどうするんですか?彼女は意識が回復しているそうですが、機体の損傷はすぐにどうにかできるわけでもないでしょう」
「ブルーティアーズの武装はスペアが用意されているそうだ。機体の損傷に関しても、翌日までには問題なく使用できるようになるはずだ。換装と本人の回復も込で、織斑の試合は明後日ということになった」
「なるほど…ところで彼の専用機は?私が知る限りではまだ届いていない様子でしたが?」
専用機が届いていたとしたら試合をさせるつもりだったのだろうか?
いや、そもそも決闘を予定した当日に学園側が機体を用意できていないというのはどうなのだろうか…部屋割りの件や生徒への対応もそうだが、この学園は何かとずさん過ぎる。
「お前の試合が始まってすぐに届いた。試合が長引いたことも幸いで、あいつにはフォーマットとフィッティングを終えさせておいた」
「…試合に彼の専用機が間に合ったらどうするつもりだったんですか?」
「さすがにフィッティングが済んでいない機体を出させるつもりは無い。お前に出てもらっていたさ」
やれやれといった具合に首を振る彼女。
…なぜだろうか、物凄く胡散臭い。
「しかし…お前が勝ったということは、クラス代表は十中八九お前ということになるな」
「おや?あなたの弟が勝つという確率もあるのでは?聞く話によれば入学試験で教官相手に勝利したそうではありませんか。私は倒せませんでしたし、彼のほうが勝率として高いのではありませんか?」
「あれは教官側が自滅しただけだ。それにお前は山田先生と拮抗した戦闘をしたんだ。同じ試験として比べること自体が間違っている。だいいち、慢心していない代表候補生にど素人のあいつが敵うはずないだろう」
確かに、彼女は慢心がなければ私ももっと追い込まれていただろう。
それにしても、彼女の口ぶりからして、やはり山田先生は教員内でもかなりの実力を有しているようだ。
だが彼女の性格上、教師として損をしているように見えてしまう。
一度生徒に分からせるためにも、教員の実力を示す機会を設けるべきだろう。
「そうですか。まぁ彼が勝つにしろ負けるにしろ、私はクラス代表というものを辞退させていただきます」
「…軍が理由か?」
「えぇ、その通りです。随分察しがいいですね。いつ招集がかかるかわかりませんので、クラス代表という立場はなにかと都合がつかないので」
「そうか。その件についてだが、お前の試合中学園に軍への帰還令が伝えられた」
「軍から?…少し失礼、連絡を確認してきます」
ドックから離れ、ロッカールームで自分のロッカーを開く。
上着から端末を取り出すと、軍から…ペンウッド大将からのメッセージが来ている。
内容は明かせず、急ぎの用事…企業ではなく軍から…
しかも入学して間もない時点での彼からの連絡ということは…
これは非常に面白いことになるかもしれませんね。
「すみません。戻りました」
「早いな、そんなにあっさりした内容だったのか?」
「まぁそんなところです。その様子だとやはりあなたには内容は伝わっていないようですね?」
「そうだ。我々が知る必要があるのはあくまで学園を出る理由だ。軍の機密まで漁るようなことはしない」
「そうですか、それはありがたい。では伺っているかはわかりませんが、呼び出しは急ぎの用件のようです。すぐにでも向かいたいのですが、構いませんか?」
「あぁ、もとよりそう対応する予定だ。学園を離れている間は公欠扱いだ。感謝しろよ?…それにしても仕事という割には随分と上機嫌に見えるが、そんなに自国が恋しいか?」
態度が表に出てしまっていましたか…
だがこれだけ愉快なことが続くのなら浮かれるなという方が無理な相談だ。
「いえ、自国に帰ること自体には何ら感情は抱きませんが、私は仕事が趣味のような部分がありまして…久しぶりの"お仕事"が楽しみで仕方がないんですよ」
「フッ…なるほど、それで昇進するわけか。羨ましい性格だな」
「おや、あなたは今の仕事を楽しんでいないのですか?あなたの称号があるのなら仕事は選べた上で今の職場に落ち着いているのでは?」
「やりがいが無いというわけではない。ただやりたいことだけをできるというわけではないからな…」
「そんなものですよ。仕事を楽しむにはそれを含めて楽しめるようになったほうが得ですよ?」
「子供のくせに随分と達観したことを言うじゃないか」
「そうですね。今の私は言ってもまだ子供でしたね…さて、そろそろ戻ります」
「む、そうか、申請は通してある、あとは好きに出るといい。クラス代表の話は私から伝えておこう」
「ありがとうございます。それではまた数日後に」
彼女は事を伝え終えると、ドックを後にした。
それを確認した私は、ロッカールームに入り制服に着替える。
移動中誰に出会うということもなく、鼻歌交じりに自室に到着する。
自室に入ると、"仕事着"に着替え、最低限のものと漫画を数冊鞄、盗聴器の類が入った袋…そしてある"レポート"を持ち出す。
白いコートが海風を受けはためく。
IS学園を背に白い帽子を軽くかぶり直す。
「さて、久しぶりの仕事をしましょうか」
指の関節を鳴らしながら、前方へと伸ばす。
両手のひらの刺青をゆっくりと撫でながら、私はIS学園を後にした。
さて、今回は生徒会のお二人が登場しましたね。
そして未だ大人気の木原くん…正直書くのが怖いです((((;゚Д゚))))
今回も誤字脱字の嵐かもしれません…m(_ _)m
コメント、感想、誤字脱字の指摘、ご意見等ございましたらいつでもお待ちしております^^