IS〈インフィニット・ストラトス〉 紅蓮の錬金術師   作:焼酎ご飯

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遊んでました!!!

ゴメンナサイ!!!

以上!!!





交錯

 

 

 

 

 

『M、調子はどう?』

 

 

夜の帳が下り、周囲に何もない上空では静寂が舞い降りる。

そんな中、忌々しくも聞き飽きてしまった女の声がISを通して聞こえる。

 

 

「良好だ」

『あなたの初陣をこんなくだらない仕事の拙攻に出して申し訳ないのだけれど、我慢して頂戴』

「フン、まぁいい。やっとISを寄越したんだ、これぐらいはやってやる」

 

 

今私はISに身を包んでいる。

組織が最近盗み出したイギリスの第三世代ISであり、夜の闇に舞う妖艶な蝶のようなISだ。

 

絶対的な力、私が製造された目的…それこそがIS

憎らしくもあるがこれのために作られた体故か、私の精神はいつになく落ち着き安らいでいる。

 

 

『そうしてもらえると幸いよ。さて、そろそろ時間だしもう一度軽く説明しておくわよ?今回のターゲットはドイツ軍のIS開発の技術者。これの身柄確保及びISと技術情報の取引よ。彼らの安全が確保されたら本隊が到着するまで周囲の警戒に徹してもらうわ。最初に伝えたとおり、何かイレギュラーがあれば彼らを殺してISを奪取しても構わないわ』

「それはこちらとしてもありがたいが…いいのか?身柄の安全を保証する代わりに技術提供を約束させたのだろう?ISは手に入るかもしれないが殺してしまっては元も子もないだろう?」

『大丈夫、ISが手に入るだけでも儲け物よ。それに相手の取引材料はISと技術情報よ?いくら技術者と言えどISのパーツなんていう精密機器を記憶だけで製造するなんて無理な話よ。何かしらの記録媒体を所持しているはずだからそれさえ回収すればこちらでもどうにかなるはずよ。でも相手が生きているに越したことはないから無闇に殺すようなことは控えてちょうだい』

「了解した…そろそろ目的地付近だ。通信を切るぞ」

 

 

バイザーのような頭部パーツが下り、スラスターの方向を少し修正し目的地上空へ向けて加速する。

ライフルを握り直し、射出前のビットにエネルギーを伝達させる。

 

 

 

 

数秒後、見えてきたのは少し開けた丘のような立地

そしてそこには現在では使用されていない寂れた廃倉庫が立っている―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――はずだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ…これは」

 

 

 

 

 

そこにあったのは殆ど鉄骨と屋根しか残されていない最早建物かどうかすら怪しい廃墟が晒されていた。

 

だが異常なのはそれだけではなかった。

廃墟のすぐ横では赤い円形の図形が描かれ、その端々に今回のターゲットであろう技術者達が規則的に並べられている。

まるでカルト宗教の生贄のようにも見えるそれの前には二人の男が立っている。

 

 

(一歩出遅れたか…だがなんだあの惨状は?一人の男は軍人のようだが、もうひとりは…周囲に敵の反応はなし、強襲してISだけでも奪うか)

 

 

異常性は感じるが、それで目的が変わるというわけではない。

癪ではあるが再びあの女に指示を仰ぐことにした。

 

 

「聞こえるかスコール?」

『あら、どうしたの?何か異常でも―――――

 

 

 

 

 

『『『警告!!下方より超高圧縮エネルギー反応感知!!』』』

「「「ガアアアアアァァァァァッアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」」」

 

 

「ッ!?」

 

 

全身から冷や汗が吹き出る。

通信を遮り鳴り響く警告アラートと大絶叫が不快に鼓膜を揺らす。

眼前に現れ瞬く間に増加していく警告ウィンド。

警告の原因である眼下に目を向けると、そこには雷のような形をした凄まじい光を発する理解不能な現象が発生していた。

技術者達は血液とともにあらん限りの絶叫を唱え、それに呼応するかのようにうねり、収束する光の束。

 

 

「くっ!?」

 

 

それがなんであるかなどこの際どうでもよかった。

恐ろしい何かだ…ただそれだけはわかる。

この場であれほどまでのエネルギー収束を見せたのだ、私を標的にした攻撃と見て間違いないだろう。

そして規模から考えて間違いなく避けきれないだろう…そうなれば残る行動は一つ。

そう一瞬で判断するやいなやビットとライフル、その全てを展開し目標に対してトリガーを引く。

放たれた数多の光は目標一帯に降り注ぎ、その異常空間を焼き尽くした。

 

 

「はぁはぁはぁ…っはぁはぁ…」

 

 

土煙が舞い、視界が遮られる。

警告アラート、ウィンドが徐々に消えてゆき、あたりに再び静寂が戻り始める。

 

 

 

 

 

―――――ッ―――――ムッ―――――エムッ!!聞こえてるの!?エムッ!?』

「へぁ?………あ、あぁ…聞こえている…どうしたんだ?」

 

 

 

 

 

IS越しに聞こえる大声にふと我に返る。

無我夢中に攻撃を行ったが…どうやら自分は無事なようだ。

ライフルを持つ手はISの精神抑制があるにも関わらず微かに震え、少し前までの落ち着きも失われ、自分でもわかるほど落ち着いていないことが分かる。

 

 

『どうしたんだ?…じゃないわよ!あなた大丈夫なの!?それにさっきの警告アラートとさっきの叫び声、一体何があったの!?』

「あ、あぁ……敵の攻撃があった。それで防衛のために攻撃を行ったんだが…ターゲットは恐らく全滅s―――――

 

 

 

 

事の顛末を伝えようと口を開いた瞬間、土煙の奥から視線を感じた。

 

紅い眼光

 

射殺すようなそのプレッシャーに私は首を絞められたかのように息を詰まらせる。

 

 

「っ…あ…」

『M!エムッ!!よく聞きいて、すぐにそこから撤退しなさい』

「な…あ…ISはどうす―――――『今のあなたの状態じゃ無理よ。何があったかは戻ってから聞くから今すぐそこを離れなさい!』

 

 

体を貫くかのような視線の元である土煙が完全に晴れ、白い天使のようなISが姿を現す。

その神々しさとは裏腹に、赤いカメラアイからは憎悪のようなものが流れ出しているように感じ、それに背筋をなぞられるような狂気が満ちていく。

 

 

「っ!クソっ!…撤退する…」

 

 

プライドがそれを否定するが、この場にとどまりたくないと本能が告げる。

この不快な空間からいち早く抜け出すためにスラスターを最大稼働させて離脱する。

追って来る気配は無くそれに安堵する。

そして安堵してしまったという事実に激しい怒りに表情を歪めながらもながらもその場を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よ~し!あとはこの子を三分チン☆するだけ!」

 

 

ケーブルやパイプがまるで大樹の根のように張り巡らされ、発明品ともガラクタとも取れる電子機器が埋もれるように散乱した部屋

その中央でメタリックなうさ耳を揺らしながら、一人の天災が汗を拭うような動作ではにかむ。

実際は汗など微塵も書いていない彼女だったが…

 

 

グ~

 

 

そんな間の抜けた音がこの不気味な部屋に響く。

 

 

「あおあ~、そういえば夢中になりすぎてて2~3日何も食べてなかったな~…よっし出前とろう!海上でも届くのかな?」

 

 

ごっはん~ごっはん~♪といったご機嫌な鼻歌を口ずさみながら自動ドアを潜り部屋を後にし、無人になった部屋は照明が落とされ静寂を取り戻す。

 

 

 

 

 

そして部屋の中央に佇む”二体”の異形のISの全身に搭載されたカメラアイが暗闇の中うっすらと点灯し、静かに自分たちの完成を待つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い~ざ進め~やキッチ~ン~♪めざす~は~じゃ~……お? 」

 

 

久しぶりに部屋を出てみると、メインで愛用しているPCのモニターがメッセージの受信を知らせている。

無視して食事をとりたいところだが、直接報せが入るような内容を無視するわけにも行かず、不機嫌になりながらも内容を確認する。

 

 

「こんな時に何かやらかすような組織は束さん直々にボッs……!!」

 

 

 

 

 

そこには空腹など吹き飛ぶような前代未聞な内容が記されていた。

 

 

 

 

 

「…シリアル66のコア反応の消滅?…未確認コアの出現?」

 

 

 

 

その二つは退屈を嫌う天災にとっては心躍るような内容だった。

世界に一定数しかばら撒いていないコアの内、ある一つの反応が消滅し、その直後に自分が開発したものではないISの反応が見られたのだ。

新たなISを作り上げたもしくは、自分の管理下から外れるような何かをコアに行ったか…

どちらにせよ今まで起きたことがない現象なのは確かである。

ISが発表されてからの数年、くだらないシステムをISに組み込む組織は五万といたが、ここまで直接的な介入がなされたことは無く、もしかすれば自分と同等の技術をもった科学者が生まれたのかもしれないという希望、そのようなモノでなかったとしてもこの現象は刺激を求めていた彼女にとっては十分なものであった。

 

 

「しかもこのコアって”キン”くんのISだったはず…も~あの子は束さんへのアプローチが上手すぎるぞっ☆これは調べる他ありませんな~むっふっふ~」

 

 

飛び込むように椅子に座ると、一心不乱に投影されたキーボードをたたく。

三大欲求の限界をも無視して、天災は再び己の世界へと潜っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仕事終わりの若干くたびれた足でリノリウムの床を歩く。

整備室へと続くその通路には自分の足音以外に、自分の横をゆっくりと進む大きな布を被った自動運搬車の駆動音がしている。

 

 

『まさかこんな姿で職場に帰ってくるとは思いもしませんでしたよ…はぁ』

「おや不服ですか?紆余曲折ありましたが、あなたはISを操る体を手に入れたのですよ?喜ばしいことじゃないですか」

 

 

自動運搬車の布の中には元私のIS、現私の部下であるダリオ・エンピオ(オーギル)が膝を抱えるような形で収納されている。

ISの外見であるが故に違和感は少ないが、彼が膝を抱えて台車で運搬されている図を想像するとそれなりに愉快だ。

彼とは現在インカムを通した電波通信で会話しており、傍から見れば私が独り言をぶつくさほざいているようにしか見えないのだが、人目がないのが救いである。

 

 

『このご時世にせっかく大尉なんて階級にまで上り詰めたのにまさか軍どころか人間を辞めさせられれば、余程の変態かそこそこの変態でない限り絶望しますよ』

「まぁ出世願望が強かったあなたなら仕方ありませんかね。慰めになるかは知りませんが、”こちらの世界”の軍は随分と煩わしいですし、このご時世に上位階級に就いたとしても疎まれるだけですよ」

『自分より一回り”年長”の方の言葉と思えばそれなりに説得力があるような無いような…はぁ…まぁなってしまったものは仕方ありませんし、この体の利点を存分に活用させてもらいます』

「そうですよ。身体的スペックもそうですが、なかなか洗練された見た目で良いと思いますよ?」

 

 

彼には私の有している技術、前の世界のことについては一通り話し終えている。

実際に錬金術をその身に体験した彼のリアクションは存外に薄く、オーギルの姿で頬杖をつきながらため息をつくなどというシュールな姿を晒してくれた。

全て話し終える頃にはそのゴツゴツとしたボディで地べたに寝そべり、壊れたかのようにゲラゲラと笑い声を上げ、紆余曲折あり現在に至るというわけだ。

笑い声を上げ始めた当初はついに壊れたかとも思っていたが、半日と経たないうちに普段のモチベーションにまで回復する彼の精神は強靭の一言に尽きる。

 

 

「まぁ私はそんな体になりたいとは思いませんけどね」

『チクショウッ!!』

 

 

そんな無駄口を叩きながらも我々は整備室の扉をくぐる。

するとそこには見覚えのある姿があった。

 

 

「ん?…あっ大佐!お久しぶりです。こちらに戻られていたんですね」

 

 

ハルフォーフ大尉が意気揚々とこちらに声を掛けてくる。

それに続いて見慣れぬ銀髪の少女がこちらへやって来る。

ハルフォーフ大尉と同じ眼帯をしているところを見る限り、同じ部隊の人間なのだろう。

 

 

「クラリッサ、この方は?」

「以前話にあがったゾルフ・J・キンブリー大佐です」

 

 

軽く会釈をし、エンピオ大尉に発言させぬように合図を送ると運搬車ごと彼を適当な位置へ転がす。

結構な勢いで壁にぶつかったが私の知ったことではない。

私がエンピオ大尉に無関心を決め込んでいると、件の銀髪の少女がズイっとこちらへ歩み寄り、擬音が聞こえてきそうなほどキレのある敬礼をこちらへ向ける。

 

 

「ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありません!黒兎部隊隊長を務めておりますラウラ・ボーディッヒ少佐であります!先の件では部下のクラリッサを救っていただき、感謝致します!!」

 

 

声を張り上げ感謝を述べる部隊長と名乗る少女

まさかこのような少女が部隊長だったとは。

しかしまぁ私のこともありますが、この軍の上位官の年齢層低すぎるのではなかろうか?

これもISが原因なのだろう。

 

 

「これはご丁寧にどうもボーデヴィッヒ少佐。ハルフォーフ大尉にはお世話になっておりますのでお気になさらず。それに彼女が生き残ったのは彼女の運です…私は自衛のために敵を殺しただけです」

「ハ、ハッ…了解致しました!」

「そう硬くならずともかまいませんよ。ところで、お二人はどうして本部に?」

「我々黒兎部隊は件の襲撃もありまして、本部への異動が決定したんです。今回はその手続きと私と隊長のISの軽いオーバーホールでこちらにきた次第です」

「本部へ異動ですか?」

「襲撃の件に重なりまして、ツヴァイク・レーゲンの開発チームの一部が不祥事を起こしたらしく…詳細は伏せられていますが一部メンバーを解任処分、それによって不都合が起きるISの整備や先の襲撃への警戒の為本部へと移動となりました」

「今後共よろしくお願いいたします!」

 

 

短期間にここまでの問題をが発生したのであれば当然の処置だろう。

しかし…彼女らの反応を見る限り、彼らが文字通り”処分された”ということは知らないようだ。

軽く笑いを堪えながらも平静を装い対応する。

 

 

「なるほど、そんなことが…ですがまぁ良かったのでは?本部付けになれば何かと利点も増えるでしょうし、お会いする機会も増えるかもしれませんね」

「そうですね、私も嬉しく思います。そういえば隊長?言っておかなくていいのですか?」

「そうだな。キンブリー大佐!この度私もIS学園に入学することが決定いたしました。大佐もIS学園に在学していると伺っておりますので、入学後もよろしくお願いいたします!!」

「それはそれは、こちらこそよろしくお願いします。あのような環境です、あなたのような人がいてくれると何かと私のほうが助かるかと思いますのでありがたいことです」

 

 

それにしても、部隊長が隊を離れても良いのだろうか?

仮にも専用機を与えられている部隊であるのなら何かと支障をきたしそうなものではあるが…

 

 

「ところで、大佐はいつこちらへ戻られたのですか?」

 

 

なるほど、彼女が代理を務めるのだろう。

実際彼女のほうが年齢的にも外見的にも隊長には適している。

第一印象でボーデヴィッヒ少佐に特別カリスマのようなものを感じることもなかったことから考えるに、実務的な部分は恐らくハルフォーフ大尉が勤めていると考えられる。

少佐には酷だが、隊としての活動にはなんら問題はないということなのだろう。

 

 

「仕事で先日戻ったばかりです。…そういえば例の漫画なのですが、大変楽しませてもらってますよ。読破したというわけではありませんが、なかなか後学になりました」

「おぉ!それは良かったです!!言ってくださればいつでも追加でお貸ししますので、じゃんじゃん読んでいってください!私も同じ好みの人が増えるのは嬉しいので御遠慮なく!」

「フフ、ではその時があればお願いするかもしれません。さて、私はペンウッド大将に報告がありますのでこの辺りで失礼します。ボーデヴィッヒ少佐、また学園でお会いしましょう」

「「ハッ!お疲れ様です!!」」

『こんな会話する必要ありました?さっさと戻ってきてくださいよ?大佐』

「…そういえば、そこに置いてある運搬車の中には私のISが入っています。訳あって初期化状態ですので、よかったら装着してスペックをご覧になられては?」

『…はぁ!?何言ってくれちゃってるんですかこの人!?』

「そ、そんな重要なものを拝見してもよろしいのですか?企業開発のISと聞き及んでいますが…それにISのスペックを明かすなど…」

「いえいえ構いませんよ。ちょっとした憂さb…自慢のようなものです。それでは改めて失礼します」

『クソッ…なんで俺ばっかりこんな目に…』

 

 

 

 

 

恨みのこもった声と二人の敬礼を背に受け、内心ほくそ笑みながら整備室を後にする。

 

 

 

 

 







家に帰ったその足でトイレに入ると、イヤホンからベルベットルームのBGMが流れてきて幻想的な気分に浸っていた焼酎ご飯です。


さて、クリスマスイブにこんなものを上げている時点で察されているかもしれませんが皆様のコメントがあれば私は生きていけます。


今回も誤字脱字の嵐かもしれません…m(_ _)m


コメント、感想、誤字脱字の指摘、ご意見等ございましたらいつでもお待ちしております^^
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