IS〈インフィニット・ストラトス〉 紅蓮の錬金術師   作:焼酎ご飯

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すみませんでした。
遅くなるとかそういうペースじゃなくて本当に申し訳ありません。

長くなってもなんですのでどうぞ↓


発見

 

 

 

「最っっっ低!!逆剥けが化膿して死ね!!!!!」

 

 

 

ピッ

ガコン

 

 

 

何かと忙しかった数日をねぎらう為に自販機の缶コーヒーのボタンを押す。

それと同時に何やら叫び声がこだまする。

 

 

 

カコッ

 

 

 

「ふぅ…それにしても元気なことです」

 

 

 

声から察するに本日隣のクラスに転校してきた凰鈴音叫びだろう。

昼食後遭遇することはなかった故に、何故このような声を上げているのかは知りうる所ではないが、まぁ十中八九織斑一夏が原因なのだろう。

何はともあれ騒々しいことは違いない。

 

 

 

「缶コーヒーでも”向こう”のものより飲めますね」

 

 

 

ーーーーーぅゎぁぁぁぁぁあああああん!!」

 

 

 

「おや?」

 

 

 

元の世界に比べると飲食物は総合的にこちらの世界、ひいてはこの日本のものはハズレがない。

そんな素晴らしいことを再確認し缶コーヒーに舌鼓をうっていると、彼方から見知った少女が泣き叫びながらかけてくるのが目に入った。

 

 

 

「鈴さんじゃないですか。何かありましたか?」

「ふぉわ!?っとっとっと!!」

 

 

 

私が声をかけたことにより全力疾走のスピードを殺しきれず、ボストンバッグの重さに引っ張られてバランスを崩している。

先ほどの声と今の涙目で全速力だったことから何もないなんてことはないのだが、とりあえずは声をかけないわけにもいくまい。

 

 

 

「大丈夫ですか?…いろいろと」

「っとっと、ふぅ。…え、ぇ~っとアハハ…恥ずかしいところ見られちゃい…見せちゃったわね…グスっ」

 

 

 

少し敬語が出そうになったが、媚びへつらう態度はNGと言ったせいかため口に切り替わる。

そして立ち止まった彼女はやはり目尻に涙を溜めており、鼻頭を微かに赤く染めている。

彼は彼女を泣かせる程の何かをやらかしたらしい。

 

 

 

「少なくとも私は気にしません。して、何かありましたか?コーヒーが無くなるまではお話ぐらいならお聞き致しますが?」

「え~っと、あんまり人に聞かせるような事じゃないし…でももしかしたら私が…」

 

 

 

ピッ

ガコン

 

 

 

「どうぞ」

「あ、ありがと」

「さて…人に話せば楽になる…と一般的には言うらしいのでお聞きしましょう。何よりその尋常ではない様子を見ていると気になってしまいます」

 

 

 

缶コーヒーを手渡すと自販機の近くに備え付けられている椅子に座らせる。

ここまで引っ張った以上、理由を聞かないというのはどうにも気分が悪い。

 

 

 

「うぅ~…じゃあ聞いてもらうわ。その…突然なんだけど、キンブリーは”毎日相手のために味噌汁”を作るっていう言葉の意味わかる?」

「ふむ、味噌汁ですか?すみませんがわかりません。教えていただけますか?」

 

「まぁその…いわゆる…ぷ、ぷぷーーーーー

 

「あぁなるほど、プロポーズの言葉ですか」

 

 

 

真っ赤になりながらどもっている彼女を見てふと気づく。

味噌汁というのは日本の食文化において非常にポピュラーなものであり、副食として主要な位置を占める汁物料理だったと記憶している。

つまりそれを毎日作るということはそういうことである。

 

 

 

「コホン…そうなのよ。それで多分日本人だったらこの言葉の意味が通じないなんてことは無いの」

「はぁ…確かに初めて聞いた私でも考えればわかったことですし、この国特有の比喩だったとすればわからないことはないでしょう」

「うんうん、そうよねそうよね」

「はい。…それで?」

 

 

 

「そ、それで…」ゴニョゴニョ

 

 

 

彼女は一人で納得したかと思うと、再び顔を赤らめて顔を伏せる。

だがその時点で大体察したのでトドメを刺すことにした。

私が聞き出した以上私が悪いので早々に切り上げるのが正解だろう。

 

 

「つまりあなたがそのプロポーズを織斑一夏にしたが、断られた…いや、それだったら最初の怒りの声が少しおかしいですね…」

「うぐっ…その…実は数年前まで私日本に住んでて、国に帰ることになった時…料理の腕が上がったら”毎日私の酢豚食べてくれる?”…って聞いてOKもらったんだけど…」

「なるほど。それを彼が忘れていたということですね」

「それだけだったらまだしも、あの馬鹿はそれを曲解して”毎日酢豚をおごってくれる”って意味で捉えていたのよ。というか私が一夏のこと好きってバレてたのね……恥ずかしっ!」

「まぁ彼はある種の特異点のような存在ですし、あなたがこの話をし始めた時点で得心が行きました。…それにしてもなんと言いますか…何故アレンジを加えてしまったんですかねぇ」

「…あいつが前に美味しいって行ってくれたし、私の得意料理だったからなんだけど…やっぱり私が悪いのかしら…」

「いえ、割合的には彼のほうに問題があるんじゃないですか?心情的な部分が含まれるので一概には言えませんが」

 

 

 

そう言って私は缶コーヒーを飲み干すと、缶を捨てるために立ち上がる。

その様子を見た彼女が急いで飲み始めたが、それを気にすることもなくその場から歩き始める。

 

 

 

「んぐっ…苦っ…」

「一回殴るかローキックぐらいが妥当なんじゃないですかね?では私はこの辺で」

「あ、その…聞いてくれてありがと。このこと誰かに言っちゃ嫌だからね!」

「こんな鬱陶しい話頼まれてもしませんよ」

「鬱陶しい?!」

 

 

 

後ろで何故か驚いているような声が聞こえるが、他人の色恋沙汰なんて面白いものでも何でもないに決まっているではないか。

それどころかいざこざの原因がこれほどどうでもいいものとは思っておらず、呆れかえる他無かった。

ある意味では両者共に同情せざる負えないのは事実であるが、もっと込み入った話なら聞き用もあったものだ。

 

 

 

「思い切って話したのに鬱陶しいって……でも参考にはなったし、顔に一発入れちゃったのは間違いじゃなかったのね」ブツブツ

 

 

 

こうして非常にどうでもいい相談を受けたことを締めに、猛烈に忙しかった日々は幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『もしもし~キンブリー大佐で間違いありませんよねぇー』

「えぇ私で間違いありませんが…貴方は…どっちですか?」

『木原だ木原。やっぱ電話越しとかでも分かんねーものなのかね』

 

 

 

帰国から数日

代表候補生が転校してきたり、その代表候補生と織斑一夏がクラス対抗戦で戦うことになったりと言った割と取るに足らないようなことがいくつかあった。

私はというと石の研究も最早やる必要がなくなったために、珍しくISの動作訓練等を行い、石を使いたい衝動を抑えていた。

IS学園を海中に沈めようと思えばできないこともないのだが、さすがに全世界から抹殺されるのは御免こうむる。

そんな傍から見れば危ない思考をしていたある日、私のISの制作元であり私の秘密を共有するローゼンタール社の木原数多から連絡が入った。

警戒するので非通知でかけてくるのは遠慮願いたいところである。

 

 

「まぁ少なくとも私は貴方と社長の声を区別することはできません。それで?今日は一体どういったご要件で?」

『ダリ夫の件であんたの話を聞きたいんだとよ。あとオーギルの追加パッチがあるからそれを俺が持って行って、帰りはそのままドイツまでついてきてもらうことになるんだが…おk?』

「一応クライアントは私なんですが…まぁ私が持ち込んだ火種ですし、構いません。いつ頃になるのでしょうか?」

『んじゃあ明後日行くわ。申請よろしくー』ブチっ

 

 

 

一方的に電話が切れる。

改めて言うが私はクライアントなのだが、一向にもてなされる気配がない。

そもそもあの社長は落ち着いた雰囲気の秘書を雇っているにも関わらず、何故彼に連絡をよこさせるのだろうか?

明らかな人選ミスだ。

いろいろと読めないことが多いのだが、あの会社は考えるだけ無駄な気もする。

 

 

 

『ただいまー』

 

 

 

通話が一方的に終了した直後、自室の扉が開き帰宅を知らせる声が聞こえる。

 

 

 

…一人部屋であるこの部屋で何故そのような声が聞こえる?

 

 

 

「お帰りなさい…どうしてあなたが扉の外から?」

『やだなぁ~大佐。僕の仕事である掃除をしてたんだよ?』

 

 

 

扉を開けた先には誰もいなかった。

正確には円盤型の掃除ロボットが一台動いているだけだった。

 

 

 

「いや普通は掃除ロボットが勝手に扉を開けて出て行くなんてことはないと思うんですが…」

『すごいでしょ!そこは他社製品との差別化を図らないといけないからね、こんなふうにアームコードを伸ばすことで扉の開閉や電子機器への接続ができるんだよ!』

 

 

 

その掃除ロボットは、私がローゼンタール社のお土産としてもらったヴィスハイトというオーダーメイドのロボットだ。

自らをユリウスと名乗っており、十番目の個体ということからドイツのフォネティックコードからきていると思われる。

要は高性能ルンバらしい。

吸い込み口から伸ばされたアームをシュルシュルと回収すると、充電器を兼ねたアタッシュケースに自らを接続する。

 

 

 

「あなたにそんな能力があったとは知りませんでした。しかしあなたの仕事は家主の部屋の掃除なのでは?さすがに勝手にであるかれるのは困るのですが…」

『大佐の部屋ゴミどころかホコリすらほとんどないんだもん。それに僕の仕事は”大佐の周りを綺麗にすること”だよ』

「はぁ、つまりそういうことではないんですか?」

 

 

 

『大佐の部屋の窓の外に仕掛けられていた盗撮機器の大体の受信場所が絞り込めたよ。これも周りをきれいにするってことだよね!』

「なんと…それはまたすごい大掃除を…」

 

 

 

高性能とうたってはいたが、まさかこんなことまでしてしまうとは…

彼の言う場所をさり気なく確認すると、確かにその存在を確認することができた。

部屋内の機器は全て取り除いたつもりだったが、まさか外に残っているとは思いもしなかった。

というかこれは確実に掃除ロボットに必要な機能ではない。

あの社長は元からコレを特定するために?

いや、そもそも私が盗撮被害に遭っているという話を彼らにしただろうか?

 

 

 

「場所も気になるところですが、何故あなたが機器の発信元を辿るような真似を?掃除にしては事情を知っていなければできないことかと」

『それはね、木原くんが大佐に専用機を持ってきた時にこの学園で同じようなことをされたって言ってたから、それの対策として僕にトレース機能が搭載されたんだ』

「ほぉ、木原さん達にも…どう考えても私を狙っての行動でしょうねぇ」

『二人しかいない男性操縦者だし、大佐の経歴とスキルは特殊だからじゃないかな?知りたい人はたくさんいると思うよ』

 

 

 

まさにその通りだろう。

そして彼のいいぶりから察するに、仕掛けた人間はIS学園にいるということになる。

そうなれば私の情報を知りたがっている人間はこの学園内だけでも数え切れない程いるだろう。

最悪学園そのものがそうである可能性さえある。

だが彼はその相手を見つけ出したという…

大尉より優秀なのではないだろうか?

 

 

 

「有名人は辛いですね。さて、先程から気になっていましたが、その受信場所というのは?」

『まだ断定はできないけど、おかしな通信プロトコルが集中している場所が”生徒会室”って書かれた部屋だったよ』

「生徒会…生徒会ねぇ…」

 

 

 

意外…といえば意外ではあるが、それは結果がどこであれ同じことである。

生徒会と言ってまっさきに出てくる身近な人物は”布仏本音”である。

私の部屋に訪れたことがあるの人物の一人でもあり、同クラスの中で唯一生徒会に所属している。

この時点で怪しさの塊ではあるが…度が過ぎると最早怪しくない。

 

 

 

「最近退屈していたのでちょうど良い刺激かもしれませんね」

『大佐は楽しいの?』

「楽しい、とは少し違いますが…少し面白みを感じてますね」

『へぇ~』

「さて、明後日木原さんが来るらしいので申請書の用意を始めなくてはいけませんね」

『あ、じゃあその時僕も連れて行ってもらっていい?通信傍受されないために、直接データを渡すことになってるんだ』

「えぇ構いませんよ。改めて考えてみると、あなたに情報集積能力があるのでは盗撮関係に限らずいろいろと情報が漏れ出してしまいますね」

『そうだよ!』

「元気いっぱいにスパイ活動を肯定するんですね…」

 

 

 

そんな小さなスパイはさておき、申請用紙作成を開始する。

突然のことに申請には無理が生じるかもしれないが、ISの整備のためであれば問題はないだろう。

用紙記入ををしていると、あることに気づく。

 

 

 

「明後日…そういえば”クラス対抗”が明後日でしたね…まぁ直接見る必要もありませんか」

 

 

 

クラス内で何かと盛り上がっているクラス対抗トーナメントが行われるその日であることに気が付く。

なんでも優勝したクラスにはスイーツのフリーパスが贈呈されるとかなんとか…

学園側も何を考えているのかわからない催しである。

自分が参加するのであれば別だが、別の用件を済ませる人してはちょうど良いのかもしれない。

 

 

 

「彼らもあえてこの日を選んだのかもしれませんね」

『充電完了!』

 

 

 

視界の端でユリウスが移動を開始する。

ルンバよろしく壁にぶつかってから方向転換をしているのだが、彼のスペックならばそんなことをする必要もないのではないだろうか?

 

 

 

「そういえば少し気になったんですが…生徒会室といえば少し離れています。貴方はどうやって段差をクリアしたんですか?」

『階段を想定していなくてエラーを起こしていたら、鈴ちゃんが持ち上げてくれたよ!』

 

 

 

…彼は体こそ優秀だがアホなのかもしれない。

いや、これは階段を想定していない親がアホなのか?

何はともあれ、凰鈴音の評価を改めなければいけない。

 

 

 




次のお話は今日の夜か明日の朝までにはあげます。

もしまだ読んでくれている人がいたり読み始めて下さる方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いします。

今後も不定期におちいる可能性はあるかもしれませんが、なんとか頑張っていきたいと考えております。

今回も誤字脱字の嵐かもしれません…m(_ _)m


コメント、感想、誤字脱字の指摘、ご意見等ございましたらいつでもお待ちしております^^
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