IS〈インフィニット・ストラトス〉 紅蓮の錬金術師   作:焼酎ご飯

26 / 27
さて…前回に続きまして遅れた理由なのですが…
遊んでいました(;^ω^)
ごめんなさいm(_ _)m


ではどうぞ↓


恢復

ワァァァァァァァァァァ!!

 

 

ドォォォンッ!!

 

 

アリーナを背景に、今繰り広げられているであろうクラス対抗戦の歓声と衝撃音が遠巻きに聞こえる。

海を望むそこは学園玄関口付近の駐車場であり、試合の真っ最中ということもあり人気のない状態が続いていた。

 

 

「まー賑やかですこと」

「試合中ですからね。何やら生徒の間ではかなり重要なイベントのようですし」

 

 

そんな中、刺青に白衣といった特徴だけ挙げるのなら私と同じ木原数多と会話をしていた。

黒いバンにもたれかかった彼はなんとも気だるそうな様子だ。

二日前の軽い訪問予告とは打って変わってすこぶる忌々しそうで、最初こそ敬語混じりだったものの、今では取引相手とは思えない口の悪さだ。

 

 

「まるで生徒じゃないような口ぶりだな。まぁいいわ…ついて早々なんだが、ISを装着せずに実体化してくれ」

「分かりました」

 

 

ポケットから銀時計を取り出す。

次の瞬間には、光が収束するようにしてオーギルが膝を折った形で出現する。

改めて象徴性の強い機体であると考えさせられる。

私のような人間が天使を模した機体に乗るのはやはりどうなのだろうか?

 

 

「おー、前もそうだったが相変わらず展開速度はえぇな」

「ラピッドスイッチというスキルらしいですね。武装自体が少ないのであまり利点はありませんが…」

「ロングライフルの弾種切り替えには便利なんじゃねぇか?まぁ切り替え速度自体はダリ夫のほうがヤベェけど」

「?…彼も展開速度が速い部類の人間…人間?それはさておき、速い部類なのですか?」

「もうノータイムで切り替えしてる感じだな…少なくとも人間の認識速度だったら一瞬だ一瞬。まぁダリオに関してこの程度では収まらないし、とりあえずオーギルのアップデートだ」

 

 

 

ますます人間を辞めていく大尉…

あの時は興味本位で処置をしたが…改めてとんでもないものを生み出してしまったと感じざる得ない。

そんな感慨にふけっていると、数本のコードがオーギルに接続されていく。

彼が手元の端末を数回操作すると、オーギルのカメラアイが一定間隔で点滅し始める。

 

 

 

「今回のアップデートは機動面とフィルム散布量に関するものだ。以前の大佐とダリ夫の対戦を参考にしたアップデートってわけだ」

「前回の…あまり思い出したくはありませんが、つまりは近接戦に対応した内容ということですか?」

 

 

これは実に渋い記憶だ。

大尉の処置が済んだあと私がローゼンタールに彼を持ち込んだ際に、模擬戦ということで両者の稼働データを観測が行われた。

模擬戦の結果は見るも無残に惨敗…部下に手も足も出ずになぶられるのはとても気分のいいものではなかった。

 

 

「対応というかなんというか、相手のレンジに入らねぇよう立ち回れるようした感じだな。逃げやすくしたってことだ」

「それは重要ですね。インファイトに持ち込まれた際の恐ろしさは前回で身を持って知りましたのでありがたい限りです」

「んで詳しい内容だが、散布量のアップデートは単純に同時散布量の増加だ。最大出力で散布した場合は、環境にもよるが十数秒で軽いジャミングと同じく軽い広域爆破は可能になる。だがその間はちょっとした移動もできなくなるからその点だけ注意だな」

 

 

セシリア・オルコットとの対決の際でも際立ったことだったが、相手の視界に捉えられた状態でのフィルム散布は非常に難易度が高かった。

機動性が失われる上での回避専念となってしまうので、試合形式では不利な点が目立ってしまう。

あの試合で勝てたのも相手の慢心と相性の問題だろう。

 

 

「まぁ元々この機体のコンセプトは隠密と広域殲滅ですし、こちらが発見された上での運用が基準ではないのでしょう」

「その通りだが、ローゼンタールの製品の特性上凡庸性が必要だ。そして常に一定距離を保つための機動面のアップデートは”擬似イグニッションブースト”だ」

 

「擬似?…イグニッションブーストといえば、放出したエネルギーを再吸収して圧縮・放出して瞬時に加速すると言った技術でしたっけ?確か織斑一夏が初見で使用したということで驚かれていましたね」

「ほげー、一応高等技術の一つなんだがなぁ…まぁそんなことはどうでもいいわ。まぁ大佐が言ったとおりなんだが、それを起爆性フィルムの小爆発を利用して加速するって代物だ。だから擬似」

「それ大丈夫なんですか?スラスターで爆発なんかしたら支障をきたすのでは?」

「おう大丈夫じゃない、スラスター内で起爆なんかしたらIS自体がはじけ飛ぶ。だから翼から直接小爆発を発生させて加速するわけだ。だが爆発を加速に利用しているわけだから、長距離の加速はできない…それにフィルム散布も同時にはできなくなってる。強化といえば強化だが一長一短だな」

 

 

とことん一対一の試合に向かない機体であることには変わらないが、素早い移動方法が訓練無しで手に入るというのは中々魅力的なものだ。

イグニッションブーストというものを身につければ早い話かもしれないが、機体の性質上急加速を頻繁に利用するわけではないので習得は難しいのだろう。

 

 

「しかし爆発を利用した移動法ですか…体へのダメージは大丈夫なんですか?」

「そこは俺が頑張らせてもらった。もし俺という検疫がなけりゃ今頃大佐は潰れたトマトになってたはずだ」

「む?それはまた…あまり聞きたくはありませんがどうしてですか?」

「オーギルのテスターは普段はキャロル・ドーリー…あの秘書がやってるんだが、最近は稼働実験も兼ねてダリ夫がいろいろとテストを行っている」

「あぁ…つまりはISには耐えられるが人間には耐えられない…ってことですね」

「そういうこった。最初はISの抑制ありで人体に50Gかかるようなレギュレーションになってたからな…それの調整で最近寝てねーんだわ」

 

 

彼の不機嫌な理由がこれでわかった。

寝不足で嫌いな場所に向かわされれば不機嫌にもなろう。

ここに来るという連絡があったのは二日前なのだが、その時の声の様子から今の憔悴具合から察するに、急遽搭載された機能であると推測される。

それに50Gの負荷がどうしたなどの話を聞かされてはあまり気分のいいものではない。

 

 

「おっと…俺としたことが寝不足でうっかりしてたわ。アップデートは終わったからとりあえず車入ってもらえるか?」

「?…よくわかりませんが了解しました」

 

 

彼はオーギルからコードを引き抜くと、バンの扉を開く。

ISを銀時計へと戻すと横開きのドアを潜り、後部座席に着席する。

彼はそれを見送ると、自身も扉を潜り勢いよく閉じる。

すると先程まで遠巻きに聞こえていた試合の音は途端に聞こえなくなり、波や風の音も一切耳に届かなくなる。

 

 

「なるほど、防音ですか」

「ここが震源だからな、どうも気が緩んでたみたいだ…まぁ無人機に関する事は話してねぇし、これから話す本題さえ聞かれなきゃ問題ねぇだろ。今更だが世界を揺るがすレベルのヤベェことに頭突っ込んでんだなぁ~」

「ユリウスに聞きました、学園に来た際に機器を仕掛けられたらしいですね。そういえばそれ関係でユリウスが渡したいデータがあると」

 

 

片手に持ったアタッシュケースを開く。

このアタッシュケースはユリウスの充電器の機能も兼ねているためそれなりに重いのだが、掃除ロボットを手に持って歩くという間抜けな姿を晒すよりはいくらかマシだろう。

 

 

 

 

プシューッ

 

 

 

 

『木原くん久しぶり!』

「木原くん言うなや。相変わらずクソ生意気な掃除機だな」

『盗聴器の大まかな受信場所が判明したから、拾った通信プロトコルの詳しい照合をして欲しいんだ!はいコレ』

 

 

アタッシュケースに収まった彼は、器用に吸い込み口からアームコードを伸ばす。

アームの先端には小さな記憶媒体が摘まれている。

 

 

「はいはいご苦労さん」

『場所は生徒会sーーーーー

 

 

 

 

バタンッ

 

 

 

 

それを受け取るやいなや、アームが出ていることも関係なしにアタッシュケースが閉じられる。

 

 

「んじゃあ本題に入っけど」

「あの、コレ大丈夫なんですか?」

 

 

ケースの間から伸びたコードはジタバタと暴れまわっており、触手を思わせる動きはミミックを連想させた。

そのまま暴れ続けるかとも思われたが、ギチギチと音を立ててケースの中に引っ込んでいくのが見て取れた。

 

 

「大丈夫みたいですね」

「こんな気色悪い機能を付ける社長が悪いんだよ。んじゃぁ本題に入るが、あんたを呼び戻す理由なんだがーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー”ダリオ・エンピオ”が多分”セカンドシフト”した」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、そうなりましたか」

「お?あんまり驚いてないみたいだな」

 

 

人間をやめるどころか、ますます最強の兵器に近づいていく彼に多少の驚きを感じはするものの、セカンドシフトに至ることは予想できないことではなかった。

 

 

「まぁ適正値が測定不能な時点で予想出来た事態でしょう。むしろ遅すぎるぐらいです」

「それもそうか。何はともあれダリ夫は世にも珍しいセカンド・フォームの機体と昇華し、実験対象としての価値がさらに上昇したわけだ。…だが同時に問題も生じた」

「モルモットとしては力を持ちすぎている、といったところですかね?」

「その通りだ。まぁあいつが人間としての自我がある以上、居場所を提供している俺たちを滅ぼすなんて真似はしないはずだが、これからは処遇改善を考えなきゃならねぇ。だがもしもの保険の為に…」

「彼を殺す方法…ですか?」

「察しがよくて助かるね~。部下を殺すのは気が進まないか?」

「いえ、彼が反逆するとは思いませんが確かに対策を用意しておくというのは重要なことです…というか私も伝えるのを忘れていました」

「お、やっぱりウィークポイントがあるのか!なにせオカルトが絡んでるわけだからな、とりあえずこのまま本社nーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーズガァァァァァァァァァァンッッッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

声以外何も聞こえないはずの空間は引き裂かれ、轟音と衝撃は襲い掛かる。

その衝撃波に煽られたバンは全ての窓ガラスが砕け散り、フレームは見るも無残にひしゃげる。

横向きに吹き飛ばされ、地面を転がるバンはみるみるうちに形を失っていく。

咄嗟にISを起動し事なきを得た私は、バンの扉を蹴破り飛び出すように真上へと飛翔する。

 

 

 

 

「ぐっーーーーー

 

 

 

 

バシュンッッ!!

 

 

 

 

ーーーーーっ!?」

 

 

 

 

 

上昇を始めた直後、凄まじいエネルギーが眼前を通過しシールドエネルギーを削る。

 

直撃を避けた運動を利用して体制を立て直し、正体不明の敵を正面に捉える。

 

 

「嬉しいことに随分と過激ですねぇ…貴方一体何者ですか?」

 

 

そこには異形の姿があった。

宙に浮くことなくクレーターの中央に佇む黒いそれは、ひどく歪な人型をしていた。

全身に埋め込まれた半球状の物体、眼球のようなそれはあたりをギョロギョロと見回し、その半数がこちらを捉えて凝視している。

異常なまでに巨大な腕とそれに見合う巨大な砲門がこちらに向けられる。

直感的に感じる驚異に、思わず口角が釣り上がる。

 

 

 

バシュンッッ!!

 

バシュンッッ!!

 

 

 

「っ…お答えただけないようで」

 

 

桃色の極めて太いビームが飛来し、それをギリギリのところで回避する。

私の問は攻撃という手段で返され、話し合いが通じないということがわかった。

 

 

 

 

 

 

 

それは僥倖だ。

 

 

 

 

 

 

 

話し合いが通じない以上、自衛の為あのISを機能停止に追い込まなければいけない。

元より穏便に済ませるつもりなどなかったが、これは都合がいい。

 

 

「何処の差金かは知りませんが、実験台になっていただきましょうか!」

 

 

相手の全身に埋め込まれたカメラアイと思われる半球が一斉にこちらを向き、すべての砲門からビームが発射される。

 

 

「グ、ォ…!」

 

 

直後、私は背中の翼より発生させた爆発によってそれを回避し、相手の頭上へと踊りでる。

インストールされたばかりの擬似イグニッションブーストだ。

木原数多によって調整がなされていたという話だが、Gを殺しきれていないことに思わず歯噛みする。

 

 

「無人機というのが残念ですが…」

 

 

即座にライフルのアンダーマウントにあるアクセサリを展開する。

そしてその展開されたショットガン状のアクセサリを相手がいる真下に向けて発砲する。

 

 

バスッ!!

 

 

フレシェット弾

私が個人的に注文をした装備であり、無数の鉄の矢で相手を貫く特殊な弾である。

それによって数百という鉄の矢が降り注ぎ鉄の雨を降らせるーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーが…その一切が相手に命中することはなく、相手を中心に円形を描くように地面に突き刺さる。

 

 

 

 

 

 

 

『ーーー』

 

 

 

 

 

 

 

声に聞こえなくもないくぐもった機械音を上げた異形のISは矢が命中していないことを確認すると、再びこちらに両腕を向けビーム掃射を開始する。

 

 

 

バシュンッッ!!

 

 

バチッ!!

 

 

「ガッ!?…ハッ…くっ」

 

 

 

 

射撃体勢からの回避が遅れた為か、一発の直撃をくらいその衝撃に肺の酸素を吐き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーだがすべての準備は整った。

 

 

 

 

 

 

 

 

半ば墜落気味の機体を擬似ブーストによってさらに加速させ、地表を目指す。

激突直前にスラスターを逆噴射し、”腕部装甲を解除”して両手を勢いよく叩き合わせる。

 

 

「んべっ…さぁ!陣は完成しました!!この世界初の最大火力をお見舞いしましょう!!」

 

 

叩き合わせた両手を、鉄の矢が描く円の端に叩きつける。

犬歯に咥えた賢者の石は輝きを放ち、描かれた円の内部は膨大な錬成反応によって紅一色に埋め尽くされる。

 

 

 

 

 

『ーーー』

 

 

 

 

 

 

ボゴ

 

 

 

 

 

 

ボゴボゴボゴボゴッ!!

 

 

 

 

 

 

 

異形のISがカメラアイを目まぐるしく移動させた瞬間、円内部の地面はISを飲み込むかのように急速な膨張を繰り返しーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー一瞬にしてその限界を迎える。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴァッーーーーーーーーーーー!!

 

 

 

 

 

 

 

限界を迎えた瞬間、ハイパーセンサーが捉えるすべての視界が紅蓮に染まった。

爆音はその巨大さ故に自動的にシャットアウトされ、鼓膜を揺らすはずの膨大な音は一切耳に届かない。

 

 

 

 

 

 

何も聞こえない…何も見えない…

 

 

 

 

 

 

だが…

 

 

 

 

 

全身に伝わる骨が軋むかのような振動…

 

 

 

 

 

 

 

なんと素晴らしぃ…!

 

 

 

感動に震え何かが溶け出すような感覚に襲われた私は、再度術を発動させ”かつての力”を取り戻したことを再確認し、再び賢者の石を飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

その日IS学園敷地内において上空500メートルにも及ぶ火柱が確認され、島の一部が水没するという自体が発生した。

周辺住民の目目撃例等が挙げられているが、一般には複数のISの訓練でスモークを利用した高機動マニューバが火柱と誤認されたという形で処理された。

 

 




復活!!
…と断言しないほうがいいかもしれないので完全復活というわけではございません。

今後もちまちま書いていこうとは思っていますが、また間が空いてしまうかもしれません。

でもコメントは欲しいというクソわがままな私ですが、今後とも宜しくお願いいたします。



今回も誤字脱字の嵐かもしれません…m(_ _)m


コメント、感想、誤字脱字の指摘、ご意見等ございましたらいつでもお待ちしております^^
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。