日本国召喚要素は少なめと言うか皆無に等しいのですが、日本が丸ごと異世界に転移してしまったらそれはもう〝みのろう氏〟の【日本国召喚】のオマージュとなってしまうため、一応ですが【モンスターハンター】と【日本国召喚】のクロスオーバー作品という形になっております。
『現場上空です。こちらからは、九十九里浜に上陸した怪獣の姿がハッキリと視認できます』
バタバタとプロペラが空気を叩く音が流れ、機内からカメラが地上へと向けられる。
テレビで流れる映像は、千葉県の東に位置する長大な砂浜、九十九里浜に上陸した怪獣の姿をハッキリと映し、突如として起きた異世界チックな出来事に、日本のお茶の間は騒然とした。
『あ、怪獣が動き出しました! 住宅街の方へと向かっています!』
ヘリに搭乗したニュースキャスターがマイクを片手に叫ぶ。
ネズミザメ科に似た頭部を持ち、その巨躯を覆う瑠璃色の鱗と大きな背ビレが特徴の生物は、二本の足で日本国、千葉県の大地を闊歩する。
その姿は創作によく見られるドラゴンに酷似しており、若い世代、特に男性が大いに沸き立ったのは言うまでも無い。
謎の生物は防風林を抜け、ゆっくりと住宅街へと侵入した。幸いにも住民は自主的に避難した後なので、人が巻き込まれることはなさそうである。
そしてしばらくアスファルトの道路を興味深そうに爪で引っ掻き回した後、怪獣は何を警戒しているのか辺りを見回し、そこで新たな興味を未知の鉄塊へと向けた。
『車を初めて見たのでしょうか。興味を示しているようです!』
脇道に止められた自動車を体で押してみたり、上に乗ったり。
車は当然スクラップと化したが、ネットでは『デカくて怖いけど、意外と可愛いじゃん』『うちの犬みたい〜』などと、未知の生物に対しての好意的なコメントが続々と投稿され、中継が繋がっている全国のお茶の間にもほっこりとした空気が流れ始めた。
…そして、異変は起こった。
『先程からこちらを見ていますね〜。ヘリの音がうるさいのでしょうか』
チラチラと上空のヘリを見ては、その生物は魚のヒレにも似た巨大な翼を広げ、無数の牙を誇示するような行動を見せ始める。
スタジオに呼ばれた生物学者はこの行動を『威嚇』と断定し、ヘリを現場から遠ざけるように発言した。
が、テレビ局が一介の学者の言うことを聞くはずもなく、ヘリはそれからしばらくしても上空から怪獣に粘着し、とうとうそいつを怒らせてしまった。
『あ、猟友会の方でしょうか! いま1人の男性が謎の生物に──』
──次の瞬間であった。
イライラが募っていたのか、はたまた近づいてきた人間を警戒したのか、その生物は口から白いビーム──後の調査で超高圧で水を噴射したのだと判明した──で近づいてきた猟友会の男性を真っ二つに寸断し、近くの民家にも重大な被害を与えた。
『な!? か、カメラ止めて!!』
すぐさまカメラが止められるが、時すでに遅し。
日本という国家が異世界に転移してから、初めて起きた大事件の発端は全国のお茶の間に流れてしまい、たちどころに全日本国民の知る所となった。
この放送事故から数分後、総理による緊急会見が開かれ、付近住民の緊急避難、そして超法規的措置である陸上自衛隊の防衛出動宣言がなされ、害獣の討伐が決定された。
後に、害獣はこう名付けられたと言う。
『