俺たちのカルデアは最強なんだ!   作:アマシロ

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※2部6章クリア後までのネタバレを含みます。※

やりたいこと(ドクター生存)はやったので、後は蛇足ですが…。
オリュンポス総力戦はやってみたいんですけどね。機神VS冠位・人類悪・厄災・使徒連合とか。


1.5部/ Epic of Remnant
悪性隔絶魔境新宿Ⅰ


 

――――極点に至る試み。

 

 人類史全てを用いた彼方への旅。

 魔術王を名乗る者の試み、逆光運河 / 創世光年は失敗に終わった。

 

 だが――――。

 君たちには一つ、致命的な見落としがあった。

 

 

 

 

………

……

 

 

 

 

 

「――――先輩、これはどこに運びますか?」

 

 

 

 マシュが部屋のお片付けを手伝ってくれている。なんというか、もう後輩ってなんだっけというくらいの甲斐甲斐しさのような気がしないでもないのだが――――まあカルデアの個室にアレなものとか見られて困るものが置いてあるはずもなし、感謝して手伝ってもらっていたのだが。

 

 

 

「一年間、あれこれと忙しかったせいで随分散らかってしまいましたからね。遅まきながらの大掃除、マシュ・キリエライト張り切って頑張らせていただきます!」

 

 

 

 掃除くらいでそんなに頑張らなくてもいいとは思うけれど。……持ち込みの私物とかほとんどないし。とはいえ、一年間も人理修復の旅をしていれば色々なものが部屋に置かれている。特異点から持ち帰ったお土産だの希少な魔術リソース(のうち見た目が大丈夫なもの)、サーヴァントたちから貰った大切なものとか。

 

 

 

 

「ああっ、そうだこのゲーム! 藤丸君の部屋で遊んで置きっぱなしにしといたんだった! いやー、暇ができたらまた遊びたかったんだよこれ」

 

「ドクター……。先輩のお部屋を物置代わりにするのは正直どうかと」

 

 

 

 

 終局特異点、ソロモン――――後先考えない全力投球と、それに応えてくれた英霊たち。手を貸してくれた全てのおかげで、こうしてマシュもドクターも無事に帰還することができた。

 

 ―――ドクターは自由になったと思った途端、外界への対応に追われて結局のところ何も変わらない仕事で忙殺される日々になったのだけれど。

 その変わらぬ日々が何より愛おしい……というと詩的すぎるだろうか。

 

 

 

 

「ああっ、マシュが凄く冷たい目をしている…。いやけど仕方ないじゃないか! 僕だってゲーティアのツケを支払うために十年頑張ってきて心の赴くままにゲームする暇なんてなかったんだ!」

 

 

 

 割とサボってた気がしなくもないけれど…。

 そんなことを言いながらゲームを起動するドクターに、マシュは呆れ顔。とはいえスルーして片付けを続けるあたりマシュも成長したというかなんというか。

 

 

 

「やー、元気してるー?」

「あ、サボり魔が増えた」

 

 

 

 扉を開けて入ってきたのは自他ともに認める万能の天才、ダ・ヴィンチちゃん。でも今はただのサボり魔である。仕事が忙しすぎると他のカルデアスタッフが嘆いている中で堂々と抜け出してくるのはさすがというかなんというか。

 

 

 

「本当のことを言わないでくれたまえー。というかロマニ、君もかい」

「ははは。いや、だって働き詰めだったから疲れちゃって。藤丸君、とんでもない速度で特異点を叩き潰しちゃったから記録を偽装するのも中々大変で……まあ終局はもうギルガメッシュ王のせいにしとけばいいかなー」

 

 

 

 相変わらず仲が良さそうでなにより。

 もう真面目に片付けてくれてるのはマシュだけなのだけれど。

 

 

 

「ドクター……ダ・ヴィンチちゃん……」

「まあまあ、ここで二人の身体状況を観察するのも私達のお仕事だからね!」

「そうそう」

 

 

「―――あ、スタッフが私の行方を訪ねてきたら私はいないと言って欲しい。ロマニはいいけど」

「ええっ!?」

 

 

 

 さっそく裏切られたドクターはともかくとして、片付けを続ける。

 と、マシュがダンボールを取り出して中身を確認。

 

 

 

「あ、先輩。こちら先輩の私物のようですけど、どうしましょう?」

「それは―――棚の中かな」

 

 

「はい先輩……棚の上、ホコリが積もっていますね。せっかくですし、ここもお掃除しておきましょう!」

「じゃあ俺は―――フォウ君と遊んでるね」

「フォウフォウ!(てしてし)」

 

 

 

 流石に目の前でゲームをやられていると集中力が維持できない。フォウ君を持ち上げて観戦体制に入ろうとすると、フォウ君に蹴られた。『真面目にやれ』と言われているような気がする。

 

 

 

「せーんぱーいー! ここは先輩のお部屋なんですから、ちゃんと先輩がお掃除しないと!」

 

 

 

 ああ、マシュが可愛い。

 むん、と拳を握ってみせるものの、怒るというよりはあくまで反省を促すようなマシュの物腰の柔らかさは天性のものだろう。そのせいで、ついからかいたくなのけれど。

 

 

 

 

「あ、マスター。珍しいね、部屋にいるのは」

「メリュジーヌ?」

 

 

 

 と、貴族令嬢のような私服で現れたのは竜の妖精メリュジーヌ。最も美しい妖精とさえ言われ、村正でも見惚れる彼女は何食わぬ顔で部屋に入ってきたかと思うと、そのまま近づいてきて――――腕に抱きつかれた。

 遂にマシュも掃除用具を放り出し、ずずいっと距離を詰めてくる。

 

 

 

「―――メリュジーヌさん!? どうして先輩に抱きついておられるのでしょうか…!」

「? それはもちろん、抱きつきたかったからだけれど。何か問題でも?」

 

 

 

「う……いえ、問題しかありません! 先輩をどこかの不良騎士(ランスロット)みたいにするわけにはいきませんので!」

「うぐっ…。どうして、汎人類史では湖の騎士(ランスロット)が罵倒になるんだろう…」

 

 

 

 いえ、ランスロットが罵倒になるのはカルデアの中だけです。

 バリエーションとしてはガウェイン(ロリ巨乳好き)トリスタン(ヒトヅマニア)ランスロット(寝取り男)がある。

 

 清廉(女好き)流麗(流れるように)誠実(ナンパする)で、立派な騎士(りっぱなきし)を見てしまったからか、大ダメージを受けたメリュジーヌ(妖精騎士ランスロット)はそのまま吸い込まれるように胸に飛び込んできたので歴戦のマスターである自分も鼓動が早くなる。

 

 

 この子、もうちょっと美少女な自覚があっても良いのでは?

 いくら妖精國には男女間のアレコレとか皆無とはいえ。

 

 

 

 

「ううっ、マスター。僕、陛下には戦力として頼りにされてるつもりだったんだけど……違ったのかな。軽薄で、移り気で、不埒な、最低な騎士って思われてたのかな……」

 

「いや、モルガン陛下なら大丈夫じゃないかな…。一応ほら、ランスロットって円卓最強の騎士って言われてたりするし。湖の騎士だし」

 

「そ、そうです! 確かにサー・ランスロットは軽薄で、移り気で、ダメダメな騎士ですが最低というわけでは――――」

 

 

 

 と、その瞬間。扉が開いて。

 微妙な笑みを浮かべたガウェインの横で、魂が抜けた顔をしているランスロットが――――崩れ落ちた。

 

 

 

「まだだ、此処で倒れるわけには――――…ぐはっ」

「お、お父さーん!?」

 

 

 

 キラキラと金色の粒子になって消えていくランスロット。

 それを笑顔でスルーして、横にいたガウェインが言った。

 

 

 

「ご歓談中のところすみません、マスター藤丸。緊急の報告です、どうやら話にあった新たな特異点――――亜種特異点が現れたようです」

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

――――落ちていく。

 

 

 第七特異点の時も、セラフィックス(乙女コースター)の時も、第六の異聞帯の時もそうだけど落ちすぎじゃないだろうか。というか落ちた後は特に危険な目に遭っている気がする。

 

 

 

『マスター………おきて……ください!』

『藤丸君、しっかりするんだ!』

 

 

 マシュとドクターの声が聞こえる。

 そういえばレイシフトしたんだった。新宿の空はこんな感じだったかなー、と思いながらいつものように少しでも落下速度が落ちるように四肢を広げてバランスを取る。

 

 

 

 亜種特異点には特定の条件を満たすサーヴァントしか連れていけなかったり、かと思えば制限なく連れていけたりする。最終的にセイレムでは条件を特定して、サンソンたちを連れてレイシフトできるようになったけれど。新宿の時は普通にサーヴァントを連れて行こうとして弾かれて絶体絶命だった。

 

 それでも、なんとかなったけれど。

 わざわざ弾かれることを知って無策で行くつもりはなかった。

 

 

 

 

 

「――――落下する少年を救う」

 

 

 

 声がした。

 聞き覚えのある声。渋い、絶妙に胡散臭くてかっこよさもある、そんな声だ。

 

 

 

 

 

「それはまさに少女の役割であり、即ち大抵はここから始まる恋と希望の物語(ボーイミーツガール)! 君はこの後、何か適当にいちゃつきながら頑張って奮闘して特異点を修正したりしなかったりする訳だ!」

 

「へぇ、そうなんだ――――それは、恋人として譲れないな」

 

 

 

 

「いいねェ、実によろしィ! だがしかーし! だーがーしーかーしー! 残念、君を助けたのは――――って何ィ!?」

 

「―――――遅い。空中戦で、私に敵うとでも?」

 

 

 

 

 颯爽と空中に跳躍してきた新宿のアーチャー。

 その横から空中戦最速のサーヴァントの一人である(翼を出したり、竜の形態になればもっと速いが)メリュジーヌが現れて掻っ攫われる。

 

 最速の一人、とかいうと最も速いのかそうじゃないのか不明だが、多様な伝承を取り入れている境界記録帯(サーヴァント)なので伝承の著者ごとに主観的な『最速』とか『最強』とかが存在するわけで。あんまり拘りすぎても意味がないので気にしないのが吉である。

 

 

 

「ぬわぁ――――!?」

「マスター! これでマスターといちゃいちゃしながら特異点を修正できるって、ほんとう!?」

 

 

 

 ぱぁっ、と輝くような笑顔は新宿の上空に似つかわしくない無垢かつ純粋なもので――――ふれあいそうなくらい顔が近いこともあってドキドキしたのはさておき。いつまでも飛んでいるわけにもいかない。いや、メリュジーヌなら余裕だろうけど。

 

 

 

「いやとりあえず今は――――着地任せた、メリュジーヌ!」

「うん!」

 

 

 

 慣性や空気抵抗の無効化――――マスターになったことで、ある程度までこちらに恩恵を分けられるようになったメリュジーヌは飛行手段のない新宿のアーチャー(略して新茶)を尻目に速やかに、それでいて大切なものを降ろすように垂直にビルの屋上に着地。

 

 

 

「どうしよう、何からがいいんだろう……いちゃいちゃって、何すればいいのかな……一緒に街を歩いてみたり、とか?」

「メリュジーヌ、でもほら。新茶が言ったことだし」

 

 

 

 

 途端、真顔になったメリュジーヌの腕―――の横のホルダーから音を立ててアロンダイトが生成され。

 

 まだ着地できていない新茶に向けて、物理法則を無視した速度でメリュジーヌごと神話における光の槍のように“射出”された。

 

 

 

 

「……敵、生命境界捕捉。その境界を開く―――切開剣技、<今は知らず(イノセンス)無垢なる湖光(アロンダイト)>!」

 

「ぬわぁあああ!? 名乗りを上げる前の着地狩りだとゥ!?」

 

 

 

「光の新茶ァ!?」

 

 

 

 実は敵なんだよ、とあらかじめメリュジーヌに教えておいたことが災いしてか、止める間もなく首と胴体が真っ二つに泣き別れした新茶(光)が黄金の粒子になって消えていく。

 

 

 

「もってまわった話術は嫌いだ…!」

「えーと、うん。………デート、してく?」

 

 

 

 悔しさか、はたまた悲しさか。ちょっと新茶の武装に物欲しそうな眼を向けつつ項垂れるメリュジーヌに仕方なく最速攻略を投げ捨てると、聖杯を渡した時くらいの笑顔になった。

 

 

 

「―――ありがとう、マスター!」

 

 

 

 

 まあ、もうドクターも助けたわけで。

 新宿ではすでに秩序も、善も失われている。強いていうならカヴァス二世を愛でたいくらいなので、少しくらい楽しんでも……いい、かな。

 

 

 

 

 

 

 

 




悪性隔絶魔境新宿
ゲーム内ではなぜ弾かれたのか、連れていけるサーヴァントの条件が定かでないので(アガルタは謎の密航、下総では突然倒れて直行、セイレムは年代縛りっぽいもの)、特異点のボーナスから『悪属性限定』としています。

※ちゃんと三騎連れてきています※

メリュジーヌ(ランサー)中立/悪
■■■■ 混沌/悪
■■■■■■ 秩序/悪
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