俺たちのカルデアは最強なんだ!   作:アマシロ

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伝承地底世界アガルタⅢ

 

 

 

 

 

 

――――気がつけば俺は、記憶を失って見慣れねェ花……桃だらけの場所にいた。

 

 

 

 不思議と知識はあった。

 これがサーヴァントってものなのは分かる。すぐに小柄な女―――別のサーヴァントに出会ったが、船頭が二人もいちゃ話にならねぇ。だから“快く譲って”もらった。

 

 戦力にはなるかもだが、反乱分子を抱え込んで前人未到の地を、なんてのは夢物語でも聞きたかねェ。そんなものはただの悪夢だ。

 

 

 

 進み続ければ必ず夢は叶う。

 だがそれは、“ベストを尽くす”前提だ。

 

 進んだ先に物資があれば“譲ってもらう”。

 健康そうな現地民は“戦利品”として頂いていく。邪魔するなら排除する。

 

 泣き言を言う味方がいれば、火を掛けてでもやる気を出させる。

 どうしても士気を下げるのなら、消えてもらう。

 

 

 

 

 そんなのは、全部当たり前のことだ。

 もちろん奪わない方が上手くいくならそうする。奪うほうがいいならそうする。

 

 

 

 

 

 が、この場所は少々おかしかった。

 どういうわけか女のほうが権力を持っていて、男は虐げられている。わけがわからないが、助けられた男どもは喜んで協力してくれる。

 俺はすぐに、レジスタンスのリーダーという組織の頭になることができた。

 

 

 

 虐げられるモノを救う。耳障りのいい言葉に釣られた労働力があり、虐げていた女どもという後腐れのない商品もある。

 そうだ。俺は――――できた。諦めずに進み続けて、夢を叶えられた男だという確信がある。

 

 

 

 

 

 

 だが――――手詰まりだ。

 記憶がないために、宝具は使えない。イース、不夜城、エルドラド。どれか一つでも落とすことができれば十分に戦力を集められるが、エルドラドのアマゾネスを倒したければ遠距離から一方的に殺せる武器か、十倍の兵力は欲しい。不夜城はロクに情報を集められない以上は後回しにするべきで、唯一付け入る隙のあるイースはしかし、それでも戦力で大きく上回られている。

 

 

 アマゾネス達が不夜城に攻め込まないかちょっかいをかけてみたが、女王に統制されており効果はなかった。不夜城に送った間諜は戻らなかった。イースの女海賊どもは享楽にふけるばかりで、他の勢力を攻める素振りもない。流言飛語でもすぐに忘れる。いっそ奇妙なほどに『他の勢力に価値はない』と判断していた。

 

 

 

 進み続ければ、と言っても進む方向が分からないのはお手上げだ。

 幸いにもレジスタンスの連中はちょっとずつでも男を救出していれば満足する安上がりな奴らだった。

 

 

 

 何か新しい風が吹き込むのを待つ日々―――そして、それは来た。

 

 

 

 白亜の城塞。

 この世のものとは思えない美しい建造物に、女海賊どもが釣られた。

 

 空き家になったイースはそっくり頂戴した。

 男どもは戦力に、抜け殻のようになった女海賊どもも有効活用する。

 

 

 

 

 

「さぁて、なら次は不夜城か――――だが」

 

 

 

 

 海賊共を一瞬で消し飛ばす火力。

 控えめに見ても、エルドラドを上回る戦力。

 

 連中の一人勝ちなんてつまらない結果にならないように動かなければならない。進み続ければ、夢は叶う。叶えてみせる。

 

 

 

 

 

 

 

 幸い、戦力は拡充している。

 物資も豊富だ。災害をぶつけて、適度にあの城塞にいる勢力を削る。

 

 潰しあわせて、必要なものだけ頂戴する。

 他のサーヴァントも、女王も不要だ。この国には、夢のような物資と土地だけあればいい。

 

 

 

 

 

「そうだなァ! どんなに丈夫な船だろうが――――“災害”に遭えば無事じゃすまねェ」

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「くっふっふー! まだかのう、まだかのう」

 

 

 

 本来であればイースを占領したレジスタンスどもの前でダユーの水門の鍵を奪い、イースを水に沈めてやろうと思っていたのだが――――あまりにもあっさりとダユーは消滅し、追い回されたせいで鍵を見つけることもできなかった。

 

 

 だが、酷吏と不夜城があるこの場所であれば話は別。

 圧倒的な地の利、人の数で、不気味な巨人であろうがなんだろうが拷問にかける。必ずやあの時の借りは返してくれる! と燃える不夜城のアサシンは、不夜城が地下から出てくるギミックで侵入してきた哀れな者共の間抜け面を拝もうとワクワクしていたところで。

 

 

 

 ふと、動くはずのない景色が動いた気がした。

 見間違えかと目を擦るが、やはり動いているように見える。

 

 

 

「ん? なんじゃアレは。山でも動いたのか?」

「……山、ですか。そんなものが動き出しては……し、死んでしまうかも」

 

 

 

「えーい、軍師なのじゃからシャッキリとせい! 山を動かす宝具…? どんな妖魔の類かは知らぬが、所詮は子ども騙し! わらわの不夜城の明かりでまるっと照らし出してくれるわー!」

「え。………その、リスクが」

 

 

 

「やれーい!」

 

 

 

 

 ペカー。

 素晴らしい光を放つ不夜城はあんまり遠くのものを見る光源としては役に立たなかったが、それはそれとして徐々に“山”が見えてきた。

 

 

 

 

「ん? なんじゃ? ………………な、な、なななな」

 

 

 

―――――それは、白い山だった。

 

 

 

 

――――それは、二本の足で一歩一歩進んでいた。

 

 

 

 

――――それは、輝く城壁を持っていた。

 

 

 

 

 

「なんじゃあれはーーーっ!?」

 

 

固有結界(シリアルファンタズム)、展開。聖杯5基、並列稼働。――――私の指は、世界を囲う――――巨影、生命の海より出ずる<アイラーヴァタ・キングサイズ>」

 

 

 

 

 

―――――それこそは、白亜の城塞キャメロット。

 

 

 

 罪都もとい王都としてではなく、あくまで別荘として部分的に再現されたものとはいえ十分に巨大なそれ。

 それを荷物でも抱えるかのような気軽さで大地ごと運んでいるのは、大地母神(ティアマト)すら含んだハイ・サーヴァントのキングプロテア。

 

 

 

 

 

 

 そして、その玉座の前で仁王立ちしているのは額に青筋を浮かべた妖精国の女王にしてカルデアのバーサーカー、モルガン・ル・フェ。

 

 城壁の前で妖精剣ガラティーンを構えるのは妖精騎士にして獣の厄災たるバーゲスト。

 真面目な顔をしつつマスターの方をガン見しているのは妖精騎士にして炎の厄災たるメリュジーヌ。

 

 

 

 そして玉座の横の特別席でシートベルトをしているのは、この阿呆な作戦を考えたカルデアのマスター。遠い目をして『アーラシュに射出してもらうよりは揺れないかな』なんてことを考えていたりする。

 

 

 

 

『――――キングプロテアのエネルギー、なおも上昇! 固有結界内とはいえビーストⅡ、出現直後のティアマトに迫る勢いです! 質量の急激かつ持続的な上昇で観測機器がエラーを吐いてます!』

『よし、速やかに観測対象から除外! ロマニ、そっちは!』

『うん、やっぱり“不夜城”にも一般人の男性が巻き込まれてる! 要救助対象だけど、いけるかい藤丸君!』

 

 

 

「もちろん、ドクター。この亜種特異点自体が、一つの物語。固有結界もしくは似て非なる大魔術。だが、それなら。こちらも聖杯で固有結界を強化する」

 

 

 

 

 キングプロテアが具現化するのは生命の海。

 それ単体で一般人がどうにかならないようにモルガンの魔術で多少サポートしているが、こちらの陣地に入れてしまえば後はどうとでもなる。

 

 

 

 

「我が夫。一般人はそのままキャメロットの一区画に避難させました。――――構いませんね」

「あー、えっと。……うん」

 

 

 

 

 既に生命の海は不夜城の大半を飲み込み、キャメロットを抱えたキングプロテアはジオラマの中に立つ怪獣の如く。

 

 

 

 

「えーい、なんじゃそれは! ずるいぞー! わらわの不夜城もちょっと持ち上げてみせよ!」

 

 

 

 

 が、モルガン陛下の怒りは見下ろしたくらいで晴れるものでもなく。

 

 

 

 

 

「黙れ。地に堕ちろ――――ロンゴミニアド、十二門斉射」

 

 

 

 

 

 

 

 

 十二の光の槍が編み合わさり、かつてオリュンポスを襲った一撃――――キリシュタリアが惑星轟を用いてなんとか防いだ巨大な光の鉄槌となって降り注ぐ。

 

 キャスター・アルトリアが認めた神域の魔術師。

 楽園の妖精における随一の天才。彼女が心血を注ぎ込んだ魔術の結晶が、冠位級の竜の炉心と、彼女(メリュジーヌ)がたっぷり食べた聖杯の力によって引き出される。

 

 

 

 

 

 その光は全てを消し飛ばし――――。

 

 

 

 

 

 その瞬間、黄金の光とともに現れる狂戦士がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――死んでしまう。

 

 

 

 死にたく、ないのです。

 死にたくなくて始めたはずの計画。

 

 上手くいく、はずだった。

 ラピュタを大都市に落としての人理泡沫、それは上手くいくはずだった! 阻止しに来るだろうというカルデアも主演(キャスト)に組み込み、サーヴァントたちを全て排除し、擬似的な聖杯戦争という物語を完遂させる。

 

 そうすれば、もう二度と召喚されることもない。

 もう二度と死ななくていい。

 

 

 

 そのはず、だったのに。

 人知を超えた巨人、彼女が抱えた城塞から放たれる光の槍。

 

 理不尽な王は恐ろしい。いつ殺されるか分からない、自分をどうとでも扱える男は恐ろしい。それ以上に恐ろしいものなど無いと思っていた。

 

 

 

 けれど、あんな――――見ているだけで死んでしまいそうな光の槍が、直撃しそうになるなんて予想だにしていなかった。

 

 

 

 

『■■■■―――――ッ!』

 

 

 

 

 ギリシャの大英雄、ヘラクレス。

 聖杯と物語によって強化され、巨英雄(メガロス)とでも言うべき存在になったものをとっさに召喚する。

 

 そうしなければ、死んでしまうから。

 計画が完遂できなくなるとか、そんなことを考える余裕もない。辛うじて間に合い、光の槍を防いだメガロスはしかし、その命のストックを半分ほど削り飛ばされた。

 

 

 

 自分であれば軽く十二回は死んでしまいそうな攻撃だった。

 ああ、何故――――死にたくないだけなのに、普段よりもっと死にそうな目に遭っているのか?

 

 

 

 

 

「生命の海に沈みなさい――――潰してあげる」

 

 

 

 

 キャメロットを一度地面に置いたプロテアの一撃が、なんとか抵抗しようとしたメガロスをぺしゃんこに潰す。

 光の槍を防ぐため、すぐ近くにメガロスを呼んだことが裏目に出た。間近で圧縮死するメガロスを見てしまい、シェヘラザードは遮二無二逃げようと――――。

 

 

 

 

「慈悲だ、頭を垂れよ――――恐怖もない、希望もない。ただ、罪人のように死ね。何人も、通るに能わず――――はや辿り着けぬ理想郷(ロードレスキャメロット)

 

 

 

 

 

 

 

 モルガンの宝具によりメガロスは消し飛び、もう再生しない。

 シェヘラザードはそのまま気絶し――――死の直前で、魔神柱が姿を見せた。

 

 

 

 

 

 

 魔神フェニクス。

 シェヘラザードと共謀し、アガルタを作った魔神柱。死に続けた経験から、生きていなければ死ななくて済む、と召喚術そのものを使えなくしようとしたもの。

 この段階でシェヘラザードが死ねばラピュタは完成せず、計画は失敗に終わる。というかシェヘラザードが死ねばどっちにしろ出てきてしまう。故に、どうしても出てこなければならなかったのだろうが――――。

 

 

 

 

「プロテア――――ぱーんち!」

「チェイル・ブレイザー!」

「ぅうっ……ァァアアアッ! ―――――竜に挑むのか、その意気やよし。望み通りなぶってやろう」

 

 

 

 

 魔神柱がひしゃげ、鎖に絡め取られて燃やされ、物理法則を無視して飛び回る竜の妖精に切り刻まれる。

 何も語る暇もなく、ひたすらに殺される。終局特異点より悲惨な有様に、悲鳴を上げてのたうち回るフェニクス。

 

 

 

 

 

『駄目だ、あの魔神柱は“既に死んで”いる! 藤丸君、このまま殴り続けてもあの魔神柱は倒せない!』

『なるほど、死んでいるからサーチに引っかからなかったわけか。ロマニ、君の部下だろ。何かいい方法とか無いのかい?』

 

 

『いや、そう言われても……。魔神柱だし、指輪を返還すれば解けそうだけど。正直できればやりたくないぞぅ!』

『あ、ちょっと待って。センサーに新しい反応が――――』

 

 

 

 

 

 

 

「諦めねェ、諦めねえぞ―――――…なんて、酷いことしやがる! せっかくの光る建物やら、女どもを……何も全部ぶっ潰しちまうことはねぇだろう!?」 

 

 

 

 

 

 漁夫の利を得るためか、不夜城に潜入していたレジスタンスのライダー。その構成員たちは固有結界のドタバタに巻き込んでモルガンが回収した。

 が、特に回収する意味がないサーヴァントはそのままロンゴミニアドの爆発に巻き込まれており――――爆心地にいた不夜城のアサシンはともかく、かなり離れていたレジスタンスのライダーは辛うじて生きていた。

 

 だが、既に満身創痍。

 気合だけで耐えているような有様であり――――。

 

 

 

 

「――――…そうか、俺はいつだってこんな“嵐”に巻き込まれて――――それでも、乗り越えてきたことを思い出したぜ。進み続ければ、夢は叶う。そうだ、だから俺は錨を降ろすぜ。既にたどり着いたと嵐を嗤うぜ」

 

 

 

 

 

 プロテアの攻撃の衝撃波に、モルガンの宝具の余波に、吹き飛ばされてもレジライは進む。只ひたすらに、ひたむきに、真っ直ぐに、前へ。

 

 

 

 

「うおおおおお! 俺は諦めねぇ!」

 

 

 

 

 どれだけ痛めつけられようが。前に進む限り負けではない。

 

 

 

 

「うおおおおお! うおおおおおお!」

 

 

 

 

 もちろん勝ち目のない戦いに向かうのはただの馬鹿だ。

 だが、今は違う。さながら新大陸を発見した時のように、“今しかない”という思いがレジライを突き動かす。そして。

 

 

 

 

 

 

「―――――うるさいです」

 

 

 

 

 

 そして、プチっとプロテアに潰されて。

 その瞬間、限界以上に刻まれて、燃やされて、潰されたフェニクスとレジライが運命の出会いを果たした。

 

 

 

 シェヘラザードという仮宿を失い、もう死にたくないフェニクス。

 夢が叶うまで生き続けたいレジライ。プロテアの固有結界、生命の海の中で二人は一つになった――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ハァーッハッハー! 辿り着いたぜ、新天地によォ! ――――新天地探索航(サンタマリアドロップアンカー)ァ!』

 

 

 

 

 

 生命の海からにょっきりと顔を出す、レジライ顔の魔神柱――――レジスタンスのライダー・フェニクスが、たくさんの口から無数の錨を射出してキャメロットに襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






元ネタ
レジライ無限ガッツバグ
・夏イベでプロテアといるレジライが無限にガッツし始めるバグがあった
・フェニクスは無限ガッツ

 →つまりフェニクスは実質レジライだった。Q.E.D.
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