『ハァーッハッハー! 辿り着いたぜ、新天地によォ! ――――
レジスタンスのライダー、レジライと魔神柱フェニクスが一体化したレジライ・フェニクスないしレジライ柱は無数のレジライ顔と、その口から射出される宝具であろう錨も相まって悪夢か何かのようであり―――――現地民の人からすれば実際悪夢だっただろうが。
その錨は、プロテアがメガロスを殴るために一度地面に置いたキャメロット(土台つき)に遠慮なく絡みつこうとし、細かく連射されたロンゴミニアドによって防がれる。
「面妖な。無礼者、諦めなさい」
『―――ああン、やってくれるじゃねェか―――――だが、俺は諦めねェ!』
「えーいっ!」
メキョ、と嫌な音を立ててプロテアのパンチがレジライ柱を叩き潰し――――髭と錨を撒き散らしながら即座に復元する。
魔神柱の中でも最強クラスの再生能力を持ちながらメンタルが弱すぎてイマイチ怖くなかったフェニクス。だが、彼にレジライという外付け折れない精神が付与されたことによりその再生能力が遺憾なく発揮できるようになった。なってしまった。
『うおおおお! うおおおおお!』
「こんなの、要らない……」
目からビームを発射しつつ、髭を突き刺してくる謎柱に流石にプロテアも嫌なのか少し下がり――――。
『進み続ければ、必ず夢は叶うんだぜェ!』
その分だけレジライ柱が前に出る。
無数のレジライ顔がぐねぐねしながら前進するその様は控えめに言っても恐怖映像であり、嫌そうなプロテアの前に宝具を発動したバーゲストが割り込んだ。
「貴方と――――付き合う――――気はありませんッ!
一撃、二撃、三撃。
真名開放したガラティーンによってレジライ柱が燃え上がり――――しかし、燃えながら再生していく。
『ぐおおおおお! アチいじゃねェか! だがこの肉体は最高だぜェ、どこまでも進み続けられる!』
「プロテア、オーダーチェンジ――――――オベロン!」
「っははは! いいねぇ、最高だ」
相性の悪いプロテアへの魔力供給をカット、戦闘服に備えた術式により、滞りなく次のサーヴァントにつなげる。
更にほぼ同時に、ガラティーンのやけどから再生する暇も与えぬとばかりにキャメロットの玉座から竜が飛ぶ。
炎の息、鉄の翼。境界を開く最後の竜。
『――――飛びなさい、彼方の空へ。お前は、例え残骸であろうとも――――
『まだまだァ! こんなもんかよォ!』
あの奈落の虫にも風穴を開けた、魔力放出に類似する熱線。
レジライ柱を半ばまで融解させたものの、回復し続ければ死なないし何なら不死なので死んでも問題ないとばかりのレジライ柱。
心底嫌そうな顔で不夜城の跡地に立った(モルガンに入城拒否されたので)オベロンはそのスキルによってメリュジーヌを、アルビオンを強化する。
「蛮勇だな、反吐が出る。さて――――」
『体内魔力上昇、マナ放出』
『クソッタレがァ!』
瞬間的にメリュジーヌの魔力が再上昇し、再度放たれる宝具。
今度こそレジライ柱が完全に融解し――――そこに、十二の光の柱が突き刺さった。
「ロンゴミニアド、全門開放――――光栄に思え。私の、本気です」
『諦めて……たまるかよォ……』
聖杯で強化されているプロテアの本気の一撃、バーゲストのガラティーン、アルビオンの熱線二連射、そしてモルガンによるロンゴミニアド十二門斉射。ケルヌンノス相手でもそこそこ効果のありそうな猛攻に、半ば溶けたゼリーのようになったレジライ柱だったがまだそれでも死なない―――というか死ねていない。
むしろ巻き込まれたフェニクスが哀れになるくらいの死ななさっぷりであった。
「……オベロン、頼む」
「はいはい。最初から俺に頼んでおけばいいのに。なんか幸せそうだし、わざわざ分離を試みてやる意味もないだろ?」
そう、なんか合体事故というか巻き込み事故になったレジライはできれば分離してから終わらせたかったのだが。腐っても魔神柱、しっかり倒してから排除しようとしたのが裏目に出てしまった。あと――――。
「いや、だってお前の宝具危ないし」
「そういうものだろう、宝具って。俺よりアルビオンの方が危ないって」
『――――力加減もできます! 優しいですっ!』
マッハで文句を言いに来たメリュジーヌにオベロンはドン引きしつつ言った。
「いやー、君愛されてるよね。羨ましいなー」
「ハハハ、俺の目を見て言えよオベロン」
『マスター。私の方を見て?』
言うが速いか、ぎゅうっと抱きしめて――――というか抱きついてくるメリュジーヌだが、確かに痛そうな見た目に反して力加減は優しい。というか、ほぼ服を着てないような格好なので密着されると色々危うい。
「メリュジーヌ、今は戦闘中のはずですが―――っ!」
『基本、即断即決なので』
お前も戦闘中だろ、と突っ込みたくなる素晴らしい勢いでこっちに来たバーゲスト。そんな彼女たちを遠い目で見ながら、オベロンは言った。
「なあ藤丸、思ったんだけど。君でランスロットを釣ればブリテン崩壊しそうじゃないか? 汎人類史的にも」
「ちょっとマジトーンで言うの止めてくんない!?」
最近本気で手が足りないというか、混沌としてきたので冗談に聞こえない。
あとそれ多分ブリテンより先にカルデアが崩壊するのでは。こんなんでも一応唯一のマスターだし。……いやまあ、ブリテン異聞帯の攻略後でカドックが目覚めるまでだけど。
「我が夫、早くその糞虫を仕留めて――――失礼、本音が口に。その糞虫に仕留めさせてください。再生してしまいます」
やっぱり嫌われてるなあ、と思ったら似たような表情をしたオベロンと目が合い。お互いになんとも言えない苦笑いとともにレジライ柱の残骸に向き直る。
「はいはい、モルガン陛下のお望みのままに――――」
「オベロン、令呪を以て命じる――――宝具を開放せよ!」
「いいだろう! 今一度、黄昏の空を!」
「夜のとばり、朝のひばり。腐るような……夢の終わり。黄昏を喰らえ―――――
かつて/未来で ブリテンを飲み込もうとした一匹の虫が姿を現す。
奈落の虫――――“崩落”そのものであるそれは、相手を殺すものではなく一切の光のない奈落に落とす『異界への道』。
殺せないのなら、殺さなければいい。
割と暴力的な回答であり、対界宝具であることから気軽に使っていいものではないのだが、物語の中というこの特異点であれば問題はない。
問題がなくても、死なずに落ち続けさせるなんてのはできれば使いたくない手段だったが。
「ま、これは受け売りだけど。他のものまで滅びに巻き込むのは見苦しいんだそうだ」
「気にしてたのかオベロン……」
完全にそれアルトリア(弟子)に言われた奴だよね。
とはいえ確かに召喚されると死ぬしか無い、死にたくないから召喚されなくなるようにラピュタを大都市に落とすなんてのはかなり見苦しい。
「ははは、今にも罪悪感で死にそうな顔してる君には言われたくないなぁ! さあ―――俺が語ることは、もうない―――――」
奈落の虫が吼える。ブリテンの時よりも小さめのサイズで出てきたものの、それでも魔神柱を一呑みにして余りある。
限界まで消耗したフェニクスに逃れる術はなく、ただ射出される錨がしぶとく地面に食い込んで踏ん張る。
『船が……沈むだとォ…』
「――――全ては夏の夜の夢だ」
だが、なら地面ごといけばいいとばかりに奈落の虫は大地ごと抉り取り――――。
どこまでも落ちていくレジライ顔の魔神柱。
なんか、見た目のインパクトが強すぎて罪悪感が全く湧いてこないのが申し訳ないぞ…?
「どちらかというと悪夢の類だな、アレ」
「高熱出した時に見る夢とかね」
そんなこんなでフェニクスは排除。
地中に埋まっていた聖杯はモルガンがサーチして魔術で取り出し。聖杯を手に入れたことで聖杯とシェヘラザードの物語でできていたアガルタは崩壊した。
「やれやれ。こんな物語の登場人物になるのは流石に勘弁かな、集られたくないし」
「割とノリノリで宝具使ってくれたじゃん」
「だって気持ち悪かったし」
「(今度ばかりは何も言えない)」
まさかライダーと魔神柱で合体事故が起こるとは…。
纏めて奈落の虫に落としてしまったし。
「ところで我が夫。このキャメロットを聖杯で維持し、後の別荘兼、前線基地にしようと思うのですが」
「え、本当にやるの?」
モルガン陛下が言うと冗談に聞こえない。
まあ聖杯で地中に維持するのなら白紙化の影響を受けない……のか? 今までに分かっている情報だとちょっと危うい気もするが、そこは陛下だし…。
と、それを聞きつけてメリュジーヌ(さっきからずっと密着していたし、そのせいでオベロンに呆れ顔をされている)が言った。
「マスター、私はマスターと同室にして」
「いや、一人許すと大変なことになるから……」
清姫とか静謐とか頼光とかゴッホちゃんとか。下手に刺激するとアビーとかメルトも何か言ってくるかもだし。そのへん、普通の女の子なキャスター(アルトリア)は癒やしなんだけども。
「メリュジーヌ、いい加減にマスターから離れなさい!」
「嫌です。私の方が強いのですから、私に従って」
「―――――っ、ハッハッハ! いいだろう、どちらが妖精國最強の騎士か、此処で決着を付けてやる。当然お前は私の味方だろうな、マスター」
「私ですよね、竜なので。バーゲストは大型犬みたいで可愛いけど、私の方が強い」
「ちょっ、人の背中から煽らないで!?」
「でもなー、二人ともモルガン陛下には勝てないんだろうなー。夫だって言ってるしなー」
メラメラと闘志を燃やすバーゲストだが、オベロンの言葉に冷水を浴びせられたように黙り込むと「くっ、やはり最大のライバルは陛下……」とか呟き始めた。なんで下剋上しようとしてるんですか。
「例え陛下が相手でも、マスターは私の
「くっ……私だって!」
「いいでしょう――――ならば受けて立ちます」
なんで受けて立っちゃうんですか陛下。
あとなんでもう無数に増えてるんですか陛下。
「この星で、一番の心臓を」
「弱肉、強食ッ!」
完全に戦闘態勢に入った二人。
もう頼れるのは一人しかいなかった。
「オベロン、なんとかして」
「ハハハ、――――無理に決まってるだろ?」
「じゃあなんで煽ったオベロンンンン!」
「お、それリンボの真似? 似てるな、気持ち悪い」
結局、シミュレーターの中での戦闘に同意してもらうのだが。
これがきっかけとなり、後日カルデアでちょっとした事件が起こるのだった。
ところで下総国ですが…。
展開的にサーヴァント連れていけないのと、武蔵持ってないので書けないかもしれません。
書けたら投稿しますが、無理そうだったら飛ばしてセイレムに行きます。