俺たちのカルデアは最強なんだ!   作:アマシロ

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すまない……まことにすまないが本編はまだ完成していないんだ。
それどころかこの茶番を書いていた私を赦してほしい……ほしい……ほしい………。

本編には全く関係ないので読まなくても大丈夫です。


Grand / Carnival 英霊限界調理オリンピア

 

 

―――――人理継続保証機関、フィニス・カルデア。人理を護る守護者たちの最後の砦で今、最も過酷なオーダーの一つが遂行されようとしていた。

 

 

 

『サーヴァントも増えて増えて、個室が欲しいとか魔力が足らないとか、カルデアは深刻なリソース不足になっていてねぇ……』

「そんな、大規模な契約解除だなんて…!」

 

「それなら、俺にいい考えがあるよ」

 

 

 

 ダ・ヴィンチちゃんの懸念もよく分かる。電力を魔力に変換してなんやかんやしているカルデアにおいてリソース不足というのは立地的にも避けられない。百を超え、二百に届くほどの英霊が常駐するカルデアは控えめに言っても電力バカ食い。大英雄と契約したへっぽこ魔術師のような有様である――――故に。

 

 

 

 

 

 

「ほう、それで俺を頼ってきたわけだな。任せておけ、美味しいお米がどーん、どーん!」

 

 

 

 とある部屋――――日本英霊の部屋に、俵藤太を訪ねる。

 こんな時に誰よりも頼りになる大英雄は、快く首を縦に振ってくれた。

 

 

 

「あと山海の珍味が尽きない鍋の宝具もあるとか聞いたんだけど……」

 

 

「うむ。そういう事情であれば否はない。協力しよう」

「よし、勝ったな飯食ってくる」

 

 

 

 

 

………

……

 

 

 

 

 

『――――第一回、チキチキ! マスターの胃袋を掴むのは誰だー! お料理聖杯戦争!』

「待ってちょっと意味がわからない」

『正直、私にもわからん』

 

 

 

 

――――ほわんほわん

 

 

 

「魔力が足りないなら食事をすればいいじゃないか!」←マスター

「なんかリソース不足だからマスターが食事してほしいんだって」←大体あってる

「リソースが足りないからマスターが食事をお願いしてると聞いた」←間違っていない

「ねぇねぇマスターが食事作って欲しいんだって!」←理由が抜けたしなんか違う

「マスターのために食事を作ってあげましょう!」←善意

「マスターのために誰が一番美味しい料理を作れるか勝負ね」←対抗心

「胃袋を掴んだら心もゲットできるらしいよ」←起爆剤

 

 

 

 

 

 

 気がつけば闘技場を模した場所で、審査員席に座らされていた。

 周囲は観客らしき謎の猫っぽい生物(ナマモノ)が取り囲み、ヤル気満々のサーヴァントたちが思い思いの姿で調理器具を握っている。

 

 

 

『え、ホントに分からないのかしら。シロウじゃないんだから、しっかりして欲しいものだけれど。ねぇ、アーチャー?』

『……私に振らないでくれたまえ』

 

 

 

 で。お隣の実況・解説と書かれた席には何故か体操服姿のシトナイと、妙にシンプルなシャツを着せられてげっそりした顔をしているアーチャーがいる。

 

 

 

 

『――――今回の聖杯戦争は狂……あるいは凶。キッチンタイマーの音が聞こえるか』

 

 

 

 

『はーい、今回はコトワザにあるという「男をつかむなら胃袋をつかめ」にちなんでマスターさんの胃袋を掴めば、すなわち優勝すればマスターさんのハートを(たぶん)ゲットできる大会です! 参加チームはこちら!』

 

 

 

「ちゅちゅんちゅん。ご主人に美味しい料理を献上するためと聞けば、この紅閻魔黙ってはいられまちぇん! いくでちよ、玉藻!」

「……えーと、そのぉ。はい、玉藻頑張ります――――紅先生と一緒のチームって何の罰☆ゲーム! ですか!? もっといい相方がいらっしゃったんじゃありませんか!? マインドクラッシュされてしまいますっ!」

 

 

 

「……キャットは悪くないでちが、毛が入ってしまうのは閻魔亭としては論外なのでち。清姫は別のチームでち。刑部姫は……一度裁いてからになってしまうでち」

「KU☆BIですか!? 一度地獄に落とすってことですよね今からでもチェンジプリーズ!」

 

 

 

『負けたら地獄行き!? チーム『閻魔亭と嫁狐(修行中)!』

 

 

 

 

 

 

「航海はクールに、調理はスマートに……って、なんで僕まで」

「――――はーい、じゃあ私たちも頑張っちゃう!」

「お薬が専門なんですけど……」

「よっしゃ、ぶん回すぜ!」

「レシピ……まもってね?」

「「「「ヨーソロー!」」」」

 

 

 

『実はワンマン!? チーム『ネモと愉快なマリーンズ』!』

 

 

 

 

「――――ああ、安珍様! 清姫の手料理、楽しみに待っていて下さいましね!」

「遂にこの時が来てしまったみたいね! ――――アイドルの手料理、震えて待ってなさい子イヌ!」

 

 

『作る側が火を吹くか、食べる側が血を吹くか! チーム『清姫エリザベートドラゴンズ』!』

 

 

「え、ちょっと待って俺死ぬのでは」

『……まさかそのために地獄の獄卒を?』

 

 

 

 

「――――っふふ! マースター! ゴッホさん、心に残る料理にしましょう!」

「……エヘヘ、どう考えても場違いなような………でも、頑張ります……」

 

 

「そんなことはないわ。マスターさんに喜んでいただきたい気持ちは同じですもの!」

「でも………料理するほど、食材なんてなかったですし………四日間コーヒーだけとか……エヘヘ、ゴッホジョーク!」

 

 

『何が出てくるフォーリナーチーム!『銀の向日葵』!』

 

 

 

 

 

「………ねぇ、メルト。誘ってくれたのは嬉しいんだけど、正直私料理とか……トカゲとかお子様には勝てると思うけど、あんまり得意じゃないし」

「いいえ。今回は勝ちにいくから。大体、私が妙な気を回すと思って? 必要だから呼んだ、ただそれだけよ」

 

 

 

「……うん! 頑張ろうね、メルト!」

「ええ」

 

 

 

『アルターエゴのコンビ! 『メルトパッション!』』

 

 

 

 

 

 普通に美味しそうな閻魔亭組、ノーチラス組はともかくとして、なんで既に味覚とかSAN値とか毒殺とかの心配をしなくてはいけないのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

『さあ、今回作る料理のお題は厳正なるくじ引きによって決定されます!』

『……ちなみに、くじは英霊たちの投票により作られている』

 

 

 

 

 

『さあ、まずは閻魔亭チーム!』

「略されてる!? いえまあ別にいいんですが……」

「……玉藻に閻魔亭の看板を背負わせるのは早いような気もするでちが」

 

 

「(藪蛇!?)――――紅先生、とりあえずクジをどうぞ。ササッと」

「む。……まあ、玉藻が変なものを引いたら再修行も否定できないでち。よろちい、ここはあちきが――――」

 

 

 

 神妙な顔で箱に手を入れ、クジを引く紅閻魔。

 引き抜かれたその手に握られているのは―――――。

 

 

 

 

 

 

―――――――『ジャンクフード』

 

 

 

 

 

「ジャ……ンク?」

「うわぁ」

 

 

 

『これはすごいところを引きましたね! 解説のアーチャーさん!』

『ああ。純粋な料理の腕が出せないお題のようにも見えるが……』

 

 

 

「…………すみまちぇん、玉藻」

「いえ、そんな! 紅先生が謝ることなど―――――」

 

 

 

「――――あちき、本気を出すでち! 死ぬ気で付いてくるのでち!」

「私が引いとけばよかったぁ!? 待って下さい紅先生、それ多分本当に死ぬ感じのやつですよね!?」

 

 

 

「では最終再臨で宝具でち、玉藻!」

「IKI☆NARI!? 出雲に神あり、是自在にして禊の証―――――」

 

 

 

『ああっと、いきなり波乱の展開だー! 一体なにをするつもりなのか、宝具を展開させつつ物凄い勢いで紅閻魔が地面を掘り返しているぞー!?』

 

『本当に何を――――いやまさか』

 

 

 

『もう分かったの? さすがアーチャーね』

『いやなんというか、想像の域を出ないのだがね』

 

 

 

 

 

 

『それはともかく―――次はチーム『ネモ・マリーンズ』!』

『次はやりやすそうなクジを引いて欲しいものだが……』

 

 

「よし、僕が引くよ」

「いいよ~」

「いいですよ」

「お任せします~」

「「「え~~、キャプテンずるいー! 引きたかったー!」」」

「どんだけ引きたいんだよ、キャプテン野郎……」

 

 

 

 マリーンズたちのブーイングを聞き流しつつ、澄まし顔でクジを引いたネモの手にあったのは―――――。

 

 

 

 

―――――――『自分の好物』

 

 

 

『おっとこれは無難なお題だー! ちなみにアーチャーさんの好物は?』

『さてな。まあ普通の料理とでも言っておこう』

 

 

 

「!?」

「そっちかぁ……。できればマスターさんの栄養になるものが良かったんだけどな~」

「仕方ないですね。それに甘味は精神的なお楽しみとしては重要ですし」

「「「パフェたべたーい!」」」

「……へっ、本音ダダ漏れだな」

 

 

 

「………ベーカリー、何か、思いついた?」

「え~、パフェでしょ? プリンでもいいけど」

「「「パフェだ! パフェを要求するー! さもなくば……叛逆する!」」」

「いいんじゃねーの、パフェで。というか偶にはアタシにも食わせろ」

「ノーコメントでーす」

 

 

 

 

『なるほど、ネモはパフェが好きなのね』

『……やめて上げてくれたまえ』

 

 

 

 

 

『さあお次は――――『清姫エリザベートドラゴンズ』!』

『ここにジャンクフードが当たればまだ良かったか……? いや……』

 

 

「っふふ。この清姫、例えどのような料理であろうと安珍(マスター)様がご所望とあらば応えて見せます!」

「じゃあアタシが引くわね! さあ、来なさいアイドルに相応しいお題! ドロー!」

 

 

 

 

 

―――――――『0円食堂』

 

 

 

 

『おおっとこれはー! 希望とは真逆のものがでてきたー!』

『他チームの食材の残りの他、先程厨房で出た余り物も用意してある……(普段ならそれも処理していたのだが)』

 

 

 

 

「は? ちょっ、待ちなさい! ここはアイドルらしくゴージャスな素材で料理するところじゃないの!? 余り物でどうしろっていうのよ!」

「………あら、こんなところにトカゲの尻尾が」

 

 

 

「痛ぁい!? 何してくれちゃってるの、この蛇!?」

「黙りなさい。マスター様に出させていただくお食事を余りもので作るなど……恥ずかしくはないのですか?」

 

 

「う、ぐ……アタシだって嫌よ!? 誰よこんなお題入れたの!?―――痛ぁい!?」

「黙りなさい。マスター様がご所望とあらば応えるのが妻というもの。口答えなど……恥ずかしくはないのですか?」

 

 

 

 

「くっ、ちょっと分からないでもないのが悔しい……いいわ、この(アタシ)たちが最高の0円料理を披露してあげる!」

「0円ということは、99銭までは……そういう問題じゃない? 仕方ありませんわね……」

 

 

 

 

 

『さあお次はフォーリナーのチーム!『銀の向日葵』!』

 

 

「どきどき……それじゃあ、一緒に引きましょう!」

「………エヘヘ、好物とか言われても困ってしまうので………お題を、下さい」

 

 

 

 

 二人で正反対のドキドキを味わっているようにも見えるアビーとゴッホ。二人が引き抜いたクジには――――。

 

 

 

 

――――――――――『自分らしいもの』

 

 

『ふーん。まあ定番どころかしら』

『あたりのようではあるが、まあお題が欲しいというのには合致していないな』

 

 

 

「まあ。そうすると………どうしましょう」

「………エヘヘ、コーヒーだけとか……駄目ですよね」

 

 

 

 

 

 

 

『さあ最後はアルターエゴの『メルトパッション』!』

 

 

「くじとか引けないから。マスター、代わりに引いて」

「……ご、ごめんなさい。私も、こんな小さな箱だと潰しちゃうから……」

 

「まあ、それは確かに……じゃあ失礼して」

 

 

 

 

 箱の中に手を突っ込むと、果たしてどれだけお題が入っているのか大量のクジがあるのを感じ取れる。悩んでも仕方がないので、直感に従い引き抜いたのは―――。

 

 

 

 

―――――『スープ料理』

 

 

『おおっと、普通です! やっぱり0円食堂がおかしかったのかー!』

『かなり手間暇のかかるものだが……どう調理してくるか』

 

 

 

「ふぅん。貴方が引いたにしては悪くないわ」

「メルト……」

 

 

 

「何よリップ、そんな顔して」

「そういえば私たち、包丁とか握れないんじゃ……?」

 

 

 

「……………その爪、いい切れ味よね」

「爪で料理するの!?」

 

 

 

 

『よく考えなくても普通に料理できそうにないー! 感覚が鈍いメルトリリスと過敏なパッションリップは果たして料理ができるのかー!?』

『キングプロテアはサイズはともかく調理はできていたがな』

 

 

 

 

 

 

『いいわ。調理開始の宣言をしなさい、アーチャー!』

『タイマーを回せ。調理、開始!』

 

 

 

 

 

 

…………

……

 

 

 

 

 

 

『さあ、調理完了したチームから実食です!』

 

 

「はい、できました!」

「……エヘヘ、けっこうよくできた……かも」

 

 

 

 と、アビーとゴッホが持ってきたのは――――パンケーキと、コーヒー。

 そのまんま二人らしい料理に、思わず顔が綻ぶ。

 

 

 

「さあ、マスター。あつあつのグレービーソースと一緒にご賞味くださいな! ……あ~ん」

「あっ……ズルい……………ではゴッホは……エヘヘ、口移しなど……」

 

 

「あ、あーん。―――――あ」

 

 

 

 

 この味。一見するとタダのパンケーキのように見えるけどれど。違う。

 これはもしや、コーヒーの方も―――と、眼前に迫ったゴッホの顔に思わず勢いよく身を引いた。

 

 

 

「ってホントに口移し!?」

「……んく。………すみません、ゴッホなんかにやられても嫌ですよね……所詮わたしは売れない画家……エヘヘ」

 

 

「もっと体を大事にしなさい! はい、カップ頂戴!」

「あ、はい。どうぞ……」

 

 

 

 

 口を付ける前からはっきりと分かるのは、ミルクをたっぷり入れたカフェ・オレ……というかコーヒー牛乳となっていること。アビーでも飲めるようにという配慮でもあるのかもしれないが――――。

 

 飲んでみると、普通のコーヒーとは違った風味が鼻を抜ける。

 

 

 

 

「…………これは、ひまわりコーヒー?」

 

「ええ。そうなの! クリュティエさんらしさは何かなって、考えたら向日葵が思い浮かんだのだけれどわたしには良いアイデアが無くって。でも、コーヒー好きのゴッホさんが教えて下さったの!」

 

「エヘヘ……ついゴッホはゴッホとして考えてしまって。アビーちゃんが考えてくれたので………コーヒー好きには邪道ですけど、マスター様には良いかなと」

 

 

 

『ひまわりコーヒー…。生憎と詳しくはないが戦時中は代用品として用いられたとも聞いたことがある。コーヒー好きからすると噴飯ものという話もあるが――――コーヒー牛乳ならば悪くないという意見もあるらしいな』

 

 

 

「そしてパンケーキもひまわりパンケーキ! ……どうかしら? お口に合うと良いのですけれど……」

「エヘヘ……アビーちゃんとゴッホらしい、クリュティエらしい料理です……」

 

 

 

 

「尊い。そして美味い―――――やっぱり口移しで」

 

『そこまでにしておくんだ、マスター。一度落ち着け、狂気に溺れるぞ』

『はい、次のチーム!』

 

 

 

 

 

「いいわ、受け取りなさい。これが『SE.RA.PH式コンソメスープ』よ」

「た、大変でした……」

 

 

『コンソメスープ……フランス語で『完璧』という意味のスープだな。凄まじく手間暇のかかるスープで、本来ならばこの短時間で完成するものではないはずだが……』

『そこが『SE.RA.PH式』ということなのかー!? その味やいかに!』

 

 

 

 と、颯爽とやってきたのは袖の上になんとかお皿をのっけたメルト。

 既に見た目が可愛らしいことになっているのだが、器用に滑ってくるとクールにお皿を台に置いた。

 

 

 

「これは――――いや、なんというか。普通にスープっぽいけど」

「普通にスープね。そして飲んで感涙にむせび泣きなさい」

 

 

 

 

 一見すると普通の琥珀色のスープ。特に具材なし。 

 サーヴァントの料理としては普通すぎるそれに、若干の疑問をいだきつつもスプーンを手に取り――――。

 

 

 

 

「こ、これは……!?」

 

 

 

 肉、野菜、魚――――食材の旨味だけが極限まで濃縮されている!?

 なんだこれ、普通にうますぎるぞ!?

 

 雑味がなく流れるように舌先で踊るこの旨味――――いったいどうやって!?

 

 

 

「ふっ、驚きすぎて声も出ないみたいね。食材の余分なところを私の蜜でドレイン――――そして、リップのid_esで圧縮して特製のコンソメに。再度溶かして水の女神として最高の水で煮込んだこのスープには余分が一切ない――――まさに完璧(コンソメ)スープよ」

 

 

 

 

 職人か何かか!? 

 いや、そういえばメルトはフィギュア(人形もスポーツも)好き……手先が不自由だからできないけれどかなりの凝り性だった!

 

 

 

「メルト、圧縮度合いまで気にしだすから……大変でした」

「むしろ貴女が大雑把すぎるのよ。……まあ、今回はリップがいなければ完成しなかったし。感謝してるわ」

 

 

 

「うっ、尊い……そして美味い……なんか意識が遠く」

「ああ、製法の関係で私の蜜が混入するけれど―――――美味しいのだから些細な問題よね?」

 

 

「メ、メルト――――!?」

 

 

 

 

「なにしてくれちゃってるの、あの女!? いいわ、此処はこのアイドルの手料理で目を覚まさせてあげる!」

 

 

 

『ああっと、ここでダメ押しの一撃かー!?』

『待て、誰か奴を止めるんだ! マスターが死ぬぞ! よく見ろ、清姫が調理台で死んでいる!』

 

 

 

「…………(血文字で “に げ て”と綴られている)」

 

 

 

「私たちの料理は他チームが捨てた食材を大胆にリフォームした『チェイテ百八式カレー』よ! 清姫が「カレーなら何でも受け容れて下さる……ますたぁのように!」って言っていたから全力でアタシの思いを注ぎこんだわ! 余り物とか、何度も出てきてなんて言わせないんだから! さあ昇天しなさい!」

 

 

 

『ぐわあああここからでも目が痛い!?』

『でも乙女の手料理を食べないのはどうかと思うので―――続行! さあ気絶したマスターの口に―――そのまま流し込んだぁ! これは容赦のない追い打ちね、アーチャー』

 

 

『いや、間違いなくよくわからん道場とか見えそうな攻撃だからな、アレは!? 待てイリヤ手を離せマスターが死ぬぞ!』

『ふーん、シロウはもし美味しくなかったらお姉ちゃんの料理でも捨てさせるんだ』

 

 

『なんでさ!? もう美味しいとか美味しくないとかそういうレベルじゃないからな!?』

『大丈夫よ、ほら』

 

 

 

 

 

「目標確認! 点呼!」

「パフェ、装填完了!」

「発射角度、計算完了……」

「おらぶちかますぜ!」

「胃薬濃度、最大…!」

「プリンもいいかしら~?」

 

「「「「許可する!」」」」

 

 

 

 

―――――ひゅ~ん。かぽっ。

 

 

 

 射出されたパフェ(の中身)は見事な放物線を描いて、口から名状しがたい煙っぽいものを吐き出していたマスターの口の中へ。

 

 

 

 

「…………うっ、甘い……辛くないし苦くないし渋くないしすっぱくないし口のなかで蠢かない」

 

「「「僕らが作ったアイスと!」」」

「私が焼いたウェハースと~」

「僕が選んだフルーツを」

「いい感じに盛り付けて」

「僕が計算した味付けで」

「胃に優しくなるようにしました」

 

 

 

「――――死ぬかと思った」

 

 

 

 

 そういいながら死にそうな顔で起き上がるマスター。

 だがエミヤは見ていた。彼の手足がはっきりと震えているのを。もうマスターは限界だ。そして次の――――最後のお題は『ジャンクフード』。

 

 流石に、もう無理ではないか――――そう思ったエミヤをよそに、なんとなく困ったような顔で審査員席に近づくのは紅閻魔。

 

 

 

 

 

「清姫が死ん……倒れてから、なんとなくこうなる気がしていたでち。アレをマスターに出させるなんて清姫は気合がたりまちぇんので、後で再教育でち」

 

「いや、うん。まあ清姫は多分頑張ってたから……」

 

 

 

「……がっつり食べさせられたマスターに、一口だけの清姫が庇われてたら立場がないでちよ? まあとにかく、これで最後でちね。どうぞ、ご賞味下さいでち」

 

 

 

 

 と、差し出されたのは草の包み。

 開くと中にあったのは――――。

 

 

「……おにぎり?」

『ジャンクフードの定義というと、ファストフード店の商品を思い浮かべがちだが―――本来の意味から言えば栄養素の偏った食品、主に高カロリー、高塩分のものをさす。つまりおにぎりもその範疇にあるということだな』

 

 

 

「まあ、まずは一口、どうでちか?」

「これは――――」

 

 

 

 

 口をつけると、まず香るのは醤油の味と、油揚げ? 確かにジャンクに寄せてあるそのおにぎりはしかし、すっとした薬味で後に引かない濃さを表現している。

 

 

 美味しい。

 お米本来の優しい甘さと、油揚げと醤油の味付けが病みつきになるような塩気を、薬味が舌と体にも優しそうな調和の取れた味付け。

 

 栄養素はジャンクかもしれないが、しっかりと食べる人間のことを考えて作られたお握りだった。

 

 

 

 

 

「普通に作っても俵藤太様のお米なら間違いなく美味しいでちが――――玉藻の宝具を使って、あえて稲から作ったのでち」

 

「……ええっ!?」

 

 

 

「アレでも一応、神様でちからね。生命力の活性化を徹底的に注ぎ込ませて……日本といえば稲でちから、相性は良かったでち」

「…………が、頑張りましたとも………死ぬかと思った」

 

 

 

「名付けて、『水天日光天照稲荷お握り』でち。食べればたちまち地獄の獄卒でも蘇るというのをコンセプトにしたのでちが……その点は改良の余地ありでち」

 

 

 

 

「いや、でも凄い。なんかかつてなく魔力が漲ってきたような―――――」

 

 

 

 

 

「まあ、元々そういう話でちたからね…」

 

 

 

 

 

 なにやら曖昧な表情で目を背ける紅閻魔に疑問を抱いたのも一瞬。

 と、不意ににこにこ顔で参加者たちがマスターを囲んでいることに気づく。

 

 

 

 

 

「エヘヘ……マスター、実はカルデアのリソースがゴッホ並に極貧だって聞いていて」

「でも考えてみれば、マスターから搾り取ればいい話だとは思わない?」

「マスター……貴方の魔力、注ぎ込んで?」

「――――ハッ!? 安珍様、ご無事ですか!」

 

 

 

 

 

 

 これはつまり、あれだろうか。

 肥えさせて絞りとるという……割と童話でありがちな?

 

 

 

 

 

 

「え? ちょっ、え? エミヤー!? 助けてエミえもんー!」

 

 

 

 

 

 

 しかしいつの間にかエミヤはシトナイと姿を消しており。

 この後めちゃくちゃ魔力供給した。

 

 

 

 

 

 

 

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