双護、入学式!!
四番隊隊舎にある道場。普段であれば負傷した隊士達のリハビリなどに使われているが、今は双護と烈の2人だけだった。青の袴、白い着物を着た儚げながらも力強い瞳をした青少年へと成長した。
2人は今道場の中央にて木刀を構えて相対していた。
「母さん、今日は入学式なんだからお手柔らかに頼むよ」
「手加減をして欲しいならそう言いなさい。なら片手でお相手しますか?」
「それはちょっと嫌だな」
「来なさい」
烈の言葉が引き金となったのか、双護は瞬歩で烈との間合いを詰める。素早く振り抜いた一撃を烈は容易く受け流す。
受け流された事で体制が崩れた双護だったが倒れる前に瞬歩で背後へと回り込む。
「狙いは良いですがバレていては意味がありませんよ‼︎」
烈は振り向きざまに木刀を横一閃に振り抜くがそこに双護はいない。
「そう何度も同じ手は使わないよ〈破道の三十三 蒼火墜〉」
間合いを詰めていた双護だったが一瞬での間合いから離脱していた。そして詠唱破棄の鬼道を唱え、蒼い炎が烈を襲った。
「室内では火気厳禁ですよ」
小規模であるとはいえ鬼道を霊圧のみで掻き消す烈。
「母さんにはあの程度効かないんだから良いじゃんか。威力抑えて撃ったし火事とかにはならないでしょ」
「全く…………誰に似て減らず口が上手くなったのか」
ため息を吐きながら双護との間合いを瞬歩で詰め、攻撃する烈。成長した双護は小さい頃のように何も出来ず一方的に打ちのめされるという事が無くなった。
その技量は斬術と瞬歩だけでいえば烈の六割の実力に届いている。
下手に手を抜けなくなり嬉しくなる烈。元柳斎や雀部といった護廷隊の中でもトップクラスの死神達に指導を任せた事で柔軟な思考活かしながら戦えるようになった。
「勝負中に考え事は駄目でしょ‼︎」
「なら今の貴方なら余裕ですからね。悔しかったらもっと攻めてらっしゃい」
「ならその余裕無くして見せるよ‼︎」
烈の木刀と双護の木刀がぶつかる瞬間、烈の木刀が爆ぜた。
「な⁉︎」
すぐさま追撃しようとする双護。しかし、双護の木刀は双護が振ろうとした時にはボロボロの炭となった。
「双護…………今のは………?」
「前に姫乃姉さんが綴雷電を斬魄刀に纏わせて虚を斬ってるの見せてもらって思いついたんだよね。春水君から聞いた話だと白打と鬼道を合わせた戦術もあるらしいし斬術と鬼道を合わせるのも面白いかなって。練習してみたらコントロールが難しいから一瞬だけならと思ってやってみたけど失敗だった」
烈は驚愕を隠せなかった。双護が披露した技術は瞬閧というものだったからだ。高密度に圧縮した鬼道を手足に纏わせ攻撃の瞬間に炸裂させる白打の最高戦術であり、隠密機動の総司令のみが扱える技術。
綿密な霊力のコントロールと技の負荷に耐えられる身体、白打の技術が必要とされる超高等技術だ。
烈も現在の隠密機動の総司令と戦っており、その威力は目の当たりにしている。護廷の隊長でも限られた者しか知らない技術を発想のみで未熟ではあるが、実現してみせたのだ。
烈は我が子ながら恐ろしいと感じると同時に嬉しくなった。自分の息子は間違いなく烈や双盾を越えた死神となると確信した。
「発想は悪くありませんね。ただし、霊力のコントロールがまだ稚拙です。その技は少しずつ練習していきなさい………………そういえば霊術院の入学式は何時からなのですか?」
「あ」
「もう始まってますね、急いでいってらっしゃい」
驚いた表情を取り繕いながら母親として振る舞う。急いで片付けて道場を飛び出す双護。
この時点で双護の遅刻は確定している。双護が飛び出していったのを確認した隊士がおそるおそる道場へ入ってきた。
「申し訳ありません、隊長。お時間だと伝えようとしたのですが…………お二人の霊圧が凄過ぎて気絶しかけてました」
烈が剣八であった事を知る隊士は少なくなっており、現在の烈しか知らない者が多くなってきている。知っている者も烈が剣八であった事を忘れかけている節すらある。
優しい隊長としての印象が強くなってきている烈。新人隊士達の間では「あの優しい隊長が血染めの花嫁事件なんて起こすわけがないだろ」などといわれるようになっていた。
しかし、この隊士は知った。普段の霊圧は相当抑え込んでいるのだろういう事を。
「そうですか、それは失礼しました。身嗜みを整え今日の隊務をするとしましょう」
双護との試合をする際は実力の制限をするとはいえ、霊圧や殺気の込め方は実戦に限り無く近い事をしている。普段であれば軽く結界などを張っているだが、どうやら双護の最後の一撃で結界の一部に亀裂が生じた事で呼びに来た隊士に漏れ出した霊圧を浴びせてしまったようだ。
「あっ、旦那様がお呼びです」
「そうですか」
双盾と双護は隊士ではない。しかし、双盾の病弱故に隊舎内に烈達の居住区が設けられている。
隊舎の敷地内で長い時間を過ごして来た双盾は隊士から旦那様と呼ばれるようになった。
隊士から旦那様と呼ばれている双盾を見て自分はあの人の妻であると実感し内心ニヤついている所をかつての部下、天音に見られ逃げた天音を追いかけた末一番隊隊舎の一部が破壊された。
「双護君の入学式があるから訓練はほどほどにと…………………あっ、逃げた」
双護にとって烈との試合は訓練であるが烈にとっては遊びに近い。遊び過ぎで双護を大事な入学式に遅刻させたとあっては双盾から説教待った無しだろう。
烈は霊圧感知で悟られないうちに逃げ出した。しかし、逃げた先に双盾が待ち構えており結局説教されたのだった。
「えー、であるからして。貴殿らは今日より映えある霊術院の生徒として研鑽に励み立派な護廷隊士になる事を期待している」
真央霊術院、貴族への根回しやその他諸々の雑務に追われて忙しかったが無事に開校できた事を元柳斎は感慨深く思っていた。
元柳斎にとって強い隊士を育てる為に霊術院を作ったが育成だけでは成長に限界があり、才能は重要な要素となる。
そういう意味で元柳斎は生徒たちを値踏みするように生徒達の霊圧を探った。大半の生徒の霊圧は取るに足らないものが多かったが中には元柳斎を唸らせるものも数名いたのが収穫材料だった。
しかし、この中に双護の霊圧が無かった。体調が悪いなどは聞いておらず寝坊などするような者でも無いと知っているが生徒の中にはいない。
「そもそも、この学院を設立したのは…………」
「すいません‼︎遅れました‼︎」
突如双護の霊圧が近づいたのを感じた元柳斎。次の瞬間、双護が講堂の扉を突き破って飛び込んできた。
いきなりの展開に唖然とする一同。
「アッハハ‼︎双護、やるじゃないか。君もそういう事が出来るんだねぇ」
「寝坊したとかじゃなくてちょっと訓練してたら時間を忘れてただけだよ」
「遅刻してるなら変わらないさ」
「それもそうだね」
唖然とする一同にお構いなしで談笑する春水と双護。2人は気付いていなかった。元柳斎がワナワナと怒りに震えていた事を。
「莫迦者ーーーーーーーーーーーーーー‼︎」
双護君の瞬閧モドキはマジで未完です。やってみたらそれっぽい感じになったくらいのものです。木刀が耐えきれなかったのは二つの属性の鬼道を一瞬に込めたことでまだ未熟な双護には扱いきれなくて木刀を燃やし尽くす結果になった感じです。
入学式への乱入シーンはダイナミックエントリーですが、なんとか間に合わせようとコントロール出来ないレベルの霊力込めた瞬歩した事で講堂の扉を蹴破る形になりました。
という訳で次回から霊術院編です。お楽しみに
双護くんヒロインダービー!!!!※双護くんと絡ませるのが明らかに難しいキャラはヒロインとしての採用が難しくなりますのでそこはご了承ください。
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涅ネム (マユリ印ヒロイン)
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虎徹勇音 (長身系真面目臆病風妹)
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砕蜂 (一途な真面目ちゃん)
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雛森桃 (正統派美少女)
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四楓院夜一 (褐色お姉さん)
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その為 (活動報告にお願いします)