「それじゃ、卯ノ花君また勉強教えてね」
「うん、俺で良かったらまた頼ってね」
双護に別れを告げ去っていく女子生徒。先日起きた遠征実習での虚が出た事件で双護が始解をしたという情報が出回るようになった。
実際霊術院生で唯一特例で斬魄刀の携帯が許されている。
「全く、モテモテで羨ましい限りだよ」
「みんな始解出来る同期がもの珍しいだけさ」
霊術院生のほとんどは現役隊士との接点が少ない。双護や京楽のように明確な接点をもっているものは珍しい。よって始解が出来るというのはそれだけで興味の対象となる。
双護としては、浅打でない斬魄刀を見る機会が少ないから声をかけられるのだと解釈していた。
「だったらボクがモテモテになっても良いんじゃないの」
「表向きは使えないって事にしてるんだから。あんまり大っぴらに言っちゃ駄目だよ」
京楽の始解は斬魄刀の能力なのか、始解されていた事がバレていない。
「そういえば双護はボクがどうして始解出来るのか、聞かなくていいのかい?君と浮竹なら話すのもやぶさかでは無いんだけど」
「別に聞きたい訳じゃないからね。春水が話したくなったら話せばいいよ」
「そう…………………じゃあボクはこれで失礼するよ」
「随分と遅い帰宅じゃないか、高澤」
「つ、綱彌代君………………」
双護と別れた女生徒高澤が帰宅すると、屋敷の中には綱彌代時灘がいた。
「霊術院の王子様との蜜月は楽しかったか?親が借金の為に身を削って働いているというのに怠惰に青春を貪るのはさぞ楽しいだろうな」
高澤の家は商人をやっていた。軌道に乗っており順調に商売していたが時灘が話しかけてくるようになってから何故か業績が落ちるようになった。
同時に不審火、店を荒らす輩などが現れ資金は底をつきついには借金する事になった。その借金も異様な程高利子がつけられた。
どうしようもなくなったかと思った時、時灘が現れ借金を肩代わりしたのだ。高澤の両親は泣いて喜び頭を下げて泣きながら礼を言った。
高澤も時灘に礼を言おうとしたが見てしまった。頭を下げている両親を見て愉悦の笑みを浮かべているのを。
「何をしにきたの…………………」
「なに、君のご両親と少し雑談をしていただけさ」
「そう、用が済んだなら帰って」
「あぁ、そうさせてもらうよ。それはそれとして一つ相談なのだが、治験というものに興味は無いか?」
帰ろうと門を潜ったが、高澤に向き直り話しかける時灘。その顔は高澤の両親に借金の肩代わりを申し入れた時と同じものだった。
「そんなもの興味はない‼︎お金なら卒業して、護廷隊に入ってからの給金で支払うって話でしょ」
「それとは別の話さ、君のご両親も治験には賛成なんだ。是非とも受けて欲しいと言っていたよ」
時灘が何かを企んでいる事に気付いた高澤は借金の返済は護廷隊に入ってから支払うと約束を取り付けた。それまでは低金利で少しずつ返せば良いと言う事になっている。
契約書を用いた正式なものである為でまかせも言えないだろうと高澤は安心した。
「それとね、事情が少し変わってね。役所の制度が変わった関係で契約書が一部変更になってね。金利が少し高くなってしまったんだ」
「このっ‼︎」
思わず掴みかかりそうになるのを必死に抑える高澤。相手は末端とはいえ五大貴族に連なる者。その気になれば人の命すら好きに出来てしまう。
高澤の両親は自分の娘を差し出さねばならない状況まで追い込まれていたのだ。
「その治験受ける代わりに借金の金利を元に戻す事と返済以外に高澤家と関わらない事を誓って」
「あぁ、勿論だとも。綱彌代の名に誓う。契約書までは後日送付する」
「どんな治験なの」
「覚悟が決まったなら、ここに来るといい」
そう言って場所の詳細が書かれている地図を手渡す時灘、彼は楽しみにしていると言って姿を消した。
高澤が家の中に入ると高澤の両親は泣き崩れていた。
「ごめんね……………ごめんね…………ごめんね……」
「許してくれ、許してくれ、許してくれ」
壊れた人形のように只管謝罪を続ける高澤の両親。明るく、優しかった両親の面影はどこにも無い。
「大丈夫だよ。お父さん、お母さん。あとは私が何とかするから」
血が滲む程強く拳を握りしめて、家を飛び出し地図が指し示す場所へと高澤は歩み出した。
ゲスすぎるぅ…………………………
霊術院編最終章動き始めました。本編は勿論進めていきますが、ヒロインダービーも開催しているので活動報告の方に何かありましたら送ってください。
双護くんヒロインダービー!!!!※双護くんと絡ませるのが明らかに難しいキャラはヒロインとしての採用が難しくなりますのでそこはご了承ください。
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涅ネム (マユリ印ヒロイン)
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虎徹勇音 (長身系真面目臆病風妹)
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砕蜂 (一途な真面目ちゃん)
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雛森桃 (正統派美少女)
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四楓院夜一 (褐色お姉さん)
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その為 (活動報告にお願いします)