間違ってたらごめんネ
重霊地。それは現世において最も霊なるものが集まる場所とされており、何十年か何百年単位で場所を変える。現代では空座町がそれにあたる。
半強制的に休暇を取る事となった双護は空座町に降りたっていた。
「これが現世か…………………住みやすそうな町で良いな」
「でしょ?アタシ達も割と気に入ってるんス」
「元気にしてた?喜助」
「えぇ、アタシも皆さんも相変わらず元気ッス」
浦原喜助。50年前、複数の隊長格が失踪するという事件が起きた。その際、当時の鬼道衆総帥大鬼道長を勤めていた握菱鉄裁が浦原喜助と共に禁術である時間停止と空間転移をしようした。
その処罰として第三地下監獄『衆合』に投獄されかけたが四楓院夜一と共に脱走した。
「あの時、双護サンに見逃して貰ったおかげッス」
「なんからしくない言い方だね」
「アタシだってちゃんとお礼くらいは言いますよ」
脱走した浦原達を双護は捕縛、抵抗する場合はその場での処刑が命じられた。その際、双護の手引きによって無事現世へと逃げる事が出来た。
「まぁ良いけど。真子くん達は?」
「次の拠点が決まるまではウチに居ます。今の時間は平子サンしかいないっすけど会ってきますか?」
「そうだね、せっかくだし会ってこうかな」
50年前に失踪した隊長格の1人、元五番隊隊長平子真子。他の隊長格も浦原のお陰で生き延びていた。
彼らは現世で普通に暮らしながら生き延びている。周囲に怪しまれない様定期的に拠点を移しているのだ。
浦原の拠点に移動中、平子達含め現世に逃げた者達の50年の動向を聞く双護。
浦原達が現世で生き延びている事は元柳斎含め、ごく一部の隊長は把握している。
「あっ、ここっス。アタシの家ッス」
浦原が案内した先にあったのは浦原商店という駄菓子屋だった。
重霊地であり現世へと出向してくる護廷隊士もいる。そんな場所でデカデカと自分の名前を分かりやすく表札にするというのはいかがなものかと双護は苦笑した。
家の中に入ると駄菓子屋らしく菓子が陳列されており、居間の方に人影があった。
「おぅ、遅かったやないか。喜助、双護」
「気付いてたんだ。流石だね、真子くん」
「アホ抜かせ。そっちこそこっちに気付いて隠す素振りすら見せへんかったやんけ」
今の双護は尸魂界にいる時の2割程度の霊力しかない。現世への悪影響が無いように隊長格は限定霊印を施されその霊力を制限されるのだ。休暇であるとはいえ双護も例外ではない。
そんな制限された霊力であってもそれを察知する平子も隊長格に相応しい霊圧知覚能力を有している。
「アイツはどうしとる?」
「少しの隙も見せてくれないね。流石だよ」
「そうか、俺らはアンタに恩義を感じとる。もしもの時は連絡せえ。気分が乗ったら協力したるわ」
それを言うと立ち上がり出て行こうとする平子。それを意外そうに呼び止める浦原。
「もう、行っちゃうんスか?今晩は鉄斎サンが腕によりをかけるって張り切ってるんですが」
「拠点が決まったんや。今日からそっちで飯食う事になった」
「え〜、今日はお好み焼きなのに」
「アホ。鉄斎が作るのは広島焼きやろ。俺らが食いたいんは関西のお好み焼きや。それに俺は馬に蹴られる趣味はあらへん」
「そうさせてもらいます。それではまた近いうちに」
馬に蹴られるという言葉に疑問符を浮かべる双護だったが、浦原も平子もその詳細な意味を言うつもりは無いようだ。
「おお。短い間やけど世話になったわ、おおきに。双護、後のことは頼んだで」
去り際に双護の肩にポンと手を置き店から出て行く平子。瞬間、平子の姿は消えた。
双護は霊圧で感知をしようとするがすぐに霊圧が追えなくなってしまった。
「ま、そういう訳なんで…………ここで寛いでいてください。アタシは鉄斎サンの手伝いに行ってきます」
「う、うん。じゃあそうさせてもらうよ」
浦原が今から出ていってからすぐ、懐かしい霊圧を感じたい双護。
平子と浦原、鉄斎の霊圧でも他の隊長格の霊圧でも無い懐かしい霊圧だった。
「おーい、喜助ぇ‼︎儂の着替えは…………………」
バァンっと気持ちの良い音をさせながら勢いよく襖を開ける夜一。双護と目が合い、固まる夜一。
「あー………………着替えるなら外でようか?」
居間に来た夜一からは湯気がたっており、肌は上気している。双護が来ていた事に驚いているのか夜一の目は点になっていた。
「何じゃ、来るなら来ると連絡しろと言っておるじゃろうが。着替えるから少し背を向けておれ」
そして次の瞬間には冷静さを取り戻したのか夜一は双護に後ろを向かせその間に着替える。
「女の子って着替え見られたらキャーッて叫ぶものじゃないの?」
「お主も恥じらいが無いじゃろうが。お互いそんな初心な訳でも無かろう」
「でも良かったよ。元気そうで」
夜一達を現世へ逃がしてからマトモな連絡を取れていなかった双護。隊長という立場がある為そう簡単に現世にも行けずだった。
今回は降って沸いたような休暇を利用して現世に来た双護。こうして夜一と会うまでは無事であると知っていても心配だった。
「髪伸ばしてるんだ」
「お主は長い方が好みなのじゃろう。似合っとらんか?」
「似合ってるよ。綺麗だ」
そう言いながら長い髪を一つに束ねポニーテールにする夜一。50年前、夜一が尸魂界にいた頃はショートカットだった。
「またお主はそうやって歯の浮くような台詞を…………刺されてもしらんぞ」
何の躊躇いも無く容姿を褒める双護。双護が変化の機微にいち早く気付き、欲しい言葉を投げかける伊達男っぷりは知り合った頃からだった。
夜一と双護はほぼ同年代ではあるが双護の方がやや年上だ。2人が知り合ったのは霊術院時代に遡るが、本格的に話すようになったのは2人が護廷隊士になってからだ。
「刺される前に腕ごと斬り落とせば良くない?」
「そういう事を言っておるのでは無いわ、たわけ‼︎」
そう言って双護を小突こうとする夜一。しかし、双護が避けようとした事で勢い余りバランスを崩してしまった。
そのまま倒れかけるが、双護が夜一を抱き止める。
「受け身くらい取れるわ、たわけ」
「知ってるけど心配くらいはさせてよ、夜一」
「全く………………お主は変わらんの、双護」
「夜一は綺麗になったよ」
「もう良い、ちょっと黙っておれ」
夜一が双護首に手を回す。目を瞑りゆっくりと顔を近づける夜一。しかし、2人が口付けをする事は無かった。
鼻先がぶつかりそうな距離で夜一が動きを止めたからだ。
そして怒気を孕ませながら目を開ける夜一。
「何をしとるんじゃ喜助」
「お構いなくドーゾ。なんならアタシと鉄斎さんは外で食べてくるんで…………あっ、でも声は抑えてもらえると助かるっス。それと、ちゃんとゴムはしてくださいね」
双護は何事かと思い夜一の視線の先を見ると、襖から顔を覗かせた浦原が扇子で口元を隠しながらこちらを見ていた。
口元が見えていないが憎たらしい顔でニヤニヤ笑っているのが想像出来た。
「喜助ぇぇぇぇぇぇぇ‼︎」
「それじゃ、ごゆっくり〜」
この後浦原と夜一による数時間の鬼ごっこの末双護が晩飯にありつけた時には既に深夜を回っていた。
ヒロインダービーで他の候補をぶっちぎった夜一さん回でした。正直夜一さんの恥ずかしがる姿も幻視したけど夜一さんは裸見られたくらいじゃ恥ずかしがらんのよ。
夜一さんと双護くんの関係性に関しては皆さんのご想像にお任せします。
平子さんの会話難易度たけぇ。
双護くんヒロインダービー!!!!※双護くんと絡ませるのが明らかに難しいキャラはヒロインとしての採用が難しくなりますのでそこはご了承ください。
-
涅ネム (マユリ印ヒロイン)
-
虎徹勇音 (長身系真面目臆病風妹)
-
砕蜂 (一途な真面目ちゃん)
-
雛森桃 (正統派美少女)
-
四楓院夜一 (褐色お姉さん)
-
その為 (活動報告にお願いします)