浦原商店はかつてないほど重い空気に包まれていた。双護と合流し、浦原商店に着いた一護とルキアは双護が来た理由を聞いたのだ。
死神の力の譲渡は瀞霊廷において重罪である。死神代行という制度は存在したが、とある事件により瀞霊廷はその制度を実質的に廃止した。
それ以降人間の死神化というのに敏感になった上層部は死神の力の譲渡は重罪とした。
「つまり、ルキアが俺にした事は犯罪で裁かなきゃいけないから尸魂界に帰らなきゃいけない。そして俺は殺されるって事なのか?」
「かなりざっくりだけど概ねその通りだよ。ルキアちゃんのした事は重罪だけど大貴族の令嬢だからそこまで重い刑は無い筈なんだけどね」
「それはまぁわかりたくねぇけど分かった。けどよ、何で俺が殺されなきゃいけねぇんだよ」
一連の話を聞いても一護の頭上にはクエスチョンマークが浮かんでいた。それもそのはずで、一介の高校生に瀞霊廷の事情や法律を話した所で理解できる訳が無く、いきなり殺されるから強くなれと言われても納得は出来ない。
「君みたいな死神みたいに虚と戦える人間が居たんだけど…………ちょっとトラブルがあって上層部は少しナイーブになってるんだ」
「あれは俺たちを助ける為に仕方なかった事で情状酌量?てのとかは無いのかよ」
「現世ではどうか知らないけど僕達は過程よりも結果なんだ。理由や原因よりも結果の裁定が先にくる。情状酌量が適用出来たとしても証明する証拠が無い」
「なんだよそれ‼︎アンタはルキアの知り合いなんだろ‼︎そんな理不尽許せるのかよ‼︎」
「言いたい事も気持ちも理解は出来るよ。でも何も証明出来ない今はこうするしかないんだよ」
「辞めんか、一護‼︎双護殿を困らせるでないわ‼︎」
双護に掴みかかる勢いで身を乗り出す一護を静止するルキアは倫理観も何もかも違う現世の少年には理解は出来ないが、護廷隊士として戦ってきたルキアには双護の言っている事は納得出来た。
状況的に一護に死神の力を譲渡するしか無かったとはいえ自身が罪を犯したのはわかっていた。本来であれば有無を言わさず捕縛され、一護はその場で斬り捨てられていただろう。
こうして話してくれている時点で双護が如何に慈悲をかけてくれているのか分かっているルキア。
「出来る限り時間は稼ぐ。それまでに身の振り方を考えておくんだ……………っと、そろそろ時間だね。喜助、黒崎くんの事よろしく」
奥から扇子を構えた喜助現れ、「了解っス」というと一護を連れて何処かへ消えていった。
「さて、行こうかルキアちゃん」
「はい」
店の外へ出るルキアと双護。外には既に穿界門が開かれており、隠密機動の隊士が二名と双護の副官である砕蜂がいた。
「ご苦労様、砕蜂。後ろの子達もご苦労様」
「「は、はい‼︎おつかれさまです‼︎」」
双護に声をかけられペコリと頭を下げる砕蜂とびくりと全身を硬直させながら挨拶をする隊士。二番隊はそれほど礼節に厳し訳では無いのだが、双護への挨拶を怠ったり、ちゃんとした挨拶をしないと砕蜂の蹴りが容赦なく飛んでくる。
現在は三席である大前田は入隊当日に父親の関係で知っていた双護に馴れ馴れしく話しかけ四番隊隊舎送りにされている。
その事から二番隊で最も大変な任務は双護への挨拶と報告であるとされている。
「手筈は整っております」
「そう、みんなにはよろしく言っといて。僕はこのまま休暇取る事にするから。もしもの時は頼んだよ」
「委細承知しました。朽木ルキア、ついてこい」
ルキアに手枷をはめながら催促する砕蜂。一瞬、浦原商店の方を見て怒りの表情を浮かべるがすぐにルキアの方をみる。
「道中、簡単な尋問をする。嘘偽りを言うとは思わんが自白剤を飲んでおけ」
そう言って白い錠剤をルキアに手渡す砕蜂。ルキアは何も言わずに手渡された錠剤を飲む。
飲んだ瞬間、何かしらの違和感を感じるルキアだったが自白剤を飲んだことなどない為こういうものなのだと納得した。
「じゃあ、砕蜂。あとは頼むね。もしもの時は一番の棚開けて良いから」
「そのような事はありえませんが承知しました。隊長も休暇を楽しんでください。雑事は全て私が済ませておきますので」
何か含みを持たせたような会話にクエスチョンマークを浮かべる隠密機動の隊士。思わず1番の棚の事を聴きたくなってしまうが二人のプライベートに踏み込んだ大前田が四番隊送りになった事から砕蜂と双護の間を詮索するような事は死に繋がるとして我慢した隊士たち。そういうと穿界門を潜る砕蜂達。
「では、質問だ。貴様、喋る猫と会った事はあるか?」
「しゃ、喋る猫……………ですか。見たことありませぬ」
「そうか、なら良い」
穿界門を潜り、尸魂界に到着する砕蜂達。どのような質問がくるのか身構えていたルキアだったが、来た質問はルキアにとって全く身に覚えの無い質問ばかりだった。
今回の死神の力の譲渡よりも別の人物について聞きたいのかと思うような質問であったが、砕蜂の剣幕から余計な質問はすべきで無いと判断し黙っていた。
そして、ルキアは自身の体に違和感を覚える。やけに強く感じる倦怠感、そして動悸。
それは時間が経つにつれて強くなっていく。
「ハァッー、ハァッ………………………」
気が付けばまともに呼吸する事すら難しくなっていた。意識も朧気になっていく中で2人の隊士がやけに慌てているのと砕蜂がため息を吐いているのはなんと無く見えたルキア。
「お前達は朽木ルキアを四番隊隊舎まで連れていけ。後のことは卯ノ花隊長に指示を仰げ。私はこの事を報告しにいく」
「「りょ、了解しました‼︎」」
ルキアを抱えた隊士達は慌てて四番隊隊舎のほうへと向かっていった。2人が去っていったのを確認すると砕蜂は再びため息を吐く。
「全く………………双護殿の頼みでなければこんな犯罪の片棒など担ぎたくなかったのだがな。私があの棚を開けることが無いよう全力を尽くすか」
砕蜂はこの後、元柳斎への報告と四十六室へ提出する書簡をせねばならない。
双護と砕蜂の言う1番の棚とは二番隊隊首室にある棚の事であり、その中には隊長羽織が収納されている。
その棚を開けても良いと言うことは隊長の座を任されたという事だ。力に自信を持つ双護が敗北を覚悟するほどの相手に自分が勝てるとは思わない砕蜂だが、その敗北の原因に自分がなるのだけは何よりも許せない。
双護から隊長羽織を預かる時は相応しいタイミングがある。
「しかし、私が現れたというのに姿すら見せんとは……………………まぁ良い。次に会うことがあればその時こそ覚悟しておけよ、四楓院夜一………」
砕蜂は拳を強く握りしめ、ゆっくりと歩き出した。
双護が言った棚を開けて良いよというのは「もし僕が負けて罪に問われ裁かれるような事になった時、若しくは殺された時は砕蜂ちゃんが隊長になってね」という事です。
双護くんヒロインダービー!!!!※双護くんと絡ませるのが明らかに難しいキャラはヒロインとしての採用が難しくなりますのでそこはご了承ください。
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涅ネム (マユリ印ヒロイン)
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虎徹勇音 (長身系真面目臆病風妹)
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砕蜂 (一途な真面目ちゃん)
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雛森桃 (正統派美少女)
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四楓院夜一 (褐色お姉さん)
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その為 (活動報告にお願いします)