勉強部屋。浦原商店の地下にある巨大な空間。浦原が現世に来た際に尸魂界に作っていた秘密基地のような場所を模写して作った。
「さっきはルキアちゃんが貴族の令嬢だから重い刑罰は無いって言ったけど多分処刑されるだろうね」
「はぁ⁉︎くそ、こんな事してる場合じゃねぇ‼︎」
「どこ行くの?」
「助けに行くに決まってんだろ‼︎なぁ、浦原さん。尸魂界にい……………」
ルキアが処刑される可能性を知らされ、居ても立っても居られなくなった一護は浦原に詰め寄るが、双護の放った白雷が一護の頬を掠めた。
「まだ刑罰どころか裁判も開かれてないし、尋問もしなきゃいけない。処刑の日取りが決まっても準備に数日はかかる。刀握って数週間の雑魚が尸魂界に飛び込んだって死ぬだけだよ?」
幾ら一心の息子とはいえ、一護は死神になってから日が浅い。現世で普通に過ごしてきたのなら武器を手に取る経験も少ない。
一般隊士であっても何十年と剣を手に取り研鑽を積んでいるのだ。幾ら才能があろうとその差が簡単に埋まる訳は無く、隊長格に至っては剣の腕だけでは無い差が生まれてくる。
始解も鬼道も瞬歩すら満足に出来ず、まともな知識が無い一護がどうこうできる訳が無いのだ。
「それでも、見殺しには出来ねぇよ‼︎」
「君が殴り込んでもルキアに近づく事も出来ずに殺されるよ?」
「関係ねぇ‼︎邪魔する奴は全員ぶっ飛ばしてルキアを助けに行くんだ‼︎」
再三の忠告も一護の意思は変わらない。鍛えるという事は元から決めていた双護であったが、思っていたよりも愚直な意思にかつての教え子を思い出した。
(血ってのは争えないね…………海燕、一心)
双護はため息を吐く。忠告を聞くような性格であればある程度丁寧に教える事が出来るが、今の一護は猪突猛進する猪武者だ。ただ死に急いでいるようにしか見えない。
虚との戦闘経験をある程度積んだ事からくる自信。今の一護の言動はその多少の戦闘経験からくる自信で成り立っている。
「分かった。今から少し試験をしようか」
「試験?」
「喜助、監視ってどうにか出来る?」
「それなら問題無いっスよ。流石に限定霊印は誤魔化せませんけどそれ以外は大体なんとかなるッス」
首を傾げる一護を他所に話を進める双護と浦原。休暇という体で現世に残った双護だが、義骸を脱いで死神状態になれば尸魂界にバレる。
一護に修行をつけるのであれば尸魂界の監視はどうにかして振り切らなければいけない。その誤魔化しを浦原き任していたのだ。
「よし、じゃあ義骸を脱いでっと」
「他人がやってるの見ると幽体離脱みてぇだな」
「うん?まぁ…………そんな感じなのかな。そんな事より集中しなよ。そんなんだと…………死ぬよ」
義骸を脱いだ事に驚いたのか、しみじみと呟く一護だったが、双護から放たれたプレッシャーに冷や汗をかいた。咄嗟に双護から距離を取り、斬魄刀を抜く。
「うん、危機管理能力は上々かな。よし、じゃあ好きに斬りかかっておいで。僕は一切反撃しないから。あ、でも峰打ちにしようとか考えない方が良いよ」
「あ、あぁ。行くぜ」
最初は峰で双護に打ち込もうとしていた一護だったが、考えを見透かされ、そのまま峰打ちしようとしていたならどうなるか分かったものではなく咄嗟に刃を返すのをやめた。
「心配しなくても今の君程度じゃ僕に傷つける事すら出来ないから。安心して斬りかかるといい」
「そうかよ………………怪我しても泣くんじゃねぇぞ‼︎」
双護の言動は明らかに一護を下に見てのものだ。霊圧からはよく分からないが、隊長という立場から強いのだろうというのはなんとなく察していた一護。しかし、自分も虚と戦ってきたのだ。
双護が思うほど弱くないというのを示すとばかりに全力で踏み込み、双護目掛けて斬魄刀を振り下ろす。
「まだ迷いがあるかな?その程度じゃルキアちゃんを助けるなんて夢のまた夢だよ」
一護の渾身の一振りは簡単に受け止められてしまう。舐められたままではいられないと全力で刃を振り続ける一護。しかし、双護は最も簡単に避けてしまう。
(素人ながら足捌きはそれなりに出来てる…………体幹のブレも思ってた以上に無い。死神になってからの期間を考えると……………才能有る子って凄いな)
戦いに対する意識や、霊力の操作などは霊術院の生徒よりもできていないが近接戦だけでいえば思ってた以上の強さだった。
双護の当初の予想では一般隊士くらいの実力であると思っていたのだが、下位の席官になら充分勝てる可能性があるくらいの実力はありそうであり、場合によっては上位席官とも戦えるだろう。
(このがむしゃらな感じは刳屋敷さん好きそうだな………………気質だけなら十一番隊向きかも)
「へっ、死神の隊長ってのがこの程度なら案外何とかなりそうだな」
反撃されないとはいえ、思ったよりも動けている自分に自信がついてきたのか動きにキレが増してくる一護。
実際、一護の動きはこの短い時間の中で少しずつ良くなっている。上手く成長していけば隊長格にも負けない死神になるだろう。
「よし、少しなれたところで僕もちょっとだけ反撃するよ」
双護が放った突きは一護の心臓を狙うが、反射的に斬魄刀で受けた事で一護が貫かれる事はなかった。
しかし突きの勢いに負けて吹き飛ばされてしまう。
「ここで一つ豆知識ッス黒崎サン。隊長格と言われる死神が現世にくる際は現世への影響を考慮してその霊力に8割ほどの制限をかけます。まぁ、簡単に言うと今の双護さんは2割程度の実力しか出せないッス」
「んだよ……………………それ」
勝てるとは思っていないが、隊長というものの実力が今の双護くらいならばルキアの救出はなんとかなるかもしれないと希望的観測を持っていた一護。
しかし、今の双護は限定霊印によって2割の実力しかない。あまりの力の差に絶望感すら覚えた。
「まぁでも、双護サンは死神の中でも5本の指に入るくらいには強い人なのでそこまで悲観する事は無いっス」
「まだこの上に4人もいるのかよ」
「大丈夫ッス。黒崎サンならなんとかなるッス。それよりも集中した方が良いっすよ?」
浦原との会話で集中が途切れたのか目の前に迫っていた双護への反応が遅れてしまう一護。振り下ろされた刃を受け止めようとするが斬魄刀は真っ二つに折られてしまう。そして、そのまま一護の身体から鮮血が舞った。
「双護サン……………ちょっとやり過ぎじゃないですかね」
「ちゃんと浅めに切ったし、手当てすれば後も残らない筈だよ。手当て頼んだよ」
月詠神楽についた血を振り払い、鞘に収める双護。今回こうして一護を斬ったのは一護に今の自分の位置と戦おうとする相手の差を明確に知ってもらう為だった。
今回で諦めるのならそれはそれで良し。立ち上がるのなら徹底的に鍛えるだけと割り切っていた。
手当てを任せご飯でも食べに行こうかと勉強部屋を出ようとする双護。しかし、思わず足を止めた。
斬って捨て、気を失ったはずの一護の霊圧が跳ね上がっていたからだ。良くて下位席官程度の霊力しか無かったのに今は上位席官、下手をすれば副隊長クラスの霊圧はある。
「目覚めろ……………………『斬月』‼︎」
振り返ると斬魄刀を構え振り抜く一護の姿。振り抜かれた斬魄刀は巨大な出刃包丁のようであった。
双護に向かって放たれた圧縮された霊圧の斬撃にに対して咄嗟に月詠神楽を解放する双護。
ヨミが現れ瞬間的に壁を作るが一部ら影が弾かれてしまった。
「ざまぁ………………見やがれ、ってんだ………」
最後の力を振り絞った弊害か、再び倒れ込む一護。双護の想定を再び超えた一護。
「これは…………面白い事になりそうッスね」
「うん、これから忙しくなるよ。喜助、ちゃんと手当てしてあげなよ」
「了解ッス」
最終的に上位席官と戦える程度になれれば良いと思っていた双護と浦原だったが想像を遥かに超える成長速度にもしかしたらという思いが生まれる。
浦原は大慌てで手当てを始め、双護は授業メニューの検討を始めるのだった。そんな2人がこれからの計画に希望を見出している中、ヨミは倒れている一護を見て1人何かを堪えるように拳を握りしめた後、斬魄刀に戻っていった。
空手やってたとはいえ、刀握ってちょっとの高校生が何十年戦士続けてきた奴らと渡り合えてるのって控えめにいって異常だと思うの。
双護くんは内心一護に対して「これが天才か。羨ましい」とか思ってます。お前も大概やぞ。
双護くんヒロインダービー!!!!※双護くんと絡ませるのが明らかに難しいキャラはヒロインとしての採用が難しくなりますのでそこはご了承ください。
-
涅ネム (マユリ印ヒロイン)
-
虎徹勇音 (長身系真面目臆病風妹)
-
砕蜂 (一途な真面目ちゃん)
-
雛森桃 (正統派美少女)
-
四楓院夜一 (褐色お姉さん)
-
その為 (活動報告にお願いします)