「しっかし、冗談みたいな数じゃの」
「夜一様、こちら側は二、七、十三番隊で連携し迎え撃つという事になっています」
夥しい程の虚の大群に思わず笑ってしまう夜一。そんな夜一に砕蜂が報告をする。
「となると、こちら側の指揮官は浮竹か。砕蜂、各陣営への連絡係の手配と鬼道衆に応援を頼むんじゃ」
「既に浮竹隊長に許可を取り、連絡員として各陣営に隠密機動を配備。西を除いた各陣営に鬼道衆の精鋭を準備させています」
今回のように各陣営が複数点在し、混戦となる事が予想される場合は鬼道による連絡は推奨されていない。混沌とした戦場の中で伝えるべき人物の霊圧を正確に捕捉する事は至難の業であり、失敗すれば敵に情報を与える事となってしまう。
その為、身軽でフットワークの軽い隠密機動が必要となってくる。
自身の怒りをコントロール出来ず、双護に余計な手傷を負わせてしまった事は砕蜂自身にとって許せる事ではないが、一瞬の判断が命運を分ける今の状況で失敗を引きずっていてはそれこそ取り返しがつかない事になってしまう。
考えを切り替え、今の状況双護であればどうするかを考えた砕蜂は各隊の連携と援軍の用意をしたのだった。
「本当に逞しくなったの、砕蜂」
「双護殿のお陰です。それでは、一番槍…………行かせてもらいます‼︎」
そう言って雀蜂を解放し、霊圧を高める砕蜂。砕蜂は斬魄刀が特殊である事から斬術というものが然程得意では無かったが白打と歩法にはそれなりに自信があった。
どちらも同世代には負けるような事は無かったがそんな白打と歩法よりも自信があったのが鬼道である。
鬼道であれば護廷隊の中でも上から数えた方が早いくらいには出来るという自負があるし、もっと上を目指せるように努力もしてきた。
「はぁぁぁぁぁあ……………………瞬閧‼︎」
全ては双護と肩を並べる為に。その為に努力した全てはこうして瞬閧という形で実を結んだ。
鬼道と白打を練り合わせた隠密機動の総司令に代々受け継がれてきた戦闘術。綿密にコントロールされた鬼道の能力と磨かれた白打の技術があってこそ成り立つ秘技に自力でたどり着いたのだ。
「砕蜂、お主………………その技は」
「双護殿と並ぶ為に自力で習得しました。名は双護殿から教えて貰いました」
夜一は双護が瞬閧を使えると知った時別に驚くという事はしなかった。双護は元々夜一の父が気に入っていた為、秘技である瞬閧を授けていても可笑しくは無いと思っていたからだ。
しかし、砕蜂は実質的な刑軍軍団長であるとはいえ、資料も何もない状態で鬼道と白打を合わせようという思考に至れるのかと開いた口が塞がらなかった。
しかも驚くべきはその瞬間の完成度である。霊圧の出力では負けていないがコントロールという面だけでいえば夜一を越えていた。
「全く…………双護の奴め。ここまで仕上げておいて儂に仕向けてくるとはの。儂もウカウカはしておれんな」
夜一は1人呟くと上着を脱ぎ捨て、瞬閧を発動させる。砕蜂の瞬閧が荒れ狂う暴風であるとするなら夜一の瞬閧は轟く雷鳴である。
夜一が瞬閧を発動させたのを見ると砕蜂は敵陣へと突っ込んで行った。
大虚は王族特務案件、つまりは零番隊の領分とされているが最下級大虚であれば強さ的には隊長格であるなら充分に対象できるとされている。
夜一と砕蜂が暴れ回る事で陣形を掻き乱し、討ち漏れた虚を浮竹の指揮のもと狩っていくという流れが出来ていた。
各隊合同での訓練をする事はあるが、隊として連携するという事はあまり無いため求められているのは正確な連携では無く、お互いの邪魔をしない範囲での大まかなもの。
少しずつ減らしていくが虚の大群が減る気配は一向に無い。
「しっかし、全く減らんの………………どうする浮竹。このままではキリが無いぞ」
「確かに四楓院の言う通りだ。このままではこちらが消耗するばかりだな」
夜一と砕蜂が率先して最下級大虚を中心に狩っても減る気配が無い。それに加えてこちら側は慣れない大規模な連携である。
消耗戦になれば不利なのは死神側である。
「京楽の方は十一番隊がいるから問題無いだろうが……………………正直なところこちらの陣営は火力が無いのが少し痛い」
流刃若火のような火力があり、広範囲に効果を発揮できる斬魄刀を持つものがこの場にはいない。砕蜂の雀蜂は相手に触れなければ意味は無く、浮竹の斬魄刀も特殊である為あまり期待が出来ない。
かといって浮竹のいるこの陣営に集まっているもので鬼道が得意といえるのは砕蜂と夜一、そして鬼道衆くらいなものだ。
「ようは数を減らせば良いのでしょう。私がやりますので後は夜一様、よろしくお願いします」
「たしかにお主の瞬閧はかなりの出来じゃ。瞬閧と雀蜂が合わされば大抵の敵には負けんじゃろ。しかし相手は大群、幾ら雀蜂とはいえあの数は無茶じゃぞ」
「始解なら無理でしょう」
「始解ならって…………お主」
「そうか、双護のやつが許可を出してたのか」
「今まで出す機会が無かったので。双護どの以外には初お披露目です」
双護は護廷隊の隊長の中で斬魄刀の扱いに関して最も厳しいと言われている。古参の隊長らしく、現隊長の中の何人かは双護の指導を受けた経験があり、卍解習得時はある程度の修練を積むまで実戦での使用を禁止するといった事もしていた。
砕蜂が卍解に至っているというのは知られた話だが、双護がその使用を固く禁止にしていたのだ。
卍解を習得するには天賦の才能と血の滲むような努力、見合った経験が必須となる。そして習得してから使い熟すまで10年以上の月日を必要とする。
「いや、お主が卍解出来る事に驚きはせんがあの大群をどうにか出来るのか」
「それなりに消耗しているので全滅は出来ないかもしれませんが多少間引くくらいなら雑作もありません」
「前線に出ている隊士は退却させろ‼︎鬼道衆は隊士の退却を援護しろ‼︎完了次第可能なものは壁を作れ‼︎」
砕蜂の高まる霊圧を見て指示を出す浮竹。双護は斬魄刀の扱いに厳しいのはよく分かっているし卍解であればより一層高い理想を持っている事も知っている浮竹は双護が許可を出した砕蜂の卍解というものを警戒していた。
多数を相手に出来る火力が欲しい場面での卍解宣言。双護が許可を出しているとはいえ味方にまで被害が及ぶ火力である可能性は十分に考えられた。
砕蜂が吠えるように叫ぶと瞬閧で纏っていた風が砕蜂へと集まっていき、砕蜂を包む繭のように形作られていく。
繭の中心に集まっている霊圧の濃度はでも目を見開く程だった。低級の虚であれば近づくだけでズタズタに切り裂かれ消滅するであろう程の密度となっている霊圧。
そんな高密度の繭を切り裂くように極太の霊力の波動が飛び出る。
飛び出た波動は射線上にいた虚達を容赦無く灰へと変えていく。
「
風の繭が晴れると砕蜂の様相は変わっていた。両腕には砕蜂の腕には大き過ぎる程の籠手と手甲。武骨な脛当てと腰当て。
背面には蜂紋華のような羽根が生えており、背後には小太刀サイズの始解時の雀蜂のような針を持った蜂のようなものが六匹控えていた。
「チッ、思ったより数が減らんか…………まぁ良い。一度で駄目なら何度でも叩き込むだけだ‼︎」
そういうと砕蜂の背後に待機していた六匹の蜂が集合し形を変え、巨大な砲身へと変化する。
「凄まじい卍解じゃの」
「卍解は心を写す鏡と言います。貴女が居なくなってからの100年は貴女を越える為、あの人に並ぶ為に全ての時間を費やしてきました。そんな私の心を汲み取ってくれた雀蜂のお陰で私はこうして戦える」
砲門に霊力が収束していく。それに合わせるように砕蜂は右腕を突き出して構える。すると、黄金色に輝く籠手に掘られたいる溝から排熱する様に霊子が噴き出す。
そして背面に輝く羽根が砕蜂を支えるように地面へと突き刺さる。
「私望みを叶えてくれるだけの力はあるんですが、一つだけ難点がありまして…………いや、まぁそこも良い所なのですが…………」
「なんじゃ、その難点は」
「これは暗殺と呼ぶには派手過ぎる‼︎」
砕蜂が言い切るのと同時に限界を迎えた砲門から卍解発動時に出した波動のよりも更に高密度かつ極太な波動が発射される。
そして霊力の波動が着弾し、虚の大群がいた場所に巨大な爆発が起きた。
原作では砕蜂の長所である機動力が潰れ、他の長所も行かせない残念よりな卍解な砕蜂の卍解ですが、この作品では双護との出会いによって心持ちが違うので卍解の形態にも変化は出るだろうという判断で変えました。
ただ、名前はしっくりきてないというね。久保帯人先生のネーミングセンスどうなってんのよ。
次回、砕蜂卍解披露回其の2と別陣営でのお話を書く予定です。お楽しみに待っててくださいな
双護くんヒロインダービー!!!!※双護くんと絡ませるのが明らかに難しいキャラはヒロインとしての採用が難しくなりますのでそこはご了承ください。
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涅ネム (マユリ印ヒロイン)
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虎徹勇音 (長身系真面目臆病風妹)
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砕蜂 (一途な真面目ちゃん)
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雛森桃 (正統派美少女)
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四楓院夜一 (褐色お姉さん)
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その為 (活動報告にお願いします)