それはまさに絶望と呼ぶに相応しかった。見るものに恐怖を与える容姿、生半可な物では近づく事すら出来ない霊圧。
「テメェはさっきオレに足りないって言ったよなァ?これならどうだ⁉︎」
先程とは段違いのスピードで接近するノイトラ。警戒していた双護ですら反応が遅れるほどのスピードで不用意な接近を許してしまう。
圧倒的な膂力から繰り出される攻撃。双護に反撃の隙を与えない絶望の嵐。あまりの攻撃に防ぎきれない攻撃によって少しずつ傷を負っていく双護。
(全部は無理か……………しょうがないか)
ヨミと2人で防御に徹しても防ぎきれない程の怒涛の攻め。双護は守りきる事を諦め致命傷を防ぎ隙を伺う事にした。
『ご主人、このままだと危ない。卍解で一気に決着つけた方が良い』
(まだこいつ以外にも十刃はいるみたいだ卍解は使えない。敵がどれだけいるか詳細が分からない、せめて黒崎君達の安全の確保出来てからかじゃないと)
ジリ貧となってしまった双護にヨミから卍解の使用についての提案を即座に否定さるする双護。
卍解とは死神が使える最強戦術であるのだが、その分燃費が悪い。
連発出来るようなものでもない為卍解の使用はここぞという時にしか使わないというのが卍解が出来る者の共通認識である。
加えて双護の卍解は少し特殊であった。一部の卍解には周囲の味方すら巻き込む強力なものもある。刳屋敷のように周囲に被害を出し、尚且つ莫大な霊力を消耗するという卍解も存在する。
そう言った事から双護は卍解に関して他人よりも慎重になっていた。
「さっきまでのツラはどうしたァ⁉︎あれだけ余裕かましておいて血だらけになる気分はどうだァ⁉︎」
「最悪な気分だよ。君程度に大事な手札を切らないといけないなんて」
「テ、テメェ‼︎」
(ヨミちゃん、僕が合図したら一瞬で良いから防御全部任しても良いかな)
『大丈夫、いつでも良いよ』
(オッケー。一、ニ………………三、今‼︎)
双護は攻撃を防ぎながら袖の奥からとある物を取り出す。そしてそれと同時にヨミに合図を出しヨミが双護を覆うように影を展開する。
しかし、ヨミの影では今のノイトラの攻撃を受け止めるだけのパワーは無い。影は一瞬にして風船のように破れ去り双護が晒される。
「何しようとしたか知らねぇが、これで終わりだァ‼︎」
「しまっ----------」
トドメとして双護に鎌を突き刺すノイトラ。勝利を確信し、笑みを浮かべるが若干の違和感を感じ怪訝な顔を見せる。
直接鎌を突き刺したというのに余りにも手応えが無い。そう思った瞬間、双護の身体が風船のように破裂した。
「流石喜助、でもこれ扱いが難し過ぎるな。上手くいって良かった」
「テメェ、なんで生きてやがる」
「携帯用義骸。知らない?こうすると、ホラ」
いつの間にか距離を取って生きていた双護に疑問をぶつけるノイトラ。それに対して双護は袖の奥から一つの球を取り出す。そしてそれに息を吹き込むと双護の体が現れた。
携帯用義骸。持ち運びに不便な義骸を携帯用に浦原が開発したものだが、義骸としての性能はあまり高くなく、現状は戦闘時の身代わり人形として浦原は用いている。
しかし、この方法はタイミングが難しくまともに扱えるのは浦原のみである。
(危なかった……………上手くいって良かった)
『ご主人にこんな危ない事させるあいつ嫌い』
浦原にもしもの保険として渡された携帯用義骸だが、双護も練習したうえで成功率は10回に1回成功すればマシなレベルの確率であった。
親しい間柄の者でギャンブルをするようなマッドな思考と普段の振る舞いはヨミは好きでは無いようで浦原の隊士時代に共闘する際はいつも渋々であった。
「見た事あるような気もするが……………まぁいい。オレから距離をとったって事は何か策でもあるんだろ?」
携帯用義骸に既視感を感じるノイトラ。ウルキオラが見せた戦闘データで見た筈なのだが、自分を強者だと信じて疑ってこなかったノイトラにとって死神の使う小細工程度耳に入れるまでも無かった。
警戒するようなものかと言われたらそうでもない。次は使う前に殺せば良いまでの事である。そんなことよりもノイトラは双護がそんな小道具を使ってまで距離を取った理由に興味があった。
「卍解ってやつか?良いぜ、それでオレが斬れるってんならやってみろよ」
「悪いけどこれから使うのは卍解じゃない。あれは君よりも強い奴に使う為のものだからね」
「あ?」
霊圧の強さで言えばノイトラは今の双護を完全に上回っていた。先程の攻防も双護に余裕というものは一切無かった。
(卍解じゃねぇだと?何するつもりなんだ………)
卍解が死神にとって切り札である事は藍染から聞いているノイトラ。全ての死神が使える訳ではないが隊長であれば例外無く使えるという事も知っていた。
二番隊の隊長である事をなのった双護であれば卍解が使えない筈は無い、そんな双護が追い詰められた状況で何故卍解を使わないのか。そんな疑問がノイトラの頭の中を駆け巡った。
「瞬閧明王戦形黒焔炎生三昧」
双護がそう唱えると、双護と月詠神楽が纏っていた黒い炎が大きくなる。これまでは黒い炎を双護が纏っているような形状であったのがまるで双護から炎が生まれているかのようになっていた。
双護が傷を負っていたであろう箇所からは黒い炎がチロチロと燃えていた。
双護の背中からは不動明王が背負っているような火炎が立ち上っている。
「おもしれぇ‼︎少しは楽しめそうじゃねぇか‼︎」
ノイトラの霊圧が近づくもの全てに恐怖を刻み込む絶望の霊圧であるなら今の双護の霊圧は全てを焼き尽くす炎そのものであった。
この霊圧であるならば先程までよりは楽しめる戦いになるだろう、と自分の中の闘争心が高まるのを感じた。
「悪いけど、これまで使ったんだ。一撃で決めさせてもらうよ」
「一撃で死ぬのはテメェだよ‼︎」
霊圧を撒き散らしながらもの凄いスピードで双護に近づくノイトラ。全力の霊圧を自身の鎌へと込め双護を切り裂こうと腕を振るった。
「黒曜倶利伽羅剣」
黒い炎が収束された月詠神楽を上段の構えから一気に振り下ろす双護。
双護の放った一撃は鎌を振り下ろしていたノイトラを鎌ごと切り裂いた。
月詠神楽を振り抜くと瞬閧を解除して納刀する双護。
「悪くねぇ、オレの望みは果された。礼は言わねぇ。リベンジしにいくからその時までせいぜい首を洗って待ってやが………………………………」
最後のセリフを言い切ることもなく灰となって消え去るノイトラ。ノイトラの霊圧が消えた事でホッと息をつく双護。
「危なかった。あの2回目の解放に慣れてたら卍解を使うしかなくなるところだった…………やっぱり僕はまだまだなんだなぁ」
元柳斎や刳屋敷など自身が超えるべき背中を思い浮かべながら双護は救援を待つであろう方角へと向かって歩き出した。
双護くんヒロインダービー!!!!※双護くんと絡ませるのが明らかに難しいキャラはヒロインとしての採用が難しくなりますのでそこはご了承ください。
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涅ネム (マユリ印ヒロイン)
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虎徹勇音 (長身系真面目臆病風妹)
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砕蜂 (一途な真面目ちゃん)
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雛森桃 (正統派美少女)
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四楓院夜一 (褐色お姉さん)
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その為 (活動報告にお願いします)