流魂街にある本物の空座町から離れた場所。周りには岩山しか無いが、そこに藍染と双護はいた。
「虚園で黒崎一護とその一味を助け、ここまで来るとは……………今の私を止めようとする最後の砦が貴方である事は少し予想外だった」
「そう?惣右介でも予想外の事なんてあるんだね」
「刳屋敷剣八、山本元柳斎、卯ノ花双護。貴方達は私が警戒するに相応しい相手だ。だから対策に対策を重ねてきた。貴方と戦うにしてももっと消耗している筈だったのだけど…………」
藍染が現世へと侵攻する際に最も警戒していたのは刳屋敷と元柳斎、双護だ。刳屋敷は最上大虚の十刃、第3十刃のハリベルとその従属官をぶつけ、元柳斎も流刃若火を徹底的に対策した。
しかし、それでも双護が合流していれば崩玉と融合していなかった自分では負ける可能性があった。双護を遠ざける為に一護の仲間である織姫を誘拐し、一護が虚園に来るように仕向けた。
ルキアの一件で一護と関係を構築した双護であれば助けに行く事は分かっていた。虚園に双護と一護という護廷にとって大きな戦力を幽閉する事で成功率をあげようとしたのだ。
侵攻の為に上位の十刃を引き連れた藍染だったが、ある程度十刃を残しておかなければ双護にすぐ合流されてしまう恐れがあった。合流されるにしても双護を削る為に強化を施したウルキオラとノイトラ、そしてヤミーを残しておいた。
うまくいけば3体、最低でも1体の十刃と戦うため消耗は避けられない筈だった。
「今の貴方の霊圧は全開時のそれに近い。とても十刃と戦った後とは思えない」
「知りたい?答えはこれだよ」
そう言って双護は懐から空になった注射器を取り出し藍染に見せつける。
「なるほど、涅マユリか」
空の注射器を見て納得する藍染。浦原喜助は技術者、科学者として万能な男ではありその技術力は瀞霊廷の長い歴史において上位となるほどである。
しかし、こと薬学、毒に関してマユリの知識と技術は浦原のそれを上回っている。
仮に浦原が霊力を回復させる薬を開発していたとして現世での戦闘において使わない訳が無かった。量産出来ていなかったとしても使わない理由は無かった。
「そう、消耗した霊力を一時的に回復させる薬。それでこれはおかわりってやつだ」
そう言って懐からから似たような注射器を取り出し、自分に打ち込む。
瞬間、爆発的に膨れ上がる双護の霊力に小さく唸る藍染。双護の霊圧は隊長の中でも上位にあり、元柳斎や烈に並ぶ霊圧を持っている。
マユリの薬によって消耗していた筈の霊力がほぼ全開していたが追加で打ち込んだ薬によってその霊圧は倍近くまで膨れ上がったからだ。
「私に勝てもしないのに余計な手段に頼るとは………………実に貴方らしい選択だ」
「確かに今の惣右介に勝てるとしたら未知数な一護くらいなもんだよ。でも、あんまり僕を舐めないで欲しいな」
普段通り和やかな口調で話す双護だが、その言葉に含まれた苛立ちかなりのものであった。
瞬間、藍染の視界から双護が突然消え、現れたと思いきや月詠神楽を喉元目掛け振るっていた。しかし、藍染はなんでもないように双護の奇襲を受け止める。
「幾ら貴方の霊圧を倍増させようが今の私には叶わない。貴方も理解している筈だ。死神の戦闘は霊圧の強さで決まる」
「死神も虚も超越したって存在が死神の戦いを語るってのは中々良いジョークだ。あと、相手より霊圧が低くても戦い方次第で割と何とかなるもんだよ?僕の親友はそういういやらしい戦いが得意でね」
「良く知っているよ。だからこうして私が直接戦っている」
まるで道端でしている雑談のように話ているが、2人の戦闘の余波で岩山が崩れるなど地形が秒単位で変わっていく。
現世にて元柳斎を撃退された今、防衛に回った刳屋敷を除き戦闘可能な死神の中で双護は最強である。そんな瀞霊廷で上位に位置する双護を倒せれば自身の計画を阻む者は零番隊くらいしか残らないと考えていた藍染。
隊長達の平均霊圧の3倍近くの霊圧があり、圧倒的な実力を持つ藍染だが、刳屋敷剣八と山本元柳斎、そして卯ノ花双護の3人だけは敗北の可能性があるとして長い間警戒してきた。
こうして崩玉と融合した今では負ける可能性は微塵も考えていない藍染。覚醒した力を試す相手にしては充分な相手だと考えていた。
「斬魄刀の能力も瞬閧も使わない所を見ると薬の効力には多少の不安があるみたいだね」
「薬の効果が切れるまで粘ってみる?いいよ、そうしたければすれば良い。君が遊んでる間にその首を斬り飛ばすから」
「今なら貴方程度にそんなことをする必要は無い。時間稼ぎが必要なのは貴方だろう?時間があれば刳屋敷剣八なり頼みの黒崎一護が救援にくるかもしれないからね」
双護はあらゆるフェイント、持ちうる技術を使ってもなお今の藍染と勝負になっていなかった。側から見れば互角の戦いであるが、双護は遊ばれていた。その証拠に双護の傷は僅かに増えているのに対し、藍染に対して有効な攻撃を与える事が出来ていなかった。
覚醒した藍染の霊圧はドーピングで霊圧を倍増した双護よりも圧倒的で如何に技術でカバーしようとその差は中々埋められなかった。
藍染が本気で殺すつもりであったなら深手を負っていた可能性もある。しかし、どういったつもつもりか藍染は双護との戦いを楽しんでいるようだった。
「あんまり舐められるも癪に障るし、少しギアを上げてくよ」
「たかだか瞬閧如きでこの差を埋められると思っているのか?おめでたい考えだ」
「おめでたいのは君の頭だろ。瞬閧瞬閧明王戦形黒焔炎生三昧」
双護から立ち登る爆炎。藍染は自身の見立てが少しばかり甘かった事を感じた。
通常時の瞬閧ですら双護に爆発的な戦力を齎す。それだけであるなら今の藍染が警戒する必要は無い。しかし、今の双護はマユリの薬により霊圧を倍増している。
容量が増え、一つの技に掛けることの出来るエネルギーが増えるのだ。今の瞬閧はこれまで使ってきた瞬閧の倍以上の霊力を注ぎ込んでいる。
藍染としては双護1人で自分を止める事が出来ない為無茶をせず可能な限り救援を待つだろうと思っていた。だから効果時間の不明な薬を使っている状態で消耗の激しい技は使わないだろうと嶄を括っていた。
「行くよ、惣右介」
「ふふ、やはり貴方は面白い」
倒せる保証が無いというのに捨身にも思えるような選択肢を選ぶ双護を愉快に思うのと同時に油断をし過ぎるのは良くないと己を戒める藍染。
目の前にいるのは最強の剣鬼の息子であり、護廷最強の男に鍛えられ、幾度も死線を潜り抜けてより強くなってきた男なのだ。下手に追い込み余計な手傷を負う訳にはいかない藍染。
完膚なきまでに双護を打ちのめす事で瀞霊廷に対して自分へ歯向かおうとする意思を摘み取る斬魄刀を構えたのだった。
ここまできてエタるなんて事はしないからね。
双護くんヒロインダービー!!!!※双護くんと絡ませるのが明らかに難しいキャラはヒロインとしての採用が難しくなりますのでそこはご了承ください。
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涅ネム (マユリ印ヒロイン)
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虎徹勇音 (長身系真面目臆病風妹)
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砕蜂 (一途な真面目ちゃん)
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雛森桃 (正統派美少女)
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四楓院夜一 (褐色お姉さん)
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その為 (活動報告にお願いします)