双護が目を覚ますとそこは見慣れた天井だった。四番隊隊舎の一角にある病室だった。隣に気配を感じ、目を向けると椅子に腰をかけた夜一が柔かな笑顔で双護の顔を覗いていた。
「やっと起きおったか、この寝坊助め」
「うん、おはよ」
「体調はどうじゃ」
「全然力入らないね。剣は触れそうにないけど、日常生活を送る分には問題無さそう」
「まぁ二週間も寝っぱなしじゃったからな。体が動かせるだけで御の字じゃろ」
「そっか、二週間か………………思ったより長いね。僕が倒れた後はどうなったの?」
そこから夜一は双護が倒れた後の事を語り始めた。
双護が倒れた後、一護は藍染を倒し浦原の施した封印によって力を抑え込む事が出来るようになった。崩玉の影響か藍染を殺す事が出来なくなった為無間に収監される事になった。
一護が死神の力を失う事になったがそれ以外に護廷隊側に目立った損害は無かった。
一部隊士が重症を負ったが、無事に通常業務に復帰している。
「ギンはどうなった?」
「市丸か? 彼奴はお主の仕込みのお陰で極刑は免れた。一定期間監視付きで限定霊印を施し、いかなる場合も瀞霊廷外へ出る事を禁止されたくらいじゃ」
「思ったよりも軽かったんだね。四十六室の事だから現世追放とかすると思ってたよ」
「京楽と浮竹は勿論じゃが白哉坊が朽木家として援護してくれたおかげじゃの。しかしかなり骨が折れたぞ、二番隊の密命の証拠を作るのは」
ギンは藍染の副官として瀞霊廷への反逆に加担していたが、全ては藍染を殺す為の事だった。ギン自体に叛逆の意思は無く、ギンが直接手を下した件の被害が比較的軽度であった事とから双護はギンを生かす事を選択した。
人脈や権力を総動員し、ギンは双護の密偵として藍染に擦り寄ったという証拠を捏造した。急拵えであった事と時灘を殺したことで双護へのヘイトが思いの外集まっており、ギンの裁判は難航した。しかし、白哉がギンの弁護に回ったことで形成が逆転した。
「それにしても随分と無茶をしたの」
「まぁ無茶でもしないとどうにもならない状況だったしね」
「本当ならそのすまし顔を引っ叩いている所じゃが今は病み上がりじゃし勘弁してやる。あぁ、でも京楽のやつが今回の件の慰労会と祝勝会という事で大宴会の準備をしとったの。嬉々として高い酒を買い占めておったわ」
双護との付き合いが長い夜一や京楽達は双護の性格を熟知していた。無謀な事はしないが無茶をするというのを知っていた。そしてそう簡単に死ぬ男でないことも知っていた。
しかし、それとこれでは話が別であり人知れず命をかけて死にかけた事には双護をよく知る者は怒っていた。
「ははは、経費で落ちないよね」
「砕蜂の奴かなり怒っておったからの。それは無理じゃろうな」
砕蜂も双護の生還を信じて疑わなかったが自分の預かり知らぬ所で無茶をして死にかけた事に関してはかなりご立腹であった。
「色々任せちゃってるし………………やる事多いなぁ。まだ戦ってる方が楽だよ」
「書類仕事が面倒くさいのは同意じゃな」
「夜一はよく逃げてたもんね。希乃進さんに捕まってたけど………………あの人の鬼道の技術は本当勉強になったよ。あの人なら鬼道衆の要職にもつけたよね」
「彼奴は賢い奴じゃからの。どっかの馬鹿と違って自分から命の危険がある所に飛び込まんからの、家族を大事するなら危険のある仕事は選ばんじゃろ」
双護を揶揄うように小突く夜一。そんな夜一の様子に少し安堵する双護。普段は天真爛漫で揶揄い癖がある夜一。
しかし、平子達仮面の軍勢の事件から全てが変わってしまった。それから暫く会う事も出来ず、再開してもお互い戦うべきがいて普段通りに振る舞うような暇は無かった。
やるべき事は山積みとなっている状態だが、瀞霊廷としては若干の余裕が出来た。ずっと戦ってきた夜一が普段通りに振る舞えるようになったという事は暫しの平和が訪れたと思い安心した双護。
「しかし…………アレじゃの。そんな馬鹿に惚れた儂も大概じゃな」
少し照れくさいのか、頬を掻きながら目線を逸らす夜一。惚れたと言ったのが恥ずかしかったのか耳はほんのりと赤みを帯びている。
「それで…………その、お主のような馬鹿には支えてくれる存在が必要だと思う」
何かを言おうとしているのか、何かを双護に言わせようとしているのか夜一の話はハキハキと自分の意見を述べる彼女には珍しく歯切れが悪い。
肝心な時の察しが悪いと言われることの多い双護だが、この時ばかりは自分が何すべきかを理解していた。
「えっ…………そ、双護?」
「あはは…………いや、ね。その………………」
咄嗟に夜一の手を握っていた。突然手を握られ驚く夜一と言うべきことは分かっているが無計画に行動してしまった為この後の展開を特に考えておらず固まる双護。
「結婚しようか」
「は?」
時間にしてほんの数秒だが、双護の頭の中は戦闘時よりもフル稼働していた。オーバーヒート寸前の脳みそのフル稼働の末出した結論はたった一つのワードだった。
余りにも突然の事すぎて驚きと疑問が混じる夜一。
「あはは、春水みたいにそれっぽいこと言おうとおもって凄く考えたんだけど全然思いつかなくてさ」
照れ臭そうに微笑みながら頭を掻く双護。そんな双護の笑みを見て双護らしいと夜一は思った。仕事や戦闘の時はしっかりしているのにそれ以外はどこか少し抜けている。
結論から言えば期待していた通りの言葉だ。しかし、夜一としても理想の言われ方というものがある。貴族社会な尸魂界では恋愛から結ばれるというのは少ない。ましてや四大貴族ともなるとその可能性は限りなく低い。
現世暮らしが長くなっていた夜一は現世のそういった文化に触れ自分もこんなプロポーズをされてみたいという乙女らしさが芽生えていた。
「僕は無茶をしなきゃいけない状況なら無茶だってするし、使えるモノはなんでも使う。それでもこうして間違わずに来れたのは春水達や母さん達、そして何より夜一の存在が大きいんだ」
「…………………………」
「これからも僕を支えてほしい、これからも間違わないように。勿論僕だって夜一をちゃんと支えるし、何があっても守ってみせる。だから、僕と結婚してくれますか?」
優しく手を握り、真っ直ぐに夜一を見据える双護。
双護た男女の関係にあり、顔を見るだけで心拍数が上がるようなウブな女ではないと自覚している夜一だったが、この時ばかりは双護の顔を直視できなかった。
ずっと望んできた事だが、自分には縁の無い事と思ってい半ば諦めていた。しかし、双護はそんな事お構いなしに自分の望みを叶えようとしてくれている。望みが叶おうとしているこの状況に年甲斐も無く浮かれていると自己分析する夜一。
握られている手を振り払い両手で双護の顔を掴み逃げられないようにする夜一。
「……………………これが儂の答えじゃ」
そしてそのまま口付けをする。呆気に取られたのか目を見開いたまま固まる双護。
「儂を後悔させるなよ? 旦那様」
そういうと夜一は固まっている双護を放置して部屋を出た。その後、烈が様子を見にくるまでの数分間、双護は固まったままだった。
何事かと思い双護に問い出した烈はことの顛末を知ると息子のおめでたい事に嬉しくなる反面、相手が友好的であるとは言え四大貴族一角である事を知りこれからの事を考え頭を抱えた。
そして関係者を呼んで行われた宴会で双護と夜一の婚約が発表された。大半の参加者は知ってたといった顔をしていたが、元柳斎と雀部は孫のように可愛がってきた双護がそこまで育ったのかと男泣きを見せた。
ついに言っちゃいましたねぇ…………………もっと大人なプロポーズとかさせたかったんですけどね。うん、まぁこれはこれでいいかな。赤面照れ照れ夜一さんとかクッソ可愛いよね。最高案件でした。
という訳でうまくいけば後2話、長くても5話以内で完結する予定です。あと少しですがお付き合いください
双護くんヒロインダービー!!!!※双護くんと絡ませるのが明らかに難しいキャラはヒロインとしての採用が難しくなりますのでそこはご了承ください。
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涅ネム (マユリ印ヒロイン)
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虎徹勇音 (長身系真面目臆病風妹)
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砕蜂 (一途な真面目ちゃん)
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雛森桃 (正統派美少女)
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四楓院夜一 (褐色お姉さん)
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その為 (活動報告にお願いします)