卯ノ花さんの光源氏計画   作:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)

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という訳で完結後の番外編です。

双護くんと夜一さんの娘さんののほほん話です。


番外編
双葉、迷う。


その日、白哉は朝から慌ただしく瀞霊廷を走り回っていた。いつのまにか屋敷に侵入し、何故か自分の分の朝食を食べていた少女を問い詰める為だ。

 

 

「卯ノ花双葉、待たぬか‼︎」

 

 

「へへーん、待てって言われて待つ奴は居ないよーだ」

 

 

少女の名は卯ノ花双葉、護廷十三隊総隊長である卯ノ花双護と夜一の娘である。

 

藍染との決戦後、滅んだと思われていた滅却師が瀞霊廷へと攻めてきた。結果的に護廷隊は勝利したが少なくない犠牲を払う事になった。

 

多くの一般隊士の戦死、一部ではあるが非戦闘員である一般人の犠牲も少なからずあった。元柳斎と副官である雀部は辞任を表明し、次代の総隊長として双護が指名された。元柳斎の退任を受け、数人の隊長が引退しそれぞれのセカンドキャリアを築いていた。

 

双護と夜一の間に生まれた双葉は両親の血を受け継いだからなのかかなりのお転婆娘になりつつあった。

 

白哉の元に現れてはちょっかいをかけ、逃げるというのは日常茶飯事である。

 

 

「よし、撒いたな」

 

 

双護や夜一の才能を受け継いだ彼女は幼いながらも高レベルな舜歩をマスターし、夜一や砕蜂直伝の隠密技術を手に入れていた。

 

上位席官以上の者が本気を出せば簡単に見つかるし追いつかれる程度の瞬歩と隠密技術だが、年齢を考えれば天才と呼べるものだった。

 

白哉とて霊術院に入ってもいない子供相手に本気を出す程大人気ない真似はしないが、夜一がそのまま小さくなったかのような見た目に日を追うごとに洗練さて行く技術を見るに自分が本気で双葉を追いかける日が近いのではと思うようになっていた。

 

白哉が近づいていない事を確認した双葉は特に目的も無く歩いていた。そんな時、見知った顔を見かけた。

 

「お、双葉ちゃんじゃないか‼︎」

 

 

「あ、十四郎さん」

 

 

十三番隊の隊長羽織ではなく、無地の白い羽織を着た浮竹。浮竹は引退した隊長のひとりで現在は霊術院の学長を務めている。

 

 

「こんな所で何をしてるんだ?」

 

 

「散歩だよ。十四郎さんは?」

 

 

「ちょっと京楽に渡すものがあってな…………そうだ‼︎お菓子をあげよう、沢山あるぞ‼︎」

 

 

「ご飯食べれなくなるとお父さんに怒られるし一つだけ貰うね」

 

 

そういうと浮竹は懐からガサッと大量の菓子を取り出す。双葉は菓子の山から棒付きキャンディを手に取る。

 

最古参の隊長の娘という事で双葉の現役護廷隊士の顔見知りはかなり多い。隊長格とは全員顔見知りであり、大半は可愛がられている。

 

 

「あまり遅くならないように帰るんだぞ」

 

 

「分かったー、ばいばーい」

 

 

大きく手を振りながら浮竹に別れを告げる双葉。飴を舐めながら目的も無くブラブラと歩く。

 

悪戯好きで誰かと遊ぶのが好きな双葉であるが1人の時間も好きであった。夜一が元大貴族という事もあり、護廷隊に関係無く普段から双葉の周りには人が多い。

 

用事がない日は決まって1人で散歩するのがお決まりとなっていた。

 

 

「なんか面白い事ないかな」

 

 

「なら、私が貴様に説教をくれてやる」

 

 

双葉は呟くと背後に強い霊圧を感じた。冷や汗を流しながらゆっくりと振り返ると青筋を浮かべ怒りをあらわにする白哉が立っていた。

 

 

「何か言い残す事はあるか?」

 

 

「ルキアちゃんが言ってた通り朽木家のご飯って美味しいね」

 

 

「やはり貴様はしほうい………卯ノ花夜一の娘だ。親子揃って私の神経を逆撫でするのが好きらしい」

 

 

双葉は咄嗟に瞬歩で逃げようとするが、警戒した白哉から逃げるほどの技量が無い双葉はすぐに回り込まれ捕まってしまった。

 

襟首を掴まれぷらぷらとぶら下がる双葉。頭には大きなたんこぶが出来ていた。

 

 

「ねぇ、何処に行くの?」

 

 

「昼餉だ、総隊長には連絡をいれてある。話たい事があるのだろう」

 

 

「なんで分かるの?」

 

 

白哉の指摘通り双葉は白哉に相談したいことがあった。気づかれるとは思っておらず驚いたのたま。

 

 

「今の貴様は昔のルキアと似ていた。普段の貴様なら一回撒いた程度で油断する事もないだろう」

 

 

ルキアが朽木家に引き取られた当初、何故引き取られたのか、突然兄となった白哉との距離感などについて悩んでいた。

 

しかし、不器用な性格でルキアを引き取った後は一族の当主としての責務や六番隊隊長としての責任感でルキアを気にかける余裕が無かった。

 

一護と双護のお陰もあり、そういったしがらみから解放された。

 

白哉が入った店は貴族御用達の料理屋だった。店員の案内で座敷に入ると手慣れた様子で注文する白哉。

 

 

「私はいつもの。貴様はどうする」

 

 

「え〜と……………ミックスフライ定食、ご飯大盛り。あと刺身盛り、ポテトサラダとあら汁」

 

 

高級な店構えに臆する事なく、大人顔負けの量を注文する双葉に驚愕する店員をよそにメニューを立て掛ける白哉。店員は一礼すると座敷をあとにした。

 

 

「それで、話とはなんだ」

 

 

白哉は店員が離れたのを確認すると口を開いた。

 

 

「白哉さんは私の事どう思ってる?」

 

 

「どういう意味だ」

 

 

「私、鬼道と瞬歩は自信あるんだよ。お姉………砕蜂さんにもそこは褒められたの」

 

 

双葉の言葉に頷く白哉。霊力の操作能力に関して双葉のソレは天才という言葉では足りぬ程である。既に上位席官以上の本気には及ばないが年齢と経験値を考えるのなら充分過ぎる程の実力があるのだ。

 

護廷隊の隊長の中でも鬼道に秀でており、瞬歩に関して夜一と並ぶとされる砕蜂が認めているのならばその才覚は疑う余地も無い。

 

 

「白打に関してはそれなりだけど戦術と経験次第だって。でも斬術に関しては才能無いんだって」

 

 

鬼道や瞬歩、白打は砕蜂から教えを受けている双葉。斬術は十一番隊の副隊長を務める斑目一角に師事している。

 

鬼道や瞬歩に関しては砕蜂に褒められるのと同時に自分でも手応えを感じている双葉。白打も砕蜂の言う通りそれなりの手応えを感じていた。

 

斬術に関して自分の中で全くしっくり来るものが無かった。それでも自分なりに少しずつではあるが成長してると思っていた。

 

 

「一角さんとお父さんが話してるのを聞いちゃったんだけどその時に一角さんが『あそこまで剣の才能が無い奴は初めてっすね』って……………」

 

 

「人には得手不得手と言うものがある。貴様は瞬歩や鬼道が得手で斬術が不得手というだけだろう。そもそも武器を使った戦闘は素手の延長に過ぎない。砕蜂隊長の言う通り戦術を練り、経験を積むしかない」

 

 

「でもさ、私……………剣八の娘だよ。お父さんの娘なのに剣の才能が無いのって失格じゃん。私のせいでお父さんが馬鹿にされちゃう」

 

 

「やけに才能という言葉に固執しているな。才能とはそんなに大事なのか」

 

 

「だって…………才能が無かったら、意味無いじゃん‼︎私が笑われるだけじゃ済まないんだよ⁉︎お父さん、お母さん、他にも色んな人が笑われちゃうんだよ⁉︎私が出来損ないなせいで‼︎みんな言ってるもん、親の才能を受け継いだ優秀な子だって‼︎全然そんなんじゃないのに‼︎」

 

 

机を思いっきり叩く双葉。堰き止めていたものが吹き出したかのように感情が溢れ出した。

 

双葉は夜一の娘という事で貴族と会う事も多かった。幼いながらに瀞霊廷の闇ともいえる部分を見てしまっているのだ。

 

周囲の貴族が見る双葉は元大貴族当主と現役護廷隊士最強の男の娘であり、間違いなく良縁となる子供である。

 

双護や護廷をよく思っていない貴族も双葉の利用価値は認める所があるようで、双葉は瀞霊廷において今最も注目されているといえる。

 

 

「その“みんな”とやらは誰の事だ。“みんな”とやらは誰1人として貴様を見ていない。そんな奴らの言葉を鵜呑みにして大切なものを見失っているのではないか」

 

 

「でも、私のせいで父さんたちが否定されるのには変わりないじゃん‼︎私が中途半端な出来損ないにせいで‼︎父さんたちだけじゃない、白哉さん達も「驕るなよ、卯ノ花双葉」っ‼︎…………」

 

 

双葉の言葉を遮る白哉。その声は怒りなどは無いのにその迫力に押され言葉が詰まる双葉。

 

 

「貴様の父も母も、そして我々護廷十三隊が築いてきたものは貴様の風評如きに揺らぐものではない。今貴様に必要なものは剣の才能でも、強さでも無い。誇りだ。貴様の家族は誇るべきものだ」

 

 

「何それ、意味わかんないんだけど」

 

 

「いずれ分かる」

 

 

白哉が手を叩くと料理が運ばれてくる。先程までのやり取りは聴こえていた筈だが何事も無かったように皿を並べていく店員。

 

 

「食え、文句は食事の後に聞いてやる」

 

 

「あっ、これ美味しい」

 

 

「がっつくな。はしたないぞ」

 

 

白哉の話がよくわからないながらも、自分の思っていた事を曝け出した事で安心したのか運ばれてきた料理をガツガツと食べ始めた。

 

 

「ご飯おかわり!」

 

 

大人顔負けに食べる双葉の顔を見てため息を吐きつつ、白哉はおひつを持ってくるように店員に頼むのだった。

 

 

「デザートであんみつくださーい」

 

 

「もう好きにしろ」

 

 

夜一と同様に何を言っても無駄だと諦めた白哉。成人顔負けな食べっぷりを見せながらも年相応の笑顔を見せる双葉に夜一と双護の面影を感じ再びため息を吐くのだった。




山じぃは千年決戦での双護くんの立ち回りと成長を見て後を任せる事にしました。

双護くんは自分で自信を持って剣八であるといえるようになりましたが、剣八は最強の戦闘部隊の隊長である十一番隊の隊長が名乗るべきものと考えており自らは名乗っていません。称号として獲得したって感じなのかな?

多分刳屋敷さんはまだ現役。ノリノリで双護くんのライバルやってます。

沢山食べる褐色元気な女の子とか最高よな。

双葉ちゃんは自分に瞬歩と鬼道の才能があるのは分かってます。ただ、完璧超人なお父さんとか瞬神なお母さん、その他の身内が尸魂界において最強なメンツのお姫様って事で周囲からの期待で少し押しつぶされかけてます。

自分のやれる事を理解してるからこそ周囲からの期待に応えられない事に悩んでる感じですね。


さて、ほのぼの回はもう少し続きます。具体的には後1話か2話。
その後は双盾&烈さんの卯ノ花夫妻の話で締めです。

双護くんヒロインダービー!!!!※双護くんと絡ませるのが明らかに難しいキャラはヒロインとしての採用が難しくなりますのでそこはご了承ください。

  • 涅ネム (マユリ印ヒロイン)
  • 虎徹勇音  (長身系真面目臆病風妹)
  • 砕蜂    (一途な真面目ちゃん)
  • 雛森桃  (正統派美少女)
  • 四楓院夜一  (褐色お姉さん)
  • その為 (活動報告にお願いします)
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