卯ノ花さんの光源氏計画   作:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)

69 / 70
双葉、意地を見せる

時乃に対し啖呵を切ってみせた双葉だったが、かなり追い込まれていた。

 

戦闘開始時は瞬歩で背後に周り白打による打撃でダメージを与えていたが、時乃は艶羅鏡典の能力で斬りつけた回数だけ対象の重量を倍にする侘助を再現。

 

スピード自慢の双葉からすればそれを封じられるのは不利なるのは目に見えていた。必要以上に警戒し、踏み込みが甘くなった隙をつかれ手を一回、脚を一回斬りつけられてしまった。

 

 

「あんだけ人を煽っといてそれだけ?ここまで仕込んだ私が馬鹿みたいじゃん」

 

 

「座学も私の方が成績は上だしね。実際バカだと思うよ」

 

 

「まだ減らず口叩けるんだ。もう、体動かすのも辛そうだよ?」

 

 

「他人の褌でしか相撲取れないバカに負けるほど私は落ちぶれてないよ、時乃さん」

 

 

「ッ‼︎お早う『土鯰』」

 

 

時乃がチャクラムのように変化した艶羅鏡典を地面に突き刺すと岩の槍が双葉を目掛け隆起する。

 

 

「〈縛道の二十一 赤煙遁〉」

 

 

双葉は土鯰による攻撃を回避しながら縛道の二十一である赤煙遁を発動した。これは、煙幕を発生させる術で目眩し程度にしか使えない。しかし、双葉は時乃にバレないように笑みを浮かべていた。

 

時乃が艶羅鏡典で使用している能力が侘助のものであるならこれ以上傷をつけられないように倒さなければいけないがそれは無理な話である。

 

既に双葉の右腕と左脚の重量は4倍となっている。マトモに動くのも限界な状態である。そこで、双葉は時乃を煽る事で効果範囲の派手な斬魄刀を使わせることにした。

 

土鯰の岩槍と赤煙遁による煙幕で時乃は双葉の正確な位置を把握出来ないでいるが、霊圧知覚に優れる双葉は何処にいるかというのははっきり分かっている。

 

 

「雷鳴の馬車、糸車の間隙、散在する獣の骨、君臨者よ」

 

 

位置を悟られないよう動きながら双葉はゆっくりと詠唱を始める。

 

鬼道には幾つかの技術が存在する。定められた詠唱を唱え放つ完全詠唱。詠唱する事で霊力のコントロール性と威力を完全な状態で発動する鬼道に於いて最も基本的な技術だ。

 

そしてその詠唱を省略する事で発動までの時間を短縮する詠唱破棄。こちらは完全詠唱に比べ威力は落ち、霊力のコントロールも難しくなるという難点がある。しかし、鬼道は詠唱が隙となってしまう為それを省略するのは大きな利点である。

 

そしてもう一つの技術が重唱である。これは複数の鬼道を詠唱しながら連続で放つ技術である。完全詠唱の鬼道を連続で叩き込める技術であるがコントロールの難易度は単純な完全詠唱の比ではない。

 

 

「幾らアンタが鬼道出来るって言っても重唱なんて出来る訳ないでしょ‼︎」

 

 

「光もて此を六に別つ」

 

 

六枚の光の帯が時乃の動きを封じる。そしてその直後、光の鎖が更に動きを封じる。

 

 

「二重詠唱⁉︎あり得ない‼︎」

 

 

時乃は驚愕した。単身による重唱が可能なものは鬼道衆の上位席官ならまだしも護廷隊にそうはいない。

 

幾ら鬼道が得意といっても一介の霊術院の生徒が鬼道の重唱など出来るわけが無い。

 

 

「蒼火の壁に双蓮を刻む」

 

 

霊術院では鬼道は破道と縛道どちらも学ぶのだが、優秀なものでも四十番代までしか学ばない。それ以上は卒業後、自分の努力で学ばなければならない。

 

そのため、双葉が唱えている鬼道が縛道なのか、破道なのか時乃には分からない。しかし、それが自分の知り得ない高位の鬼道である事は理解出来た。

 

 

「万象一切灰塵と成せ『流刃若火』ァ‼︎」

 

 

時乃は自分が知っている中で最強の斬魄刀を再現した。縛道で動きを封じられている自分には斬魄刀を振るう事は出来ず、鬼道を詠唱している暇も無い。

 

ならばせめて流刃若火の大火力で周囲を焼き尽くしてしまえと解放する。

 

 

「そんなチャチな炎で私は殺せない‼︎〈破道の五十八 闐嵐〉大火の淵を遠天にて待つ〈破道の七十三 双蓮蒼火墜〉」

 

 

五十番代後半と七十番代の破道の合わせ技。竜巻が放たれた直後蒼い爆炎が時乃目掛け吹き荒れる。

 

しかし、いかに双葉が天才といえど四つの鬼道を同時に操れる技量はまだ無い。闐嵐と双蓮蒼火墜が発動したと同時に時乃の拘束は解けてしまう。

 

しかし、時乃には逃げるという選択肢は残っていない。なぜなら、双蓮蒼火墜の炎が闐嵐の竜巻によって威力をより高められており、効果範囲も通常の双蓮蒼火墜よりも広い。時乃の瞬歩の技量は霊術院生の間でそこそこ程度な為範囲外へと逃げる暇がないからだ。

 

そんな時乃に残された手段は既に発動している流刃若火に可能な限り霊力を注ぎ込む事だけだ。

 

 

「あぁあぁあぁあぁあぁあ‼︎」

 

 

最早言葉にすらならない咆哮。生贄とした2人分の魂魄など既に喰らい尽くし、時乃自身の魂魄をくらい始めているが時乃はお構いなしに霊力を注ぎ込む。

 

どのみち、ここで双葉を殺せなければ時乃の身には破滅しか残っていない。自身の破滅を呼び水に本家に仕返しが出来るのなら願ったり叶ったりであるが、それは時乃にとって別の問題。

 

今はいけ好かない卯ノ花双葉を殺す。その為ならば本家や自分の破滅など知った事ではない。目の前の女を殺す。その一念だけが時乃を動かしていた。

 

 

「負けて…………たまるかぁぁぁぁぁぁあ‼︎」

 

 

双葉の炎と時乃の炎がぶつかり合う。双葉は侘助によるダメージで体を動かすのも限界であり、回道をまともに習っていない状態では止血もままならない。

 

腕と脚にかかる倍の重量と失血による倦怠感で既に双葉は限界に近い。

 

それでも双葉は負けられなかった。卯ノ花家としての誇りと自分を鍛えてくれた人達に報いる為、そして自分が血筋だけの人間じゃないことを証明する為に。

 

 

「うんうん、2人ともよう頑張ったわ。お疲れさん」

 

 

瞬間、ぶつかり合っていた二つの炎が掻き消された。時乃も双葉も今出せる限界で霊力を振り絞っていた為、そのまま気絶してしまう。

 

薄れゆく景色の中で双葉が見たものは銀色の髪をした死神が脇差のような斬魄刀を持っている姿だった。

 

 

「ボクも天才とか言われとったけどやっぱり本物はちゃうなぁ…………………それにしてもみんなが過保護になる気持ちも分からんでもないな。両親に似てエエ面しとるわ」

 

 

そう呟きながら2人の少女を抱えた死神は何処かへ消えていく。

 

そして、誰もいなくなった場所には焼け焦げた匂いだけが立ち込めていた。




双葉がやったのは六杖光牢と鎖条鎖縛の二重詠唱、闐嵐の詠唱破棄、そして双蓮蒼火墜の完全詠唱を立て続けに行いました。

海燕(アーロニーロ)がルキアの二重詠唱に驚いていたので双葉ちゃんの受け継いだチート才能を披露するならこれだろうと採用しました。

まぁ威力は護廷隊の鬼道得意な人たちに比べると一段落ちます。ただ鬼道の才能に関しては藍染さまが「鬼道に関しては天才と言わざるを得ないね。順調に成長すれば鬼道のみだが私を越え得るよ」と褒めるくらいです。

それでは、次回で番外編完結します。そしてリメイク版の更新に入っていくのでよろしくお願いします。

双護くんヒロインダービー!!!!※双護くんと絡ませるのが明らかに難しいキャラはヒロインとしての採用が難しくなりますのでそこはご了承ください。

  • 涅ネム (マユリ印ヒロイン)
  • 虎徹勇音  (長身系真面目臆病風妹)
  • 砕蜂    (一途な真面目ちゃん)
  • 雛森桃  (正統派美少女)
  • 四楓院夜一  (褐色お姉さん)
  • その為 (活動報告にお願いします)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。