Monster Hunter Coal miner   作:全テヲ識ル帝ノ龍

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初投稿です。

神おまが欲しかったです。

トライの記憶があやふやです。

RIZEでは御守り掘りが復活しないことを切に願いたいけど装飾品ガチャと比べるなら御守り掘り復活しても良いので装飾品ガチャを消してほしいと願ってます。


合言葉は"爆死帰還"

 この世界には、多くの神秘が眠っている。

 謎の石。光る石。古びた石。歪んだ石。風化した石……自然の産物とも呼べる石は、何時しか我々には必要不可欠の代物となっていた

 

━━━神おまktkr!!!

 

 これは、栄えある初代が高らかに叫んだ言葉。

 石の中でも特に神々に寵愛された石を、我々の間では「神おま」と呼ぶ。逆の場合は「ゴミおま」。神の寵愛どころかその辺のケルビにも愛されなかった石ころ以下の価値しかない。どれくらいかというとまだ錬金できる虫の死骸の方が有用性を見出だせるくらいのゴミレベル。

 しかし当然神々の寵愛を受けた石はそう簡単に現れるわけではない。

 

 数多もの採掘現場(狩り場)を踏み抜き、幾千にも渡る面接官(モンスター)を退けた先でやっと神々の寵愛を受けとる資格を得る条件が整う(・・)のだ。

 虚ろな目でタスクギア(太古の塊)を掘り出しては舌打ちし、現れる現場主任(モンスター)を無視して掘る私達を、人々はこう呼ぶ。

 

━━━━炭鉱夫(モンスターハンター)と。

 

 

━━━━━━━

 

 

 某日、ロックラックの酒場にて。

 テーブルにつき、神妙な顔で悩む女性ハンターがいた。彼女は元々の見た目を武器に異性ハンターから貢ぎ物を貰いながらハンターランクを上げていた所謂「姫」と呼ばれる少女ハンター。

 貢ぎ物は嬉しいが、いくら貢がれても自身の腕とハンターランクが合っていなければ意味がないと自分なりに考えていた少女はそれなりにモンスター相手に戦えるが、モンスターにばかり構っていた影響で、鉱石系の素材が底を突きかけていた。

 

「はぁ……」

「「「お悩みですか!姫!」」」

「うん…鉱石系の素材が足りなくなっちゃってー…」

 

 それでも利用できるものは利用する。

 取り巻きは「あれが足りない」と言えばすぐさま貢いでくれる都合の良い(大切な)友達だ。

 今回も二つ返事で譲ってくれるに違いないと姫は足りないものを取り巻きに告げる。

 

「ドラグライト鉱石なんだけどー……」

「「「あー……」」」

「あー?」

 

 口を揃えて間の抜けた声を出す取り巻きに内心苛立ちながらオウム返しする姫。

 すると取り巻きの一人が渋い顔で姫に告げた。

 

「非常に申し上げ辛いのですが姫、ドラグライト鉱石は取引禁止の品なんですよ……」

「えぇっ!?」

「以前それで問題起こしたハンターがいて、それ以来希少価値の高い品は何であれ取引禁止というギルドからのお触れがあるんですよ……」

 

 因みにこれがそのリストですともう一人の取り巻きが差し出したリストに目を通す姫。

 リストの中に殆ど枯渇している素材の名前を確認してしまった姫は頭を抱えた。

 

「えぇーどうしよぉ……装備の新調に必要なのに…」

「お力になれず申し訳ないです…我々の代わり、といっては何ですが火山のありとあらゆる鉱脈を知り尽くした知人がいるので、その者をご紹介します」

「火山かぁ……暑いの苦手なんだけどなぁ」

 

 しかしギルドの目が黒いうちは仕方ないかと腹をくくる姫。いざとなればクーラードリンクをその熟知したハンターからせびればいいしと楽観視も忘れない。

 

━━━が、後に姫はこの選択を死ぬほど後悔することになり、姫が後の炭鉱姫と呼ばれる様になる切っ掛けに繋がることになる。

 

 

 

━━━━━━━

 

 

 取り巻きの紹介から数十分。出発口から件のハンターとそのクエストメンバーらしきハンターが帰って来て、その内の一人が姫のもとへやってきた。

 

「君か、件の新規炭鉱夫(ハンター)は」

「はぁい、そうでーす♪」

 

 幾多もの男性ハンターを落としてきた微笑みで件のハンターを迎え入れる姫。しかし内心では「ホントにこいつが?」と疑心満々だった。

 真っ先に姫の視界に入ったのはクエストメンバーらしき人物全員の装備が火山に赴くには些か頼りないレザー装備という点。

 このレザー装備、新米ハンターがよく身に付けるもので危険生物ばかり蔓延る火山では布同然の価値になる。それこそ炎觜竜(アグナコトル)爆縋竜(ウラガンキン)の一撃は勿論のこと、火竜(リオレウス)のブレスなど食らえば文字通りの炭になる装備。

 

 Q:そんな装備で大丈夫か?

 A:大丈夫じゃない、大問題だ。

 

 そして彼の表情。帰って来たメンバーは全員クエスト終了して一杯やろうぜ!って雰囲気ではなく、寧ろ疲れはてている様にも見える。

 幸い顔はメンバー全員悪くないので、生理的嫌悪を促されず、寧ろ取り巻きの方が顔ランク下じゃね?とすら思う姫。

 まじまじと男ハンターの顔を見ていると、彼の友人らしきイケメン(レザー装備)が酒をもってやって来た。

 

「よう、ザック……そいつが?」

「ホルン。ああ…希望者だ」

「姫でーす♪」

「……ホルンだ。炭鉱夫歴は5ヶ月、よろしくな」

「炭鉱夫歴……?」

「ホルン、ここではHRで話せ」

「あー…HRは一応400?位だった筈だ」

「よ、400!?」

「因みにそいつ…ザックは700だっけ?」

「最近落ちて699になった」

「だそうだ」

「ほ、ほぁあ!?」

 

 高スペックイケメンに心の底から驚く姫。400ですら達人粋と呼ばれるのに、HR699ともなれば後世に名を残される程の領域。

 それなのに何故か目の前の達人二人は揃ってレザー装備。疑問と驚愕で取り繕っていたキャラを演じる事が出来るほど、姫は芸達者ではなかった。

 

「ちょっ、何でそんな実力なのに二人とも何でレザー装備なのよ!?」

「……何でって言われても、なぁ?」

「ああ……」

「「これが俺達の正装だからなぁ」」

「もっと良い装備あるでしょうが……!!」

 

 天を仰ぐ姫。一方で二人のイケメンは「何か変なこと言ったか?」と顔を合わせて疑問顔。

 

「……この際装備とかは置いておくとして、ドラグライト鉱石の多い鉱脈知っているって、本当なの?」

「ドラグライト?ああ、あの石ころか」

「石ころぉ!?」

「まだピッケルグレートが作れるマカライトの方が価値あるな」

「貴方達の価値観どうなってんのよ……」

「「石ころ(ドラグライト)素材(マカライト)神おま(護石)」」

「…………」

 

 とっとと集めて、とっとと縁を切ろう。

 ついでに紹介した取り巻きとも縁を切ろう。

 

 姫は堅く、そう誓ったのだという。

 

 

 

━━━━━━

 

 

 

━━━ロックラックの酒場では、上位クラスに分けられた火山等の比較的危険とされる地域での採取ツアーというものが存在しない。

 その理由が巷で噂となっている恐暴竜の出現報告が後を絶たない故に"恐暴竜の乱入する確率が0"という判断がし辛い故の処置である。

 仮に恐暴竜が地区毎に存在する大型モンスターレベルなら、多少の危険性を警告した上で採取ツアーを開催できるのだが、そうはいかなかったのが現実。

 というのも、恐暴竜はあの金獅子(ラージャン)に続く二番目の"古龍級生物"に分類された危険生物で、現れただけで生態系が壊滅すると言えばその驚異性が新米ハンターにも伝わる。

 故にハンター達の間では「恐暴竜が出たら何処か行くまで離れておくか、いつ現れても良いようにこやし玉を常備しておけ」というのが暗黙のルールとなっていた。

 

…………あくまでも、ハンター達の間では(・・・・・・・・・)

 

 

「グォオォオオオオオオオ!!!!」

「「げぇっ!?臨時現場主任(イビルジョー)!?」」

「ひ、ひぃぃっ!?なんでいるのよぉおおお!!!」

 

 暑さでどうにかなってしまいそうだと嘆く姫と暑さ?全く感じないぜ!と身体で表現しながら無心でカン!カン!と地道に採掘作業を勤しんでいた三人の前に突如現れた恐暴竜臨時現場主任(イビルジョー)。姫が恐怖の表情を見せる反面、ホルンとザックは心底面倒…もとい、厄介な顔持ちで恐暴竜を見ていた。

 

「あー、主任(アグナコトル)やられたかー…」

「まぁ初代主任(アグナコトル)だからな。時代は二代目主任(ウラガンキン)に変わりつつあるって事だ」

「悲しいねぇ……」

「暢気なこと言ってる場合かぁ!!」

「ギャオォオオオッ!!」

「うわぁ!?こっち来たぁ!?」

 

 強酸性の涎を垂らし、臨時現場主任(イビルジョー)が突撃してくるのに堪らず逃げ出す姫。

 しかし━━━レザー装備の二人は逃げ出さない。

 それどころか、臨時現場主任(イビルジョー)の道を阻むように仁王立ちしていた。

 

「仕方ない…」

「ま、たまにはアリか」

「え……っ!?に、逃げないの!?」

「「勿論」」

 

 堂々と構える二人に少し胸が高鳴る姫。

 見た目こそ頼りないが、彼等とて歴戦のハンターであることは彼等の持つHRが証明している。

 彼等ならあの暴虐の限りである恐暴竜を逆に狩る力と自信がある━━そう信じ、恐怖に震える足を踏ん張って姫はイビルジョーに向き直った。

 

「…わ、私だって!」

「お、威勢がいいな」

「……期待の新人、というものか」

「嘗めないで!一応上位ハンターなんだから!」

「グォオォオオオオオオオ!!!!」

「よし、逝くか」

「新入り、死ぬほど痛いぞ」

「覚悟は出来てるわ…!!」

「そうか━━ところで何故武器を構えている(・・・・・・・・・・)?」

「……は?」

 

 

━━次の瞬間、臨時現場主任(イビルジョー)に打ち上げられた三人が見たのは溶岩の天井だった。

 

 

 

━━━━━━━

 

 

 

「信っ!じらんないっ!!!」

「あ、はは……まぁまぁ」

 

 その後、ギルドの判断(三回乙って)で強制送還された姫は唯一無二で正真正銘の友人「エルトン」に酒を飲みながら傍目など気にせずに二人の愚痴を溢していた。

 

「だって、倒すのかと思ったら皆仲良くブッ飛ばされたのよ!?あげく帰ったら"まぁ、こういうこともある"と言いながらまたピッケル担いで行ったのよ!?どうかしてるわ!!」

「ギルドでも有名だからね…変な意味で」

 

 元"伝説のコンビ"ザックとホルン。

 ロックラックのギルド内で初めてイビルジョーを仕留めたのもあの二人で、当時はHRに見合った装備をしていたというのだが━━ある日を境に彼等は豹変する。

 火山から帰った矢先に呟かれた「神おま、出ねぇ……」というザックの嘆き?と「ゴミおま、いらねぇ……」というホルンの悲しみ?が彼等の栄光を悉くぶち破っていった。

 

「今となっては"炭鉱夫"の方が相応しいかも」

「炭鉱夫……っ、それ、ピッタリだわ」

 

 エルトンの言葉に噴き出す姫。思い返せば彼等は小型モンスターの処理以外ではピッケルを振るう姿しか彼女の記憶には残っていなかった。

 何故かリノプロスとウロコトルに対しては並々ならぬ殺意で率先して処理していた事が彼女の中で「この二人ならイビルジョー倒せる!」と思わせた原因でもあるのだろう。

 

「でも、ギルドの最高戦力クラスなのは間違いないよ」

「ホントかしら?なら私の緊急依頼も楽々こなしてくれるに違いないわね♪」

「緊急?━━って、これ……!!」

 

 

 

 姫が取り出した緊急依頼━━それは。

 

『煌黒龍アルバトリオン』

 

 彼女の最初の面接が、その身に迫っていた。

 

 





一応物語の主人公っぽい二人の設定

・ザック
HR700→699

伝説のコンビ(元)の片方。一応スラッシュアックス使いだが、今はピッケル使いとして日夜神おまを探す立派な炭鉱夫。アグナコトルよりウラガンキン派。
あまりにも自爆でクエスト失敗しすぎるから特例処置でHRを699に下げられた。

・ホルン
HR400

伝説のコンビ(元)の片方。本来はボウガンを握っていたが今は弾を装填するよりピッケルで掘り出した鉱石を取り出す方が速い炭鉱夫。二代目もアリだが初代主任のアグナコトル派。

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