原作キャラを救いたい。   作:ジャーマンポテトin納豆

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戦う準備 1

 

 

開拓地から戻った俺は、団長からしっかりと休め、と言われ休んだ。

休みが明けると、キース団長はエルヴィンさんに団長の座を譲り訓練兵団に主任教官として移ることとなった。

 

その後、エルヴィンさんの考案した長距離索敵陣形の訓練を連日行い、まだ要員の補充すらされていない中、中央政府からウォール・マリア奪還の為の中継拠点を構築するよう命令を受ける。

 

奪還作戦の三ヶ月後、未だ傷癒えぬ調査兵団は奪還行路を構築するべく壁外調査を開始。

長距離索敵陣形もあってか、死傷率は大幅に下がったがそれでも毎回2割から3割ほどの死傷者を出すことになる。

 

 

 

 

 

 

 

そして、ウォール・マリア奪還作戦から1年後。

 

エレン、ミカサ、アルミンの三人は訓練兵団へ入団。

俺は変わらず調査兵団に所属し階級も変わらず据え置き。

しかしながら部下の数が増え、給料が増えた。

 

給料は母さん達に仕送りとして最低限以外は全部送った。

エレン達には、母さん達の事は心配しないで訓練に集中しろ、と言ってある。

 

それとリヴァイ班のメンバーとなる、

 

グンタ・シュルツ

 

エルド・ジン

 

オルオ・ボザド

 

ペトラ・ラル

 

の4名が訓練兵団を卒業し、調査兵団に入団してきた。

アニメなどでは分からなかったがこの世界においてはどうやら年齢差はあるが4人は同期の様で、精鋭では無く新兵としての初々しさがありなんとも不思議な感覚だ。

 

エルドとグンタは17歳。

オルオとペトラは16歳らしい。

 

確か、オルオとペトラ二人ともであったかなかったか忘れたがエレンが調査兵団に入団した時に19歳だったらしいから、合っていると言える。

 

しかし、4人が同期とは思わなかった。

原作では全員余裕で20歳を超えている顔つきをしているし、なんならエルド辺りは30を超えていそうだった。

オルオなんて老け顔だからかもっと上に見えたが実際はそうじゃない。

まったく、経験というのは人を大きく変える要因であるのは確かであるらしい。

あとオルオがリヴァイの真似をしていないのは、少し笑ってしまった。

刈り上げでもないし、普通の天パ少年といった感じだ。

 

4人も含めて新兵達は俺を羨望の眼差しとでも言うのか、そんな目で見てくるが、俺はそんな目を向けられていい人間じゃないんだ。

 

心ではそう思いつつ、口には出さなかった。

そうでないと、俺の心が壊れてしまうと思ったから。

 

 

 

 

 

今年の新兵教育隊長を任されたのは俺で、俺+補佐役4人+新兵34人で構成されている。

 

それぞれの補佐役の部下4人を班長として、8人班二つ、9人班二つに分けられる。

 

新兵は3ヶ月間調査兵団員としての練度向上を行う。

まず、34人には長距離索敵陣形を頭に叩き込んでもらう事から始まる。

その説明をまずはしよう。

 

「新兵諸君、調査兵団にようこそ。調査兵団を代表して歓迎する。取り敢えず、3ヶ月間調査兵団員として訓練をしてもらう。最初の1ヶ月で長距離索敵陣形と言うものを徹底的に頭に叩き込んでもらう。それ以降は実際に長距離索敵陣形を他団員と共に組む訓練を積んでもらいながら他の訓練も行う」

 

なんだろう、こう、俺を見る目が全員凄いキラキラしているんだが。そんな期待されても何も無いぞ?

 

「初日だが、早速進めていくからしっかり覚える様に。壁外調査では長距離索敵陣形を機能させられるかそうでないかで大きく死傷率に関わってくるからな」

 

初日から座学で陣形を叩き込ませ、合間合間に立体機動や馬術などを行う。

次の壁外調査は4ヶ月後を予定しているからそれまでに新兵を調査兵として使える様に鍛え上げないといけない。

 

本来ならば1、2ヶ月程度で壁外調査を行うのだが奪還作戦とその後の壁外調査の影響で大幅に人員が不足してしまっている調査兵団は、怪我人などが復帰し前線に戻れるぐらいの期間を設けて、更に新兵達をも加えなければならない程に疲弊している。

 

 

ウォール・マリア陥落前、それこそ俺が入団する前や結成当初は3000人以上と他兵団と変わらない規模だったが今ではその9割を失い僅か200名ほどを残すのみ。

 

恐らくこれから入団してくる新兵がいるだろうがそれでも、死傷率などを考えてトロスト区襲撃の時には300名が居れば良い方ではないだろうか?

 

はっきり言えば、その後の戦いを考えると相当厳しいと言わざるを得ない。

何しろ、その後にある女型の巨人捕獲を目的とした、リヴァイ班の4人が死んだあの壁外調査で大凡3分の1が戦死、更にその後のストヘス区での戦いでも更に戦力を失うのだから、それ以降の戦いやウォール・マリア奪還作戦までを考えるとどうやったって深刻な人員不足だ。

 

ウォール・マリア奪還作戦の時は、原作だと100名ほどしか存在していないし、しかもその大部分は実戦経験も無い駐屯兵団と憲兵団からの転属者が6割を占める。

 

エルヴィンさんが言ったように、その時になってしまうと調査兵団には以前ほどの力は無い、と言ったが確かにその通りだ。

なんなら今でさえ人手不足によって調査兵団は苦労していると言うのだからこれ以上の兵員の損耗と、精鋭を失う事は望ましくない。

最低限、原作でも書かれているミケさんを始めとした精鋭クラスの兵士達はなんとしてでも救い生き残らせないと。

そのような観点からもそうだが何よりもこれだけの長い間一緒に過ごしていたから当然情だって物凄く湧いてきて何がなんでも助けたいと思うのは必然だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから丸々1ヶ月を長距離索敵陣形の訓練に費やし、それからは立体機動訓練と陣形を構築し先輩上官達との連携訓練を本格化していく事になる。

 

 

 

 

 

「お前達にやってもらう訓練は、簡単だ。俺達から逃げながら模型を討伐するだけでいい。なんなら俺達を倒しても構わん」

 

俺がそう言うと、訳が分からないと言った表情をする。

当然だ、多分皆が考えていたのは巨人の模型相手に戦闘訓練、だろうからな。

 

しかしながら、無意味とは言わないが襲ってこない模型を相手にしても仕方が無い。

本物の巨人と言うのは、模型程度で表せる事が出来るほど生優しく無い。

 

そこで実戦の雰囲気を味わいつつ緊張感を持ってやれること、となると俺が言ったやり方だ。

 

対巨人戦は、はっきり言ってしまえば普通の兵士は1体を相手するので精一杯、通常は数人で挑むのが常識だ。

リヴァイやミケ、俺が複数の巨人と戦える、とぶっ飛んでいるだけ。

となると、巨人と戦うならば必然的に他の巨人から逃げつつ、もしくは囮が気を引いている間に戦うと言う事になる。

となれば、模型だけを相手するだけではどうしてもその状況を作り出せない。

 

何せその場から動かずただ上下に体を振っているだけで追い掛けて来ないのだからな。

 

 

そこでこの訓練と俺達の出番だ。

捕まったら死亡判定+何かしらの罰を与えるのだ。

ある意味で鬼ごっこに近しいが、俺達は本気で殺す勢いで行く。

刃も装着して、一切手は抜かない。

 

見立てでは、初めてだから10分保てば良い方だろうか。

新兵の絶対数が少ないから、仕方が無い。

 

それと、この訓練を通して連携も学んでもらう。

先程も言った通り対巨人戦は数人で挑むのが常識だから、訓練兵団ではどちらかと言うと個々人で動いていたしそれで問題無かっただろうが実戦はそうはいかない。

 

単独になった瞬間にそれは死を意味する。

捕まっても助けて貰えないし、自力でどうにかできたとしても怪我をしていたりしたら生存は絶望的。

俺やミケさん、リヴァイでもそれは当て嵌まる。

だから俺やミケさん、リヴァイでも単騎行動をする場合は、近くにすぐに救援可能な味方がいて離れ過ぎないよう心掛けている。

 

新兵なら、10人で巨人に挑んで漸く勝てるぐらいだろうか。

だから今回の班分けによる人数は丁度良い。

少ないぐらいでやらせておいた方が後々人数が増えた時に楽になる。

 

 

 

「準備は出来たな?ならば逃げろ。今から60秒後に我々は追い掛け始めるから隠れるなり逃げるなり好きにしろ。ただし、模型を討伐していいのは60秒後きっかりからだ。各班最低限3体は討伐する様に」

 

立体機動装置の準備を終えさえ、調査兵団が普段訓練で使っている兵団管轄の巨大樹の森で早速訓練に移る。

各班新兵を森の中に幾らか入ったところでスタートさせ時間を測り始めて、それ以降は好きな位置から始めさせる。

 

 

巨人の模型は今回は巨大樹の森の中に合計で16体設置してある。

特に何もなければ取り合いになるだろうが、そうはいかない。

今回は最低でも3体討伐しろ、と言ってあるからそう考えても4体は余る。

 

この訓練の初動において重要なのは、最初に何処に位置取りするかと言う事だ。

今回のこの訓練での模型は、16体中10体が南側に集中して置いてある。

そして出発地点は南東からだから、普通に班が4方位にばらけると言うのであれば、南側を取った班が一番有利だが出発地点が南東という点が重要だ。

 

普通、調査兵は出来るだけ自身の荷物を軽くするべく個人用装備と各種信号弾とそれを撃つ銃、あとは二日分の食料と水2リットルしか携行しない。

訓練兵団で行軍で担いだ荷物、というのはそうそう出番は無い。

野営装備なんかは使う機会は少ないし運ぶには運ぶが大抵の装備は荷馬車で運んでしまうし、コンパスや望遠鏡なども団長などの一部幹部が持つのみだ。

進行方向を決定するのは、長距離索敵陣形の特性上団長に一任されていてそれ以外の人間が持つ必要がないからだ。

それに兵士は必修科目として太陽の登る方角や星の位置である程度測って包囲を定められるよう叩き込まれるため、壁外調査に赴いた場合トロスト区から南方向へ進むから普通ならば、北に向かって足を進めれば帰ることができるというのもある。

 

色々と理由があるが、基本コンパスは持たない。

俺は持ち歩いているが、そのコンパスを持っていないというのが重要だ。

 

開始地点は南東だから、開始地点からそのまま4方位を考えてしまうと、見事なまでに南にある10体の模型は意識の外になってしまう訳だ。それでも探すだろうからいずれは見つかるだろうがたかが60秒程度で索敵に優れている訳でもない新兵では見つけられないのだ。

 

 

そして、俺の目論見通り新兵諸君は巨大樹の森の枝葉に遮られて太陽も見られず方位を定められないらしく南側が完全にガラ空き状態だった。

それぞれの模型にはこっそりと手隙の部下や他の分隊から人手を借りて監視を付けてあるから、下手に不正なんて出来ない。

 

それに、俺達教官も模型を討伐する。

何もご丁寧に譲ってやるつもりなんてさらさら無いからな。

 

 

 

 

俺を含めた5人の教官はきっかり60秒後に出発。

ものの3分後には新兵達を見つけ追い掛け回し、6分後には全滅判定を食らわせてやった。

 

 

「な、なんで……」

 

「速過ぎるし、模型は全然見つからないし……」

 

どうしてこんなに速く捕まって模型も見つけられなかったのか分かっていない様だ。

 

「お前達、ガスの吹かし方も何もかも無駄が多い。速度を付けたいのなら単純にアンカーとワイヤーの巻き取りとガスの吹かす量だけに頼るな。無駄にガスを使ったら補給したい時にできない壁外じゃ致命傷だ」

 

「なら、どうやれば良いのでしょうか?」

 

「お前達は、移動は常にアンカーを両方とも射出して移動しているな?」

 

「は、はい」

 

「移動時に射出するアンカーをまずは片方だけにしろ。その方が交互に使えるから単純な巻き取り速度が落ちて速度も落ちるが機動力は増す。別に何も両方を同時に使うなと言っている訳じゃない。要は、使い時をしっかり考えろと言う事だ。お前達にはそういう状況判断能力が足りていない。壁外じゃ幾らあっても足りないからな。それと、もっと視野を広げるのと戦闘時以外は常に方角を気にしろ。方角を定める方法は習っているんだからな」

 

「ですが、巨大樹の森の中では太陽も星も見えませんよ?」

 

「なら見える場所に行けばいいだろう。森の外に出るのは非効率的過ぎてその間に巨人に出くわす可能性もあるから、そうなると巨大樹よりも高い位置に出ればいいだけの話だ」

 

そうやって、俺に教えられる事は全て教え、叩き込む。

そうすれば全員は無理だが、新兵の生存率は格段に上がるだろうから。

 

 

今、こいつらを怒鳴って何が悪いのかを一切の妥協無く粗探しをして指摘し徹底的に修正させる。

それでウザがられたり煙たがられるのならば、それでいい。

壁外調査に出てこいつらを死なせてしまうよりはずっと、遥かにマシなのだ。

常に守ってやれる訳じゃないから、少しでも多くの知恵と技術を教え込んでやろう。それが、俺に出来る数少ない事の一つなんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新兵が、調査兵団に入団してから早3ヶ月が過ぎ4ヶ月目に入った。

そして5日後には初めての壁外調査に挑む。

まだまだ足りない部分もあるが、戦うのでは無く逃げ回るだけなら事足りるだろう。

 

「これより壁外調査を実施する!」

 

エルヴィンさんを先頭に、外門から馬で駆けていく。

 

「左から11m級接近!援護班行くぞ!!」

 

俺達を援護するべく、援護班10名が近付いてくる巨人に向かっていく。

この援護班は、兵団主力が壁から離れるまでの間、長距離索敵陣形を展開出来る場所に移動するまで援護を行うことが任務だ。

 

しかしながらそれとは別にもう一つ、任務がある。

調査兵団が壁外調査に赴く際に壁外調査には向かわずトロスト区に残留して万が一の際、超大型巨人や鎧の巨人が現れ門が破壊された時に調査兵団本隊が帰ってくるまでの間、駐屯兵団や憲兵団と共に防衛に当たる。

 

この制度が実施されるに至った理由は、俺だ。

シガンシナ区襲撃の際に俺が、実績を残したからだ。

その制度を実施するに至った経緯は大まかに大別すると、貴族達や各区を牛耳っている商会などが提案したことによる。

 

あの時、俺があそこにいなかったら民間人だけでなく兵士にも遥かに甚大な被害が出ていた事が簡単に予想されるから、また同じ様な事が起きないという確証も無い。だからこの制度を。

 

と言うのが奴らの言い分らしいが、どうせ自分の保身が最優先であることは各兵団の司令やエルヴィンさんも誰もが分かっていた。それでも、確かにその言い分には一理あるし原作の事を考えればその時に俺でなくとも、調査兵が居ることが出来れば、104期訓練兵達が無駄に死ぬ事も無いだろう。

 

当初、エルヴィンさんやリヴァイ達はその制度には大反対していたのだ。

何しろただでさえ人手が少ない調査兵団が、そこからさらに何人かを引き抜かれてしまうのは、各兵士の負担が大きくなる事を意味していたし万が一精鋭中の精鋭のリヴァイやミケさん、俺がそれに引き抜かれてしまったとあっては被害が増える事は容易に予想出来る。

 

だから調査兵団は猛反発したのだが正式決定されてしまってはなす術は無かった。

 

そこで少数のみを残す事を決定、誰を残すかはくじ引きとなった。

戦友だけを死なせるのか、と誰もそのクジを引きたがらないのは当然とも言える。

 

ハッキリ言ってしまえば、調査兵団に入ってくる奴の殆どが在団している間に頭のネジが吹っ飛ぶか、入ってくる前からハンジの様なやつばかり。

 

良い意味でも悪い意味でも変人が多いのが調査兵団だ。

 

エルヴィンさんもどこがとは言えないが原作での過去を見る限り相当変わり者、と他者から見たら確かに変わっている。

 

ミケさんだって今は見慣れたからなんとも思わないが、世間一般で見れば人の匂いを嗅いで鼻で笑うと言う癖の持ち主で、確かに変人だ。

 

ハンジは言わずもがな、巨人相手に興奮して涎垂らすような奴で自室兼研究室に篭ったら風呂にも入らず飯も食わずで数日出てこないのは当たり前、どこからどう見てもド変態の超級変人。

 

リヴァイだって潔癖症持ちの刈り上げチビで世間に知られている完全無欠の英雄と言うタイプでは無い。コーヒーなんかを飲む時の持ち方も随分と独特だし。あと寝癖が物凄く酷い。元々の目付きも悪いのに寝起きだと更に凶悪になる。

 

モブリットも、確かに常識人ではあるし実力もあるが、普通なら何処かで諦めるだろうに未だにハンジに付いて行って何かと世話焼きをしているから、ある意味では変人だ。

 

 

そんな奴らの集まりだとしても、仲間を思う気持ちはどの兵団のどの兵士達よりも重く大きい。

そんな調査兵団員が、仲間を素直に安全な場所に居られる、なんて見送れる訳がない。

俺だってそう思う。

 

だが、兵士である以上命令には従わざるを得ない。

何人残すかで揉めに揉めたが、調査兵団に一任される事になった。

 

くじ引きだから、誰が残るか分からないし俺やリヴァイも当然引かなければならない。

 

そこで、エルヴィンさんは残る人間によって上下させるということになった。

俺やリヴァイ、ミケさん辺りが残る事になったらそれ以外の人員は出来るだけ少なく、そうでなかった場合は最大で10人前後を残す事にした。

 

要は、残る人間の強さによって上下するという訳だ。

今回はナナバを含めた10名が確か残留組だった筈だ。

 

 

 

 

今回の壁外調査も変わらず、ウォール・マリア奪還作戦実施の為の大部隊を移動させる為の行路を構築しに行くのだ。

巨大樹の森やある程度の大きさのある街を中継拠点としてそれを繋ぎ、ウォール・マリアまで行く。

 

「ひっ!?」

 

俺の分隊には、新兵がリヴァイ班の4人を含めた7人が配属され俺の直接指揮下にある第1班に振り分けられた。

そして、長距離索敵陣形を構築している間は、違うがそうではない場合、例えば巨大樹の森や市街地に入ったら各分隊ごとに行動する事になっている。

 

隣を走っていた新兵の一人が悲鳴を上げる。

そりゃそうだろう、初めて巨人を見た人間の反応なんてだいたいそんなものだ。

俺だって最初は怖かった。その内に巨人に対する恐怖は薄れたが家族や大切な人達、仲間を失う恐怖は壁外調査に出る度に大きくなっていくのだから。

 

 

 

 

今回は前回構築した街の中継拠点に物資を運び込む事が主目的だ。

荷馬車には中継拠点に置いておく為の食料や刃、ガスなど色々と乗せられている。

 

「総員立体機動に移れ!分隊ごとに集合、荷馬車と作業を行う兵士を援護せよ!」

 

団長の指示で、立体機動に移りそれぞれ決められた持ち場に着く。

長距離索敵陣形の、纏めて配置されているとはいえ街に接近して街の向こう側や真ん中など彼方此方にバラバラになった班員が続々と持ち場の集合地点集まってくる。

 

俺も離れた場所に到着したから共に行動していた部下と近くにいた部下を呼び寄せて予備のガスをそれぞれ4本と刃を馬に括り付けて乗せて大急ぎでその場に向かう。

連戦になると予備のガスや刃を取りに行く余裕は無いから出来るだけ今持っていく必要がある。

ガス切れになったら巨人には無力だし刃が無ければ殺せないのだからな。

 

 

 

集合地点に到着すると、全員では無いが集まりつつあった。

 

「第2班集合完了!」

 

「第1班ペトラ・ラル来ました!」

 

「第3班集合完了!」

 

分隊、と言うのは規模的に言えば元いた世界の小隊(50人が上限)程の規模だ。

それを最大で10人の班を組むのだ。

 

訓練兵団では班が30以上を数えるが、調査兵団ではそうではない。

各分隊に、それぞれ第1〜第5班までが在する。

 

それ以上の番号は無く、死傷者の数によって分隊内で統合されたりする。

だいたい班の兵士の数が半分以下になった場合に統合されるのが殆どだ。

 

 

そして、俺の指揮下には47名の部下がおり第1班に新兵7人のみを入れて第2班から満数10名を新兵を含まずに編成。

俺は第1班を直接指揮し、新兵を守りつつ他班も援護する。

新兵は戦うよりも生きて帰る事の方が主任務だ。

 

下手に新兵を班に組み込んで足枷になるよりも、俺が指揮してやった方がまだ部下達は自由に動ける。

 

この編成は、原作とは違っているのかそれとも同じなのか分からない。

原作で編成に関する言及が成されていたかどうか覚えていないからだ。ただ、記憶が正しければ言及されていなかった様に思える。

 

 

 

 

 

 

「第1班、分隊長の側を絶対に離れるな!離れたら死ぬぞ!」

 

ネスがそう釘を刺してくれる。

このネスは、原作のエレン達新兵を交えた壁外調査を行った際に女型の巨人に殺された、あのネス班長だ。

ウォール・マリア陥落以前の2年前に入団して来て生き残っている実力者で今は俺の部下の1人として働いてくれている。

面倒見が良く、慕われているし指揮能力やリーダーシップもある、頼れる部下だ。

 

「第3班!前方14m級をやれ!物陰の小さいやつに気を付けろ!第4班!足元に細かいのがいる!どこを見てんだ!!!」

 

出来るだけ、指示を飛ばすのに集中し見つけたら巨人を狩る。

危険を知らせ回避させる。

そして出来るだけ、新兵に実戦経験を積ませるべく指示を出しつつ戦わせる。

 

「オルオ!やつの膝裏を狙って動きを止めろ!アルフレッド、オルオが動きを止めたらうなじを削げ!無茶はするな!」

 

「りょ、了解!」

 

「はい!」

 

動きの鈍いやつに狙いをつけ、二人を戦わせる。

そして俺はいつでも援護に行けるよう待機しておく。

他の新兵にも、同じ様にして戦わせていく。

 

途中ヒヤッとする場面も何度かあったが、概ね俺が教えた通りに戦えている。

そして班で4体目の巨人を討伐した時だった。

 

 

 

「分隊長!東側から巨人が5体出現、奇行種を含んでおり苦戦中です!援護をお願いします!」

 

「分かった!お前達、聞こえたな!?行くぞ!」

 

部下の一人が伝令として援護を求めにくる。

確かに、複数の巨人と戦うとなると奇行種が1体いるだけで難易度が跳ね上がる。

 

「第1班、周囲を警戒、ネスの指揮下に入れ!ネス、班と共に後退、体勢を立てなおせ!新兵を頼む!」

 

「「「「「「「「了解!」」」」」」」」

 

一度、ネスの班を下げつつ新兵達を預けて戦いに向かう。

 

「分隊長ッ!!!」

 

「全員一旦下がれ!体勢を整えろ!こいつらは俺が相手する!」

 

「はっ!!」

 

部下達を体勢を整えさせるべく一旦下がらせる。

出来るだけ、部下に負担を掛けさせないようにしながら戦わなければならない。

そうなると、実力者である者の戦闘時間が長くなる。

 

奇行種もいるから、出来るだけ早めに殺らないと。

 

しかしながら奇行種は、どうやら新兵の誰かに狙いをつけたらしい。

 

周りを見ると、新手の巨人が更に2体接近してきているからあまり時間は無いだろう。

 

「第3第4班!あの2体を片付けろ!第2班!奇行種がそっちに行くぞ!狙いは新兵だ、近付けさせるな!」

 

指示に従って各班が動く。

第5班は新兵の援護をさせる。

 

しかしながら、新兵達は恐怖からなのかへたりこんでしまって動けないらしい。

よく見ると、オルオとペトラの股間の辺りに染みが広がっていくのが分かる。

奇行種というのは通常種とはまた別次元の圧力と言うか、そう言うものがある。

 

通常種相手だと、近くに俺が居ると言う事で安心感故にそうならなかったのだろうがその俺は別の巨人を複数同時に相手していると言うのもあって相当怯えているんだろう。

 

あぁ、なるほどこれが原作で「空中で撒き散らしたって事ですか!?」とエレンが聞いていた場面か……。

残念なのかなんなのか分からないが空中に撒き散らした訳では無いんだな。

 

そんなふうに一瞬思ったが、即座に切り替える。

 

「馬鹿野郎!!何してんだ!!新兵はさっさと逃げろ!奇行種の狙いはお前達だぞ!?!?」

 

「ひっ、ひぃぃぃぃっ!?!?!」

 

「うわぁぁぁっ!?」

 

「バラバラに逃げるな馬鹿ども!!」

 

俺に怒鳴られて新兵は、悲鳴を上げながら逃げ惑う。

それを尻目に慣れた動作で周りの建物にアンカーを刺して飛び、うなじを削ぐ。

 

「ミーネ!!新兵を引率しろ!!ケニング、援護!!」

 

「「了解!」」

 

ネスが指示を出しているのが分かる。

 

今指示を出された2人もゲルガーとナナバの同期で、丁度今俺の指揮下に入っている。

ウトガルド城の戦いで死んでしまった、あの2人だ。

今まで生き残っているだけあって実力は十分だ。

 

 

 

 

 

 

 

近場の通常種を早めに殺して周り、最後に他に巨人は居ないかを確認して戻ると奇行種も含めて討伐された後だった。

 

「大丈夫か!?全員怪我は無いか!?」

 

「はい、全員無事です。ただ、新兵が3人漏らして1人気を失いましたが……」

 

「怪我が無いんならそれでいい。気絶した奴には水を掛けて叩き起こせ。ネス、新兵達をありがとう」

 

「いえ、問題ありません。第1班の指揮をお返しします」

 

「指揮を受け取った」

 

報告を各班長から受け取って、新兵達の指揮権を返してもらった後にもう一度辺りを見回して巨人がいないことを確認する。

そしてガスと刃を消費したからそれを、屋根の上に持ってきて置いておいた新しいものと交換しておく。

 

使い切ってからでは遅いのだ。

早め早めに、である。

 

 

 

それから新兵達を集めよう、と思ったのだがそれは止めておこう。

漏らした3人のうち2人は女の子だから余り見られたくない筈だろうからな。

 

なんと言うか、新兵達を見ているとエレン達を思い出す。

まだまだ世話が焼けるがそこがどうにも可愛いのだ。ただ、一刻も早く一人前になってもらわないとならないがな。

 

建物の屋根上で、新兵達は疲れたのか座り込んだりぐったりしている。

だが、見た感じ恐怖で戦意喪失したわけではないらしい。

 

「オルオ」

 

「分隊長……」

 

「どうした、元気ないな」

 

「いえ、その、あの……」

 

「なんだ、漏らした事を気にしているのか?」

 

「……はい」

 

「なに、気にする事はない。漏らしたとしても戦意喪失した訳でもないんだ。生きている事こそが重要だ。よく逃げ切った」

 

「あ、ありがとうございます」

 

オルオを励まし、ペトラのところへ向かう。

真正面から行ったらアレだから後ろから、漏らしたところがペトラ自身の身体で遮られて見えない角度から近付く。

本当はこう言う時に、話しかけられたく無いものなんだろうが上官として部下の健康状態はしっかりと把握しておかなければならないからそこは我慢してもらおう。

 

「ペトラ、大丈夫か」

 

声を掛けると肩をびくりと跳ねさせこちらを振り向く。

手で股間の辺りを隠しつつ応答に答える。

 

うーん、あまり後ろから近づいた意味が無かったな……。

 

「あ、その、大丈夫です……」

 

「そうか、ならいい。もし体調が悪くなったり怪我をしていたら正直に申し出ろ。戦闘中にそれが響くのが一番不味いからな」

 

「はい、分かりました……」

 

耳まで赤くして下を向いているから、その様子から察するに体調面では問題無いだろう。怪我をしている様子でも無い。

さっさと立ち去ろう。あまり見られたくは無いだろうからな。

 

「まぁ、なんだ。気にするな。よくやった」

 

「ありがとうございます……」

 

最後にそう声をかけて他の新兵のところに行く。

 

気絶した奴はどうやらグンタらしい。

まぁ、仕方が無い。

人間というのは恐怖や苦痛から逃げるのに時折気絶するものだからな。

 

「グンタ、どこか怪我はあるか」

 

「いえ、大丈夫ですが、気を失ってしまって……」

 

「そうだな。戦場においてそれは最も危険だ。自分で逃げられないから周りに頼らざるを得なくなる。そうなると、どうなるかは分かるな?」

 

「はい……」

 

「なに、貴重な経験をしたと思え。次はそうならないようにな」

 

栗みたいな髪型の頭をわしゃりと撫でて、離れる。

時間的には、既に30分は経っているが他の分隊から救援要請が来ることも無い。

 

恐らくだが巨人の数が少ないんだろう。

少ないならリヴァイやミケさん、俺に掛かれば、街にいる巨人だけなら殲滅は容易だ。

 

撤退命令が出るまで多分、あと30分と掛からないだろう。

取り敢えず、別の命令が出るまではここで持ち場を守る事にしよう。

 

 

何時もなら続けて複数の巨人がやってくるのに、今日はまるでそんな事が無い。

来たとしても1体だけとか、2体が殆ど。

 

そうなれば新兵達に経験を積ませるのに適しているから周囲を2〜5班に警戒させつつ俺は新兵の援護にあたる。

 

数体が同時に現れたら出来るだけ分離させて交代で各班に討伐させていく。

 

 

 

それから30分後に撤退の命令を示す青の信号弾が打ち上げられた。

そしてすぐに馬に跨って撤退を開始。

 

今回は道中や街での巨人の数が少なく、新兵達に実戦経験を積ませるのに適していた。

そのお陰か十数名の死者に留まり怪我人は出たものの軽傷のみだった。

 

 

 

 

 

 

 

帰った後、いつも通り休暇となる訳だがその前に団長室に呼び出される。壁外調査後は報告をしなければならないから、どちらにせよ行かなければならない。

 

帰ってすぐに消費した物資の量と、怪我人などを記した書類を時間があったので作成し、時間になったら団長室に向かう。

 

「ビッテンフェルト、入ります」

 

中に入るとエルヴィンさんにミケさん、リヴァイやハンジと言った調査兵団幹部が勢揃いしている。

俺も幹部だから会議に参加しなければならないのだ。

 

「さて、これで全員揃ったかな」

 

エルヴィンは、そう切り出して早速議題を進める。

 

「毎年恒例の行事がやってきた訳だが、今年は誰が行くのか決めようと思う」

 

あぁ、あれか。

 

あれ、と言うのは訓練兵団に出向いて調査兵団の職務内容の説明や訓練の実演などをする。

 

簡単に言えば各兵団による新兵勧誘、みたいなものだ。

卒団の時に受ける新兵勧誘式とは違って、大凡どんな兵団に行きたいか、と言うのを朧げながら決めさせる為のものだ。

進路調査というものもあってそれぞれに配られた紙に、第一志望から第三志望までを書くのだ。

この時は、どの兵団に行きたいのかと言うのを書くだけだが各兵団に配属されると新兵教育を各兵団で受けた後にまたそれぞれの兵科に配属される。

 

 

 

調査兵団、駐屯兵団、憲兵団の他に技術開発を担う技術開発部と言われる部署など幾つかある。

そのどこに進みたいかを書くのだ。

 

この機会だから説明しよう。

駐屯兵団には技術開発部とは別に技術班と呼ばれる部署があったり、砲兵班などそれぞれの兵団に行くと更に細分化された役職に分けられるのだ。

駐屯兵団の抱える兵力は3兵団の内のトップクラスで、それ故に内包する各部隊の規模も大きい。

だいたい5000〜6000名ほどの人員を駐屯兵団は抱えているがそれでも兵力は不足している。

それを、8つの区に分けて考えると各区の防衛に就けるのは750名程度。

そして、流石にそれ以外の壁上を疎かにするわけにはいかないからその内の200名程度づつが建てられた小屋で壁上から監視する。

 

ウォール・マリアで考えると壁の直径は300kmほど存在しておりその円周の長さは2250km、各区との間をそれぞれの担当駐屯兵支部が守るとしても562・5kmと物凄く長い。

ウォール・マリア陥落後、確かにその距離は短くはなったが負担自体はあまり変わらないのが実情なのだ。

 

この様な体制を取らざるを得なくなったのは、単純にいつ超大型巨人や鎧の巨人が現れるのか分からないからだ。

原作を知っている俺としては、その可能性は無いと言えるのだが、それが本当に俺と言うイレギュラーが存在しているこの世界で本当に原作通りの流れなのか、と言うのも怪しい所ではある。

 

それ故に、それは要らないだろう、と言い切れないのだ。

それに、この体制であれば獣の巨人などに対処しやすくなるかもしれない。

 

 

 

調査兵団には技術班というのは無く、代わりに巨人研究班と呼ばれるハンジを分隊長とした部署があって日夜巨人研究に励んでいる。

と言っても今の所巨人研究班にはハンジとモブリットの2人しかいないのだが。

ハンジのあまりにも巨人研究に傾倒し過ぎる余り配属したとしても部下達が付いていけない。

ハンジが分隊長で現在は46人が在籍しているのだが、巨人研究をしているのは実質ハンジ1人でモブリットは補佐。

それ以外の分隊員や各班はもっぱら戦闘班と変わらない。

 

他には補給班や医療班がそれぞれ1分隊づつを調査兵団は有している。

 

補給班は名前の通り補給を担当していて戦闘時以外でのガスや刃、食料などの補給を行い壁外調査で壁外拠点に置いておく物資や荷馬車の管理をするのもこの班の仕事だ。

 

医療班も、名前の通りで怪我人の手当てなどを行う。

 

それ以外の班は戦闘班として存在しており、分隊長はそれぞれミケさん、リヴァイ、俺だ。

戦闘班は戦う事以外は一切しない、完全な戦闘特化型でこの分隊や班に配属されるのは腕が立つ者ばかりだ。

しかしながら補給班、医療班も実力は他兵団の同じ班や科に比べるとずっと高い。

 

ただ、駐屯兵団などとは違い人数が少なく戦闘になれば全員が関係無く対巨人戦に参加する。

戦闘班だけでは手が足りないからだ。

壁内での戦闘となった場合、それらの仕事は駐屯兵団と憲兵団に任せて調査兵団の全兵士は戦うことに注力する。

ウォール・マリア内門付近での防衛戦などはモロそうだった。

 

 

 

ともかく今回はそれらの細かい部署の説明を省き兵団単位での説明と言う訳だが。

 

「誰が、いいと思う?」

 

「誰でもいいだろ。俺はごめんだ」

 

リヴァイはあっさりと拒否する。

うん、もう少し検討してくれてもいいんじゃないか。

 

ミケさんやハンジは、まともな説明にならないだろうし、そうなると残った面々でやらなければならないのだが。

 

補給班は、今回の壁外調査で出た物品の補充や次回の壁外調査で持っていくための物資を確保しなければならないので忙しいから却下。

医療班も同じ様な理由で却下。

 

となると……。

 

「……今年も、俺か」

 

「そうだな。少なくともこの中で一番暇でコミュニケーション能力が高いのはお前だろう」

 

「リヴァイ、偶にはお前が行ったらどうだ?」

 

「断る。ガキ共の相手なんかしていられるか」

 

リヴァイを推してみるがにべもなく断られた。

こいつ本当に調査兵団以外に興味無いんだな。

 

「ハンジは、論外だから……」

 

「ねぇちょっとなんで私は駄目なの?」

 

「だってお前、どうせ説明なんかより巨人の話しかしなくなるだろう。それじゃぁ、兵団の説明にはならない」

 

「えー?いいじゃんそれでも」

 

「良くねぇに決まってんだろ馬鹿が。てめぇ本当に一回喰われてこい。そうすりゃクソで出てくる頃にはもう幾らかはマトモになってんだろ」

 

ハンジはハンジでこの通り巨人の話をする事しか頭に無くて訓練兵達が参ってしまう。

ハンジの話を聞かされると一日で終わらないのだ。丸々1日を巨人の説明に使って更に一日自分の考察をベラベラと喋り続けるのだ。酷い時は不眠不休で三日四日話し続けるものだから下手にそれを知らない新兵が聞いちゃって地獄を見る事になる。

 

今年も捕まった新兵が何人もいてやつれてグロッキー状態でフラフラしていたのを何度も見た。

 

リヴァイの辛辣な言葉も仕方が無い様な気もする。

今回の調査だって巨人を捕獲しよう、捕獲しようとうるさかったし。

 

本当に調査兵団は変人奇人の集まりとは、よく言ったものだ。

 

 

 

「ヴォルフ、今回も頼んでいいか?」

 

「はい、任せてください」

 

「毎度毎度、すまないな」

 

エルヴィンさんにそう言われて了承する。

 

でもあれだな、多分こういう調査兵団の面々と比べて比較的常識があったりするから調査兵らしくない、と言われるんだろうな。ハンジやリヴァイと比べられてもそれはそれでどうかと思うが。

 

帰り際に書類を提出して、自室に戻り一度家族の元に帰る為に準備をした。

訓練兵団に行くのは1週間後だから休みは三日あるので明日から三日は母さんと姉さん、カルラさんと過ごせる。

 

 

 

 

 

それから翌日、帰る前に街に寄ってお土産を幾つか買って家に帰った。

 

「ただいま」

 

「おかえり、ヴォルフ」

 

家に帰ると母さんと姉さん、カルラさんが出迎えてくれる。

 

「これお土産」

 

「態々毎回ありがとう。無理しなくてもいいのに」

 

「無理なんかじゃないさ。これでも給料は貰ってる方なんだ」

 

姉さんは無理しなくていいって言ってくれるけど無理をしているのは3人だ。

ウォール・マリアが陥落してから苦労の連続だったから髪の毛も随分と艶が無くなってくすんでいる。

 

明明後日までここに滞在する事を伝え、訓練兵団に赴く事を伝える。

 

「エレン達はどんな感じだった?」

 

「ここを出る時、兄ちゃんみたいになって巨人を倒すって息巻いてたよ。まったく、誰に似たんだかねぇ」

 

カルラさんはそう言って俺を見る。

それに、苦笑いで答えるしかない。

 

「母さん達、休んでる?調査兵団だって休みがあるんだから休まないと」

 

「そうもいかないよ。畑ってのは一日手入れしないだけで荒れるから」

 

そうやって、自分達の近況を報告しあった。

 

そうやって過ごしていると、すぐに帰らなきゃならない日になる。

家族で過ごす時間って言うのは、本当に大切で貴重なのに時間が過ぎるのは早い。

 

 

 

「それじゃぁ、また次の休暇になったら帰ってくるから」

 

「えぇ、待ってるわ。ヴォルフも身体には気を付けてね」

 

母さんと姉さん、カルラさんとハグをして馬に跨って帰った。

 

 

 

 

 

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