DIGIMON @DVENTURE CINDERELLA CHRONICLE   作:心技休

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初めてのデジモン

 

 

「ここはオレたちデジモンの世界、デジタルワールド。待ってたよナオ!」

 

 

「あたしの事、知ってるのか?」

 

 

「当たり前だよ! なんたって、オレはナオのパートナーデジモンだからね!」

 

 

 

 小型竜デジモンはニカッと笑って見せた。それを見た奈緒はゆっくりと歩み寄り、目線の高さを合わせる為に膝をつき、そっと頭を撫でた。

 

 

 

「そっか、あたしのパートナーは“ドラコモン”かぁ。よろしくな」

 

 

「オレの事知ってるのか!?」

 

 

「もちろん、あたしデジモンには詳しいからな」

 

 

 

名前
ドラコモン
レベル成長期
タイプ竜型
属性
データ
必殺技ベビーブレス

テイルスマッシュ

ジ・シュルネン

 

 

 

「その、私たちの事も知っているんでしょうか?」

 

 

 

 ふと茜が問い掛けた。ドラコモンは意気揚々と答える。

 

 

 

「スポーティーな方がアカネで、大人しい方がミホだよね! ……そんなにビビらなくても……オレ味方だからね?」

 

 

「は、はい……」

 

 

 

 ドラコモンはしっかりと2人を認識しているようだが、美穂はドラコモンの見た目に少し怯えている様子。ドラコモン自体ではないが、カードイラストを見て恐怖心を持っていた事もあり、実物を目の当たりにして足が竦み、近くにいた茜に縋りついている。

 

 

 

「そうだドラコモン、あたしたち以外の人間って見てないか?」

 

 

「ニンゲン? オレが初めて見たのはナオたちだから、見てないかなぁ」

 

 

「そっか……」

 

 

「奈緒ちゃん、それってどういう事なんですか?」

 

 

 

 茜に縋りついたまま美穂が訪ねる。屈んでいた奈緒は膝を伸ばし立ち上がり、2人の方へ振り返る。茜も気になっているのか、視線を奈緒に向けた。

 

 

 

「凛たち他のアイドルが突然現れた化け物に連れ去られて消えていった。多分、この化け物はデジモンの事だ。デジタルワールドに連れ込んだと考えれば、消えたって言う表現にも納得がいく。そしてその情報があたしたちの元に届いた途端……」

 

 

「私たちもこちらに連れてこられましたね」

 

 

「そう。デジタルワールドにあたしたちみたいな人間が招かれるのは、大概決まってデジタルワールドに危機が迫っている時だ。それと凛たちが攫われたタイミングが重なっている。ほぼ間違いなく、この2つは繋がっている」

 

 

「つまり、攫われたアイドルみんなの情報を追っていけば、私たちがこの世界でやるべき事も見えてくる、という事ですね!」

 

 

「そういう事。まぁ、この世界でやるべき事、あたしたちの使命を果たさないと、多分元の世界には帰れないだろうからな」

 

 

 

 攫われたアイドルたち、デジタルワールドの危機、そして自分たちの使命。奈緒と茜がトントンと話を進めていく。

 決して異世界に慣れている訳ではないが、デジモンをよく知っておりアニメにも精通している奈緒は、この場においてとても頼りになった。茜はチャレンジ精神旺盛で、新しい環境にもドンドン進んでいける。しかし、2人と違ってデジモンの知識も無ければ前のめりな性格でもない美穂は、今の状況と2人の会話に不安感が募る一方であった。

 

 

 

「じゃあ……その使命を果たさない限り、わたしたち、帰れないんですか……?」

 

 

 

 2人だけで話進めていた事に気付き、ふと我に帰る。ここは元気印の茜が先に切り出した。

 

 

 

「大丈夫ですよ美穂ちゃん! 私たちなら出来ます! 世界を救って、みんなを助けて、全員で元の世界に帰りましょう!」

 

 

「必要最低限ではあるけど、絶対出来るメンバーが招集されるように出来てるんだ。根拠はアニメになっちゃうけど……。とにかく、あたしも茜も、ドラコモンもいる。きっと美穂にもパートナーデジモンがいるはず。だから心配いらないよ。元の世界に戻ったら映画の主題歌を歌うんだし、現場実習に来たと思えばいいさ」

 

 

「それ、なら……少しだけ、頑張ってみますっ」

 

 

 

 まだ少々不安は拭いきれていないようだが、2人の励ましで美穂は前を向く事を決意したようだ。

 

 

 

「そう言えば、茜と美穂のパートナーデジモンってどこにいるんだ? ドラコモン、知ってるか?」

 

 

「詳しい場所は分からないけど、近くにいると思うよ。パートナーとすぐ出会えるように近くに転送されたはずだから」

 

 

 

 そう聞いて3人は辺りを見回してみるが、荒野を駆け回っているシマユニモン、海を優雅に泳ぐルカモンの群れ、砂浜でのんびりお昼寝しているトータモンと、それらしき姿は見つけられなかった。

 

 

 

「なら前進あるのみですね! 森の中に突入です!」

 

 

「それしかなさそうだな」

 

 

「怖いデジモンが出ませんように……」

 

 

 

 3人がいるのはいわゆる崖の上。正面の森以外だと海に飛び込む選択肢しかないのだ。

 ドラコモンを伴って、3人は森の中へと歩みを進めていった。

 

 

 どれくらい進んだところだっただろうか。大人しい野生の成長期のデジモンを数匹見かけた後、正面から2体の飛行する影が3人に向かって突き進んできた。

 

 

 

「な、なんだ!? 何かがこっちに飛んで来るぞ!?」

 

 

「きゃぁぁあ!!」

 

 

「みんな、オレの後ろに!」

 

 

 

 3人はドラコモンの後ろに身を寄せる。飛来する影にドラコモンは身構えるが、その2つの影は羽音をたてながら左右に綺麗に分かれ、ぶつかる事なくすれ違っていった。

 

 

 

「……なんだったんだ、今の……」

 

 

「オレにもさっぱり……」

 

 

 

 呆気にとられていると、すれ違ったはずの2つの影が後方で華麗にUターンしていた。

 

 

 

「アニキ、さっきの見た?」

 

 

「ああ。バッチリ見たぜブラザー」

 

 

「「めっちゃカワウィーイ!!」」

 

 

 

 雄叫びにも似た声が森に響き渡ると、Uターンした影は3人の横まで飛来し急ブレーキ、その場で器用にホバリング飛行をして見せた。

 土色と灰色のトンボ、近くで見るとかなりリアルな昆虫の姿をしている。

 

 

 

「そこのお嬢さんたち、今からオレっちたちとピョコモンの蜜を吸いにいかないかい?」

 

 

 

名前
ヤンマモン
レベル成熟期
タイプ昆虫型
属性
データ
必殺技サンダーレイ

サマーソルトキル

 

 

 

「おれっちたちオススメの穴場、君たちだけに教えちゃうよん」

 

 

 

名前
サンドヤンマモン
レベル成熟期
タイプ昆虫型
属性
データ
必殺技デザートウィンド

ボトムカッター

 

 

 

「い……い……いやぁぁあ!!」

 

 

 

 森全体に響き渡る程の大きな叫び声が上がった。案の定美穂だった。

 奈緒に縋りつき涙を浮かべる美穂の姿に、ヤンマモンはショックを隠しきれず、元々外れているような顎が更にガクンと落ちて固まっていた。

 

 

 

「アニキィ!? しっかりするんだアニキィ!」

 

 

「えっと、私たち先を急いでいますので……お茶の誘いなら他を当たってください!」

 

 

「なぁナオ、あいつら敵じゃないんだよな?」

 

 

「ナンパしてくるぐらいだし、悪いデジモンじゃないと思うよ。難ありな部分はあるけど」

 

 

 

 ひっくり返って墜落したヤンマモンの元に弟分のサンドヤンマモンが駆け寄り、否飛び寄り目を覚ませと揺さぶっている。

 茜が言葉はやんわり声は力強く断ると、足の竦んだ美穂を奈緒から預かっておんぶし、奈緒は2体をガンスルー、ドラコモンとその2体の評価を話していた。

 

 

 

「まぁ待ってくれよお嬢さんたち」

 

 

「おわっ!? もう復活したのかよ!?」

 

 

「こんなカワウィレディたちを逃す訳ないだろう?」

 

 

「こいつら、やっぱり……!」

 

 

 

 ケロッとした顔でまた2体揃って一行の前に飛んで現れたヤンマモンたち。意味深な発言にドラコモンが臨戦態勢に入り、再び3人の前に躍り出る。

 

 

 

「おれっちたちはどこまでも追い掛けていくぜ!」

 

 

「ただのストーカーじゃないですか!!」

 

 

 

 茜のその一言に今度はサンドヤンマモンが顎を外して墜落した。

 

 

 

「ブラザー!? しっかりするんだブラザー!」

 

 

「……こいつら漫才師か何かか?」

 

 

「よくぞ聞いてくれた!」

 

 

「おわっ!? さっきより復活早くないか!?」

 

 

 

 本当にショックを受けていたのか疑わしくなる程のスピードで、再浮上するサンドヤンマモン。

 兄貴分のヤンマモンと共にその場で曲芸飛行を披露し始めた。

 

 

 

「オレの名前はヤンマモン♪ オレの実力はホンモン♪ お見舞いするぜ痺れる電撃、あの子の心も痺れさせるぜ!」

「おれの名前はサンドヤンマモン♪ おれの必勝三段法♪ 攪乱、襲撃、流砂の嵐、こいつをキメりゃ賞賛の嵐!」

「「イェーイ! オレ(おれ)っちたち無敵のヤンマモンブラザーズ! ヨロシクゥ!」」

 

 

 

 デデーン と〆の効果音が聞こえてきそうなノリである。

 恐らくは2体のお決まりの自己紹介なのだろう。ノリノリで歌いながら、最後に互いの尻尾を繋ぎV字にホバリング飛行という曲芸飛行を見せ、やかましく少し長い自己紹介は幕を下ろした。

 

 

 

 

 

 

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