DIGIMON @DVENTURE CINDERELLA CHRONICLE   作:心技休

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パートナーデジモン

 

 

 キラキラ輝くヤンマモンブラザーズをよそに、奈緒たちは呆気にとられていた。とりあえず敵意はないと判断した一行は無視して先に進もうとする。

 

 

 

「ちょっとちょっとぉ! オレっちたちの渾身の自己紹介ラップ無視するなんてヒドくない!?」

 

 

「虫だけにかアニキ?」

 

 

「「アハハハ!」」

 

 

「うぜえ……」

 

 

「気持ち悪いです……」

 

 

 

 ヤンマモンたちが飛んで来た方に歩みを進めていく奈緒たち。それに纏わりつくように飛び回りながらヤンマモンたちも付いて来る。羽音もうるさく奈緒と美穂が思わず本音を零した。

 

 

 

「と言うかヤンマモンブラザーズは元来た道を戻っていますが、いいんですか?」

 

 

 

 ふと茜が訪ねると、2体は揃って顔を青ざめた。

 

 

 

「そうだった……」

 

 

「おれっちたち……」

 

 

「「追われてたんだった」」

 

 

「はぁ!?」

 

 

 

 驚きのあまり奈緒が声を張り上げる。それを合図とするように正面やや上空から大きな蜂の姿をしたデジモンが飛来する。

 

 

 

「あいつ、しつこいぜ」

 

 

「どうする、アニキ」

 

 

「決まってらぁ! 逃げるぜお嬢さんたち!」

 

 

「あたしたちを巻き込むなぁ!?」

 

 

 

 そう叫んだところで時既に遅し、襲来した蜂型デジモンは奈緒たちも敵と認識してしまったようだ。

 

 

 

名前
フライモン
レベル成熟期
タイプ昆虫型
属性
ウィルス
必殺技デッドリースティング

 

 

 

「茜、美穂背負ったままで大丈夫か?」

 

 

「大丈夫です! 鍛えてますから!」

 

 

「ありがとう、茜ちゃん……」

 

 

 

 掠めるように飛来してきたフライモンを一行は屈んで回避し、Uターンして戻ってくるフライモンから逃げるように駆け出した。

 茜は腰が抜けてしまっている美穂をおぶったまま走っているが、思いのほか余裕な様子。対して美穂は新たなデジモンの襲来で更に怯えている。

 

 

 

「相手は成熟期っていっても昆虫型デジモンだ。オレの炎で追い払ってやる!」

 

 

「頼むドラコモン!」

 

 

「おう! 任せろナオ!」

 

 

 

 殿(しんがり)を務めるが如く1体でその場にとどまり、追撃せんと飛来するフライモンと対峙した。

 

 

 

「ベビーブレス!」

 

 

 

 口内で発火した炎を弾丸にし、フライモンに向け吹き出す。真正面から受けたフライモンは怯んで軌道を逸らし、生い茂る木々の1本にぶつかった。

 

 

 

「ナイスだドラコモン! やるじゃんか!」

 

 

「えへへ」

 

 

「カッコいいぜドラコモン!」

 

 

「おれっちたちの次にな!」

 

 

「お前らも少しは戦えよ!!」

 

 

 

 ドラコモンを褒めたのに何故か調子に乗り出すヤンマモンブラザーズ。奈緒も声を張り上げてツッコミを入れる。

 

 

 

「オレっちたち成熟期っつっても対して強くないからな」

 

 

「だからこうして逃げてたんだぜお嬢さんたち」

 

 

「キメ顔で言う事じゃないだろ……」

 

 

「成長期のオレより弱いのか……どうやって今まで生きてきたんだ……」

 

 

 

 もはや呆れるしかない奈緒とドラコモン。ヤンマモンたちはそれが手なのかどうかは分からないがサムズアップしていた。もちろん指はない、しているように見えた、が正しいだろうか。

 

 

 

「ひとまず追っ手は落ちましたし一安心で──」

 

 

 

 茜がそう言い終わる前に再び嫌な羽音がし始めた。無論、ヤンマモンたちの羽音とは別の嫌悪感のある羽音だ。

 

 

 

「い、今倒したはずなのでは!?」

 

 

「ドラコモンの必殺技1発じゃ、さすがに威力不足か……いい感じに効いてると思ったんだけどな……」

 

 

 

 再浮上したフライモンはより獰猛さが増したように見え、更に勢いを付け飛び上がり、今度は尻尾の大きな毒針を茜と美穂に向け放ってきた。フライモンの必殺技、デッドリースティングだ。

 

 

 

「茜! 美穂!」

 

 

 

 奈緒が叫んでも美穂をおぶっている茜は急な事で動く事が出来ず、飛んでくる毒針をただ見つめる事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

「ボンファイアー!」

 

 

 

 森の奥から必殺技を叫ぶ声と1発の火炎弾が飛んで来た。その火炎弾はフライモンから放たれた毒針を見事に撃ち落とし黒煙を上げる。火炎弾が飛んで来た方から、ろうそくに手が生えたような姿をした小型デジモンが、ピョンピョンと飛び跳ねて来た。

 

 

 

「アカネ! こっちや! みんなも早よう!」

 

 

「あれは、キャンドモン! 私の事を知って──」

 

 

「話は後やて! 今は逃げるんが最優先や!」

 

 

 

 手招きするキャンドモンの言葉に頷くと、茜は美穂をおぶったまま再び駆け出した。デジタルワールドに来ても底無しのスタミナである。

 奈緒、そして何故かヤンマモンたちもそれに続いた。

 

 

 

「もっぱつカましたら、オレらも一緒に逃げんで!」

 

 

「分かった!」

 

 

 

 頼もしい殿は2体に増え、襲いかかってくるフライモンに同時に必殺技をお見舞いした。

 

 

 

「ベビーブレス!」

 

 

「ボンファイア!」

 

 

 

 顔面に2発の火炎弾を喰らったフライモン、顔に着いた火種にたまらず飛び去っていった。

 追い払ったのを確認したドラコモンとキャンドモンは、走り去ったみんなの後を追う。

 

 そして、一行は中央に大きな木が1本だけ生えている開けた場所に出る。所々に小さな花も咲いており、澄んだ空もよく見える。

 

 

 

「一旦休憩にしよう。茜も美穂を背負いっぱなしじゃ疲れるだろ?」

 

 

「私は至って平気ですが、そうですね。美穂ちゃんを休ませてあげたいですし」

 

 

「ごめんなさい。わたし、足手まといですよね……」

 

 

 

 中央の大きな木の根元、幹を背もたれにするように美穂を下ろし茜も一休み。しかし美穂の口からは後ろ向きな言葉が溢れ出る。

 

 

 

「気にすんなって。元はと言えばこいつらがフライモン連れてきたのが悪いんだし」

 

 

「「全く誰なんだろうな、その迷惑なデジモン」」

 

 

「お前らだよ!! てかいつまで付いて来るんだよ……」

 

 

 

 悪びれぬ態度で口を揃えてすっとぼけるヤンマモンたち。つっこんでは呆れの繰り返しで奈緒も疲れている様子。

 

 

 

「ミホ……?」

 

 

「えっ?」

 

 

 

 座って休んでいる美穂の後ろから声は聞こえた。まるで木が喋っているかのように。しかし、そこにはちゃんとデジモンがいた。

 美穂が背もたれにしている木の反対側、その根元に小型デジモン1匹が隠れられる樹洞があり、そこから帽子を被った小熊が顔を出した。

 

 

 

「熊さん……あぁ、ベアモン!」

 

 

「ミホ……ミホだ……!」

 

 

 

 一目見た瞬間、互いがパートナーである事を確信したかのように、ベアモンは美穂に飛びつき、美穂はベアモンを抱きしめた。

 

 

 

名前
ベアモン
レベル成長期
タイプ獣型
属性
ワクチン
必殺技小熊正拳突き

ベアロール

 

 

 

「オイラ、すぐにでもミホの所に行かなきゃいけなかったのに、怖くてずっとここに隠れてたんだ。ゴメン……ゴメンよ」

 

 

「わたしも、足が竦んでずっと茜ちゃんにおぶってもらってたから……お互い様、かな」

 

 

「パートナー、見つかって良かったですね、美穂ちゃん」

 

 

「はい!」

 

 

 

 美穂もベアモンも涙をうっすら浮かべつつ、安心したように笑っていた。つられて茜も笑顔になる。

 そして、殿を務めた2体のデジモンが追い付き、みんなの無事を確認してひと息つく。

 

 

 

「みんなちゃんとたどり着いたみたいやな、良かった良かった」

 

 

 

名前
キャンドモン
レベル成長期
タイプ火炎型
属性
データ
必殺技ボンファイア

メルトワックス

 

 

 

「キャンドモン! キャンドモンが私のパートナーなんですね!」

 

 

「おう、そうやで! これからよろしゅうな、アカネ!」

 

 

 

 キャンドモンの体系的にしょうがないのだが、ピョンピョンと器用に跳ねて茜の元へ行き、熱い熱い握手を交わした。ドラコモンも奈緒の元へ戻り、顔を合わせて笑っていた。

 

 

 

「これで全員パートナーデジモンと出会えたんだな」

 

 

「オレも、ナオと会えて嬉しいよ」

 

 

「ふふっ、あたしもだ」

 

 

「オレっちたちヤンマモンブラザーズと」

 

 

「ナオちゃんの瞳に」

 

 

「「乾杯」」

 

 

「お前らは黙ってろぉ!! あとついでに羽音もうるさいから着陸しとけぇ!!」

 

 

「「……はぁい」」

 

 

 

 ドラコモンとのこれからを想像していたところにヤンマモンブラザーズ、キレるのも致し方なし。今回ばかりはヤンマモンたちも反省したのか大人しく並んで着陸して静かになった。

 

 と、ひと悶着あったところで、中央の大きな木が輝き始め、そしててっぺんから1つの光球を生み出した。神秘的な光を放つ光球は人の視線の高さまで降り立つと、3つに別れそれぞれ奈緒、茜、美穂の元へ渡っていく。

 

 

 

「これは……」

 

 

 

 奈緒たちの手の中に光が収まるとそれは形状を変化させていき、やがてスマホのような形を成した。それぞれのパーソナルカラーがそれを縁取っている。

 

 

 

「デジヴァイス……」

 

 

 

 奈緒は無意識にそう呟いていた。

 

 

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