羨ましすぎて怒りで暖まりました。許せねえ。
ふと目を開ける。カーテンの隙間から射し込む日の光に、朝が来たことを知る。
今は何時だろうか。枕元に置いている目覚まし時計に手を伸ばす。
「ふにゅ……」
大変だ。目覚まし時計が喋った。
……いや、まさかそんなはずはない。だって、ボクの手のひらに伝わってくる感触はサラサラと滑らかな髪と、自分よりも体温が高い人の温もりなんだから。
「……朝潮」
「はい! なんでしょうか司令官!」
耳元での大声。鼓膜がこれでもかと言わんばかりに震える。駆逐艦『朝潮』は朝から元気だ。元気なのはいいけど大声はやめてほしい。
「おはよう」
「おはようございます!」
ダメだこりゃ。
ボクの貧弱な鼓膜が、声のボリュームいつでもマックスな少女に耐えられると信じて、対話を試みる。
「ここはボクの部屋だったと思うんだけど」
「はい! その通りです司令官!」
では何故、キミがボクと同じベッドに潜り込んで寝てるんでしょうか。
「じゃあ、どうしてここに?」
「はい! 朝潮は考えました!」
そうかい。考えるのはいいことだ。有名な哲学者の人も言ってた。「人間は考える葦である」って。
「最近、めっきり寒くなってきました!」
「もう10月だしねぇ」
猛暑の7,8,9月を乗り越えてようやく涼しくなってきた。今度はちょっと寒すぎないかってくらい気温が下がってるけど。
「特に朝の冷え込みは凄まじく、温かい布団から外に出たくない日が続いています!」
その気持ちはすごいよく分かる。毎日頑張って身体を起こしてるけど、布団の外に出るのはすごくツラいんだよね。
「そこで朝潮、一計を案じました!」
「おー」
さすが朝潮。ボクの秘書艦なだけはある。さぞかし素晴らしいアイディアで、この気だるい朝を快適にしてくれるんだろう。
「人肌で温め合えば、布団の外に出ても温かいままなのでは!」
「ちょっと待とうか、朝潮ちゃん」
何がどうしてそうなった。
「そこでこの朝潮! 司令官に快適な目覚めを過ごしてもらうべく、こうして昨夜二三○○より布団に潜らせていただきました!」
ボクが寝た1時間後には布団に入ってきてたよこの子。
「どうでしょう司令官! 朝潮の温もりは!」
「最高です」
「そうでしょう!」
やばい、つい本音が出た。朝潮がめちゃくちゃドヤ顔してる。そして調子に乗ったのかボクに更なる温もりをプレゼントするべく、グイグイと身体を押し付けてくる。…………うん!? なんか素肌みたいな感触がしたぞ!?
「あ、朝潮?」
「なんでしょうか! 司令官!」
「服、着てる?」
「最大限の温もりを与えるべく、下着姿で失礼しています!」
何やってんの!?
「ここまで来る道中は突き刺さる寒さが辛かったのですが、こうして司令官と同じ布団に入ることで、ポカポカ温かくなっています!」
そりゃ下着姿で深夜の廊下歩いてたら寒いでしょうよ!
ああちょっとやめて身体を密着させてこないで! 匂いと感触が! 甘い香りと絹みたいな心地良い肌触りというかそのまんま肌が! このままだとマズ──
「──あっ」
ソレに気付いた瞬間、朝潮の顔が驚きに染まった。
長い沈黙、徐々に顔を下げてソレを確認する朝潮。耳が徐々に赤らんでいくのを、どこか冷静に観察するボク。
やがて、どこか弾けたように顔をあげてボクと目を合わせる朝潮。よく熟れたトマトのように真っ赤な顔で瞳が潤んでいる朝潮を見て、我慢が出来なくなる。
「朝潮……」
「し、司令官……!」
わずかに距離を離そうとしていた朝潮を抱き寄せる。すっかり固まってしまい動かない朝潮の耳元で「愛してる」と囁く。
「し、司令官。私も──!」
可愛らしい告白をしてくれた少女の顎を指先でなぞる。ビクッと身を震わせる朝潮はしかし、怯えた様子はなくどこか期待するように上目遣いですり寄ってくる。
お互いの顔が触れそうなほど近付くと目を閉じてわずかに口を尖らせる。可愛らしく待つその姿がどこまでも愛らしい。
朝潮への愛を証明するまで、あと数ミリの距離。いつのまにか溢れていた生唾を飲み込んで、その数ミリを一気にゼロ距離に──────
これ以上書くと思いきりR18展開になりそうだったので途中でやめときます。
それもこれも全部、昨日やってた奴隷とイチャイチャするエロゲーが悪い。