超銀河間帝国軍、辺境の惑星にて   作:御代川辰

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序幕之弐・前 リント

 トーパ王国がパーパルディア皇国に併合されて数日が経った頃、パーパルディア皇国領トーパにある遺跡には、パーパルディア本国から派遣された調査隊数百名が発掘調査にあたっていた。

 目的は単純。パーパルディア建国より前の時代、古代文明が栄えたかつての遺跡を調査することである。

 トーパの建国神話にはかつて魔王と災厄が起こした争いを鎮め、一族全ての命をもって両者を封印した謎の民族、リント族の伝承が語られており、それが魔王と災厄が封じられている丘のすぐ近くに残る遺跡と、何らかの形で関係しているのではないかとまことしやかに語られていた。

 

「しかし、調べれば調べるほど腹が立つ!」

 

 調査員のデオンは遺跡から発掘されたリントが使っていたと思われる遺物の数々を、不快感極まりない表情で忌々しげに睨み付けながら魔写に記録していた。

 まずミリシアルで使われている最先端の魔導技術を持ってしても模倣すらできない機械類の数々、確実にムー国転移以前から存在していた科学技術のみによる文明、何より第三文明圏は愚か古の魔法帝国をも凌駕する高度なテクノロジー。

 これらの事実は列強パーパルディアの人間たちを激怒させるのに充分なものだった。

 なぜぽっと出の蛮族がこのような技術を有しているのに自分たちにはないのか。

 デオンはリントに対する嫉妬が頂点に至っていた。

 

「いっそのこと魔王がこのリントとか言う蛮族を滅ぼしてくれればよかったのに…………」

 

 愚痴をこぼすが今のところ魔王も災厄も目覚める様子はない。

 さらに彼の怒りに拍車をかけるように、丘の周囲で大量に発掘された帯状の遺物、アークルにはパーパルディア人のプライドを傷付けるような文言が刻まれていた。

 

[汝、戦士の力を欲さば、その力をもって人を侵すこと勿れ]

[その心清くなお潔き者、この帯を身につけ邪悪を打ち倒せ]

[この力は聖なる力。神と人とを繋ぐ自然と調和の力為り]

 

「まるで俺たちを見下しているかのような文言だ……気に入らんっ!」

 

 デオンはそう吐き捨て、天幕から出る。

 天幕の外には魔王と災厄が封印されていると伝わる地上絵が描かれた小高い丘が見え、そしてその手前には石作りの建物の遺跡が広がっていた。

 

 

 

 

 

 一方丘の上では調査員のラーマルの他十数人の調査員が、魔素と神氣の観測を行っていた。

 

「どうだ?異常はないか?」

「はい。依然として魔素と神氣の活動は正常値のままです」

 

 ラーマルは遺跡を眺めながら、皇国の未来を想像する。

 かつてリントが作り上げた巨大遺跡に眠る高度な技術の賜物、それらを解析すれば皇国の軍備に役立てることができる。

 かの古の魔法帝国をも凌駕する力だというリントの技術を独占すれば、パーパルディア皇国は世界帝国どころか天の外にすら勢力を広げることができるかも知れないのだ。

 そうなればもはや敵はない。

 

 しかし、その天の外から侵略者がやって来ていることに、彼らは気付いてはいなかった。




リント
仮面ライダークウガ作中で言及される超古代文明を作り上げた民族で現代日本人の先祖とされる。
本作においてはフィルアデス大陸の先住民族の一つで、老若男女問わず全ての人が自ら災厄と魔王を封じるための人柱となり、絶滅したと伝えられている。
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