黒崎一護、井上織姫、茶渡泰虎、石田雨竜、志波岩鷲、そして四楓院夜一。
瀞霊廷へと侵入した六名の旅禍は一転して救世主となる。よって、護廷十三隊が責任をもって一護たちを保護し、事情聴取を行うことになった。
藍染の反乱から一週間。
瀞霊廷はようやく落ち着きを取り戻そうとしていた。
「これより隊首会を始める」
どん。
杖によって強く床が叩かれた。
浮竹によって黒崎一護たちが見送られてしばらく。怪我を負った隊長格の治療も終わり、反逆者への対策として隊首会が開かれた。
まず、山本元柳斎は涅マユリへと尋ねる。
「涅隊長、分析結果はどうなっておる」
「藍染惣右助、市丸ギン、東仙要、痣城双也が消えた先を空間の湾曲から推定したヨ。結果、あれは
「虚圏か……厄介な」
浮竹は皆の気持ちを代弁する。
虚の住まう世界、虚圏。
そこは無数の虚がひしめく場所である。そこには雑魚虚は勿論だが、厄介な
藍染惣右助がどこまで虚を従えているのか分からないが、最悪は考えておくべきだ。
「浮竹、どうかしたのかい? そう言えば君は被害に遭った中央四十六室を調べていたね」
「ああ、俺もこの後に報告しようと思っていたことがある。実は藍染が地下議事堂の大霊書回廊に立ち入っていたことが分かった。その結果、彼らが調べていたことが判明した。だがそれが問題でな」
「禁書でも調べていたっていうのかい?」
「それどころではない。彼らが調べていたのは……
隊長たち一同が瞠目する。
更には山本元柳斎までもが一瞬だけ霊圧を乱した。
「元柳斎先生、彼らの狙いは」
「うむ、おそらくは霊王。尸魂界の王か」
「はい。しかも調べていた内容は王鍵の場所ではありません。創り方です」
「ほう。興味深いネ」
この話題には技術畑のマユリが興味を示した。
早く話せとばかりに急かす。
「必要なのは重霊地。そして十万を超える魂魄だ。それらを犠牲にして初めて創造される……らしい」
「今の重霊地ってどこだったかなぁ」
「そんなことも知らんのかネ? 全く、これだから……今の重霊地は空座町だヨ」
「ああ、その通りだ。一護君たちの住む街だよ」
流石に部下のルキアが派遣されていただけのことはあり、浮竹はよく知っていた。
重霊地とは霊的に重要な地脈が集中する場所のことであり、不定期に移り変わる。そこでは霊能力の強い人間が生まれたり、虚が集まったりするということで瀞霊廷もよく監視しているのだ。
ゆっくりと目を開いた元柳斎が口を開く。
「……先刻、浦原喜助より連絡があった。藍染惣右助が奪っていった崩玉は魂魄の境界を崩し、その限界を突破させるものであると。死神と虚の間を取り払う物質であるとな。
「仮面を破った虚のことだネ。だがあれは非常に珍しい存在だヨ。観測された例はほとんどないネ。仮に崩玉とやらがそれを可能とするのであれば、虚たちに力を与える代償として従わせている可能性はあるだろう。藍染の実力を考えれば不可能とは思えんヨ」
「涅隊長の言うとおりじゃ。また護廷十三隊に宣戦布告をしたということは
三人の隊長が減って、残りは十人。
彼らはこれまでにない大きな戦いを予感した。
◆◆◆
結果的に護廷十三隊の調査は当たりであった。
空座町に
それによって日番谷先遣隊が送られることになった。
重霊地たる空座町を守護する者たちとして。
この決定が功を奏し、
またこの間に瀞霊廷は藍染と戦うための準備を進める。現世へ赴いている日番谷冬獅郎を除く九人が一番隊隊舎へと集まっていた。
「
「既に完成しているヨ。あとは転界結柱で偽の空座町と本物を入れ替えるだけ。そこならば、幾ら壊しても本物には影響がない、ということだヨ。ただし、あまり派手に壊されても困る。壊した分は君たちの隊の予算から差し引くと覚えておきたまえ」
大軍によって攻め込まれた場合、護廷十三隊だけでは対処しきれないことも考えられる。なので虚圏を攻めることで戦力の分散を狙うのだ。
また更木剣八という最高戦力に全力を出させる意味もある。
彼女の力は絶大過ぎるため、瀞霊廷や現世で本気を出させる訳にはいかない。護廷十三隊からして破壊しても問題にならない虚圏でこそ、彼女の力は最大限に発揮される。なんなら藍染を倒してしまえという指示である。
更木剣八の始解と卍解が判明したからこその判断であった。
だが問題点もある。
それは彼女の始解・野晒は藍染惣右介の鏡花水月を無効化できる。つまり藍染惣右介の力に囚われず戦うことができるのは彼女一人ということだ。
「更木隊長、お主は藍染が現世へ現れた場合、即座に急行せよ」
「僕たちは更木隊長が来るまで時間稼ぎってことかい。こいつは責任重大だねぇ」
「ふん。惰弱な考えだ京楽。先に我らで倒してしまえば済む話」
「砕蜂隊長は流石だねぇ」
仮に現世侵攻を許した場合、どれだけ理想的な状況で更木剣八に託せるか。
そこが問題となる。
砕蜂や狛村は自分たちで藍染を倒すつもりらしいが。
「では黒崎一護はどうなりますか?」
ここで不意に剣八が尋ねる。
死神代行として空座町に赴任している以上、無関係ではいられない。また引けと言って大人しく引く人間でもないだろう。元柳斎はそれについても既に考えていた。
「あの者には本物の空座町を守ってもらう」
「ということは、転界結柱で彼も共に移動させるということですか?」
「ま、妥当だろうね」
そう言いつつも、卯ノ花と京楽は懐疑的だ。
あの黒崎一護が大人しく言うことを聞くかどうか、分かったものではない。寧ろ無理してでも共に戦いたがるという未来が見えるようである。
だが、その心配は予想外の結末を迎えることになる。
三度目となる
しかしそれは囮であった。
彼らの……藍染惣右介の目的はただ一つ。
神の領域、事象の拒絶を操る少女、井上織姫が誘拐された。
これにより、黒崎一護と仲間たちは虚圏へと侵攻する。
護廷十三隊の思惑を超えて。
次から虚圏に行くぜ!
ノイトラ超逃げて!