流石だぜ
ちなみに「そうるそさえてぃ」も「尸魂界」になります。
藍染惣右介は井上織姫を誘拐した。
その目的は事象の拒絶によって封印状態の崩玉を覚醒させるため……ということになっていた。ただどんな思惑であれ、一護からすれば仲間が攫われたことに変わりない。
茶渡泰虎、石田雨竜を伴って虚圏へと乗り込んだ。
護廷十三隊からすれば予想外なことである。
彼らに一歩遅れて、四人の隊長を虚圏へと送り込んだ。
◆◆◆
「ぐっ……」
一護は白い砂の大地に伏していた。
彼は戦った。
途中でルキアと恋次が護廷十三隊の命令を待たずに助太刀してくれたが、戦力差は大き過ぎた。
その中には一護の宿敵、グリムジョー・ジャガージャックもいた。
戦いの中で新たなる力、虚化も使いこなせるようになった。
だがもう体力は尽きていた。
「はははははは! どうしたそんなもんか死神!」
乱入してきたのは
倒せる敵は倒せるうちに殺す。戦いとは敵を定めた瞬間に始まり、呼吸一つですら戦いの一部となる。
卑怯な手を厭わない彼は、疲弊した一護をこの場で殺すつもりだった。しかしただでは殺さない。甚振りつつ、自身を誇示するかのように一護を追い詰めていく。
だが、そこで一護が助けた
彼女の正体は元
しかしそれも僅かな間の話。
ネリエルはあっという間に力を使い果たし、元の幼女の姿になってしまう。
するとノイトラは笑みを浮かべ、彼女を蹴り飛ばした。
一護は必死に助けようとするも、
「やめてぇ!」
織姫のその叫びが虚圏の夜に虚しく消える。
仲間たちの霊圧は次々と消えていく。敵地の中心に助けが来るはずもない。
また一護もテスラに殴られ、助けようとする織姫はノイトラに押さえつけられた。もはや状況は絶望的に思えた。
チリン
鈴の音が鳴った。
◆◆◆
尸魂界から
その数は四つ。
一つからは卯ノ花烈と虎徹勇音が現れる。彼女は傷ついた茶渡と
一つからは朽木白哉が現れる。彼は義理の妹たるルキアの元へと現れ、彼女にとどめを刺そうとしていた
一つからは涅マユリとネムが現れる。彼は雨竜と恋次が苦戦していた
そして最後の一つ。
更木剣八と草鹿やちるが姿を現す。すぐに一護の気配を感じ、走り出した。
◆◆◆
何度目かも分からないテスラの殴打。
振り下ろされた拳が突如として切断され、手首から先が転がった。
「随分とやられましたね。黒崎さん」
「剣、八……?」
「はい。更木剣八です」
鈴の音と共に現れた死神、更木剣八。左目には眼帯、そして腰に鈴。
その霊圧はいつも通り、静かであった。
一方で手首を切り落とされたテスラは恐怖する。全く感知できないままに斬られていたことで混乱する。だから彼は愚かな行為に走ってしまった。
残ったもう一方の腕も振り上げ、剣八に向かって勢い良く振り下ろす。
「お、おおおおおおおおおおお!」
「馬鹿野郎! 逃げろテスラ!」
ノイトラは止めようと叫んだがもう遅い。
制止の言葉を言い終わらない内に、テスラは縦で半分に分かれていた。剣八が一瞬で斬ったのである。
「ちっ……馬鹿が」
死んでしまったものは仕方ない。
気持ちを切り換えたノイトラは斬魄刀とは似ても似つかない大鎌を構える。そして剣八も自身の斬魄刀をノイトラに突き付けた。
「十一番隊隊長、更木剣八。さぁ、名乗りなさい!」
「
互いに霊圧を高め、名乗り合う。
しかし倒れた一護も割り込むようにして叫んだ。
「待て剣八! 俺も戦う! そいつは協力して」
「黙っていてください。これから始まるのは一対一の戦い。あなたは負傷した役立たずです。私たちの戦いに巻き込まれないよう、井上さんを守ってあげなさい。ついでに治療を受けることですね」
「俺は……ああ、分かった」
不安そうな織姫の顔を見て納得する。
織姫も蹴り飛ばされたネルを抱え、一護を引きずって異能による結界を張る。そして一護とネルを治療し始めた。
一方で剣八とノイトラはすぐに剣を交え始める。
大鎌という長物武器を操るノイトラに対し、剣八は解放していない斬魄刀のみ。虚は斬魄刀で始末しなければ意味がないので、ただの刀を使うことはない。武器の上ではノイトラが有利だ。しかし純粋な腕は剣八が上回っている。
ノイトラの戦い方は所詮力押し。
「もっと研ぎ澄ませてください。あなたの力はその程度ではないでしょう」
「はっ! 女がイキってんじゃねぇ!」
「ふふ。女はお嫌いですか?」
「ああ。嫌いだね! 説教臭くて鬱陶しいばかりだ!」
「ならば力を証明しましょう」
その瞬間、剣八の姿が掻き消える。
ノイトラが気付いた時には左手が斬り飛ばされていた。
「せっかくお揃いの眼帯なのですから、仲良くしましょう?」
背後で鈴が鳴る。
泉のように噴き出る血がノイトラの左半身を赤く汚す。同時に激高した。
「てめぇえええええええええええ!」
もう手段は選ばない。
かつてのネリエルを思わせる剣八を殺すため、大鎌を天に掲げる。
「祈れ!
失われた左腕が再生し、両手に大鎌が握られる。また頭部には三日月を思わせる角が生えた。爆発的に上昇した霊圧が肌に焼き付く。
剣八は唇を舐めた。
「斬り合いを演じましょう」
「死ね!」
武器が二つになったことで単純に手数は二倍だ。しかし剣八はその攻撃を全て切り払い、一度たりとも攻撃が当たらない。ノイトラの捨て身にも思える攻撃は激しく、反撃の隙などないように思えた。
しかし、剣八はそれすら切り伏せる。
身を捩って片方の鎌を回避し、もう片方は剣で弾き返す。踏み込んだ剣八は斬る。
「おや?」
しかし傷は浅かった。
先は一撃で腕を切り裂いたものの、今度は鋼よりも硬く感じる。先程まで相当油断していたということかもしれない。また解放したことで強度が上がったのだ。
「はっ! 俺の
硬い、とは剣八も思った。
しかし思ったよりもという前置きが付く。
少しギアを上げ、霊圧を上昇させた。だがその隙にノイトラは舌を出し、その先へと霊力を込めた。膨大な霊力を凝縮して放つ
だがそれは剣八が切り捨てた。
「こんな小手先に頼っている暇は与えませんよ」
「ちっ! 俺を斬れねぇ癖に向かってくるんじゃねぇ! てめぇじゃ俺を倒せねぇんだよ!」
「だからどうしたというのです? 斬れないものを斬る。それが斬り合いの醍醐味ではありませんか」
思い出すのは一護との戦いだ。
あの時、一護の斬月は剣八の体に傷一つ付けることができなかった。しかしそれでも一護は諦めず、剣八の刀を砕いて見せた。届くことはなかったが、あれこそが真の戦いだと剣八は思っている。
一方的な甚振りなどつまらない。
挑戦者となるのは久しぶりであった。
「では取りあえず、その眼を頂きましょうか」
刃が煌めく。
ノイトラは身を引こうとするが、もう遅い。
剣八の刃が眼帯に隠されたノイトラの左目を貫き、後頭部まで刺し貫いていた。
馬鹿野郎! 逃げろテスラ!
おまいう