ジェラルド・ヴァルキリーを倒したことで、剣八、織姫、チャド、浦原、ネリエル、グリムジョーも一番隊隊舎を目指すことにした。
というのも、浦原の提案である。
「霊王宮への行き方ですが、アタシに当てがあります。まずは他の隊長たちと合流しましょう。どうやら一番隊隊舎……のあった場所に集まっているようです」
ユーハバッハたちが天へと去っていった今も、瀞霊廷は
故に客観的な判断から、合流のため一番隊隊舎を目指すのは間違いではない。
ただ、グリムジョーは納得していないようだった。
「んなことより直接追いかければいいだろうが。あの上に一護の野郎もいるみてぇだしな」
「それは難しいでしょう。すぐに追いかければどうにかなったかもしれませんが、あの巨大化する滅却師に時間を稼がれてしまいました。瀞霊廷と霊王宮を隔てる結界は修復されているはずです。あの結界を素通りできるのは零番隊のみ。そして破壊するのは不可能でしょう。それならば結界の性質を利用して不正にすり抜ける方法を使った方がまだ簡単……」
そして浦原はちらりと剣八を見遣る。
「まぁ、アタシ的にはすり抜けの方が楽ッス。ここに例外がいらっしゃるみたいですし、破壊して直接向かうこともできるでしょう」
だが、浦原はそれを良しとしない。
これは霊王宮を守る結界をいたずらに破壊しないため、などといった理由ではない。
「ですが黒崎サンをこちらに引き戻すためにはそういうわけにもいきません。現世で黒崎サンの家を調べましたが、どうやら一心サンに夏梨サン、遊子サンが攫われているようです。人質を取られ、従わされているのでしょう。黒崎サンを自由にするために、まずはアタシたちで人質の救出をする必要があります」
「浦原さん、手掛かりがあるのか?」
「私も手伝います」
「勿論、私も。一護のためなら何でもするわ」
「ふん。俺には関係ねぇ」
「まぁまぁ皆サン落ち着いて。そのために他の隊長の所に行くんスよ。それにグリムジョーさんもそう荒立てずに。黒崎サンは今、アタシたちに対して負い目がある状態ッス。そんな時に全力では戦ってくれないと思いますよ」
「……ちっ」
それでグリムジョーも納得したらしい。
彼にとって大事なのはまだ決着の付いていない一護との戦いだ。かつてはノイトラに邪魔をされ、そのノイトラも剣八によって殺された。
本気で再戦ができないならば意味がない。
そういう契約で浦原を手伝っているのだから。
尤も、純粋に一護を助けたいと考えているネリエルからすれば納得のいかない理由であったが。
「滅却師は影を使って異空間を作っています。一心サンたちが囚われているとすればそこでしょう。上手くそこを開くことさえできれば……まずは一番隊隊舎へ急ぎましょう」
「それなら俺たちも一緒に行くぜ」
「ふん。一護の奴にどういうことか問いたださなければならんからな」
「あ! 恋次君にルキアちゃん!」
ジェラルドとの戦いを見てこちらに向かっていた恋次とルキアとも合流する。これにより八人で一番隊隊舎へと向かうことになった。
◆◆◆
浦原が考えていた霊王宮への行き方とは、そこに通ずる門を創造することであった。莫大なエネルギーを必要とするという欠点こそあれ、完成させてしまったのは流石である。
そして滅却師の作る影空間も同じ理論を応用して開く。
だが、これを実行するためにはそれぞれ足りないものがあった。
前者に必要なのは霊力の増幅器。そして後者に必要なのは滅却師が使う影空間のデータである。浦原はその両方が技術開発局に存在するであろうと予測していた。
「更木隊長、戻ったか。それに貴様は浦原喜助」
一番隊に剣八たちがやってきたとき、まずは元柳斎が口を開いた。巨大な滅却師ジェラルドを討伐したことを称賛しようと思った矢先、尸魂界から追放された男もまた現れたのである。思わずそちらに意識を奪われてしまった。
尤も百十年前のことは冤罪と分かり、実質的に浦原の追放処分は取り消しとなっているのだが。
ただ、この中では砕蜂が最も過剰に反応する。
「貴様! 今更のこのこと出て来おって!」
「これこれ砕蜂。それならば儂も同じくのこのこ出てきたことになるがのぉ」
「そそそそんなことはありませぬ! 夜一様は別! 別枠です!」
そうして夜一が砕蜂で揶揄う一方、マユリもまた忌々しそうである。ただ、彼の場合は睨みつけるのみで特に何かを言うわけではなかったが。
元柳斎は浦原が連れてきた二人の破面に目を向け、厳しい口調で告げる。
「浦原よ。尸魂界に破面を連れ込むとは何事じゃ」
「それについては見逃してくださいませんか? 今は非常時です。それに滅却師が霊王を狙うとすれば、それは三界の危機。虚圏に住む破面たちが出張ってきても何一つ不思議はないでしょう? 彼らは自分たちの為に戦う。アタシたちはそれを利用する。今はそれでいいじゃありませんか」
「ぬけぬけと!」
「構わん砕蜂隊長」
「しかし総隊長」
「そこまで言いおったのだ。
ないとは言わせん。
そんな凄みがあった。
すると浦原は帽子をクイと動かしつつ、真剣な眼差しで頷く。
「勿論です。そのためには涅サンの協力が必要です」
「涅隊長」
「フン! 仕方ないネ。総隊長の命令とあらば、多少の便宜を図ろうじゃないか。私の慈悲深さに咽び泣くといい」
「いやー。ありがとうございます。何とかなりそうです」
話はまとまった。
だが、誰しもが状況に納得したわけではない。
ここで剣八がごく自然過ぎて見逃しそうになっていたことについて言及する。
「ところで、なぜここに滅却師がいるのですか? どうやら拘束もされていない様子」
「これだから野蛮人は。どこに目を付けているのかネ? 彼らには首に私が作った拘束具を付けているのだヨ。これは我々に攻撃しようとすれば反応し……霊圧を内部に押し留める役目がある。この状態で無理に霊圧を使用すれば内側からボンッ、だヨ」
「それは恐ろしいですね。しかしそうではなく、なぜ協力して戦う流れに?」
「彼らからの提案なのさ。この子たちもどうやらユーハバッハに復讐したいとかでね。信用はできないけど、ここで戦って無理に消耗するよりは、制限して連れていった方がいいって判断さ」
マユリと京楽の説明を聞いて剣八も納得する。
別に切り捨てる程度、簡単だ。
「浦原よ。まずはどうするのじゃ?」
「涅サンの協力も得られるということですし、技術開発局に向かいましょう。霊圧増幅器と、滅却師が使う影空間の情報が必要です。それに生きた滅却師がいるということでしたら都合がいい。情報提供していただきましょう」
「ちっ、仕方ねぇ」
「気に入らねぇが、今は言うことを聞いてやる。ユーハバッハをぶっ殺すためならな」
威勢のいいリルトットとバズビーも了承したところで、ここにいる全員が技術開発局へと向かうことになる。
山本元柳斎重國。
砕蜂、大前田希千代。
卯ノ花烈。
平子真子、雛森桃。
阿散井恋次。
京楽春水、伊勢七緒。
日番谷冬獅郎、松本乱菊。
更木剣八。
涅マユリ、涅ネム。
浮竹十四郎、朽木ルキア。
浦原喜助、四楓院夜一、井上織姫、茶渡泰虎。
グリムジョー、ネリエル。
バズビー、リルトット、キャンディス、ミニーニャ、ジゼル、
このそうそうたる面子で、霊王宮を目指すために。
◆◆◆
霊王宮は天空に浮かぶ霊王の宮だ。
とはいえ、城がポンと存在するわけではない。幾つかの設備に分かれており、まず霊王宮に辿り着いた者が訪れるのは霊王宮表参道と呼ばれる場所だ。
そしてここでユーハバッハを含む滅却師と、零番隊の戦闘が行われた。
結果はユーハバッハ、および滅却師の圧勝である。
「この程度か」
戦闘に参加したのはユーハバッハ、リジェ・バロ、ペニルダ・パルンカジャスの三人である。雨竜とハッシュヴァルトは特に動く必要もなかった。
戦闘開始早々にリジェが
続いて登場した兵主部一兵衛と二枚屋王悦が仕掛けるも、これにはユーハバッハ自身が対応。最強の聖文字、
「一護は……まだ決着がつかぬか。情に流されたか? まぁ良い。私はこれより霊王を始末する。お前たちはここで待て」
ユーハバッハは中央に浮かぶ巨大な塔を思わせる構造物、霊王宮大内裏を目指す。
世界を守護する王の守りは今、あっさりと消された。
零番隊の戦いはおおむね原作通りってことでカット
一護の卍解が即折られた問題に並列して、零番隊あっさり退場問題も提唱します。あれだけ期待させといて…