また、この物語は肥薩線がまだ運行していたものとして扱っております。
※この物語は毎週月・水・金に投稿しております。
三角駅での事件の翌日、
「うわ~、すごい眺め!!川の流れがすごい!!」
とルビィは列車の窓から見える景色に感動していた。これには、曜、
「うん、流れがはやくて見ごたえがある!!」
と同意していた。今、曜とルビィはある列車に乗っていた。その列車とは、球磨川沿いを走る肥薩線の環境特急「かわせみやませみ3号」(熊本11:24→人吉13:05)であった。「かわせみやませみ」は球磨川沿いの風光明媚な景色を車窓に見せながら曜とルビィを人吉へと運んでいた。いや、感動の連続でで曜とルビィは大変喜んでいた。
そんななか、感嘆な声をあげる曜とルビィに対し、
「よっ、陽ちゃんにルビィちゃん、また会ったな!!」
と声をかける人がいた。これには、曜、
「あっ、南さんに高山さん!!」
と声をかけた人こと南とその隣にいた高山が声をあげる。そう、そこにいたのは前日と同じく鉄道保安隊公安特捜班に所属している南と高山だった。南と高山はなぜかこの「かわせみやませみ3号」に乗っていたのである。そのためか、ルビィ、
「でも、なんで、南さんと高山さんがここにいるの?」
となぜ2人がここにいるのか尋ねてみた。すると、南、
「実はな・・・」
と言おうとしたとき、高山が南の声を遮るとうきうきしながらこう言った。
「だって、この先の矢岳駅にあるSL記念館のD51を撮りにいくんだもん!!」
実は、高山、乗り鉄でもあり撮り鉄でもあった。そのため、人吉駅の先にある矢岳駅のSL記念館に鎮座するD51を撮りに行きたがっていたのである。ちなみに、矢岳駅にあるSL記念館には全国で活躍したD51があり、肥薩線の人気スポットになっていた。なお、過去にはSLあそBOYやSL人吉に使われているSL8620形もその記念館に鎮座していた。それを國鉄九州総局が改修、SLあそBOYやSL人吉として運用しているのである。
そんなまるで少年のような姿になっていた高山に対し、南、
「ちょっと落ち着け、高山!!」
と注意するも高山はそんなことなんて気にせずに、ただ、
「あともう少しでSLD51と会える!!」
と喜んでいた。そのためか、それにつられてか、ルビィまでもが、
「とても大きなSLが見れる!!ルビィ、うれしい!!」
とうきうきさせながら喜んでいた。
そして・・・、
「ひとよし~、ひとよし~」
と「かわせみやませみ3号」は13:05に終点の人吉に到着。曜とルビィ、南と高山は向かい側に止まっている赤い列車に乗ろうとした、そのときだった。突然、4人の前に大きなワゴンを持った少女が立ちはだかると4人に対し、
「駅弁~、駅弁はいかがかな?」
と言ってきたのである。これには、ルビィ、
「えっ、駅弁売り?」
と驚くも南はそんなルビィに対し説明をした。
「ルビィちゃん、これは人吉名物の駅弁の立ち売りなんだ」
そう、人吉駅には全国的にも珍しくなった駅弁の立ち売りが行われていた。特急や観光列車停車時のみなのだが、列車が到着しては駅弁の立ち売りで駅弁を買っていくお客さんがあとをたたないらしい。ちなみに、人吉駅以外で駅弁の立ち売りをしているところといえば鹿児島本線の折尾駅があり、そこのかしわめしはとてもおいしいで有名である。
そんなことを聞いたのか、それとも、お昼ごろ、なのだろうか、ルビィ、いきなり、
グ~
とおなかの虫が鳴ってしまったようだ。これには、ルビィ、
「う~、恥ずかしいよ~」
と恥ずかしそうになるもお昼というわけでして、
「でも、お姉さん、栗飯、1つ、頂戴!!」
と駅弁を買おうとした、そのときだった。突然、駅弁売りの少女がこんなことを言ってきた。
「駅弁、1つ、ルビィちゃん!!」
この声に、曜、はっとする。
「えっ、なんでルビィちゃんの名前を知っているの?」
そう、なぜか、駅弁売りの少女、ルビィの名前を知っていたのだ。そのためか、ルビィ、
「なんでルビィの名前を知っているの・・・」
と怯えてしまった。
だが、駅弁売りの少女は怯えるルビィに対して、
「ルビィちゃん、怯えないで!!私だよ、私、千歌だよ!!」
と自分の名を言うと、ルビィ、その少女を見てびっくり!!
「えっ、千歌ちゃん!!」(ルビィ)
そう、駅弁の立ち売りをしていた少女は千歌だった。これには、ルビィ、
「なんで千歌ちゃんがここにいるわけ?」
と千歌にここにいる理由を問うた。だって、昨日は「A列車で行こう」のバーテンダーをしていたのだから。
すると、千歌はここにいる理由を言った。
「だって、私、ここで駅弁売りのバイトをしているの、あとで駅弁が食べれるから!!」
あまりにも千歌らしい理由・・・。これには、曜、
「千歌ちゃん・・・」
とただ言うことしかできなかった・・・。
とはいえ、千歌から駅弁を買った曜とルビィ、南と高山は取り急ぎ「いさぶろう・しんぺい3号」(人吉13:14→矢岳14:05→吉松14:33)の列車に乗り込む。「いさぶろう・しんぺい」、この列車は人吉と鹿児島の吉松を結ぶ観光列車である。この区間は矢岳のSL記念館以外にも大畑のスイッチバック+ループ線、真幸のスイッチバックと鉄道ファンからみたらお宝ものの経験ができる大人気路線である。その路線のために作られたのが「いさぶろう・しんぺい」である。ちなみに、「いさぶろう」とはこの区間が建設されたときの当時の逓信大臣だった山縣伊三郎、「しんぺい」とは当時の鉄道院総裁だった後藤新平のことであり、この区間にあるトンネルの両端に可掛けられている扁額(へんがく)にちなんでつけられたのがこの「いさぶろう・しんぺい」なのである。
そんでもって、曜とルビィ、南と高山は千歌から買った駅弁を食べながら大畑のスイッチバック+ループ線を、
「うわ~、すごい、すごいよ、このスイッチバック!!」(ルビィ)
「結構大回りなんですね、南さん」(高山)
「たしかにそうだな」(南)
と楽しんでいた。
だが、この路線の魅力はそれだけではなかった。大畑のループ線を超えると南はルビィと曜に対してこんなことを言ってきた。
「陽ちゃんにルビィちゃん、このあと、すごい景色が見れるよ。なんだって國鉄が選定した日本三大車窓の1つがあるのだから!!」
日本三大車窓、それは、昔、國鉄が選定した日本が誇る三大車窓のことである。1つは今はもうないが旧根室本線の狩勝峠越え、2つ目は篠ノ井線の姨捨駅、そして、もう1つがここにある、という。これには、曜、ルビィ、ともに、
「えっ、日本三大車窓!!なんかすごい!!」(曜)
「はやく見たい、見たい!!」(ルビィ)
とかなりの乗り気。それをみてか、高山、フライングしてしまう・・・。
「そう、これこそ日本一の車窓、矢岳越え!!」
そう、日本三大車窓の1つ、そして、日本一の車窓といわれている場所、それが「矢岳越え」である。霧島連山とえびの高原を望む絶景でありかなりの名所である。なお、これは余談だが、鹿児島本線は海線(今のおれんじ鉄道)ができるまでは肥薩線が本線であった。そのため、この景色はこの線ができた明治時代から見られたものであり、それだけ多くの人を魅了してきたといっても過言ではなかった。
こうしている間に「いさぶろう・しんぺい3号」は矢岳越えへと突入した。といってもこの絶景を堪能するために列車は数分間絶景スポットに停車することになっていた。そのため、曜とルビィは今か今かと列車が止まるのを待っていた。
そして、ついに列車は止まった。矢岳越えの絶景ポイントに到着したのだ。そのため、すぐに、曜、
「はやく、絶景、見ようよ!!」
とその車窓がみえる左側の窓へと移る・・・そのときだった。突然、乗客の一人が声をあげた。
「キャー、死体がつらされている!!」
この声に南と高山が反応、すぐに声をあげた乗客のところに行くとその乗客はその場所を指さした。すると・・・、
「たしかに死体がつらされているな・・・」(南)
そう、絶景ポイントすぐの林の木に死体がつらされていたのである。
だが、ルビィ、それ以外にもあるものを見つけた。
「えっ、なんで、善子ちゃん、花丸ちゃん、梨子ちゃんがいるわけ?」
なんと、死体がつらされた木の近くにここにいないはずのヨハネ、花丸、梨子がいたのである。これには、ルビィ、
「3人とも動いていないよ。もしかして、死んじゃったの・・・」
と愕然となってしまった。むろん、ヨハネ、花丸とも親友である南でさえも、
「うそだろ!!なんでそこにいるんだ!?」
と驚きを隠せずにいた。
その後、事態を重くみた九州総局は「いさぶろう・しんぺい3号」を急いで矢岳へと移動させると南と高山は曜とルビィを連れて死体が見つかったところまで南が手配してくれたパトカーで移動することになった。
そして、死体がつらされている木のところまで行くと、そこには・・・、
「く~、とても残虐なことをするもんだ・・・」
と南が言うくらい悲惨なものだった。だが、その人(被疑者)はまるで自殺したかのようにみせたいのかつるされてできた縄のあととは別に首に絞められたあとが残っていた。それは、つまり、被疑者は殺された、殺人であることがわかった。
一方、ヨハネ、花丸、梨子はというと・・・、
「善子ちゃん、花丸ちゃん、梨子ちゃん、起きて!!」(ルビィ)
「う~、ふわ~、あれっ?ルビィ、どうしたの?」(ヨハネ)
と次々と起きるヨハネたち3人。どうやらヨハネたちはだれかに眠らされていたようである。これには、曜、
「ふ~、よかった・・・」
と胸をなでおろした。
と、ここで、ルビィ、花丸にあることを尋ねる。
「花丸ちゃん、なんでここに来たの?」
すると、花丸はこう答えてくれた。
「陽ちゃんとルビィちゃんにサプライズのつもりで人吉に来たずら」
花丸が言うにこの通りであった。曜とルビィが九州に旅立ったあと、花丸たち3人は曜とルビィにバレないように飛行機で熊本入りしていたのである。その理由は曜とルビィと一緒に卒業旅行を楽しみたかったから。でも、曜とルビィにサプライズを仕掛けたい、ということで2人には内緒で「かわせみやませみ1号」(熊本7:38→人吉9:12)に乗って人吉まで来たのだという。
その花丸だったが、突然、ヨハネがこんなことを言い出してきた。
「そのあと、人吉市内を観光していたのだけど、私たち、とあるところで人が誘拐されるところを見たの。で、その人を助けようとしたのだけど今度は私たちが襲われて眠らされてしまったわけ・・・」
なんと、ヨハネたち3人は誰かに襲われたのだという。ヨハネ曰く、人吉を観光中に誘拐現場に遭遇、そのとき、誰かによって眠らされたあと、この場所まで運ばれてきた、のだという。これには、南、
「善子ちゃんたちはその現場を見たから襲われた、ということだね」
と冷静に分析していた。
そんなとき、ルビィはあることに気づく。
「そういえば、善子ちゃん、いつもしているヘアゴムは?」
これには、ヨハネ、
「あっ、たしかになくなっている・・・」
と自分の髪を触ってとめていたヘアゴムがなくなっていることに気づく。ヨハネといえば頭の上に1つ大きなシニヨン(善子玉)をしているのだが特徴的である。だが、今のヨハネはそれをしていなく普通のロングヘアーになっていた。それは、つまり、善子玉を作っていたヘアゴムがなくなっていることを意味していた。そのため、ヨハネ、すぐにまわりを探すも見つからず、
「もしかしてここに来るときになくしたのかも・・・」
とがっかりしてしまった・・・。
そんなヨハネであったが、ここで警察が登場、ヨハネたち3人に対しこんなことを言ってきてしまう。
「ちょっとすまないが、あなたたち3人に殺人の容疑がかかっている。警察署まで来てほしい」
なんと、ヨハネたち3人に対し殺人容疑がかかっているようだ。これには、ルビィ、
「それはなにかの間違いだよ!!」
と反論するも南から、
「彼女たちはここで眠らされていただけだ!!なにかの間違いだ!!」
と反論。
だが、警察はただ、
「とはいっても被疑者と一緒にここにいたのでありますからして・・・」
とあくまでもヨハネたちを殺人犯とみている感じ。そのため、ルビィはこんなことを言ってしまう。
「だったら、ルビィたちがこの事件を解決してみせる!!」
なんと、自分たちでこの事件を解決しようというのだ。これには曜も、
「うん、善子ちゃんたちに無実の罪をきせるなんて許せない!!絶対私たちの手で善子ちゃんたちを解放してみせるね!!」
とやる気に満ち溢れていた。
そんななか、南はあることを考えていた。
(ルビィちゃんたちの言う通り、この事件には別の犯人がいる。善子ちゃんたち3人はその犯人の手によって殺人犯に仕立てるつもりで善子ちゃんたちを誘拐、眠らされてここに連れてこらえたんだ。そうに間違いない!!)
そう、犯人はたまたま被疑者の誘拐現場を目撃したヨハネたち3人を誘拐、殺人犯として仕立てるつもりでこの場所まで眠らされて連れてこさせた、というわけである。これにはさすがの南も許せなかった。そのため、南、
(それならルビィちゃんたちのサポートをしっかりやらないとな!!)
とこの事件を解決するために躍起になっている曜とルビィのサポートをしっかりすることを心に誓うのであった。
そんなルビィたち4人のもとに桜井たちから通信が入った。これには、南、
「こちら、南だが、桜井、どうした?」
と尋ねると同僚の桜井からこんな報告が入った。
「南さん、今、私たちは人吉にきているのですが怪しい4人組を見つけました。すぐに人吉にまで来てください」
これには、ルビィ、
「もしかして、犯人?」
と言うと南はこう答えた。
「それはわからない。だけど、その可能性は高いと思う」
この言葉にルビィはあるお願いをした。
「それならルビィたちを一緒に連れてって!!」
なんと一緒に連れていってほしいとお願いされたのだ。これには、南、こう答えた。
「わかった。一緒に行こう!!」
ルビィたちはこの事件を自分の手で解決しようと決めていたのである。それに南も手を貸すことを決めていたため一緒に行くことにした。
その後、ルビィと曜、南と高山はすぐに人吉へと向かった。その際、ヨハネたちには、ルビィ、
「善子ちゃんたち、ルビィ、無実の罪を晴らしてくるからね!!」
と元気よく答えていた。
そして、人吉につくなり警察と言い争っている4人組を見つけた。そこではリーダーらしき男が警察に対し、
「俺たちは関係ない!!そこをどけ!!」
と文句を言っていた。これには、南、
「ここは俺がでよう」
と言うと警察と対立している4人組のリーダー格の人と警察のあいだに入ってはこう言った。
「私は鉄道公安隊の南だが話を聞かせてくれ」
この南の言葉にそのリーダー格の男がこんなことを言った。
「俺は渡と言うものだが、俺たちはここを観光するためにきていたんだ!!それなのにどうして怪しまれないといけないんだ!!」
どうやら、渡たち4人組は人吉・えびののあたりを観光するたえにここに来たというのだ。ただ、それを証明するものがなかったため、南、近くの警察の人を呼んでは、
「今わかっていることを話してくれ」
と言っては今わかっている情報を教えてもらうようにお願いした。
すると、警察はすぐに今わかっている情報を南に教えてくれた。
「実はですね・・・」
教えてもらったことは以下の通り。まず、Nシステムで渡たち4人組の足取りを追うと、まず、14:00ごろの人吉ICを降りる渡たち4人組が乗ったワゴン車が記録されていた。これには、渡たち、
「これが俺たちがここを観光している証拠だ!!」
と言い張ってきた。
だが、警察はすぐにこれについてある情報を南に見せた。
「ですが、実は、Nシステムにはそれとは別に11:00ごろに人吉ICを上って11:30ごろに(吉松駅近くの)えびのICを降りるワゴン車が記録されていまして、(人吉IC~えびのICの区間にある)山江SAやえびのPAでは「(渡たちが乗っていた)ワゴン車にはたった一人しか乗っていなかった」という目撃証言もあります。さらに、そのあと、11:50~12:20にも渡たちのワゴン車がえびのICから上って人吉ICに降りていたこともわかっております」
まとめるとこうである。
11:00人吉IC
→山江SA・えびのPA(たった一人しか目撃されていなかった)
→11:30えびのIC→11:50えびのIC
→12:20えびのIC
さらに、南はそれ以外の証言を警察から聞いた。
「あと、渡たちが乗るワゴン車ですがどうやら人吉あたりを早朝から走っていたみたいです。それに、4人のうちの3人は朝の8:00ごろに熊本市内にいたことも確認されております」
なんと、渡たち4人組のワゴン車は今日の早朝からこの時間まで人吉とえびのの地域で走っている姿を目撃されているみたいのようだ。また、4人のうちの3人は朝の8:00ごろ、熊本市内で目撃されていたのである。これには、南、
「なにか怪しい」
と公安官の勘を感じてか渡たち4人組を怪しんでいた。なので、南はルビィと曜に対して、
「やっぱりあの渡たちが怪しい。なにかあるのかもしれない・・・」
と言うとこれまでわかっている情報を共有しつつもこう告げた。
すると、ルビィは渡たちに対してあることを尋ねた。
「ところで、渡さんたち、今日、どうやってここ(人吉)まで来たの?」
そう、今日、ここ人吉にどうやって来たのかである。これには、渡たち、こう答えた。
「今日来たのではなくて昨日来たわけ。だって、今日1日じゃ人吉あたりをまわることができないじゃない」
だが、ここにきて1つの疑問が生じた。ルビィはこう考えていた。
(えっ、昨日から人吉に来ているの?なら、朝の8:00ごろに熊本市内にいた、という証言と食い違うじゃないかな・・・)
たしかにその通りであった。4人のうち3人が今日の朝8:00ごろに熊本市内にいたのである。それなのに昨日から来ているのならその辻褄が合わなくなる。これにはルビィどころか南もその違和感を感じていた。
そんなときだった。突然、高山はこんなことを言い出してきたのだ。
「ところで、渡さんたち、「矢岳越え」、とてもすばらしい景色でしたよね。曜ちゃんはどう思いましたか?」
あまりに唐突的な質問、だが、そこには高山の勘があった。高山はこのときこう考えていた。
(たしかに矛盾している。けど、このままだと渡たちはそれを認めない、熊本市内にいたことを認めてくれないだろう。なら、遺体遺棄現場となった矢立越えの場所をどうやって見つけたのか、それを調べてやる!!)
高山はこのあとの展開を知っていた。ルビィと南が感じた違和感を、朝8:00ごろに熊本市内にいたのに昨日から人吉にいたと言っている渡たちの矛盾をつくことを。でも、渡たちはそれを否定してくるのは目にみえていた。なら、ほかの切口で、どうやって遺体遺棄現場を見つけたのか、それを聞き出そうとしていたのだ。その高山の意図を感じたのか、曜も、
「うん、とてもすばらしい眺めだったよ!!」
と答えてはすぐに渡たちに対しある質問をぶつけてみた。
「ところで、渡さんたち、「矢立越え」って知っている?」
ただ、それに関しては、渡、
「いや、知らない」
の一点張り。すると、ルビィ、
「矢立越えって・・・」
と矢立越えの説明を始めるも渡たち4人とも、
「へ~」
というだけだった・・・かのようにみえたのだが、一人だけ、ぼそっと、
「あそこのことか・・・。とてもすばらしいかったような気がする・・・」
と言ってしまった。これには、南、
(あっ、なにか知っているのでは・・・)
と感じてしまった。
その後、南は渡たちの了解を得て渡たちが乗っているワゴン車を見て回った。真っ白なワゴン車だったのだが、ところどころそのワゴン車にはひっかき傷があった。これには、南、
(なんか木でひっかかれた傷があった。もしかして・・・)
とその傷を写真に撮っていた。
とはいえ、今のままでは証拠不十分になってしまう、そう思った南は、ルビィ、曜、高山を集めてはあることを話し合っていた。
「俺からみるにあの渡たち4人組がとても怪しいと思っている。でも、今のままでは証拠不十分だ。どうしたらいいと思う?)
すると、ルビィはこんな提案をしてきた。
「それだったらどうやってこの人吉に来たのか探してみるのも手だと思うの。だって、その部分があやふやなんだもん」
たしかにルビィの言う通りであった。今の渡たちにとってあやふやになっているのが人吉にどうやって来たのか、という部分であった。その部分を突きつければほこりがでるかもしれないのだ。また、高山もある提案をした。
「それに、被疑者の遺体遺棄現場をどう見つけたのかも気になります。あの場所に遺体を遺棄した+善子ちゃんたちをそこに放棄したこと、それは誰かに見つけてくれ、と思ってのことだと思います」
たしかにその通りであった。普通ならバレないように林のどこかに遺体を放棄すべきである。だが、「いさぶろう・しんぺい」で見つけてやすくなるように被疑者の遺体を木につるした+ヨハネたちをその近くに放棄した、となれば、誰かにみつけてくれ、犯人はヨハネたちである、そう誘導しようとしているのは目にみえていた。なので、その遺体遺棄現場をどうやって見つけたのか、それが高山には気になっていたのである。
こうして、南たちの今後の方針が決まった。まずは渡たち4人のうちの3人がどうやって人吉に来たのか、被疑者の遺体遺棄現場をどうやってみつけたのか、それを調べることにしたのである。
その後、ルビィと曜、南と高山は人吉警察署に行く。そこには留置されていたヨハネ、花丸、梨子がいた。その3人に対しルビィはあることを聞いた。
「善子ちゃんたち、ここにどうやって来たのかもう1度教えて?」
すると梨子がそれについてもう1度説明した。
「たしか、私たち、ルビィちゃんたちを驚かせるためにはやめに列車に乗っていたの。たしか、「かわせみやませ1号」だったはず・・・」
「かわせみやませ1号」は熊本を7:38に発車、9:12に人吉に到着する列車である。ヨハネたち3人はその列車に乗ってきたのであるが、ここで南がある写真を見せてはこう尋ねてきた。
「ところで、その列車にこの4人組のうちの3人をみていないか?」
どうやら南の出した写真は渡たち4人組の写真のようだ。
だが、これには、ヨハネ、花丸、ともに、
「う~ん、その人たちは列車のなかではみなかったね」(ヨハネ)
「おらもわからないずら・・・」(花丸)
どうやら「かわせみやませ1号」には渡たち4人組は乗っていなかったようだ。
そんなとき、梨子があることを思い出したのか、
「あっ、もしかして・・・」
と言ってはとても重要なことを言い出した。
「たしか、私たちが気を失う前に見た人(被疑者)が誘拐されるところにいたかも!!」
その梨子はその写真を指さしては、
「この人とこの人」
と梨子がそのとき見た人を教えてくれた。これには、曜、
「それって大事な証言じゃないかな」
と喜ぶも高山はそれに水差すようなことを言ってしまう。
「でも、彼女たちはまだ殺人容疑が晴れていません。それはでっちあげと言われても仕方がないかもです」
たしかにその通りであった。南たちは渡たち4人組が怪しいとみている。だが、今、現時点で1番疑われているのは遺体遺棄現場にいたヨハネたちである。そのため、梨子の証言がでっちあげの可能性があると判断されてしまうのである。だから、梨子の証言も今の段階では信ぴょう性がないともいえた。
そんなとき、曜は南にこんなことを言ってみた。
「このままだったら梨子ちゃんたちが逮捕されちゃう。それよりも4人組の足取りを調べてみてはどうかな?」
たしかにその通りである。まずは渡たち4人組のこれまでの足取りを調べることが先決なのかもしれなかった。
ただ、このとき、花丸がこんなことを言ってきた。
「あっ、おらの大事にしている本がないずら!!」
それを聞いた南は花丸に対しこう言った。
「花丸ちゃんの本?それってどこで落としたのかしらないか?」
すると、花丸はこんなことを言ってきた。
「たしか、誘拐される前まではちゃんと持っていたずら!!」
これには、南、なにかピンときたのか、どこかに電話をしてはこんなことを言っていた。
「松井、松本、梶山、お願いがある。至急、誘拐現場に行ってくれ」
そして、南はルビィたちにこう言った。
「今、あることを調べている。それよりも渡たちの行動を調べることにしよう」
こうして、ルビィたちはヨハネたちに「迎えにくる」と言っては警察に渡たち4人組の足取りを追ってもらうことにした。すると、あることがわかった。それは・・・、
「車やバスでは来ていたにのか・・・」(南)
そう、渡たち4人のうち3人は、車、もしくはバスでは人吉には来ていない、というのだ。バスなら熊本から人吉まで高速バスで来ることができるのだが、バスの運営会社に問い合わせたところ、その3人に該当するお客さんがいなかった、とのこと。また、車に関してもその3人を目撃した人はいなく、逆にえびのICを上った11:50までは運転していたと思われる人が一人で運転していた、という証言が多発していた。これには、ルビィ、
「車やバスで来ていないとなるとあとは列車のみだね・・・」
と反応する。人吉に来るには車やバス以外に列車しかない。ということは、列車を調べればいい、というわけである。
そこでルビィと曜はすぐに人吉駅に向かっては聞き込みを開始した。すると・・・、
「う~ん、早朝には見かけなかったな・・・」
「う~ん、みかけない人だね・・・」
といろんな証言がとれた。これには、曜、
「だったら、私と南さんで証言をまとめてみる!!」
と証言とこれまでわかっていることをまとめてみた。すると、次のことがわかった。
「かわせみやませ1号」(熊本7:35発)より肥薩線八代発人吉行きの普通列車(5:15発と6:58発)には渡たち4人組は乗っていなかったし、8:00ごろは渡たち4人のうちの3人が熊本市内にいた」
「SL人吉(熊本9:45→人吉12:09)には渡たち4人組は乗っていなかったし、その時間帯(11:50ごろ)には渡たちはえびのICを上っていた」
この結果、ルビィと曜は、
「う~ん、これだと(渡たち4人組のうちの3人が)どの列車に乗ってきたのかわからないよ・・・」(ルビィ)
「私もわからなくなったよ・・・」(曜)
とお手上げ状態であった。ただ、南と高山は時刻表をみるなり、
「なるほどな・・・」(南)
となにかがわかったようだ。
そんなとき、ルビィと曜にある人物から差し入れが入ったのか、
「曜ちゃんにルビィちゃん、まずはお茶を飲んで落ち着こう」
と言ってはあったかいお茶(駅弁と一緒に売られているポリ茶瓶)をだしてきた。これには、ルビィ、
「あっ、千歌ちゃん、差し入れ、ありがとう」
とそのお茶を渡してくれた人こと千歌にお礼を言った、そんなときだった。突然、ルビィが持っている渡たち4人組の写真を見ては、千歌、はっとなったのか、こんなことを言い出してきた。
「あっ、この人たち、知っている!!たしか、10:05ごろに駅弁を買ったお客さんだ!!」
これには、ルビィ、
「えっ、千歌ちゃん、なにか知っているの?」
と驚くと千歌に迫っては尋ねてみると千歌はそのときの状況を教えてくれた。
「実はね、10:04ごろに赤い列車が熊本側から人吉駅のホームに入ってきたね止まったの。そして、その列車のなかからそのお客さんが出てきてね駅弁を買っていったの。そのあと、そのお客さんは赤い列車に戻っていったの。たしか、その列車は10:09ごろに吉松に向けて走っていったよ」
この千歌の言葉に曜ははっとした。
「えっ、その赤い列車って、まさか、「いさぶろう・しんぺい」!!」
そう、まさしく千歌のいう赤い列車というのは「いさぶろう・しんぺい」だったのである。これには、曜、びっくり・・・したどころか、ルビィも驚くとこんなことを言い出してきた。
「えっ、「いさぶろう・しんぺい」って人吉の列車ではないの?」
これには曜も、
「私もそう思っていた!!」
と言うと南はルビィと曜にあることを尋ねた。
「それって「いさぶろう・しんぺい」が人吉の車両基地の列車ってこれまで思っていたわけ?」
すると、ルビィが代弁してこんなことを言ってきた。
「だって、「いさぶろう・しんぺい」って人吉~吉松間の観光列車でしょ!!なら、人吉の車両基地に所属する列車ってなるわけじゃないのかな?」
ようはこういう意味である。「いさぶろう・しんぺい」は人吉~吉松間の観光列車である。なので、「いさぶろう・しんぺい」はその区間の列車が所属している人吉の車両基地のものであるとルビィと曜はそう思っていたのである。
だが、それについて南が説明する。
「実は、「いさぶろう・しんぺい」は人吉ではなくて熊本の車両基地の所属なんだ」
たしかにその通りであった。「いさぶろう・しんぺい」は人吉の車両基地の所属ではなくて熊本の車両基地の所属だったのだ。これには、曜、
「へぇ~、そうなんだ・・・」
と驚きの表情をみせた。
すると、ルビィは、
「あっ、もしかして、「いさぶろう・しんぺい」は・・・」
と言うと自分の推理を曜、南と高山に聞かせた。すると、南、
「それは言えているかもな」
と言っては渡たち4人組を呼び出すことにした。場所は人吉駅。突然の呼び出しに、
「なんだよ・・・。せっかくいいところだったのによ!!」
と不機嫌そうになるもルビィはその4人組に対してこんなことを言い出してきた。
「この事件、あなたたちが犯人だと思うの!!」