曜とルビィの事件簿   作:la55

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※この物語は毎週月・水・金に投稿しております。


曜とルビィの事件簿Ⅱ~かもめは「白い」?~ 後編

「かもめは「白い」のか?」

そう公安官が時津に尋ねると時津は怒ったようにこう言ってきた。

「かもめは「白い」って当たり前だろうが!!」

この時津の答えにその公安官は、

「ハハハ」

と笑うと時津はさらに怒るようにこう言ってきた。

「俺のことを馬鹿にしただろうが!!」

時津にとってその公安官の笑いは自分のことを馬鹿にしているようにみえたのだろう。

 だが、それでも公安官はその時津に対しさらに尋ねてきた。

「ところで、そのかもめってなんのかもめのことを言っているのかな?」

この言葉に時津はさらに馬鹿にされているのだと思ったのか、こんなことを公安官に言ってしまう。

「鳥のことに決まっているだろうが!!」

この時津の言葉にその公安官はさらに、

「ハハハ」

と笑うしかなかった。むろん、時津は言わせたら、

「なんで俺のことをさらに馬鹿にしたんだ!!いいかげんにしろ!!」

と完全にキレたかのように公安官のことを叱りつけた。

 だが、それこそ、公安官のねらい目だった。その公安官は笑いをこらえるとともに、

「言っておくが、私の言っている「かもめ」はな、「かもめ」は「かもめ」でも、885系かもめのことを言っているんだよ!!」

この言葉に、時津、

「はっ!!」

とあっけにとられるもすぐに反論した。

「言っておくが、885系だとしてもそれは関係ないんだろうが!!」

むろん、その公安官も鳥のかもめなのか、885系かもめなのか、そんなことは言っていなかった。

 だが、しかし、公安官はその時津に対しこんなことを言ってきた。

「でもね、私は鉄道公安官、あなたは鉄道評論家、なら、鉄道の話がまず出てくるのが職業病じゃないのかな?」

まぁ、これについては人それぞれなのだが、たとえそうだとしてもある意味当たっているのかもしれない、たぶん・・・。そのためか、時津、

「うぅ・・・」

とうなるしかなかった。

 そして、公安官はその時津に対しこんな説明をした。

「885系の車体は白い、だから、「白い」かもめと言われているんだ、885系はな!!」

たしかに公安官の言っていることは当たっていた。885系かもめ、別名を「白い」かもめと呼ばれていた。これは國鉄(JR)も認めた正式名称であり、九州に住む人は885系かもめを「白い」かもめ、と普通に呼んでいた。ちなみに、885系のまえに走っていた485系は赤い車体だったため、「赤い」かもめ、787系かもめのことを「黒い」かもめ、と呼ぶこと、783系ハイパーサルーンで運行していたかもめのことをハイパーかもめと呼んでいたこともあった。なお、「白い」かもめという名称が出てきたころ、時津のように鳥のかもめのことを連想してか、「白い」かもめのことを言っているのにも関わらず、「かもめが白いのは当たり前だ!!」と言う人が続出していたものである。

 とはいえ、「白い」かもめについてまったく違ったことを言ってしまった時津を見て公安官はこう断言した。

「時津さん、あなたは偽物の評論家ですね。そして、783系で殺された人こそあなたの真の主人であり、時津さん、あなたがその人を殺したんです!!」

これには、時津、

「そ、そんなのは関係ないだろうが!!俺はちゃんとした評論家だ!!それに、人なんて殺していない!!」

と動揺しつつも怒りをにじませていた。

 だが、公安官の話は続く。

「時津さん、あなたはあなたが長崎に行くときに乗っていた885系かもめの1本前の783系かもめに乗って被疑者を殺した後、肥前鹿島駅で885系の白いかもめに乗り換えたんだ!!」

この公安官の言葉に、時津、さらに動揺したのか、

「そ、そんなの、関係ないだろ!!俺はちゃんとその白いかもめに乗って来たんだ!!」

と反論してみせた。

 ところが、その時津に対し公安官はこう言った。

「時津さん、あなたの犯行を裏付ける証拠ならあります!!」

すると、時津、

「そんな証拠なんてないはず!!」

と言うとその公安官はその証拠を突きつけた。

「証拠は2つあります。1つはテレビ局のプロデューサーからの証言。あなたとの電話連絡のとき、「

肥前山口~、肥前山口~、ここで「みどり」「ハウステンボス」を・・・」

という音声が聞こえた、と答えてくれました。これはあなたが783系かもめに乗っていたことを裏付けるものなのです!!」

その証言に時津は噛みつく。

「そのどこに証拠があるんだ!!」

 すると、その公安官はすぐにその証拠を提示した。

「それは簡単です。783系は「3階建ての列車」だからです!!」

ただ、これには、時津、びっくりする。

「おいおい、あの「サンライズ」みたいな2階建て車両じゃないんだぞ!!それどころか、あの(上中下段の寝台のある583系のような)寝台電車でもないんだぞ!!」

だが、そんな時津の言葉に公安官は屈せずにあることを言った。

「そんな2階建ての列車のことではありません。多層建て列車のことですよ」

多層建て列車、それはある列車が始発駅から終着駅まで運転する区間に異なる始発駅の列車や異なる終着駅の列車と相互に分割併合しながら運転する列車のことを差している。ちなみに2つの列車に分割するものを「2階建て」という。そして・・・、

「そして、ここ九州では「かもめ・みどり・ハウステンボス」の「3階建ての列車」がみれるのです」

そう、ここ九州では1992年から2011年まで、長崎に行く「かもめ」、佐世保へ行く「みどり」、ハウステンボスに行く「ハウステンボス」、この3つの列車の分割併合した「3階建ての列車」が運転していたのである(今はもうないが、「みどり・ハウステンボス」の2階建て列車はまだ存在する)。

 さらに、公安官はこんなことを言ってきた。

「その「3階建ての列車」を運転しているのが783系なのだ!!」

そう、この「3階建ての車両」に充当されているのが783系だったのである。「3階建ての列車」導入当初は485系が充当されていたのだが、2001年以降、その列車には783系が充当されるようになったのである。まぁ、そのために783系の中間車を切妻貫通型の先頭車に改造したのですがね・・・。

 この公安官の言葉に時津はすぐに、

「ぐぐぐ・・・」

と悔しい顔をみせるも公安官は、

「それこそあなたが783系かもめに乗っていた証拠です!!」

と自信たっぷりに答えていた。

 さらにさらに、公安官のターンは続く。続く2つ目の証拠を公安官はみせる。

「そして、被疑者の手の指の爪からあなたの皮膚の断片がみつかりました」

そう、被疑者の手の指の爪から見つかった皮膚みたいなもの、それはこの時津の首の皮膚の断片だったのだ。これには、時津、

「でもどうやってそれがわかったんだ!!」

と言うと公安官はこう言ってきた。

「実は被疑者の正体がわかったあと、すぐに被疑者の家を捜索したのです。そして、出てきたのです、あなたの髪の毛がね。だから、それをDNA鑑定した結果、あなたのDNAと被疑者の爪に残っていた皮膚の断片のDNAが一致したのです」

この公安官の言葉に、時津、ついに白旗をあげた。

「う~、ここまで調べられるとは・・・。もう言い逃れできない・・・」

 

 その後、公安官は時津に対してあることを尋ねた。

「でも、どうして被疑者を殺したんだ?」

 すると、時津はその理由を話してくれた。

「俺はあいつ(被疑者)の影武者だったんだ。俺はあいつの指示を通じて鉄道評論家としてこれまでやってきたんだ。ただし、いつもは俺が仕掛けたマイクでもって音をひろい、あいつがそれを俺に指示をだして指示通りに答えていたんだ。でも、それでも給与は低かった。だから、俺はあいつに対して給与を上げてほしいとお願いしたのだがそれを断られてしまったんだ。だから、あいつと一緒に783系のかもめに乗って長崎に行く途中、あいつを列車のトイレで殺し、肥前鹿島駅で885系かもめに乗り換えたんだ・・・」

 ただ、これには、その公安官、時津に対してきびしく断罪した。

「たとえそうだとしても人を殺すことはいけないことなんだ!!それがたとえ自分のためであってもな!!」

この公安官の言葉に時津はただ、

「・・・」

と無言になるしかなかった・・・。

 

「・・・ということなんだ」

と南はその伝説の公安官の話を終えるとルビィは、

「ところで、その伝説の公安官って誰のことなの?」

と尋ねてみる。たしかにそれについては誰なのかちょっと気になるところなのだが、とうの南はというと・・・、

「さて、それは誰なのかわからないんだ」

と言うも、三輪はただ、

にこっ

と笑っていたのであった。

 と、ここで、曜は南にある質問をした。

「ところで、なんで今になってそのことを話したわけなの、南さん」

そう、なんで今になって長崎のかもめの話をしてきたのか。それについて南はこう理由付けた。

「あっ、それはなぜかって?それはね、ここ数年で長崎を含めたに九州の鉄道網が大幅に変わってしまうからなんだよ」

これには、ルビィ、

「ぇつ、大幅に変わってしまうの?」

と言うと高山も、

「あぁ、たしかに変わるんだ、大幅にね」

のそのことを認めていた。そのためか、曜、ルビィ、ともに、

「えっ、一体どうなるわけ・・・」(曜)

「ルビィ、それを想像できない・・・」(ルビィ)

と唖然となってしまった。

 そんな2人に対し三輪はやさしくそれについて話始めた。

「まぁ、その理由は長崎の新幹線、西九州新幹線が関連することなんだよ」

そう、ついに2022年9月23日、西九州新幹線が開通するのである。

 

 と、ここから現実の話をしよう。2022年9月23日、に西九州新幹線が開通するのと同時に西九州における鉄道網は大幅な変更が行われるのである。まず、今のかもめは廃止となり、西九州新幹線のかもめ(+リレーかもめ)が運行を開始することになった。ただ、それだとこれまで肥前鹿島まで来ていた特急がなくなる、ということで博多~肥前鹿島間などで特急「かささぎ」が運行するようになる。また、佐世保線を走っている特急「みどり」の一部が885系に置き換わるのと同時に武雄温泉~佐世保~長崎~佐賀に観光特急「ふたつ星7074」がレビューする。ただし、この列車はある観光特急をリニューアルしたものなのになるのだがその話はあとにするとして、新幹線開通にあわせて、長崎本線肥前浜~諫早~長崎間は非電化となる。そのため、長崎地方は一部を除いて気動車大国になってしまうのである。また、それにあわせて肥前山口駅の名前が江北駅へと変わってしまう。それくらい西九州の鉄道網は9月23日を境に大きく変わってしまうのである。

 ただ、このとき(2019年)の段階ではそのことはわからないため、どんなに変わるのかわからないものの、曜とルビィにとってみれば、

「新幹線が開通するんだね!!なんかすごそう!!」(曜)

「なんかかっこいい感じがする!!」(ルビィ)

と目をきらきらさせていた。

 だが、南はそんな2人に対してこんなことを言った。

「でもね、西九州新幹線開通によって人々の生活も変わってしまう、いや、生活そのものが大きく変わってしまう、そのことは必ず気にしないといけないんだぞ」

そう、今回、西球種新幹線は開通するのは武雄温泉~長崎間のみであり、残る新鳥栖~武雄温泉間は地元佐賀での反対もあり進んでいなかった。それくらい新幹線開通というのは人々の生活そのものを、いや、地域経済そのものが変わってしまう、それくらいのものなのである。そのことを忘れないでほしい。

 とはいえ、新しい新幹線開通によって変わる未来、それを想像しては、曜、ルビィ、ともに、

「なんかときめいてしまう・・・」(曜)

「うん、ルビィ、長崎でときめきたい!!」(ルビィ)

とこれからの長崎にときめきを求めようとしていた。

 

 その後、曜とルビィは南と高山、ヨハネたちと一緒に阿蘇地方へと旅立っていった、そのベテラン公安官の三輪と速水に別れを言いながら・・・。

「さようなら、三輪さん、速水さん・・・」(曜)

「さようなら、2人とも・・・」(ルビィ)

そんな曜とルビィを見ながら三輪と速水はこう思っていた。

(あれが新しい日本を築いてくれる少女たちなんだね。頑張れや、曜ちゃん、ルビィちゃん!!)(三輪)

(これからも新しい日本を背負ってくれよ、曜ちゃん、ルビィちゃん)(速水)

その2人から見える景色は曜とルビィの新しい未来への祝福だったのかもしれない・・・。

 

~かもめは「白い」?~ 完 & To be contuned

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