曜とルビィの事件簿~復活のA~
「曜ちゃん、ルビィちゃん、ごめんけど、(「Happy Party Train」のPVの舞台となる)大分九重の豊後森機関庫の下見に行って!!」
突然の(曜のいとこで静真高校生徒会の生徒会長である)月のお願いで九州に行くことになった曜とルビィ。新生Aqours・・・というか、今起きているAqours人気に押されてか、Aqoursとしての新曲「Happy Party Train」(略称ハピトレ)、そのPVのロケ地になる大分玖珠(くす)の豊後森機関庫の下見に行ってほしいと月にお願いされての旅だった。
で、せっかくの九州旅行ということで、
「ねぇ、曜ちゃん、なんかとても安い切符があるんだけど、これで九州を旅行しようよ」(ルビィ)
ということで、期間限定で九州北部の國鉄乗り放題(2日間)で5000円の「みんな九州きっぷ」を使ってルビィと曜は北部九州の列車の旅を満喫することになった。
のだが・・・、
「曜ちゃん、ごめんなさい・・・」
と、ルビィ、なんか曜に謝っていた。で、ルビィは続けてこう言った。
「「ゆふいんの森」号に乗って豊後森で大きなSLに驚いちゃったんだよね・・・」
そう、まずは、曜とルビィ、博多から「ゆふいんの森」号に乗って豊後森に到着するとその近くにある(新曲「ハピトレ」のPVのロケ地)豊後森機関庫で大きなSLを見てびっくりしつつもちゃんと下見をして多くの写真を撮ってきた・・・のだが・・・、
「それで意気揚々と別府まで来て、「あそぼーい」に乗っちゃったところまではよかったのに・・・」
と、ルビィ、突然言葉を濁してしまう。特急「あそぼーい」、九州の中央部を東西に貫く鉄道路線、豊肥本線の別府~熊本間を走る観光特急である。列車デザインで有名な水戸海デザインの列車であり、3号車にはファミリー向けで親子が座れる「くろちゃんシート」や子供が遊べる木のプール、そして、ミニビュッフェが併設されている個性的な観光特急でもある。國鉄九州総局はこれ以外にも、「ゆふいんの森」号、「海幸山幸」号をはじめとする各種観光特急を走らせており、それらを称して「D&S特急」といっている。「あそぼーい」はその「D&S特急」の代表格ともいわれている特急だ。そして、「あそぼーい」にはもう一つ特色がある。それが・・・、
「せっかく、(見晴らしのいい)パロラマシートを取ることができたのに・・・」(ルビィ)
そう、列車の両端がパロラマシートになっているのだ。「あそぼーい」のパロラマシート、それに似ている列車と言えば小田急のロマンスカーである。そのロマンスカー並みのパロラマシートがこの「あそぼーい」にも設置されているのだ。そのパロラマシートに座れば阿蘇の雄大な自然を目の前で感じることができる・・・のだが・・・、
「でも、ルビィ、間違えて後端のパロラマシート、予約しちゃった・・・」(ルビィ)
そう、ルビィ、なんと間違えて後端のパロラマシートを予約してしまったのだ。両端にパロラマシートがあるのだから先端もあれば後端もある。阿蘇の雄大な自然を目の前で感じることができるのだが、後端だと流れていく阿蘇の自然を見ていくことになる。人としては爽快に走っている感じがする先端を好む傾向があるため、どうしても先端のパロラマシートに人気が集中してしまう。なので、先端のパロラマシートはすぐに予約が埋まってしまうものなのである。で、ルビィ、先端のパロラマシートを予約できた、と思っていたのだが、実際に乗ってみれば、先端のパロラマシート、ではなく、後端のパロラマシート、を予約していたことに気づいてしまった・・・ということである。そのため、せっかく先端のパロラマシートに座って阿蘇の雄大な自然のなかを颯爽と走っていく、そんな感動体験を楽しみにしていた曜にルビィは自分のミスでそれができなくなってしまったことに謝っていたのである。これには、曜、
「いや、別にそれはいいよ。後端は後端で楽しみ方が絶対にあるはずだから・・・」
と、ルビィを慰める。たしかに曜と言う通り後端は後端で別の楽しみ方があるのだが、それでも、ルビィからしてみたら自分のミスによって曜に迷惑をかけた、そんな気持ちでこのときはいっぱいであった。
だが、悪いことは続くものである。さらに、ルビィ、曜に謝ってしまう。
「それに・・・、まさか大雨で立ち往生しちゃうなんて・・・。本当に、曜ちゃん、ごめん!!」
そんなとき、「あそぼーい」の車内では車掌からのこんなアナウンスが聞こえてきた。
「お客様にご連絡いたします。阿蘇地方大雨のため、ただいま、当列車は立野駅で・・・」
なんと、阿蘇地方突然の大雨のため、スイッチバックで有名な立野駅で「あそぼーい」は立ち往生していたのだ。どうやら近くの雨量計が規定以上の雨量を観測したため、「あそぼーい」、立野駅で運行を一時休止しているようだ。
で、これによって曜とルビィに大変なことが起きていた。それは・・・、
「それに・・・、まさか、大雨で列車が止まるなんて・・・。あぁ、曜ちゃんがせっかく楽しみにしていた特別なSLを見に行けなかったよ・・・」(ルビィ)
そう、なんと、ルビィと曜はこのあと特別なSLが熊本駅に到着する様子を見に行く予定だったのだ。その特別なSLとは・・・、それは・・・、
「でも、ルビィちゃん、それは仕方がないよ。それに、ここでワンセグで見ればいいだけのことだしね」(曜)
と、曜はそう言うと自分のスマホでワンセグのアプリを起動させるとそのスマホの画面には前面に「∞」のプレートをはめた大きなSLが映っていた。その映像に合わせてなのか、スマホから、
「ここ熊本駅にはSLを見に多くのお客さんが来ております。あの大人気漫画「オルグ・ソード」、その映画公開に合わせて、博多から熊本まで走ってきたSL「無限大」号がついに熊本駅に到着しました!!なんていう迫力なんでしょうか!!」
と、地元テレビ局の女子アナの声が聞こえてきた。SL「無限大」号、あの週刊少年シャンプに掲載されていた大人気漫画「オルグ・ソード」、そのなかで1番人気があったストーリー「無限大列車編」、それが今度映画化されたのにあわせて國鉄九州総局が企画した特別なSLだった。通常は熊本~人吉間を走るSL人吉号をこの映画に合わせて博多→熊本の片道だけ走らせたのだが、あまりの大人気漫画、そこに出てくるSLが走る、ということもあり、発売1秒で全席売り切れになるくらいとても人気のある特別なSLだった。そして、kのお漫画に出てくる「無限大」号みたいにSLの先端には無限大を表す「∞」のプレートがつけれられていた。それを曜は熊本駅で見たかったのである。
で、本来なら「あそぼーい」が熊本駅に到着してからSL「無限大」号が到着するため、曜とルビィは余裕でSLを見ることができたもの、突然の立ち往生によりSL「無限大」号を見ることができなかったのである。これには、ルビィ、
「曜ちゃん、本当にごめんね」
と、曜にもう一度謝るも、曜、
「別に大丈夫だから、ルビィちゃん、心配しないでね」
と、謝るルビィをなだめていた。
そんな曜であったが、突然、
「あっ、でも、もしここに千歌ちゃんがいたらがっかりするよね」
と言うとルビィも、
「うん、たしかにそうかもね・・・」
と、曜の言葉にうなずいてします。実は本当は千歌も曜とルビィと一緒に旅する予定だったのだ。月は、
「ねぇ、曜ちゃん、ルビィちゃん、千歌ちゃん、ちょっとお願いがあるのだけど・・・」
と、最初、この3人に九州での下見の旅をお願いしようとしていたのだが、なんと、千歌から、
「あっ、月ちゃん、ごめんね。実は今度の(「ハピトレ」の)PVのためにちょっと行く場所があるの・・・」
と、突然断りの言葉が出てきたのだ。これには、月、おどろいたものの、千歌の言うことだから、ということで曜とルビィだけで下見に行ってもらうことになったのだ。そのためか、曜、このとき、こう考えてしまう。
(千歌ちゃん、今頃何しているのかな?今度のPVのためって言うけど、何をしに行くのか、私に言ってもらえたらよかったのに・・・)
そう、千歌はあの一番仲がいい曜ですらなにをしに行くのか教えてくれなかったのである。これには曜も、
(千歌ちゃん、大丈夫かな?)
と、千歌のことを心配そうに思っていた。
とはいえ、千歌の心配・・・より今の状況の方が心配、ということで、ルビィ、
「でも、いつになったらこの列車は動くのかな?」
と、心配そうに言うと、曜も、
「雨が止むまで、じゃないかな・・・。でも、早く動いてくれたらいいね」
と、運行再開を切に願っていた。
そのときだった。ルビィと曜の後ろに座っていた男女が突然こんなことを言いだしてきた。
「南、このままだとこの列車で一晩を過ごすことになります!!なんとかできないのでしょうか」
と、若い女性が言うと、南と呼ばれた若い男性は、
「梶山、こればかりは俺にもどうすることができない。雨が止むまれ待つしかないな」
と、諦めの表情。どうやらこの男女、一緒に旅行にきているみたいだtった。そのためか、曜、
(ありゃ、このペアカップル、なんか大変そうだね・・・)
と、2人のことがちょっと心配になる、というか・・・、
(でも、このペアカップルって仲がいいのか、仲が悪いのか、わからないや)
と、そのカップルのことがちょっと気になるみたい。だって、ルビィと曜が別府からこのパノラマシートに座っているのだが、このペアカップル、そのときから曜とルビィの後ろに座っていたものの2人のあいだでは会話をしているかと思えばあんまり盛り上がっていなかったし、どちらかというとずっと黙っている、そんな感じだった。
そんな2人に対し、曜、ついに動いてしまう!!、
(あっ、でも、友達になれたらなんか楽しい気がする・・・)
と、いつも前向き思考の曜らしくそう考えると、なんと、この2人に声をかけることに!!
「このままじゃ任務に支障が・・・」
と、時間を気にしている梶山という女性に対し、
「あっ、なんか困っている様子だね!!」
と、曜、突然声をかけてしまう。すると、梶山という女性は、
「あっ、これは、これは、恥ずかしいところをお見せしてすいません」
と、曜に対しつい謝ってしまう。これには、曜、
「いやいや、大丈夫ですよ!!」
と、易しく答えた。
このあと、南という男性とルビィを交えて4人で自己紹介!!
「私の名前は渡辺曜!!全速前進、ヨ~ソロ~!!」
と、曜が自己紹介するとルビィも、
「ルビィは黒澤ルビィと言います。よ、宜しくお願いいたします!!」
と、少しビビりながら言うと、南という男性も、
「あっ、ルビィちゃんと言うのか」
と言うと、ぼそっと、
「ということは、ルビィちゃんってあの・・・」
と言ってしまう。これには、ルビィ、
「え~と、たしか南さんとは初対面じゃ・・・」
と、つい指摘してしまうと、南という男性はすぐに、
「あっ、ただの独り言です!!」
と、なにかをごまかそうとするも、
「そうかな・・・」
と、ルビィ、南という男性を怪しむ。
だが、そんなとき、隣にいた梶山という女性から、
「さてと、今度は私たちが自己紹介するね!!」
と、さっさと話題を変えると、
「私の名前は梶山真由美といいます。よろしくね!!」
と、梶山こと梶山真由美が自己紹介すると、
「ほら、南も自己紹介しなさい!!」
と、南のわきのところを突っつくと南という男性も、
「俺の名は南達仁といいます。以後お見知りおきを」
と、ぶっきらぼうに言うと、ルビィ、
「あれっ、南ってどこかで聞いたような気が・・・」
と言うも、南という男性こと南達仁はいきなり、
「それはそうだな・・・、あっ、音ノ木坂の理事長の名とそっくりだろ!!」
と、言い訳?じみたことを言うと、ルビィ、
「あっ、たしかにそうかも!!」
と、μ'sの出身校である音ノ木坂の理事長の名前が南であることに気づきつい納得してしまう。これには、南、
「ほっ」
と、なんとかごまかせた?、そんな感じで息をついた。
だが、南と梶山の2人を見てか、曜、
「あっ、もしかして、2人とも、カップルで旅行中?」
と、2人の関係性を尋ねると、2人そろって、
「「それはないです!!」」
と、完全否定してしまった。
その後、歳も近い?ということもあり4人は楽しそうに会話を楽しんでいた。そんなときだった。突然、後ろの方から、
「ぜひともあれを復活させてください!!」
という中年の男の声と、
「それはできない!!」
というひげを生やした男の声、そして、
「あなた、県議さんの言う通りだからもうやめましょう」
という女性の声が聞こえてきた。これには、南、
「はて、誰かな?」
と、ちょっと気になる様子。
だが、その3人組はそのままパロラマシートのある部屋に入るなりそのまま南と梶山が座っている座性の後ろの座席に座ってしまった。ただ、座った後でも、
「ぜひともあれを復活させてくれたら・・・」
と、中年の男のほうが言うとひげを生やした男は、
「それはほうできない」
と、中年の男のいうことを完全否定していた。
そんななか、梶山、2人の男に付き添っている女性に対し、
「あの~、ちょっと静かにしてほしいのですが・・・」
と、お願いをすると、その女性は、
「あっ、ごめんなさい」
と、梶山に謝ると、請願している中年の男性に対し、
「あなた、ここでは控えてください!!」
と、注意すると、南たちのことを気にしているのか、
「あっ、すまない・・・」
と、中年の男性、黙ってしまった。
だが、これによって、
(あ・・・、なんか気まずい雰囲気になってしまった・・・)
と、曜が思ってしまうくらい場の空気が白けてしまった。むろん、ルビィも、
(こんな空気嫌だよ!!早くなんとかしないと・・・)
と、思ったものの、
(でも、ルビィじゃ、この空気、変えることができないよ・・・)
と、半場諦めモードになってしまう。
そんなときだった。
「ちょっとお聞きしたいのですが・・・」
と、南、大人3人組に対して言うと、
「お名前を聞かせてくれませんか?」
と、なんと名前を尋ねてしまったのだ。
だが、これにはひげを生やした男性から、
「たしかにここで出会ったのも何かの縁、ここは自分の名を名乗らないといけないな!!」
と、まずはひげを生やした男性から名前を名乗ることとなった。
「私はここ熊本で県議をしている千里と言います」
ひげを生やした男こと県議の千里はこう言うと、名刺を南と梶山、曜とルビィに渡した。その名刺には「熊本県議 千里」と書かれていた。これには、南、
「ほほ、熊本県議でしたか・・・」
と、千里の風貌を見て納得の表情。いかにも県議みたいな風貌だった。
そして、女性も自分の名前を名乗った。
「私の名前は本渡かえでといいます。で、こちらが私の夫で本渡武といいます」
と、中年の男性こと武に連れ添っていた女性ことかえではそう言うと、そのかえでの隣にいた武は、
「ふんっ、あんな男(千里)と仲良しごっこするために一緒に来たんじゃないわい!!」
と、少し怒りっぽい表情に。これには、かえで、
「あなた、今はほかの方もいらっしゃいますよ・・・」
と武に注意すると、武、
「ふんっ!!」
と、ちょっとすねてしまった・・・といいつつもこのままだとまた場が白ける、ということで、武、すぐに、
「おいっ、おまえ、あれを用意しろ、あとで2人で食べる予定だったクッキーをな!!」
と、かえでに言いつけるとかえでも、
「はい、はい、わかりました・・・」
と、席をはずしては自分たちの座席に戻っていった。どうやら2人で食べるはずのクッキーを用意しているみたいのようだ。
かえでがクッキーを準備しに後ろに下がっているあいだ、南は武に対しこんなことを尋ねてみた。
「ところで、武さんとかえでさんはご夫婦なんでしょうか?」
これには、武、
「たしかにその通りだ。この30年ちかくあいつと一緒に暮らしてきた。で、今日、たまたまこの「あそぼーい」の席が取れたから2人で乗ったってことだ!!」
と、元気よく答えると、その横から千里が、
「私は「あそぼーい」がどんな様子か知りたくてな、まぁ、これまで豊肥線は熊本地震の影響でここ2年ばかり不通だったのだが、ようやく復旧したからな、ちょっと様子を見に来たまでよ!!」
と、威張りながら答えた。でも、千里の言うことももっともである。豊肥線はこれまで熊本地震の影響でこの2年間不通が続いていた。が、今年ようやく復旧できたのである。それにあわせてこれまで熊本~宮地間で運用していた「あそぼーい」が別府まで延伸することとなった。この2つがあってか、「あそぼーい」、豊肥線復旧のシンボルとして全日満席になるくらい人気になっていたのである。
なのだが、ここにきて、武、千里にくってかかる。
「だからこそ、あれを復活させろ!!」
ただ、それに対し、曜、こんなことを武に尋ねる。
「ちょっと気になったのだけど、あれってなんなのですか?」
これには、武、それについて話そうとする。
「それはなっ、昔、ここを壮大にな・・・」
が、そんなときだった。
「あなた、用意ができましたわ」
と、かえでが戻ってきた。その手には市販のクッキーの筒を持っていた。
ところが、その筒を見て、千里、突然こんなことを言いだしてきた。
「おいっ、それだけはやめてくれ!!お、俺は市販のクッキーは食べれないんだぞ!!」
これには南から、
「えっ、千里さん、どうしたのですか?」
と、千里になにがあったのか千里に尋ねてみる。すると、千里、
「じ、実は、俺、重度の小麦アレルギーなんだ!!」
と、なにかにおびえるように答える。そう、千里、重度の小麦アレルギー持ちであった。そのためか、千里、
「俺はうどんやパンなどが食べれないんだ!!もちろんクッキーもだ!!」
これには、南、
「そ、それじゃ、あのおいしそうなクッキーを食べられないなんて・・・」
と、ちょっと哀れみながら言う。とはいえ、確かに小麦アレルギー持ちなら仕方がなかった。小麦アレルギー持ちなら小麦で作られたパンやうどんはおろか小麦で作られたクッキーすら食べることなんてできない。小麦で作ったものを食べると最悪の場合死にいたるケースもあるから・・・。
だが、かえでから意外な言葉が飛び出してきた。
「あら、それなら大丈夫ですよ。だって、このクッキー、米粉でできていますから」
かえでがそう言うとまるであらかじめ用意していた大皿にどこかのCMのお手本みたいに筒から順番通りにクッキーを並べた。で、曜、そのクッキーを食べてみると、
「うわ~、おいしい!!これ、米粉でできているって信じられないよ!!」
と、目をキラキラさせながら言うと、かえで、
「私もね重度の小麦アレルギー持ちなのです。だから、小麦については十分注意しているつもりですよ」
と、米粉で作ったクッキーを食べながら言うと武も、
「俺もこいつが小麦アレルギー持ちだからその点はとても注意しているだぜ!!」
と、笑いながら答えていた。
そんななか、ルビィがクッキーを見てあることに気づいたのかこんなことを言いだしてきた。
「でも、なんか普通の(市販の)クッキーに似ているみたい・・・」
そう、かえでが作った米粉のクッキーであるがなんか市販されている小麦由来のクッキーとそっくりなのだ。で、それについて、かえで、こんなことを言った。
「それはね、武さんが市販されているクッキーに似せたら、と言われたからです」
どうやらかえでが作った米粉由来のクッキーが市販されている小麦由来のクッキーに似ている理由は、夫である武の指示である、ということみたいだった。まぁ、小麦由来のクッキーと似せて作ったら誰もが米粉由来のクッキーと知らずに食べるだろう・・・なのかもしれない。
とはいえ、その米粉のクッキーであるが、ルビィ、あることに気づく。
「それにしても・・・、かえでさん、たくさんありすぎる気が・・・」
そう、当初、「夫と2人で食べるつもりで持ってきた」にも関わらず米粉のクッキーがなんと30枚以上あったのだ。これには、かえで、
「た、たしかにそうですね。まぁ、もとから親しくなった人たちと食べることも想定していましたからね」
と、言うとともに、
「でも、私、こんなに作ったかしら・・・」
と、首をかしげる仕草すらした。これには、南、
「・・・」
と、なにか気になっている様子だった。
そんななか、突然武がクッキーの入った皿を掴むと県議である千里に対し、
「まぁ、この場はかわいい客人もいるし、一時休戦、という意味でこの米粉クッキーを食べて心を落ち着かせましょう」
と、クッキーを進めると千里も、
「たしかにそうだな」
と、千里の目の前にあったクッキーを手に取って食べることにした。そして、そんなこともあってか、ルビィも、
「ルビィも、クッキー、食べる!!」
と、武が手に取ったクッキーの横にあったクッキーを手に取った。
そのときだった。南、千里とルビィが手に取ったクッキーを見てあることに気づく。
(あれっ、なんでクッキーに赤い点がついているんだ?)
そう、2人が手に取ったクッキーの下に赤い点が一つだけついていた。で、自分が手に持っているクッキーの下を見ると、なんと、
(このクッキーには赤い点がない・・・)
ということに気づいてしまう。南、そのことから、
(なんで千里さんとルビィちゃんが持っているクッキーには赤い点があるのに俺が持っているクッキーには赤い点がないんだ・・・)
と、ふと気になってしまった。いや、それだけじゃない。南、
(それに「たくさん作りすぎたかしら」というかえでさんの言葉。なにか裏がありそうだ・・・)
と、いろんなものに対してうたがり深くなる性格の南からしたら、これはきっと裏がある、そう思えてくるみたいだった。
とはいえ、楽しくクッキーを食べようとしている千里とルビィを見て、むげに食べるのをやめさせようとしたらしのびない、ということで、南、
(これについては触れないでおこう)
と、それについては心の底にしまうことした。
だが、ここでなにか起きてしまった。手に取ったクッキーを千里が、
「あ~ん」
と食べて、
「う~ん、おいしいなぁ」
と、クッキーの感想を言うとルビィも、
「うん、おいしい!!」
と、元気そうに感想を述べた。それに気をよくしたのか、武、
「さぁさぁ、千里さんも、クッキー、たくさんありますからどんどん食べてください」
と、クッキーをさらに進めると千里も、
「それじゃもらおうか」
と、そのクッキーをさらに食べることに。千里、またもや千里の目の前にあったクッキーを取ってみる。
だが、千里が手に取ったクッキーにはまたもや赤い点があった。これには、南、
(なんでまた赤い点がついたクッキーがあるのかな?)
と、クッキーについた赤い点がまたもや気になる様子。むろん、ルビィが次にとったクッキーにも赤い点がついていた。ただ、ルビィはたまたま?千里が取ったクッキーの横にあるクッキーを取ったにすぎないのに・・・。
とはいえ、こんなにおいしいクッキーを食べる機会なんてあまりない、と思ったのか、南、
(まぁ、そんなことをいちいち気にしていてもしょうがない。ここはおいしいクッキーを食べることにしますかね・・・)
と、思ったのか、もう一つクッキーを手に取ろうとしていた。
が、そのときだった。突然、武から、
「このクッキーですが、今現在立ち往生しておりますし、いつこの雨が止むのかわかりません。ここはひとつあとのお楽しみとしてとっておきましょう」
という言葉が出てくると、梶山、
「え~、もっとクッキーが食べたいよう~」
と、クレームを武にいれる。しかし、そんなクレームに対し、武、
「もしかするとここで一晩ってこともありますからね。そのためにとっておくのです」
と、もっともな意見を言ってしまう。今現在、南たちがいる「あそぼーい」は大雨のために立野駅で立ち往生している。今のところ、ここから脱出する手段なんてあまりない。この大雨を過ぎるのを待つしかないのだ。ただ、この大雨がいつ止むのかわからない。一晩をこすことだって考えられる。なので、今食べているクッキー、そのための非常食として考えると小麦アレルギーを持つ2人がいる限りうってつけのものだった。そんなわけで、かえで、
「武さんの言うことだからね・・・」
と、クッキーを筒のなかになおしてしまった。
その後、南、梶山、曜、ルビィ一行は千里、楓、かえでを含んで楽しい会話を繰り広げていた。曜、ルビィのスクールアイドル活動についてや南、梶山の身の上話など。
しかし、クッキーを筒になおしてから数分後、千里に異変が起きる。突然、千里、
「うぅ、唇がひりひりすう・・・」
という声とともに体中に発疹みたいなものが出てきてしまった。しまいには、
「うぅ、く、苦しい・・・」
という言葉とともに体をうずくませてしまった。そのときの千里の呼吸状況だが、なぜか「ぜーぜー」「ヒューヒュー」という風切り音みたいなものになっていた。これには、かえで、
「キャー」
と、突然その場でうずくまった千里を見て悲鳴をあげると、ルビィも、
「お、おじちゃん、おじちゃん、大丈夫!!」
と、びっくりしつつも千里のことを気にかけることに。突然の千里の異変にパロラマシートの部屋のなかはパニック状態になる。もちろん、曜も、
「こ、これは大変!!救急車、呼ばないと!!」
と、あわてしまう。
だが、パニック状態になる部屋のなかで冷静になる者が2人いた。それは、
「みなさん、落ち着いてください!!」
と、まわりを一喝する南、さらには、
「千里さん、大丈夫ですか?」
と、うずくまった千里に近づき千里の容態を確認する梶山。すると、梶山、
「これは・・・、南、あれですね・・・」
と、南に対して言うと、南も、
「あぁ、たしかにそうかもな」
と、梶山の言葉に激しく同意する。どうやら2人とも千里の身に起きた異変の原因を知っているみたいのようだ。これには、曜、
「南さん、千里さんがおかしくなった原因、わかったのですか?」
と、南に尋ねる。これには、南、
「あぁ、この症状からだいたいのことがわかった」
と応えると、すぐに、
「でも、まずは(千里さんに対する)応急処置が必要だ!!」
と言っては次に真剣な表情をしながらある謎めいた言葉を発した。
「おいっ、だれか「エビペン」をもってきてくれ!!」
「エビペン」?まったく聞いたことがないフレーズに、ルビィ、
「「エビペン」?」
と、頭のなかでハテナマークを浮かべてしまう。むろん曜もである。
だが、「エビペン」というフレーズに反応したのか、かえで、すぐに、
「「エビペン」ですね!!それだったら私がもっています!!」
と言うと、自分のカバンを自分の席から持ってきては、
「このなかに「エビペン」があります!!」
と言って自分のかばんの中に手を入れて「エビペン」を取り出そうとする。これには、千里、
「うぅ、あ・・・と・・・もう・・・少し・・・で・・・助か・・・る・・・」
と、淡い期待を抱くように言った。
だが、この期待は無残にも打ち砕かれた。かえで、何度も自分のカバンに手を突っ込んでは「エビペン」を探そうとするも見つからず、しまいにはカバンに入っているものlすべてを取り出すも見つからず。これには、かえで、
「あれっ?どうして「エビペン」がないの?私、いつでも使えるように携帯していたはずなのに・・・」
と、パニックになってしまう。これには、千里、
「うぅ・・・、く、苦しい・・・」
と、さらに呼吸困難に陥ってしまう。
だが、そんなときだった。
「千里さん、秘書を連れてきましたよ!!」
なんと、梶山、千里の秘書を連れてきたのだった。梶山は千里を横に寝かせると、もしもの場合に備えて千里の秘書を探して連れてきたのだ。その秘書だが、横になって苦しんでいる千里を見てはこう叫んでしまう。
「せ、千里先生、大丈夫ですか?「エビペン」を持ってきましたよ!!」
そう、秘書の手には「エビペン」と呼ばれる太い筒状の物を持っていた。これを見て、ルビィ、
「な、なんかものすごく太い注射器みたいだよ・・・」
と、「エビペン」を見てびっくりしてしまう。なぜなら、その筒の端から太い針が見えていたからだった。
だが、秘書は千里のズボンを下すとふとももに「エビペン」の針のあるほうを千里のふとももにあてては「エビペン」の上部分を押そうとする・・・のだが、秘書、なにかにおびえているのか、
秘書、なにかあわてたのか、
「う・・・うぅ・・・」
と、うなるだけで押そうとしなかった。どうやら、秘書、突然の千里の一大事ということで知らないうちに秘書自身もパニック状態に陥っているようだった。
そんな秘書を見てか、南、すぐに、
「梶山、すまないが医者がこの列車にいないかすぐに探してきてくれ!!ここは俺がなんとかするから!!」
と、梶山に命令すると、梶山、
「はい、南、わかったわ!!」
と言っては後ろのほうへと言ってしまった。
そして、南はというと、
「秘書さん、その「エビペン」を、はやく」
と、秘書に言うと秘書も、
「はい、わかりました。絶対に千里先生を助けてください・・・」
と、南に「エビペン」を渡した。
南、その「エビペン」を構えるとすぐにその千里のふとももにそれをあてる。これをみて、ルビィ、
「南さん、そんな大きな注射器、使えるの?失敗したら千里さんが大変なことに・・・」と、南のことを心配そうに言うと、南、
「ルビィちゃん、俺はな、こんな緊急事態に対する対応なんて何度も経験してきているんだよ。だからね、ルビィちゃん、心配しないでくれ」
と、ルビィに言い聞かせると曜も、
「ルビィちゃん、南さんのこと、信じよう」
と、南のことを信じようとルビィに言うとルビィも南と曜の言葉に、
「うん、わかった!!」
と、力強くうなずいていた。
そして、南、
(俺はなんどもこんな事態にあってきた。この俺なら絶対に千里さんを守ることができる!!)
と、自分に言い聞かせるように心のなかでつぶやくと、「エビペン」を千里の太ももにもう一度押し当てると「エビペン」を、
「えいっ!!」
とふともも押し付けた。その瞬間、「エビペン」の中にある針は千里の太ももに突き刺すとともに、千里、
「こ、これで、たす、助かった・・・」
と言っては意識が遠のいてしまった。
数十分後・・・、
「ふ~、これでなんとかなるでしょう」
と、偶然「あそぼーい」に乗り合わせた医者を梶山が連れてきては千里に応急処置を施してくれた。そして、医者から、
「あともう少しで「エビペン」を使うのが遅れていたら千里さんの命すら危うかったでしょう。そんな意味でも、南さん、すぐに(千里に)対処していただき本当にありがとうございます」
と、南に対しお礼を言われた。これには、南、
「い、いや~、恐縮です・・・」
と、ちょっと照れてしまった。
だが、医者からこんな不吉なことを言われてしまう。
「とはいえ、私が行ったのはたんなる応急処置でしかありません。できる限りはやく大きな病院に連れて行っては入院しないと、最悪の場合、後遺症が残るかもしれませんね」
これには、曜、
「たしかにそうしたいのだけど・・・、でも、雨がやまないからな・・・」
と、前面のガラスを見る。このときもまだ雨が止まない感じだった。これには、ルビィ、
「いつになったら、この雨、止むの・・・」
と、泣きそうな声をあげていた。
そんなときだった。この状況を打破したい、そう思ったのか、かえで、
「でも、ここって立野駅でしょ。だったら車とかバスを用意すれば・・・」
と、車やバスでこの地を離れることを提案するも、梶山から、
「それはできないとのことです。車掌によるとこの大雨でこの立野駅のまわりの道は通行止め、すべてふさがっているとのことです」
と、絶望的なことを言ってしまった。そう、豊肥線などは復旧したもののそのまわりの道は地震の影響でいまだに復旧工事中だった。そのため、少しでも雨が降るとがけ崩れが起きる可能性もあるためにすぐに通行止めになってしまうのだ。さらに、今年、熊本県内は球磨川が氾濫するくらいの大雨が何度も降っていたため、このあたりの地盤が緩くなっていた。それも現在の通行止めの一因でもあった。
車もだめ、ということで、曜、すぐにこんなことを言いだしてきた。
「なら、救援列車をよんでもらったらどうかな?少し無理してでも来てもらったらいいんじゃないかな?」
救援列車、この曜の提案に、梶山、
「うん、それはいいかもね!!」
と、曜の提案に同意。すぐに、
「そうんとなったら車掌をよんでくるね!!」
と、梶山、そう言っては車掌をよびにいってしまった。
5分後、車掌を連れてきた梶山、すぐに、
「車掌さん、こんな状態で申し訳ないのですが、少し無理してでも救援列車をよぶことはできないのですか?」
と、車掌に尋ねてみた。
だが、車掌の答えは意外なものだった。
「この「あそぼーい」は満席でして、この列車のすべてのお客さまを1度に運ぶだけの列車がないのです・・・。大変申し訳ございません」
そう、この「あそぼーい」、この便もすでに満席だった。なので、この列車だけで百人以上の人がいることになる。その人たちを一度に運ぶだけのかわりの列車を用意するのはとても難しかった。また、このとき、熊本を含めて動ける列車はすべて運転基地から出払っており、すぐに「あそぼーい」の救援に来れる列車がなかったのである。この事実を知るなり、梶山、
「うそでしょう・・・。どうすればいいの・・・」
と、その場でへたれこんでしまった。むろん、ルビィも曜も、
「うぅ、万事休すだよ・・・」(曜)
「もうダメ・・・」(ルビィ)
と、諦めの表情。
そんなときだった。南、ある人の表情を見る。諦めの表情が多い中、1人の男だけ逆に、
「ふんっ、これであいつにも天罰が下るのだ・・・」
と、小言でにやりと笑っていた。これには、南、
(ふ~ん、あいつが犯人なんだ・・・)
と、ふと思うと、すぐに、
「まだ諦めないでください!!あなにかいい案があるはずですよ!」
と、暗くなっているみんなを励ますとすぐに、
「まずは情報収集です。たしか、今は夜の6時だから、ニュース番組が・・・」
と、南、こう言っては自分のスマホを取り出しTVアプリを起動させるとニュース番組をやっているチャンネルにあわせた。このとき、南のスマホに映っていたのは・・・、
「今日、熊本駅に博多から来たSL「無限大」号が・・・」
そう、今日のSL「無限大」号のニュースだった。
で、これを見た南、
「あっ、いいこと、思いついた!!」
と言ってはほかの乗客のこともあることだからということでうしのろ客席に戻っていた車掌を追いかけてパロラマシートのある部屋から出て行ってしまった。
これには、曜、
「なんかいいアイデアでも見つかったのかな?」
と、梶山に言うと、梶山、
「えぇ。もしかすると大変なことを思いついたのかもしれませんね」
と、南に考えがあることに気づいたらしくにやにやしながら言った。ただ、これには、曜、ルビィ、ともに、
「?」
と、頭に?マークを浮かべては首をかしげてしまった。
南はすぐに車掌を見つけるとすぐに、
「車掌、お願いがあるのですが、あの列車を救援に呼ぶことができませんでしょうか?」
と、ある列車を指定してここまで救援に来てもらうことができないかお願いをするも、車掌、
「それだと上の者が・・・」
と、難色を見せていた。
だが、このとき、南にはある秘密兵器があった。南、その秘密兵器を車掌に見せると、車掌、いきなり、
「これは失礼いたしました!!ある任務のために使うのですね!!ちょっと上と掛け合います!!」
と言ってはすぐに車両基地に連絡すると、すぐに、車掌、
「たしかにこのままだとこれからの「あそぼーい」の運用にかかわることになるかもしれません。それに、今、この列車に乗っているお客さま全員を一度に救援できる列車はその列車しかありませんね。なので、すぐにその列車をこの「あそぼーい」の救援に向かえるよう手配しました!!」
と、南が指定した列車をこの「あそぼーい」の救援に向かわせたという報告を南にした。
だが、次の瞬間、車掌は驚いてしまう。それは南のある一言だった。
「それはそうでしょうね。だった、今、「あそぼーい」、車両不具合を起こしているみたいですしね・・・」
これには、車掌、
「えっ、なんでそれを・・・」
と、南に誰にも話していないことを言われて驚いてしまった。事実、今、「あそぼーい」、この大雨で車両に不具合が起きていたのだ。それを南は見抜いていた。なぜなら、
「なぜわかったのか。それはですね、列車のなかで急病人が出た状態のなかで外からここ立野駅への道がすべてふさがれているのにもかかわらず「あそぼーい」を走らせない、大雨規制ではあるがいまは緊急事態、それならこの列車を動かすべき、それなのに動かない、これってこの列車に不具合が起きている、それしか考えられないのですが・・・」
これには、車掌、
「南さんには参りました。たしかにその通りです」
と、南から指摘されたことを認めてしまった。車掌、続けて、
「どうやら車両の一部に不具合が起きているみたいです。その不具合に対して私たちではどうすることもできないのです。専門のスタッフじゃないと対処できません。そのため、この列車を動かせることができないのです」
と、南に正直に話した。
だが、それを見越してのことか、南、こんなことを言いだしてきた。
「なら、今から来る救援列車にそのスタッフを乗せてきたらどうですか?」
南からの突然の提案。これには、車掌、
「あっ、たしかにそうですね!!なら、今からすぐに手配しましょう」
と、すぐに車両基地に連絡、今から来る救援列車にそのスタッフを乗せてもらうよう手配してもらった。
その後、南と車掌はこれからのことについて話し合った。その場で、南、
「救援列車が来るのはいつごろになりますか?」
と、車掌に尋ねると、車掌、
「救援列車はこの線区(豊肥線)を過去に走ったことがありますがとてもひさしぶりのことなのでいつここ(立野駅)に到着するかはわかりません。それに、その列車は扱うのがとても難しく、果たして肥後大津~立野間の山道を登り切れるか不安です・・・」
と答えるも、南、
「まぁ、それはなんとかなるでしょう。その列車の性能に期待しましょう。それに、その列車の後ろにはディーゼル機関車も連結しているわけですしそのディーゼルと協調運転できれば大丈夫だと思いますよ」
と答えた。これには、車掌、
「南さんの言うことならなんとかなるでしょう」
と、安心してしまう。
だが、ここで、南、車掌にある註文をした。
「あと、その列車、あのプレートは外してくださいね。じゃないと、ある男の夢が叶いませんから」
これには、車掌、
「あのプレート、あぁ、あのプレートですね、・・・がつけていた・・・」
と、南の言葉に理解したのか納得の様子。
そして、車掌はすぐに基地に連絡すると南の要望を受諾してくれた。これを見た南、なんと、
「そう、あの男の・・・夢、ここで叶えてあげましょうか・・・、あの男ね・・・」
と、不敵な笑いを浮かべていた。
それから5分後、「あそぼーい」の車内にこんな車掌のアナウンスが流れてきた。
「現在、大雨により当列車は立野駅に停車しております。また、当列車は車両不具合により走行できない状況です」
これには車内から、
「おい、そしたらどうなるんだ!!」「もしかして、ここで一晩過ごすの・・・」
というパニックに近い声が聞こえてきた。
だが、次の車掌のアナウンスで状況が一変した。
「そのため、只今、救援列車を手配しております。救援列車の到着予想時刻は今から1時間後を予定しております」
この車掌のアナウンスにより列車内からは、
「これでようやくなんとかなるぞ!!」「これで助かるわ!!」
という嬉しい声が響き渡っていた。
そして、パロラマシートでも・・・、
「千里先生、これで助かりますよ・・・」
と、眠っている千里に対して秘書が涙を流しながら答えていた。
一方、これに対してちょっと不機嫌な人も・・・。
「ふんっ、この時間になってようやう救援列車とは・・・、本当に遅すぎなんだぞ!!」
と、武が怒りながら言う。それに対し、かえで、
「それでも助かるんでしょ。少しは喜んでみたら・・・」
と、武の怒りをなだめようとしていた。
だが、その一方で、かえで、
「でも、私の「エビペン」、どこにいったのでしょうか・・・。私、なにかあったらいけないと思っていつも私のバッグのなかに入れて持ち歩いているのに・・・」
と、自分がいつも持ち歩いている自分の「エビペン」がなくなっていることを心配していた。
そして、曜とルビィも、
「ふ~、これでなんとか感ず目状態からおさらばだね!!」(曜)
「ちょっと心配していたら、おなか、すいちゃった・・・」(ルビィ)
と、これまでの緊張がほぐれた、そんな感じをしていた。
で、曜、あることをふと考えてみる。それは・・・、
「でも、救援列車ってなにが来るのかな?もしかして、「あそぼーい」と同じ観光列車?」(曜)
そう、曜、どんな救援列車が来るのか少し気になるみたいだった。で、そんな曜を見てか、梶山、
「ふふ、意外なものかもしれませんね」
と、なにやら不敵な笑いを浮かべて答えた。梶山、実は車掌のところに行った南がパロラマシートに戻ってくるとき、少し南と2人で話し合っていたのだ。そこでどんな救援列車が来るのか南から聞いていたみたいだった。ただ、それについては秘密にしてほしいと南から言われていたため、詳しいことはみんなに伝えることなく、ただ、不敵な笑いを浮かべることしかしなかった・・・。