曜とルビィの事件簿   作:la55

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曜とルビィの事件簿最終章 謎の列車 後編

プルル ルルーン

12月31日、大みそか、9時22分、宮崎駅ホームでは発車ベルが流れていた。そのとき、1人の男がその列車に乗った、こう言いながら・・・。

「今回もさっさと人を刺していきますか!!」

ただ、その直後、後方の車両には、

ゴトゴト

というある数人の男女グループが列車に乗り込む姿も見られた。

 その後、その列車に乗った1人の男はこう言いながらお茶を飲んでいた。

「今回の稼業は楽でいい。だって、こんなリクライニングできる特急列車にただの切符だけで行けてさらに人を刺しにいけるんだからな。やっぱ特急列車様様だな!!」

そう、この男は、この3日間、特急列車に乗りながら移動していたのである、それも普通の切符のみである。これは一体どういうことだろうか。

 だが、このとき、その1人の男の近くである女性の声が一瞬聞こえてきた。

「ふ~、これで証拠がそろった!!忍者千歌、ここにてごめん!!」

ただ、その女性の声はその一人の男には聞こえていなかった・・・。

 そして、9時27分、宮崎空港駅に到着するとその1人の男の人は改札を出るなりすぐに空港へと向かった・・・、と同時に後方の車両に乗っていた男女数人のグループもその男のあとを追った、こう言いながら・・・。

「高山、先に来ていた桃井たちと連携してやつを止めろ!!」

その言葉のあと、高山と呼ばれた男の人は走るようにその場を去った。

 そんなことなんてつゆ知らず、1人の男の人は空港に入るなりある男の人を、大臣を勤めているその男の人に向かって、

「すまないが、大臣、お前は死んでくれ!!」

と小言を言いながらナイフを握りしめながら走っていった。ただ、大臣はおろかSPすらこの1人の男の存在を認識していなかった。

 そして、ついにその1人の男は大臣を刺し・・・、

「肥、そこまでだ!!」

とこの1人の男こと肥に向かってある男がとび膝蹴りをくらわせると、

「ぐへっ!!」

という肥の苦しむ姿とともに、

コトンッ

というナイフが床に落ちる音が聞こえてきた、のと同時に、

「肥、9時30分、大臣への殺人未遂、いや、この3日間における連続刺傷事件の容疑者として緊急逮捕する」

の声がすると

ガチャン

という肥に手錠をかける音が聞こえてきた。これには、肥、

「くそっ!!誰だ、お前は!!」

と自分のことを逮捕した男の方を見上げる。

 すると、肥を逮捕した男はこう言った。

「俺の名は鉄道警察隊東京公安室公安特捜班南達仁だ!!」

そんな緊急逮捕劇を近くで見ていた少女2人はこんなことを言ってきた。

「これってなんかすごいところだよね、ルビィちゃん」(曜)

「うん、そうだよ、曜ちゃん」(ルビィ)

そう、この少女2人は曜とルビィだった。実は、2人、南たちとともに宮崎入りしていたのである。そして、この1人の男こと肥のあとを追って8時36分宮崎発の列車に乗ってきたのである。そういうともうわかっただろう。肥のあとを追って宮崎9時16分発の列車に乗ってきた男女数人のグループの正体は、南と高山、曜とルビィ、だったのである。

 だが、肥はなにか言おうとしていた。

「あれっ?俺様はたまたまここにいるだけだぞ!!それなのに逮捕されるなんておかしいだろが!!」

これには、南、こう答える。

「お前がここに来るのはすでにわかっていた、乗ってきた列車もな!!」

 だが、肥はこう言い出してきた。

「言っておくけど、俺様は南宮崎9時01分発の普通列車に乗ってここまで来たんだ!!それも普通の切符だけ使ってな!!」

 ところが、南、こんなことを言い出してきた。

「いや、お前が使ったのは宮崎9時22分発の特急ひゅうが8号だろうが!!」

これには、肥、一瞬びくっとするもすぐに、

「へぇ~、天下の鉄道警察も地に落ちたもんだな!!言っておくが俺様は特急券なんて買っていない!!ただの普通の切符を買って普通列車に乗ってきたんだ!!お前が言った列車は特急列車だろうが!!特急券もなしに特急に乗れるなんておかしいだろうが!!」

そう、肥はあくまで普通の切符のみでここまで来たのである。なので、普通なら南が言っている特急に乗れるわけがないのである。

 だが、南はそんな肥に対してこう言い返してきた。

「いや、あんたは特急に乗ったんだ!!それも、この3日間、合法的に普通の切符を使ってな!!」

これには、肥、

「うぐっ・・・」

と図星を突かれている表情をみせた。

 と、ここで、曜、南に対してこう尋ねてきた。

「えっ、普通の切符のみで特急に乗れるわけ?」

そう、普通なら前述の通り、特急に乗るには普通の切符(乗車券)以外にも特急券が必要である(一部を除く)。それなのに普通の切符のみで特急に乗れるなんておかしな話である。

 ところが、南、そんな曜の疑問をこう答えてくれた。

「実は「特急料金等不要の特例」があるからなんだ」

これを聞いてルビィはこう答えた。

「もしかして、北海道総局(JR北海道)の石勝線みたいなものだね!!」

これには、高山、

「それだよ、それ!!」

と大きくうなずいた。「特急料金不要の特例」とはその特例区間のみ普通のきっぷのみで乗れる特例である。その特例にはちゃんとした理由があったりする。石勝線の場合、普通列車の運行がなく特急のみしか駅に止まらないため、この特例が適用されていたのである。では、九州では?

 それを踏まえたうえで南は肥に対してこう言った。

「肥が、この3日間、移動した区間は一部を除いてその事例が適用されていたんだ」

これには、肥、

「それはどういうことですかね?」

と南にわざとらしく尋ねると南は肥のアリバイの種明かしをした。

「まずは1日目のハウステンボス~佐世保間だけど、早岐~佐世保間がその特例区間になっているんだ」

そう、実は九州には2つの特例区間がある。その1つが早岐~佐世保間である。この区間は特急列車であっても普通の切符のみで乗れるのである。ちなみにその理由が「過去のダイヤ改正でこの区間の普通列車が大幅減便になったことによる救済処置のため」であった。

 その上で南は肥に対しこう告げた。

「肥、お前は実はハウステンボス10時05分初の普通列車に乗り早岐10時10分に到着後、すぐに10時13分初のみどり11号に乗り込んだ。そして、10時24分に佐世保駅に到着するなり県議を刺したんだ」

 だが、ここに肥はさらに反論した。

「でも、俺様はずっとハウステンボス10時05分発の普通列車に乗ったままだったんだぞ!!そのアリバイはどう崩す?」

むろん、これには、曜、こう答えた。

「たしかにしずくちゃんもそう言っていたよ」

そう、しずくは日宇駅発車後に肥を目撃していたのである。

 だが、それにも南はこう告げた。

「そんなの簡単だよ。早岐で長時間停車していることをうまく利用したんだ」

そして、このアリバイを南はこう崩した。

「肥は県議を刺した後、佐世保駅前10時33分発の路線バスで日宇駅に向かった。そして、日宇駅で降りた後、日宇11時01分発のハウステンボス~早岐間に乗った同じ列車に乗りこんで佐世保に戻ってきたんだ」

そう、10時05分にハウステンボスを発車した普通列車は10時10分に早岐に到着するなりそこで40分以上停車しているのである。その普通列車のお客様であるが10時13分発のみどり11号で佐世保に行くことができるのだが、それを利用して肥は佐世保に移動しては県議を刺したのである。その後、今度は最初に乗った普通列車が早岐で40分以上停車してから早岐を発車することを見越して路線バスで日宇に戻ると同時にその列車に再び乗車して佐世保に戻ったのである。そのとき、しずくが肥をみかけたのである。これには、肥、

「ううう・・・」

とうなるしかなった。

 そんなとき、ルビィが南に対しこんな質問をした。

「もしかして、佐世保駅の駅員さんが肥さんの特急券を探さずにすぐに「肥さんの特急券はありません」と言って探すのを拒否されたのもこの特例が原因?」

そう、肥の特急券がないか佐世保の駅員に南が尋ねるとすぐに「肥の特急券なんてない」と言って探すのを拒否されたのがあったのだが、南はこう答えた。

「そう、佐世保駅の駅員が探すのを拒否したのはこの特例が原因なんだ。この特例がある以上、早岐~佐世保の特急券なんて存在しないのだからね!!」

たしかにその通りである。この特例がある以上、早岐~佐世保間の特急券なんてないのだから・・・。

 ただ、肥、こんなことを言ってきた。

「でも、この俺様が路線バスに乗ったという証拠なんてないだろうが!!」

 ところが、南、こんなことを言ってきた、肥に向かって・・・。

「実はね、肥、お前を映したドラレコの映像が見つかったんだ!!」

なんと、肥が乗ったとされる路線バスにはドレレコが搭載されていたのだ。今は防犯やいろんな事故防止のために各車両にドラレコが設置される時代である。そう考えるとバスの内側にドラレコがあってもおかしくはなかった。まぁ、そんなことを言われたことで、肥、

「くぅ~」

と苦虫を逆に砕いてしまった・・・。

 だあ、肥は諦めなった。肥は禁じ手を出してきたのである。

「でもな、二日目の博多~吉塚間はその特例がなかったはず!!そこはどうなんだ?」

そう、実は博多~吉塚間はその特例の適用がなかった。そのため、特急には普通の乗車券のほかに特急券が必要だったりする。

 ところが、それすら南は覆してしまった。。

「別に特例じゃなくても普通の切符だけで特急に乗れる方法はある。その例が肥が乗ったとされるかささぎ10号だ」

 すると、曜がこう尋ねてきた。

「もしかして、特急が普通列車になる?」

これには、南、喜びながらこう言った。

「曜ちゃん、大正解!!」

これには、曜、

「いやいや、そんなに褒められても・・・」

とにやにやしながら答えるとともに、南、それについて詳しく説明した。

「実はかささぎ104号吉塚駅は博多駅で普通列車に変わり、そのまま吉塚に行くんだ。なので、博多~吉塚間はこの特急列車のみ普通のきっぷのみで移動できるんだ。肥はそれを使った。8時26分、かささぎ104号から変わった普通列車にのり8時29分に吉塚終点で降り、そのまま国会議員を刺したんだ。その後、東公園へと逃げては服装を変えて散歩と称して東公園を歩いていたんだ」

むろん、これにも、肥、

「でも、これにも証拠がないはず!!」

 すると、ここでも南は肥に対しある写真を見せた。それは・・・。

「あまりにも浅はかでしたね。駅の近くのゴミ箱から国会議員を刺したときにあなたが来ていた服が見つかりました。血痕も残っているしお前の指紋も残っているはずです」

さらに、南、ダメ押しを言ってしまう。

「それに、同じ列車に乗っていた乗客があなたがトイレに入ろうとしていたところも見た、という証言も残っております」

そう、しずくの証言である。しずくは肥の姿を知っておりそれがこの証言へとつながったのである。これには、肥、

「くっ、まさか警察の捜査の展開が早かったからさっさと捨てたのに・・・。それに、乗られているところを見られていたとは・・・不覚・・・」

と悔しい表情をみせていた。

 そして、南は今日のことも話した。

「そして、肥、昨日の時点でいろいろと調べていくうちに今日の宮崎の件を知るところとなりまして、ここに来た・・・というよりもお前をつけてきたのです。 だって、宮崎~宮崎空港間は今さっき言った特例区間に指定されているのですから・・・」

そう、宮崎~宮崎空港間は今さっきいった「特急料金不要の特例」が適用されていた。というのもこの区間は「遠方とを結ぶターミナル駅と市の中心部のアクセスを考慮されてのもの」といった理由で指定を受けていた。そのため、宮崎~宮崎空港間は普通の切符のみで乗車できたのである。

 と、ここで、肥、あることを南に尋ねた。

「でも、なんでこれに、「特急料金不要の特例」に気づいたんだ・・・」

すると、南はこう答えた。

「それは簡単だ!!時刻表にその文言が書いてあるからだ!!」

そう、時刻表にはその特例が提要される場合、時刻表のご案内の部分に「○○区間の特急は普通乗車券のみでご乗車できます」という文言が書かれるのである。それを南は千歌の報告で知った南はそれを時刻表で確認したことでこの肥のアリバイを崩したのである。

 こうして、肥のアリバイは完全に崩れた。これには、肥、

「くそ~、なんで俺様の完璧なアリバイがこんな若造に崩されるなんて・・・」

ととても悔しがる表情をしながら言ってしまった・・・。

 

 こうして、佐世保・吉塚・宮崎における連続刺傷事件は幕をおろした。肥はこの南の推理とそれを裏付ける録音データ、いや、宮崎のひゅうが8号での肥の言葉、でもって厳密に罰せられることになるであろう。なお、この録音データは千歌が録音したものだった。千歌はOLに扮して肥の近くに行き肥の言葉を録音したのである。千歌、恐るべしである。

 ちなみに、肥が、県議、国会議員、大臣を襲ったの理由はお金の問題であった。ヒットマンである肥が3人を襲うことによって肥を雇ったやくざの力をみせつけ、それをもとに政治団体や政党からお金をせしめようとしたものだった。だが、それも南の活躍によりご破算になったようである。なお肥を雇ったやくざもなぜか壊滅させられたのは別の話である・・・。

 

 そして・・・、

「南さん、今日は宮崎でいっぱい遊ぼうよ!!」

と曜は南にそういうと南も、

「あぁ、そうだな」

と元気よく答えていた。 

 ただ、このとき、南の後ろにはあの2人が立っていた。

「南さん、これで千歌たちの仕事は終わったよ」

と若き少女が言うと南も、

「千歌、ありがとう・・・」

と言った。そう、南の後ろにいたのは今まで陰で動いていたアランと千歌だった。

 ところが、南、あることを2人に釘を刺す。

「しかし、なんで肥を雇ったやくざすら壊滅させるなんて、陰であってもやりすぎでは・・・」

これには、アラン、

「別に私たちはなにもしておりません。私たちはただ邪魔なものを排除しただけです・・・」

とたんたんに述べていた。そんな2人に、南、

「わかった、わかった・・・」

と言っては続けて、

「それじゃ、アラン、事件の後始末をお願いする」

とアランに対しこうお願いすると、アラン、

「はい、わかりました」

と言ってはその場から去ってしまった。

 一方、千歌は、

「それじゃ、私は、私は」

と南にだだをこねると、南、それを察してか、

「この事件ではよく働いてくれたから、ご褒美。大みそかと正月三が日は曜ちゃんとルビィちゃんたちと一緒に楽しんできなさい」

と言うと、千歌、忍者装束を脱ぎ捨てては、

「わかりました!!」

と言っては曜とルビィに対して、

「曜ちゃん、ルビィちゃん、お待たせ!!」

と2人の前に現れたのである。これには、曜、ルビィ、ともに、

「ぴぎぃ、千歌ちゃんがなぜかここにいる!!」(ルビィ)

「あっ、千歌ちゃんだ!!いったいどうして?」(曜)

と驚くも、すぐに、千歌、

「2人と遊びたいから来ちゃった!!2人とも遊ぼう!!」

と言っては、

「「うん、千歌ちゃん、一緒に遊ぼう!!」(曜・ルビィ)

となにごともなかったのように3人であそぶことにした。

 

 そんなわけで、曜とルビィ、そして、南たちは大みそかと正月は一緒に遊んだのであった。だが、このあと、ある事件が起こるとはつゆしらずに・・・。

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